京都市の基本構想・基本計画(資料編)/京都市基本構想等審議会/第13回 環境・市民生活部会
ページ番号35886
2001年2月1日
21世紀・京都のグランドビジョン 京都市基本構想等審議会 記録/第13回 環境・市民生活部会
日 時 : 平成12年11月15日(水) 午前10時~12時
場 所 : 京都ロイヤルホテル「青雲」
議 事 :
(1) 京都市基本計画第2次案について
(2) その他
出席者 :
石田 一美(京都市東山消防団団長)
片山戈一郎(近畿労働金庫副理事長・京都府本部長)
笹谷 康之(西京区基本計画策定懇談会座長,立命館大学理工学部助教授)
須藤 眞志(京都産業大学外国語学部教授)
○高月 紘(京都大学環境保全センター教授)
土岐 憲三(京都大学大学院工学研究科教授)
内藤 しげ(住みよい京都をつくる婦人の会会長)
◎内藤 正明(京都大学大学院工学研究科教授)
仲尾 宏(京都造形芸術大学芸術学部教授)
J・A・T・D・にしゃんた(市民公募委員)
西脇 悦子(京都市地域女性連合会会長)
村井 信夫(各区市政協力委員連絡協議会代表者会議幹事)
高木 壽一(京都市副市長)
以上13名
◎…部会長 (50音順/敬称略)
○…副部会長
1 開 会
内藤正明部会長
第13回環境・市民生活部会を開催させていただく。
2 議 事
(1) 京都市基本計画第2次案について
内藤正明部会長
第2次案は,10月に開催された審議会総会での議論及びその後寄せられた文書による意見を基に,調整委員会で第1次案を修正したものである。
なお,調整委員会では先般発表された京都市の「市政改革大綱(案)」の内容も加味して検討を行った。
それでは,第1次案からの主な変更点について,当部会の関連部分を中心に説明したい。
まず第1章第1節では,1(2)ア(ア)で「ドメスティック・バイオレンスへの対応は緊急性を要し,シェルターなどの保護体制を早急に整備すべき」というご意見を基に記述を強化し,(7)アで「審議会委員などへの外国籍市民の登用を明記すべき」とのご意見を基に記述を追加している。
第1章第3節では,1で「環境との共生と同時に自然との共生を図るべき」とのご意見に基づき「基本的方向」の記述を強化するとともに,(2)ア「豊かな自然環境との調和とふれあい」の項を新たに追加した。また,「環境税を含めた経済メカニズムや環境情報システム,地球環境会計の導入など環境政策を充実すべき」とのご意見に基づき「基本的方向」及び(2)イ(イ),(2)ウ(エ)に記述を追加した。そのほか,「市役所が率先して環境に配慮している企業から商品を購入すべき」とのご意見に基づき(2)ウ(エ)の記述を強化し,(2)オの総合地球環境学研究所については,すでに建設が決定済みであるため,「創設促進」を「整備支援」と修正した。
第2章第1節では,3で「国際交流において環境,福祉,まちづくりなど具体的な課題の解決策を共に考えるべき」とのご意見に基づき(1)アに記述を追加し,(1)オの京都迎賓館については,「建設促進」を「整備支援」と修正した。また,第2節4で「若者が京都で働く場を創出すべき」とのご意見に基づき(1)アに記述を追加し,「青少年を意思決定やまちづくりの主体として位置付けるべき」とのご意見に基づき(2)アの記述を強化した。
続いて,第2章第3節2については,「都市内交通に関する記載が「歩いて楽しいまち」と2か所に分かれていて交通体系の全体像が分かりにくい」等多くの意見が出されたことを踏まえ,「基本的方向」の記述を修正するとともに,項目の並べ方や説明をかなり大きく変更している。(1)は都市内交通,(2)は都市圏内交通,(3)は広域交通というように,空間的広がりに沿って再整理されている。
第3章では市政改革に関する記載を強化している。
なお,基本計画をできるだけ読みやすく分かりやすいものにするため,新規性や象徴性などのある,ポイントとなる主要な110項目の事務事業を「ちょっと注目!」として例示した。
それでは,第2次案についてのご意見をいただきたい。
笹谷委員
