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京都市の基本構想・基本計画(資料編)/京都市基本構想等審議会/第3回 教育・人づくり部会

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2001年2月1日

21世紀・京都のグランドビジョン 京都市基本構想等審議会 記録/第3回 教育・人づくり部会

日 時 : 平成11年1月22日(金) 午前10時~12時

 

場 所 : 京都ロイヤルホテル「青雲の間」

 

議 事 :

(1) 新基本構想の基本的考え方(案)について     

(2) テーマ別討論「学校教育」について(その2)

 

出席者 : 

梶田 真章(法然院貫主)

◎金井 秀子(京都教育大学名誉教授,京都文教短期大学児童教育学科教授) 

北川 龍市(京都市日本保育協会会長,京都市社会福祉協議会会長) 

佐々 満郎(京都府私立中・高等学校長会事務局長) 

佐々木博邦(市民公募委員)

○シュペネマン・クラウス(同志社大学文学部教授) 

庄村 正男(京都市PTA連絡協議会会長) 

高月 嘉彦(NHK京都放送局長) 

永田  萠(イラストレーター) 

西川 國代(京都市保育園連盟副理事長) 

福田 義明(京都市私立幼稚園協会副会長) 

水谷 幸正(佛教大学文学部教授)                               

 

以上12名 

◎…部会長     (50音順/敬称略) 

○…副部会長     

 

 

1 開 会

金井部会長

  第3回「教育・人づくり」部会を開催させていただく。

 

 

2 議 事

(1) 新基本構想の基本的考え方(案)について

金井部会長

  第3回起草委員会において,新基本構想の基本的考え方についての検討が行われ,これを基に起草委員会としての案が示されたので,最初にこの件を議題としたい。本日いただいたご意見は第4回起草委員会で再度検討する際の資料としたい。  この内容について,前回の起草委員会に代理でご出席いただいたシュペネマン副部会長にご説明いただく。

 

シュペネマン副部会長

  前回の部会ですでにご報告したが,「1 新基本構想策定への思い」「2 新基本構想策定に当たっての留意点」「3 新基本構想の枠組み」までは第2回までの起草委員会で確認されている。その後第3回起草委員会が開催され,「4 新基本構想の骨格」に列挙されている事項を書き込んでいってはどうかというところまで議論が進んできた。これらの事項は盛り込むべき内容の例として掲げてあるもので,本日のご意見も含めて,第4回起草委員会で内容を整理し,第2回審議会の場に出す予定になっている。

 

金井部会長

  それでは今から3分ほどでお読みいただき,その後コメントをちょうだいしたい。――(3分間黙読)――  どなたからでもご意見をいただきたい。

 

北川龍市委員

  骨格としてはすばらしい。文章の中に「豊かなまち」「支え合うまち」「美しいまち」とあるが,京都の伝統継承が基本だと思う。

  ここに示されている未来の京都を築き上げていくための現状を見ると,人口減少の中で核家族化により若い世帯が京都を離れていき,学生のまちから学校が出ていくという寂しい状況にある。都市の活性化のためには住環境整備を考えるべきだ。

  次世代を担う子供の問題を考えても,三世代が無理なら二世代が一緒に暮らせる住環境整備が必要だ。昔は多世代が一緒に住む中で家族の支え合いが自然に身につき,豊かな子供の生活が営まれていた。最近は子供の育て方が分からない若い女性がいるが,祖父母が一緒に暮らしていれば,若い女性の子育ての不安も解消し,高齢者の生きがいにもなる。

  保育所による地域での子育て相談や地域住民による社会勉強のグループづくりなどの取組の輪を広げていくなど,子供たちの将来を展望し,現実に取り組むべき課題を考えるべきだ。

 

佐々木委員

  よくまとまっている印象を受けるが,全体的に教育の記述が弱い。京都市が教育・人づくりや子育てを積極的に支援する姿勢を示す時代にきていると思う。全体の流れはこのままでいいから,どこかに行政も市民も教育を支援していくことを示す文言が入ればいい。

  前回教育の理念を考え直す必要があるという指摘があったが,そういう基本を押さえることと,具体的に京都市がこういうことをやっていくのだという明確な姿勢の提示があればすばらしいものになるのではないか。

 

