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京都市の基本構想・基本計画(資料編)/中間報告/6.21世紀の京都像(試案)

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2001年2月1日

21世紀・京都のグランドビジョン  中間報告  第2部:将来像検討編

(4) 21世紀の京都像(試案) -五つの創造都市-

 

  • 基本的な考え方(まちづくりの目標)
  • 21世紀の京都像「五つの創造都市」
  • 京都像を支える条件

 

基本的な考え方(まちづくりの目標)

◎市民が人間性豊かに暮らせる都市

 21世紀における京都のまちづくりは,これまでの効率性や経済性から,より人間性,精神性に重点を移し,市民一人一人が尊重され,「人間性豊かな生活を実現する」ことが大切と考えました。そのため,都市づくりを「トータル(総合的)な環境づくり」ととらえ,市民にとって不可欠な次の5つの環境をバランス良く実現することが必要と考えました。

   ↓

◎トータル(総合的)な環境づくり

  1. 安全で安心な心身ともに健康で豊かな暮らしを支えるセキュリティ(安全性),コミュニティ(共同性),アメニティ(快適性)に優れ,市民の生活スタイル(様式)に対する選択可能性が高く,自らの能力を向上させる生涯学習の仕組みが用意された,成熟した生活環境の確保
  2. 市民の経済的豊かさを維持し,ソフト,サービスを含めた高品質のものづくりが可能な,バランスの取れた活力ある産業環境の整備
  3. 空気,光,水,緑,各種の生き物など,人間生活の基礎となる豊かな自然環境,地球環境の保全・再生
  4. 都市の記憶としての歴史環境の保全,感性に訴えるヒューマンスケール(人間的尺度,大きさ)のにぎわいと落ち着きのある個性的な町並み環境の創出
  5. 多様な芸術文化に触れ,広く異質なものを受け入れ共存できる文化環境の醸成

 

21世紀の京都像「五つの創造都市」

 基本的な考え方(まちづくりの目標)に基づいて「21世紀の時代潮流」「京都の都市特性」を十分踏まえ,京都が21世紀に目指すべき都市像として,次の五つの創造都市を試案として考えました。
 また,その実現のために長期的展望に立って取り組むべき25項目の政策課題と,その課題達成に向けた従来の延長線上にはない新しい施策のアイデア(例)を,今後の議論,検討の素材として例示的に揚げてみました。

  1. 豊かさ創造都市
  2. 新活力創造都市
  3. 環境創造都市
  4. 新ストック創造都市
  5. 文化創造都市

 

 

(1) 豊かさ創造都市

 市民の誰もが心身ともに豊かに暮らせ,新しい生活スタイルを創造する都市

 

 多様な価値観を持った市民一人一人が,生きがいを持って生活できる都市。人権が尊重され,あらゆる差別がなく,人々が互いに認め合い,思いやりを持ち,安心して子育てができ老後を迎えられる,防災対策の充実した,安全でゆとりをもって住み続けることのできる都市。日常生活に美意識や気配りが浸透した品格のある都市。情報基盤整備が都市生活の利便性・快適性の向上に生かされる都市。公共用地が適正に確保され,土地が都市全体の利益のために合理的に利用される都市。

 

 試案として掲げた「豊かさ創造都市」の実現のために取り組むべき政策課題とその課題達成に向けた従来の延長線上にはない新しい施策アイデアを討議の素材として例示的にあげてみました。

 

1.元気な高齢者の社会参加の促進と高齢化社会に対応した保健・医療・福祉体制の確立(例示)

<新しい施策アイデアの例>

 1.年金受給年齢の引き上げをも視野に入れ,シルバー人材センター等の機能を拡充して,多様な能力を持ち各種の経験を蓄積する高齢者が,置かれた条件に応じて多様な就労のできるメロウ・ソサエティ(円熟社会)の実現

 2.高齢者が所有する資産を福祉,介護に有効利用する方策の確立(リバースモーゲージなど)

 

2.新しい地域ライフスタイル(生活様式)の創造(例示)

 <新しい施策アイデアの例>

 1.介護力向上のためのケア・ボランティアを含む地域共助ネットワークの整備

 2.選択的な「知縁」型コミュニティ形成のための,地域の施設,人材等,地域資源の市民的な有効利用  

 

3.市民主体のまちづくりの支援(例示)

<新しい施策アイデアの例>

 1.市民の地域づくりへのさまざまな具体的提案事業に対する助成制度の創設

 2.多様な分野で市民の活動を支援する市民ぐるみのボランティア基金の創設

 3.企業がボランティア活動を行った従業員と同等の社会貢献を行う「マッチングギフト」の制度化など,企業のボランティアシステム確立の支援

 

4.都心再生を可能にするシステムづくり(例示)

<新しい施策アイデアの例>

 1.高度利用を促進する地域とダウンゾーニング(一定の地域を対象に建築物の指定容積率を下げて開発を規制)手法の導入等を図る地域との明確化と,これに合わせた多様な制度・手法の複合的組合せ活用

 2.町家再生,袋路再生のための法規制緩和や地域の新しいルールづくりと,低未利用町家の有効利用のための支援システム整備(町家情報ネットワーク,改修費助成など)

 3.高齢者・障害者の住宅施策等と連動した多機能商店街再生策の確立

 

5.人と環境にやさしい交通体系の整備(例示)

<新しい施策アイデアの例>

 1.計画的な駐車場整備に合わせた都心部への車の乗入抑制(車両進入制限区域の設定,公共交通機関のみが走行するトランジットモール化,交通の結節点等に整備された駐車場まで自動車で行った後バスや電車に乗り換えるパーク&ライドシステム導入の検討など)