メリハリをつけるためには戦略的な政策が必要であり,京都市が何を選択するかが明確になっていなければならないが,一方で市民の多様なニーズを切り捨てることはできない。縦割り行政を打破しつつ多様なニーズを支えるしくみが必要だが,少子化対策や青少年対策,環境やバリアフリー,市民参加や産業等の政策を,クロスチェックし,網の目のように結びつけるしくみが本当にできているのか。基本構想で成長管理型という方向性があり,基本計画では施策の体系化のための継続的なしくみを書き込まなければならない。「計画の推進体制」の中にそういう趣旨を書き込むべきではないか。これは従来の基本計画と比較すれば格段に良くなった点は評価するが,基本構想が80点とすればこれは60点もらえるかどうか分からない。
例えば,ITを活用した電子民主主義を確立し,第一線のビジネスマンや技術者も積極的に参加しながら京都の産業を振興する。それが同時に,人権を守り青少年育成や少子化対策にもなるということを書き込めるかどうかで合格点をもらえるかどうかが決まるのではないか。社会の変動の中から生じてくる新たな課題に対して迅速に対応し,多様な市民の意見を一致させるのは難しいかもしれないが,少なくとも問題意識を共有することは可能であり,そのうち合意できるものについては積極的に推進するという枠組みがほしい。その中で縦割りの打破が出てくる。
内藤正明部会長
「計画の推進」に書くことが適切ではないか。1「計画に掲げた政策の進行管理」の記述を見ても,総合性,戦略性の視点はあまり明確ではない。「インターネットの活用」という電子民主主義に近い文言も入ってはいるが,もう少し次元の高い総合性,戦略性を記述することは可能だと思う。
高月副部会長
笹谷委員のご指摘になったような内容を書き込むことは必要だとは思うが,できればもう少し具体的に説明していただきたい。
笹谷委員
クロスチェックのしくみは必要ではないか。青少年行政にしても,学生もいれば働いている人もいる。市政に積極的に参加する人もいればサークル活動をしている人もいる。京都市の職員は他都市と比べて非常に専門性が高いが,局を超えるとできないことがたくさんある。横断的なワーキングをつくればすべてうまくいくわけでもない。電子的なツールを使いながら,庁内LANの中だけでなく,該当者,青少年なら青少年とともに考えるコミュニティを多層的につくっていく必要がある。
例えば,西京区では人口が増えて保育園が足りないが,全市的には保育園は余っている。少子化対策やバランスある都市の発展を考えるとすぐに対応しなければならないのに,行政はすぐに対応できない。意見を出しても,専門の審議会で決まった既定方針であり変えられないという対応をされる。各審議会の報告書等にしても表面的には矛盾なく見えるが,よく読むと矛盾がある。そうした矛盾に上位計画である基本計画の審議会で決着をつける,あるいは決着をつけるための筋道を明瞭に示さなければならない。高速道路の問題などまさにそうで,国の動向を見極めてからというのでなく,明瞭に戦略アセスメントを位置付け,むしろ先取りしていくくらいのことを考えなければならない。
それぞれの審議会や委員会を評価の対象とし,どういうメンバーでどういう答申が出たかをホームページ等で公表すべきだ。その結果,不要なものは廃止して半数程度に減らし,すべてを網羅するような進行管理型の総合計画のフォローアップ組織をつくったほうがいい。
内藤正明部会長
「計画の推進」以外に適切な箇所があるかどうか分からないが,1と2の間に総合性,戦略性を持った計画推進のためのしかけづくりを書き込めるといい。そのツールとして,電子民主主義や組織横断的な取組,各種審議会の案件の総合的な点検といった事項が入ってくるのではないか。そういう方向で調整委員会でも検討したい。
仲尾委員
この審議会の中でも高速道路のように意見が分かれているものがあるが,そうしたものも答申が出れば実現することになるのではないか。特に交通基盤整備については,既定方針の踏襲で市独自の考え方が薄い。今後どういう場で検討し,少数意見を反映させていくかというあたりの姿勢が明確でない。もう少し多様な意見を汲み上げていく配慮が必要だ。