シュペネマン副部会長

  「世界都市」をうたうなら,もう少し外国人のことを入れてもいいのではないか。21世紀になれば京都にも長期滞在する外国人が増えると思うが,その外国人が単なるお客さんではなく積極的に地域活動や行政の決定プロセスに参加できる道を開くべきだ。京都にとっても刺激になり,外国人にとっても京都が第二のふるさとになる。もともと京都は進歩的で,昔から外国人に対して比較的開かれてきたが,もう少し積極的に書き込んではどうか。

 

金井部会長

  起草委員会から全委員のご意見を賜りたいということなので,順番にご意見をいただきたい。

 

水谷委員

  「京都にしかないもの」「京都市で何が必要か,何ができるか」「京都の地においてしか」「京都を縁とする人々の結び付きの中でしか」というように,「京都しか」ということが繰り返し書かれているので,都市特性のところでそれが何かが分かるかと思ったが,「1200年の歴史の中で育んできた」「京ものと呼ばれる」「京都市民がこれまで培ってきた「めききの文化」」と,美辞麗句が並んでいるだけで,京都が他都市と違うところはどこか,「京都しか」とはどういうものかが具体的によく分からない。美辞麗句だけでは議論ができない。

 

金井部会長

  京都以外の都市と京都がどう違うかということだが,中央政府がいろいろな政策をたてるが,地方には独自の文化があり,京都には京都の特性がある。それを残さなければ日本全体が画一化してしまう。京都に住み,仕事をしている人であれば,誰もが京都の特性を感じていると思う。どのようにその特性を生かしたまちづくりをするか,いいものを残していくかについて皆さんからご意見をいただき,それを行動計画に盛り込みたいということだ。

 

水谷委員

  基本構想段階では,具体的なことは盛り込まれないかもしれないが,「京都しか」ということで言えば,1つには寺がある。他都市と比べて京都は何かと聞かれたとき,京都は寺のまちだと言うことができる。そういう具体的な提案から入らなければ,抽象的なことだけでは将来の展望が展開しない。ほかにも祇園や西陣などいろいろあるが,京都は寺を抜きにして語れない。新基本構想を書いている人が寺のことを考えてこれを書いているのかどうか聞きたい。

 

金井部会長

  京都の文化はお寺抜きで語れないのは確かで,委員の中にお寺の関係者がおられるのも,そのことが十分考えの中にあることの表れだ。

 

福田委員

  「教育・人づくり」が骨格の中でどのような形で示されるのか興味を持って読んだが,教育や心を育てるあたりをもう少し具体的に入れていただきたい。

 

西川委員

  「京都らしさ」という言葉には奥深いものがあり,感覚的にしか受け取っていないのでそれについての意見は出せないが,部会として考えるならば,子育て支援,教育・人づくりの部分が見えないように思う。

 

金井部会長

  これは総論であり,教育についてのご意見は後半でいただきたい。

 

永田委員

  あまりにも観念的で言葉に流れ過ぎている。「これをやる」という確かなものが見えてこない。心の問題に触れているようでありながら,「ここにこう書いてあるではないか」と突き付けられたときにそれを支えるだけの,現実を感じさせる力が文章にない。全体にコピーライターの文章のようで,基本構想の文章はもっと格調高くあるべきだ。

 

高月嘉彦委員

  非常に理想的な京都のこれからの姿が書かれているが,現実の課題をどう克服し,この到達点に達するかの過程をどこかに表現してほしい。その最大のツールとなるものが最後の市民参加で,市民が具体的な政策決定の過程に参加するシステムについて,かなり具体的にいろんな形で書かれていることは評価できる。

 

庄村委員

  伝統的なものが京都の特色であり,他都市と違うところだということだが,「教育・人づくり」の立場から言えば,21世紀にどれだけ伝統的なものが失われているかを想定して人づくりをしなければ,25年先,50年先には大切な技能や伝統的なものがなくなっているのではないか。それを踏まえたうえで基本構想の中に京都としての特色を強く打ち出し,次世代への基本的考え方を書き込んでいただきたい。

 

佐々委員

  最近見えにくくなってきているが,差別や人権問題についての書き方が弱いように思う。

 

梶田委員

  いちばん大事なのは,21世紀の都市の理想像として京都がどうあるべきか,都市がどうあるべきかを基本に据え,京都の伝統の中でそれにふさわしいものがあれば生かしていくという姿勢ではないか。ある意味で今までの京都の伝統を忘れて,2025年の日本の大都市の理想像を描き,そのうえで京都が培ってきたものの中で取り入れるべきものは取り入れ,捨てるべきものは大胆に捨てる方向を打ち出してほしい。市民参加ということが書かれているが,ちょっとやそっとで動かないところが京都市民のある意味で良き伝統でもあり,市民参加の実現はたいへんなことだと感じた。

 

金井部会長

  本日いただいたご意見は次回の起草委員会で報告したい。

 

(2) テーマ別討論「学校教育」について

金井部会長

  それではテーマ別討論に入りたい。本日のテーマは前回に引き続き「学校教育」とさせていただく。

  現在子供たちの心の荒廃やいじめ,不登校の増加などが社会的問題となり,心の教育の充実が最重要課題となっている。このような状況の中で学校,家庭,地域の三者の連携が重要になる。本日は「子供たちに「生きる力」を育むための学校・家庭・地域の役割」を中心に討論を深めていきたい。

  最初に学校はどうあるべきかから議論を始めたい。学校教育は全国一律の要請・基準を満たすことが求められ,市が独自に講ずることのできる施策には制約がある。その制約下での京都市の取組事項について,前回と若干重複するが,事務局から資料を説明していただく。

 

事務局(崎野教育長)

  教育委員会では諸課題に対応するため,学校・家庭・地域の連携を図り,1人ひとりの子供を大切にした幅広い教育活動を展開している。本市教育の充実には教育委員会が責任を持って取り組んでいるが,教育の機会均等などの観点から国や府が法令等で基準を定めたり,補助金を交付して取組が進められるものも多く,学校教育の改革,充実のためには次の3点から議論する必要がある。

  1点目は,国や京都府において法令等で基準等が定められているもので,教科の種類や時間数,教育内容の大綱など教育課程の基準の設定,1学級当たりの子供数や教職員定数の標準の設定,教職員の勤務条件・給与等については,国や京都府に要望していく必要があり,市としての独自措置は困難である。

  2点目は,国や府からの補助金等の制度を活用して,京都市の独自性を生かして実施するものや,国や府の認可等を得て実施するもので,補助金制度を活用するものとしては,校舎・体育館の建設・改築等,スクールカウンセラーや「心の教室相談員」の配置など,また,認可を得て実施するものとしては,学級編成,育成学級の新設等,高校の通学区域の指定や新学科の設置などがある。これらについては,国や府へ弾力的な運用や補助制度の充実を要望していく必要がある。

  3点目は,教育委員会が独自に創意工夫して実施するもので,例えば,心の教育の充実として,全校で実施している「心をたがやす教育活動」の推進,各種の不登校・いじめ対策,「地域教育専門主事室」の設置など学校・家庭・地域の連携を図る取組の推進,「人づくり21世紀委員会」の設置,全ての中学校区に設置されている地域生徒指導連絡協議会の取組を行っており,また,学習指導の充実として,環境教育としての「こどもエコ・リーダー」や小学校での「英語フロンティアキッズ」を,さらに,教職員の資質・指導力の向上として,永松記念教育センターを夜9時まで開館し,多彩な研修を実施するとともに,情報教育センターでも夜間まで研修を実施し,操作可能・指導教員の比率は全国トップとなっている。

  教育委員会では学校教育の一層の充実を図るため,補助金制度等を最大限活用するとともに,国や府に補助金制度の拡充や基準の改善・緩和等を要望しており,国等では中央教育審議会や教育課程審議会等の答申をもとに新たな時代に対応した教育のあり方が検討されている。本日は現行制度で京都市として独自性を発揮しながら改革できる課題,国の教育制度の根幹にかかわる課題,国や府の補助制度の活用等を図りながら京都市として独自性を発揮することができる課題の3点に分けて,ご意見をいただければありがたいと考えている。

 

金井部会長

  国全体の教育制度の問題と,京都市独自の取組の問題があるので,それを念頭においてご提案いただきたい。

 

庄村委員

  「生きる力」「ゆとり」と言われるが,大人が生きる力やゆとりを持っているのかどうかが出発点だ。昨年の全国PTA大会でもこのことが問題になった。子供たちは大人をよく見ている。今の大人に夢がないのではないか。