内藤正明部会長
それに対応する記述は「計画の推進」の「なお,この基本計画に掲げた政策の実施に当たっては…」以下の3行に理念としては書かれているが,どういうしくみをつくってやっていくかという具体的な部分が見えてこない。この件については調整委員会で検討したい。
個別の修正部分についてもご意見をいただきたい。
土岐委員
「計画の推進」の2に「計画内容全般の定期的な点検・評価を行い,必要に応じて政策を見直し,…」とあるが,点検と評価は「誰が,どのように」という部分がないと意味がない。ここにはそれが書かれていないが,実際は点検・評価はそれほど厳密に行うつもりはないのではないか。それなら改めて項目を設ける必要はなく,1の「インターネットの活用や市政報告書の発行等により…」の部分に含まれる程度にしておくべきだ。
大学では点検・評価について,誰がどのようにやるかが問われており,大学の中での評価,大学の外からの評価,国からの評価等いろいろあって物議をかもしている。再度調整委員会で検討していただきたい。
内藤正明部会長
ここまで書くのであれば,誰がどのようにというところまで明確にしておかないと,どのようにでも拡張解釈でき,変な形の点検・評価が行われる恐れがある。そうでなければ,当然やるべきことの範疇としたほうがいいのではないかというご意見であり,調整委員会の場で提言したい。
須藤委員
最近,大学では学生に授業内容や教授法について評価させるといったことが行われており,その結果をどこまで公表するかが問題になっている。この計画が具体化されたとき,市民にどう評価されているかを定期的に点検し,市民に受け入れられていないことが分かった施策については速やかに変更するシステムをつくっておくべきだ。例えば,世論調査やインターネットで意見が反映できるシステムが必要ではないか。
内藤正明部会長
点検・評価については,結果の公表についてもきちんと考えておかなければならない。大学の経験を参考に,行政として新しいシステムをつくっていただきたい。
石田委員
都市内の交通に関して,寺院のライトアップの時期には市内の渋滞がひどく,東大路通などでは四条から五条まで30分以上かかる状態だ。市外から来る観光客は清水寺以外にもいろいろな場所を回りたいと思う。まず市内の交通流をスムーズにすることを考えなければならない。
内藤正明部会長
市内交通網の整備については第2章第3節2(1)に記述があるが,この部分はどちらかと言えば市民を念頭に書かれている。(1)イに「生活・商業・観光などの視点において」とあるが,観光客への配慮はどのあたりで読み取ればいいのか。
石田委員
市バスにしても500mごとに停留所があって,5分おきにバスが来てというのでないと,また,乗換えの度に料金を払うのでなく,自由に乗り換えられるようにしなければ利用しにくい。まず市内から改善していかないと,市外から人を呼び込んでも悪い印象しか持ってもらえない。
内藤正明部会長
第2章第3節2(1)エ「公共交通サービスの充実」に「乗車券制度」や「利用しやすい有機的な公共交通輸送サービス網を整備する」と抽象的な記述があり,随所に関連する記述がある。都市整備・交通部会でも検討されていると思うが,どこにどのように書き込むかについては調整委員会で検討したい。
仲尾委員
今の政策の延長線上で手を打つだけでは市内の渋滞は解消しない。市電を廃止したときに何らかの手を打っていれば解決ができた問題だと思うが,ヨーロッパや他都市のようなLRTの導入を考えないと,東山一帯の交通渋滞の解消はありえない。
それとも関連するが,ここに挙がっている事業計画や啓発活動等の施策は,財政的な危機の中で実現の保証はあるのか。お金が足りないため,答申案に盛り込まれた事業が実現できない場合,どこに責任があるのか。
事務局(葛西政策企画室長)
調整委員会で財政的な事情も踏まえて議論していただいているが,他方で行政改革を行うことにより財源を生み出していくことも考えている。また,政策を実施していく過程で市域の活性化を図り,豊かさを生み出すことによって財源を得ることもある。不透明な状況が続く中で,財政的なフレームをかけて数字的にすべてを担保することはできない。「計画の推進」等にあるように,この計画の進行管理・点検をきちんとし,その都度財源の確保に努めたい。
内藤正明部会長
調整委員会では財政状況を勘案して議論してはいるが,5年後,10年後の状況は不透明で,行政としてはそれ以上のことは言えないと思う。
仲尾委員
財政がさらに悪化することも考えられるので,その場合の優先順位や,見直しの範囲をどうするかということは,今後どこで議論されていくのか。その辺りをある程度明確にしておく必要がある。
内藤正明部会長
「計画の推進」のところで常に事業効果や必要性の再確認を行いながら,財政状況を勘案し,市民の理解を得て推進するという理念は書かれているが,しくみが明確でない。市会や行政内部でやっているということではこの理念が生かされない。調整委員会で今までと違う具体的なしくみを書き込む努力をしたい。
高木副市長
基本計画の進捗状況を議論していく場を設け,結果を市民に公開し,市民に議論の場に参加していただくしくみをつくっていかなければならないと考えている。
財政の問題に関しては,調整委員会で5年間の財政見通しを示して優先的に取り上げるべきものを取り上げていただいているが,その先については見通しが立たない。この計画を市民の皆さんと共に進めていくという観点からすれば,市民の税金負担でやっていくべきものと,シビルミニマム以上のことで財政事情に応じて市民の金銭的な負担や労力的な負担により実現していくものとがある。
議論をする場を設け,基本計画に挙がっている政策については実現する方向で進めていかなければならないと考えている。
笹谷委員
第1章第3節1(2)について,「既に計画決定している事業を含め,大規模な開発については環境だけでなく経済,社会を含めた戦略的環境アセスメントを実施すべき」という趣旨の意見を文書で提出したが,環境部局から時期尚早であるという回答があり,第2次案に反映されていない。戦略環境アセスメントが産業を振興し増収につながるものだという認識がないのではないか。社会的な合意形成の方法にしても,新しいビジネス特許を取れるくらいのものを考えるべきだ。開発にかかる前の段階で地域住民の経験的知恵と専門家の知識を生かして,経済性,社会性等を踏まえ,総合的に判断していくということであり,戦略環境アセスメントについて環境のところに書き込めないなら産業振興のところに書き込むなど,もっと積極的に考えていただきたい。
第2章第1節1(2)に「由緒ある地名の保存や銘板の整備を追記すべき」という意見を提出したが,第2節2(5)ア「観光サービスの充実」に盛り込まれているということで,この部分に記述がされていない。全国的に住居表示法を曲解した地名の変更が行われる中で,京都では古い地名が保存されており,観光行政に矮小化するのではなく文化行政の基本に据えてほしい。
第2章第3節3(3),(4)について,「インターネット対応も含めGISデータを広く市民や事業者が使えるようにしてほしい」という意見を提出したが,知的所有権の関係で市外部の市民や事業者が自由に使うことはできない,費用対効果を勘案してどのようなGISを整備するかを決めるべきで,今具体的な内容を盛り込むべきではないという趣旨の回答が担当部局からあり,第2次案には記述されていない。税金で得たものは市民に還元するというパブリック・ドメインの基本方針に反しているし,IT基本法やIT戦略会議,地域IT戦略本部等の答申を踏みにじる対応と言える。10月にGIS省庁連絡会議により国土地理院がデジタル情報を無料で提供するという方針が打ち出され,国も税金でつくったデジタル地図を公表し,産業活性化につなげる方向にある。担当部局の対応は国や時代認識と大きくずれているのではないか。GISを共有するしくみをインターネット上でつくることが新しい産業を産み出し,税収につながるのだという意識がない。各部局の職員が自分のやっていることは環境や福祉,産業等につながるのだという意識を持たないと,この難局は打破できないのではないか。