  市立の高校から大学への進学状況が良くないという発言が前回あったが,京都の市立高校には銅駝美術工芸高校や音楽高校など特色ある高校もあり,それらを含めて非常に頑張っていると思う。

 

佐々委員

  ものが豊かで過干渉で満ち足りた状況の中では子供の生きる力は育たない。生きる力を育てるためには,過保護な状態から離れて暮らす経験を子供にさせる必要がある。学校教育は学校施設の中でのみ行われるのではない。

  京都市はこれまで,みさきの家や花背山の家など野外教育に独自性を発揮し,成果を上げてきたが,今後は,長期にわたって野外活動を体験し,その中で教科学習もするメニューを考えてはどうか。野外学習先で種まきや収穫といった生産活動を体験させ,自然や社会を体験させる必要がある。

  学習指導要領はだいたい10年ごとに改訂されてきた。昭和33年には道徳教育が,昭和43年には高度成長・技術革新に対応して小学2年生で集合や不等号まで盛り込まれ,昭和53年には「ゆとり」が言われた。国も社会情勢に応じて行ったり来たりしている。

  他方,地方では学習指導要領を守らない自主編成の運動があり,昭和53年に「学習指導要領の留意点」という文書が出て,京都府下の多くで学習指導要領が守られていなかったため指導が行われた。京都市の場合,教師の研究会活動が活発で,それに対する行政の支援もあり,国の基準も守られてきた点は評価できる。

  2004年から新しい学習指導要領がスタートし,「総合学習」で地方独自の教育をやっていくことになるが,あくまで国の基準が守られることが前提だ。京都市の状況から考えれば総合的学習は十分可能で,小学校からの英語学習についても総合学習の中で時間を取れると思う。

  前回の学習指導要領で教育を受けてきた子供が今年大学受験を迎えるが,少子化の中で試験科目が減り,英語の試験がない大学も出てくる。京都市が「世界都市」を理想に掲げるのであれば,外国の人と話せると楽しいということにポイントをおいて,小学校からの英語教育を進めていただきたい。

 

福田委員

  小渕総理が施政方針演説で「他人に優しく,美しいものを美しいとごく自然に感じられる社会,隣人が優しく触れ合う社会を」という表現をしていたが,言葉だけでなく実行する勇気が必要だ。

  例えば,結婚や子育て,家庭が楽しいという思いを多くの若い人たちに知らせていく役割を私たちが果たしていないのではないか。本当にすばらしい人間とは正直な人,思いやりのある人,優しい人だという価値観を持たなけばならないのに,そういう言葉がダサイとかクサイと見られ,現場で教育している人が自信を持ってそれを教えられない。見えない部分だが,そういうことを強く訴えていかなければならない。

  京都市の公立の中学や高校のレベルが低いと言われるが,卒園者の進学状況を調べると,公立高校からもたくさん一流大学に進学している。周辺を見ても大半は公立の中学・高校に進学している。決して京都の公立中学・高校のレベルが低いわけではない。

  幼児教育に携わる立場としては,「心の教育」のところで,言葉だけでなくいかに実践していくか,いかに私たちがまわりの人に語りかけていくかという部分が弱くなっていると感じる。

 

北川龍市委員

  学校教育の重要性は言うまでもないが,教師に問題があるのではないか。卒業式,入学式に参加したとき,国歌斉唱がプログラムにあるのに,生徒は歌わず,音楽の教師も伴奏しないので驚いた。最初から国歌斉唱がプログラムに入っていないならいいが,少なくとも教育する側の教師が決まったことを決まったとおりにやれないようでは困る。

 

西川委員

  「生きる力」と「ゆとり」ということが言われるが,保育の現場から子供を見ていてそれが十分に反映されていないのではないかと感じる。生きる力が具体的に伝わってこない。昨年末に中学生が小遣い欲しさにお婆さんを殺害する事件があったが,他方で「生きる知恵」を育てなければならないのではないか。

  「ゆとり」と言われるが,子供が学校の場でゆとりある生活をしているとは思えない。年末にテレビで紹介されていたが,1人の生徒がトイレに行くと,続いて10人,20人がトイレに行きたがり,教師が1人ずつ行くようにと指導したのでその時間はトイレタイムで終わってしまった。そういうことが現実にある。一方で学校の教師の登校拒否が問題になっているが,疲れていて暗い先生が現場で子供に向かっている。「生きる力」や「ゆとり」が現場に反映されていない。