例えば,5年経てば次世代インターネットにより情報家電が普及し,10年経てばウェアラブル(携帯型)になる。5年先,10年先というのはITに関しては技術的に見えている部分もあり,それを先取りしながら情報弱者を支えていくなどの総合的な戦略性がほしい。
内藤正明部会長
GISに関する記述内容に問題があるとすれば,事実確認しておかなければならない。
事務局(葛西政策企画室長)
担当部局に確認し,調整委員会にご報告したい。
内藤正明部会長
戦略アセスメントについては環境アセスメントの発展形として出てきた面があり,一般にまだ十分理解されていないのではないか。ここで戦略アセスメントについて記述しても,市民の理解を得られるかどうか。調整委員会の場で再検討したい。
笹谷委員
高速道路の問題については,新十条通の東山トンネルや広域的交通網や京都第二外環状道路は早く整備していただきたいが,それ以外の高速道路を整備する経済的な余力があるとは思えない。地下鉄西伸にも早く決着をつけたい。先延ばしにするのでなく,将来の急激な人口減少,高齢化が見込まれる中でそうした骨格になる交通基盤を戦略的に整備していく必要がある。
内藤正明部会長
戦略アセスメントという言葉を入れるかどうかは別として,総合性,戦略性について書き込むことでカバーできる面もある。
仲尾委員からご指摘があったLRTについては第1章第3節4(4)に記述があり,「ちょっと注目!」にも挙がっている。
土岐委員
「前文」や本文と比較して,「計画の推進」があまりにもみすぼらしく,内容としては進捗状況を定期的に点検するということが書かれているだけだ。先ほどからこの計画をどうやって推進するかが見えないというご意見が出ているが,合意の得られていない施策については議論を続けていくという記述があってもいいのではないか。また,「前文」の(2)などは前文に書かれるべき内容ではなく,むしろ「計画の推進」のところにエクスキューズとして書き込むべきではないか。
調整委員会で検討していただきたい。
にしゃんた委員
市の施設や観光地への多言語表示が,第2章第2節2(5)アの観光サービスのところに盛り込まれているが,外国人観光客以外の京都に住む外国人に対するサービスでもあるという意識が欠落しているのではないか。
第2章第3節1(1)ア(イ)「居住環境の向上」では「地域住民」という表現があるが,第2章第1節3(1)エでは「地域住民と留学生をはじめとする外国籍市民」となっており,「地域住民」には「外国籍市民」は含まれないのかと思う。表現として配慮していただきたい。
そのほか,第2章第2節2で「外国からの観光客」,「外国人観光客」,「外国人をはじめ来訪者」というような異なる表現が使われているが,違いがあるのか。
内藤正明部会長
文脈の中で少しずつニュアンスを変えて使われているのかもしれないが,用語については概念統一をし,違いがあればそれが明確になるようにしたい。
多言語表示についての記述が観光のところだけに入ってしまったのは,仲尾委員の文書でのご意見の中にあった「ニューカマー」という言葉の解釈に問題があったのかもしれない。
仲尾委員
観光客への対応は当たり前だが,それよりも最近日本に来て,住んで働いたり学んだりしている,日本語が不自由な外国人に対する施策も重要だ。多言語表記を観光の部分にだけ盛り込むというのは認識の欠落だと思う。
須藤委員
「ニューカマー」という言葉は本来新規居住者という意味であり,外国人の新規居住者を示す言葉としては使わないほうがいい。
国際交流については,京都市が国際的にどういう都市になろうとしているのか分からない。第2章第1節3では国際都市としてどういう都市づくりをするかという部分が欠けている。外国人が暮らしやすいまちにするために,外国語の標識を整備したり外国人に対する行政サービスを充実するなど,国際都市としての京都をイメージアップしてほしい。「基本的方向」でも,最後の「計画の推進」のところでもいい。京都は外国での知名度も高く,今後10年で外国人観光客や留学生を増やしていこうという方向性については異論はないが,それに対応したまちづくりのビジョンを示してほしい。ここを読めば全体が把握できるという部分がほしい。
土岐委員
平仮名を使うのはいいが,「ひとひとりひとり」など,あまりにも平仮名が多過ぎて読みにくいところがある。
仲尾委員
外来語が多過ぎると読みにくい。「デジタルアーカイブ」や「グリーンツーリズム」など一般の人には分かりにくい。「コンベンション」や「スケジュール」などはあえて片仮名にしなくてもいいのではないか。
西脇委員
第1章第3節4(2)イで「自転車利用マナー・ルール」とあるが,無灯火自転車が多いので,「厳守」という言葉を追加していただきたい。
笹谷委員
第3章第2節1(2)に「委員の公募制を進める」とあるが,選任方法の透明化が必要ではないか。
第4節に入れるべきかもしれないが,行政だけでなく補助金をもらっている団体や委員会等も評価し,その結果をホームページ等で公表し,毎年チェックするような既得権に縛られないしくみを盛り込んでいただきたい。ホームページ上にリストを載せ,委員や補助金の額を公開するくらいのことをしなければ,この厳しい財政状況を乗り越えられない。「まちづくり塾」では公募企画に対して補助金を出しているが,もっと提言型で補助金をもらえ,さらにそれについても評価できるしくみがあるといい。 内藤正明部会長 ここで浅岡委員から文書でご意見をいただいているので紹介したい。 全体としてはあらゆる施策の基本に環境をおくことを明記されたことは歓迎するということだが,第1章第3節1については,具体的にごみ減量やCO2削減などについて計画項目との関連性が見えていないので,目標なども示してほしい。(1)の京(みやこ)のアジェンダ21フォーラムは「市民と一体となった」ものではなく,市民・行政・事業者などとの継続的対話・協議による合意形成によって計画策定とその実施が行われ,担当部局の政策に反映されるべきものであり,横断的な取組が必要であることを明記すべきということである。また,オでは「公共交通機関の利用」「自転車の利用」というように「利用」という言葉が使われているが,利用できるような「整備」や「施策」が必要であり,自転車専用道路の総延長をどう考えるかという目標まで書くべきというご意見だ。
第1章第3節4,第2章第3節2の交通政策に関して,温暖化政策にとっても交通政策は重要であり,交通基盤整備についは都市整備・交通部会でも十分議論は尽くされていないので,個別道路計画の統一性のない羅列を再検討すべきであるというご提言である。
第3章第2節では,参加のしくみづくりについて「…しくみについても検討を行う」とあるが,「直ちに検討を行い,速やかに具体化する」とすべきだということで,これは私も同感である。
笹谷委員
評価してどう実施するかが明確でないということなのではないか。近江八幡市などでは500項目ほどの数値目標を設定し,ISO9001によって達成目標を明瞭にしている。第3章の第2節,第3節,第4節に関して,京都市としてISO9001の認証取得してはどうかという意見を文書で提出したところ,それに代わる京都市独自のしくみをつくるという回答が担当部局からあったが,具体的に何を示しているのか分からない。少なくとも計画のフォローアップのため数値目標を市民と共に設定する場を設けることを明記していただきたい。行政区からも計画推進のためのフォローアップ組織をつくろうという提言が出ている。
京のアジェンダ21フォーラムについても,評価の対象とし,外から見直していかなければ成長しない。
事務局(葛西政策企画室長)
ISO9001の認証取得に代わる具体的しくみについては,担当部局で今後検討していくということだと思う。
笹谷委員