  教育の現状を見ないで国際化など先のことは考えられない。キレるとかムカつく子供を「パニック・ボーイ」と呼ぶが,人づくりをしていくとき家庭や教師などの人的環境にポイントをおくべきだ。教育委員会から補助制度の説明があったが,ハードや体制面にしか焦点が合っていない。子供にもゆとりが大事だが,それを担う現場の教員にゆとりが必要だ。

  学校のあり方を考える際に幼児期の体験の大切さがうたわれるようになってきたが,今は幼稚園,保育園,小学校の連携が十分でないように思う。今後全市にわたって幼・保・小の連絡会を各地域で持てる体制を行政のほうでつくってほしい。保育園から呼び掛けても小学校とのパイプが結べない場合がある。これなくしては学校教育は考えられない。

 

佐々委員

  幼・保・小の連絡会についてはすでに実施しているところもある。長年教育に携わってきたが,忙しいとこぼす先生がいる学校は問題で,本当にやりがいのある学校の先生は忙しいと言わない。前回40人学級,30人学級という行政上の問題が議論されたようだが,生徒数が少なくなれば子供の日記を毎日読むとか今までできなかったことができる。20人学級と40人学級で中身が変わらないようでは生徒数を減らしても意味がない。学級の活性化を考えると人数が少なすぎるのもよくない。

  1人がトイレに行けば皆が行きたがるのは昔も今も変わらない。その中で子供たちをどう育てるかを考えなければならない。

  幼・保・小の連絡会は大切だが,幼保一元化を試みたとき,保育園の先生に研修時間がなく調整が難しかった。そのあたりにも問題があるのではないか。

 

シュペネマン副部会長

  生産活動や自然体験の重要性の話があったが,学校教育では社会体験も重要だ。例えば,子供を地域へ連れていき,川や道に捨てられたゴミを回収して学校に持って帰ると,面白い教材になる。

  自分が周辺の人にとって必要だという体験,自分を必要とする仲間やクラス,家族や地域があるという体験が必要だ。そういう経験がないと人間は生きられない。以前は子供が家の手伝いをしていたので,学校で失敗しても,他の面で自分は役に立つと思うことができた。今は家で手伝いをする子供は少ない。

  総合的学習が学校で具体的にどういう形でできるかが問題だ。子供はいずれ社会に出るが,言葉だけでなくどこかで社会に出る練習をすべきだ。ゴミを拾って地域をきれいにすることなどは子供にいい経験になる。

 

金井部会長

  「生きる力」を育てるには,自分の存在が誰かの役に立っているという生きている意義を小さい頃から感じさせることが重要だ。学校教育では家庭や地域で補えない部分を教える必要がある。感動や生きているという存在の喜びを教えなければならない。子供たちは収穫の喜びや鳥や虫が生きる姿を通して,自然環境の中でそれを体験する。以前は学校教育がやらなくても,周囲に自然環境が豊かで子供の遊びはすべてそういうものだったが,今はそういう環境ではないので,自然の家などの教育施設がつくられているのだと思う。

  例えば,1ヵ月ほどキャンプで生活して,食べものを得るためにはどれほどの労力が必要かを体験させることが大事だ。自分が皆の役に立っているという実感,人に感謝される体験はとても大切だ。不登校の子供を診ていると,学校にも行かず,家の仕事もせず,ほしいものがあれば親がお金をくれる。自分は誰にも必要とされていない,学校にも家族にも社会にも必要とされていないと訴える子供が多い。

  オランダの障害者のコロニーでは,障害児の世話を障害者の大人がしていた。どんな障害児でも存在していること自体が皆の役に立つ,大人たちも障害児の世話をすることで自分も人の役に立っているという生きがいを感じる。これが人間として生きる意義であり,人権だと思う。自分の存在の意味を教えていくことが生きる力を育てる。子供の頃にゴミ掃除をしてまちが美しくなった,誉められてうれしかったという体験があれば,道にゴミを捨てることを躊躇する大人になる。幼児期から周囲の人に誉めてもらうことが生きる力に結びつくと思う。 

  次に,学校,家庭,地域の連携を深めるためにはどうすればいいかについてご論議いただきたい。

 