例えば,ISO9001を認証取得すれば窓口対応が一定レベル以上になる。顧客満足度を検査されるので,目標の管理も明瞭になる。設計の部分で,新しい施策を設計する際に市民参加型で議論を尽くしていないものは取り上げられないとか,法律が変わったときに即応するという事項を組み込んでおけば,ダイナミックに戦略的政策をつくることができる。それに代わるものがあるというのであれば,それを示していただきたい。
内藤正明部会長
調整委員会でもISO9001に対する認識が十分でなく,従来の製品の品質保証という意味で捉えており,自治体の市民サービスにまで適用してどういう効果があるかということについての認識が足りなかったのかもしれない。既存の認証取得でなく,京都市独自の行政施策に関する上位のマネジメントのしくみをつくっていこうという議論はあった。「計画の推進」に,少なくともISO9001に相当する京都独自のものをつくるという表現はあってしかるべきだ。
笹谷委員
ISO9001を認証取得している佐久市や近江八幡市などは,市民に対する対応が早く,ドキュメント管理も明瞭で,行政サービスの水準が確実に上がっている。少なくとも国内の事例はフォローしていただきたい。国際的にもニュー・パブリック・マネジメントの潮流は確実にある。評価にしても,セオリー評価なのかインパクト評価なのか,何の評価なのかまで踏み込んでいただきたい。
内藤正明部会長
それぞれの市により規模や歴史など特徴があると思うが,京都市もそれを上回るしくみをつくる努力をすることを書き込む必要がある。
にしゃんた委員
第1章第1節1(7)について,繰り返し条例の制定を提言してきたが,第2次案には盛り込まれていない。京都市は国籍条項により外国人の公務員採用もしていない。先日,ある学校が国際化推進室に外国人の人権について話してくれる講師を紹介してほしいと頼んだところ,他都市の外国人タレントを紹介したと聞く。最近,各地で入店拒否や入居拒否のような差別が起こっており,日本国籍を取得してもお風呂屋に入ることを拒否されたというケースもある。京都市には外国人労働者はあまり入ってきていないが,紋別市や小樽市,浜松市など,そうした外国人差別の問題が起こっている都市では,先に条例をつくり,問題が起こったときには行政が間に入るということを明確にしておかなかったことが反省点として挙げられている。京都でも先に手を打つことを真剣に検討しないと,将来問題が起こったときに国際都市として恥ずかしい事態が生じるのではないか。担当局がどこまで日本の現状を把握し,マイノリティ(少数派である外国人)の立場で考慮しているか疑問だ。
総務局(柴田国際化推進室長)
入居差別に対する条例を制定すべきというご提案に対しては,より具体的手立てを考えている。条例の必要性については長期的に検討していきたい。
にしゃんた委員
外国人に対する差別は住居だけではない。長期的に検討するということだが,いつまでという期限がないと責任ある対応とは言えない。
笹谷委員
条例化の必要性や目標管理まで含め,第3章で地方分権の推進による自治体法務の強化については書いておいてほしい。いろいろな問題の中で外国人問題の重要度が相対的に低いから後に回すというのでなく,ただ先延ばしにされるのは問題であり,問題が出てきたとき法務的にどう対応するかというプロセスまで含めて明瞭にしていく必要がある。
(2) その他
内藤正明部会長
本日は最後の部会ということもありたくさんのご意見をいただいた。言い足りなかった点があれば,11月17日までに事務局に提出していただきたい。答申案については12月15日に検討していただく。
なお,本日をもって当部会としてのすべての審議日程を終えるが,今後皆さんには答申までの間,審議会委員として,また環境・市民生活部会のメンバーとしてご活躍いただくことになる。
最後に副部会長から何かあるか。
高月副部会長
市民活動に関連して,NPOはこれから重要なキーワードになると思う。なぜこの中にNPOという言葉が入っていないのか気になった。
内藤正明部会長
それでは,以上で本日は閉会としたい。
3 閉 会
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