梶田委員

  子供の頃,寺の境内を遊び場にして育ったが,今は放課後にそういった場所で遊ぶことは危険なので,入ってはいけないことになっているらしい。何かあったときに親が学校の責任にするのでそうなったのだと思うが,学校教育を変えるにはまず親を教育しなければならない。昔は地域で年齢の違う子供が一緒に遊ぶことで,子供は社会のルールを学んだ。同じ学年の子供としか遊ばなくなってから一連の問題が起こっているように感じる。

  地域と学校と家庭ということでは,まず親の考え方を変えなければならない。今は教師に過度の負担がかかっている。教師も子供も学ぶことが多過ぎる。野外学習にしても,今の教科がそのままならさらに負担がかかる。もっと学ぶ内容を絞ったほうがいい。

  小学校から英語をという意見があったが,皆が英語をしゃべれるようになる必要はなく,英語教育を減らす学校や大学受験に英語のない学校が出てきてもかまわない。むしろ,日本の伝統的な感性教育である書道などを削って英語教育を増やすのは,日本人として間違った方向であると思う。

  何を日本人として基本的に学ばなければならないのか,各人の個性に応じて何を学ぶ意欲を持たせるのかを考えなければならない。技術を学びたい子供は技術を,英語を学びたい子供は英語を学べるような,一人ひとりの個性を伸ばす方向性を打ち出してほしい。

 

水谷委員

  教育の中心は家庭だと思う。学校教育は家庭教育の補助でいい。学級崩壊が問題になっているが,その前に家庭崩壊があるのではないか。百人いれば百人の教育理論があるので,学級崩壊や家庭崩壊の具体的データがほしい。

  我々の子供の頃は軍国主義で,「国のため」というのが子供の生きる力になった。子供の生きる力を考えるとき,一人ひとりの目標も大事だが,全体としての目標を与える必要があるのではないか。  世界文化自由都市を標榜するなら,幼稚園から外国語教育をしてもいい。英語でなくていいから,子供の頃から様々な国の言葉を身につけ,それ以外は何もしないというくらい極端なことを,京都の特徴という意味では考えてはどうか。

  大きな夢や骨太な志をということだが,例えば大学は私立大学が多く,高校は府立高校とその他に市立高校が少しあり,小学校,中学校は公立が圧倒的に多い。ここにメスを入れて,京都市は小学校と中学校をすべて私立に任せて公的補助を行い,特徴ある教育をするという発想の転換を考えてもいいのではないか。親の関心は中学校での「荒れ」にあり,公立中学校に行かせたくないので,小学校から私立に入れる親もいる。

 

庄村委員

  京都市には中学校を主軸とする地域生徒指導連絡協議会があり,その中で様々な取組を行っている。荒れている中学もあるかもしれないが,多くの良い中学生が育っている。

 

永田委員

  この部会はミニ講演会ではないのだから,素人なりにこんなことはできないか,できないならなぜできないのか,子供のために何ができるか,もう少し具体的方策を話し合う場にしたい。子供は子供の時代にしかできないことをすべきで,その権利を持っていると思う。勉強も遊びもそうで,大人が子供に何をさせてやれるか,その「何」について話し合う場に次回はしたい。

 

高月嘉彦委員

  以前教育番組で授業の紹介をしたが,すばらしい先生がたくさんいるのに地域がそれを知らない。地域に学校がどう開かれているかも問題で,我々が学校に行って簡単に授業を参観できるようにはなっていない。そのあたりをシステムとして改善していくべきだ。

  ムカつくとかキレるという言葉があるが,心のいらだちをどう表現していいか分からない子供が多い。今の子供は言葉を知識として持つことには長けているが,その言葉を使って内面をどう表現していくかが分からない。学校教育でパブリック・コミュニケーションに取り組んではどうか。昔はホームルームなど自分を表現する場があったが,そういったものを改めて見直してみてはどうか。

 

佐々委員

  京都市の高校は,国公立より私立の生徒数が多いが,私立高校に対する行政の支援をお願いしたい。

 

金井部会長

  以上で学校教育についての討論を終わりたい。本日は非常に多くの意見をいただいた。次回は3月の開催,テーマとして「子育て支援」を予定している。日程については事務局で調整の後,最も出席率が高い日時に決めたい。

 

 

3 閉 会

 

 

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