 2.21世紀型の市電の復活

 3.鉄道とバスの中間的な輸送力を持つモノレールなどの新交通システムの導入

 4.歩車分離の人工地盤や地下空間を利用した自動車道の整備

 5.公共交通機関における時間料金制,ロードプライシング(道路の利用に対し賦課金などを課すことにより,道路の最適な利用の誘導を図る)制度の導入

 

6.災害に強く安全で安心な暮らしを守るまちづくり(例示)

<新しい施策アイデアの例>

 1.大規模地震に備えた防災公園,延焼遮断帯等の計画的整備

 2.市民全体をカバーする公的地震保険制度の創設

 3.貯留型幹線や調整池など下水道による雨水対策

 

7.情報基盤を都市生活の利便性,快適性の向上に生かすまちづくり(例示)

<新しい施策アイデアの例>

 1.CATV網の双方向性を活用した緊急通報,在宅医療,介護支援システムの整備

 2.いつでもどこでも誰でもコンピュータ・ネットワークの恩恵を享受できるまちづくり(エブリウェア・コンピューティング)

 

8.新しい時代に即した行政システムへの改善(例示)

<新しい施策アイデアの例>

 1.審議会委員の公募制度の創設

 2.大規模な公共事業等の推進,見直しに関する評価委員会の設置

 3.行政業務の効率性を評価するマーケット・テスティング・システムの導入

 

 

(2) 新活力創造都市

 学術・技術・芸術を生かし新しい産業を生み出す活力ある都市

 

 中小企業でも技術情報のマニュアル化を利用して容易に商品開発・国際取引ができるという時代条件と,学術・技術・芸術など京都の持っているさまざまの特性を生かして,付加価値の高い新しい産業を生み出し発信できる活力ある都市。南部を中心とした京都型の新しいコンセプト(概念,考え)による都市基盤整備により高い発展ポテンシャル(潜在的可能性)をつくり出す都市。さらにその活力を暮らしの充実に生かせる都市。

 

 試案として掲げた「新活力創造都市」の実現のために取り組むべき政策課題とその課題達成に向けた従来の延長線上にはない新しい施策アイデアを討議の素材として例示的にあげてみました。

 

9.ネットワーク型都市づくりと広域連携の推進(例示)

<新しい施策アイデアの例>

 1.地下鉄東西線の延伸・環状化,烏丸線の延伸,高速自動車道等のネットワークの強化

 2.区の権限強化の推進による身近な単位のまちづくり

 3.学研都市との連携方策の確立

 

10.人生を豊かにし,創造性を育む独自の教育・生涯学習システムの整備(例示)

<新しい施策アイデアの例>

 1.教育内容や教育方法の多様化・弾力化による特色ある学校づくりや中高一貫教育をはじめとする学校間接続の改善など子供の個性と創造力を伸ばす学校教育制度への改編

 2.地域に開かれた学校づくりや子供たちの地域社会での活動の場の整備など家庭,地域との役割分担や連携の強化

 3.転職の進展に対応してシティカレッジ(大学等の単位取得が可能な社会人向けの総合的な生涯学習講座),税制・休暇制度の活用などにより個人の自己啓発活動を総合的に支援するシステムの整備

 4.高度な技能をマスター(修得)する人々を大切にするための職人大学の設置,京都マイスター(徒弟)制度の創設

 

11.高度集積地区の計画的整備,南部地域の開発,北部山間地域の振興(例示)

<新しい施策アイデアの例>

 1.戦略的な開発整備地域における計画的な用地先行取得,新しいまちづくり手法の展開(パートナーシップ型まちづくりシステム等)

 2.かつて巨椋池の持っていた親水性を再生したまちづくり(キャナル(運河)シティの整備など)

 3.JR東海道線高架化による南北道路の計画的整備

 4.高度集積地区への行政機関の立地の検討

 

12.世界に通ずる国際交流拠点を目指す開放的都市圏づくり(例示)

<新しい施策アイデアの例>

 1.航空ネットワーク拠点へのアクセス(連結)条件の改善

 2.日本海国土軸につながる北陸新幹線や,学研都市との連携を含めた中央新幹線(リニア)と京都とのアクセス(連結手段)の整備

 

13.商工都市・京都の「匠」(しょう)「巧」(こう)の高度化と新しいリーディング(先導)産業を創出するシステムづくり(例示

<新しい施策アイデアの例>

 1.規格品でないものづくりに日本の伝統の心豊かなソフト,サービスを結びつける京都型生活文化産業の創出

 2.ベンチャービジネスを総合的に支援する機関の設立

 

14.新しい時代の観光・コンベンション(国際会議)の振興(例示)

<新しい施策アイデアの例>

 1.姉妹都市を初めとした諸外国を紹介し,京都との交流の歴史を記した都市交流博物館の整備

 2.外国語の話せる市民を「市民通訳ボランティア」として登録,外国人観光客に紹介するなど,外国人観光客に対するもてなしの向上

 3.オリンピックなど国際的イベントを契機とした大阪・神戸等との観光周遊連携

 4.アジアからの観光客に的をしぼった京都の旅メニューの開発

 

 

(3) 環境創造都市

 地球環境の保全・管理に先導的な役割を果たす循環型・環境共生型都市

 

 生活や産業による環境負荷をできるだけ抑え,ゼロ・エミッション(廃棄物ゼロ)を目指して環境保全・管理に先進的に取り組む都市。開発に伴う緑の量の減少等の環境悪化を補てんするミティゲーション(緩和)システムを導入する都市。住宅,交通などの分野で先導的な環境共生施策を打ち出し,地球規模の環境保全問題にも積極的な役割を果たす都市。資源,エネルギーの使用をできるだけ抑え,その効率を高める資源・エネルギー循環都市。

 

 試案として掲げた「環境創造都市」の実現のために取り組むべき政策課題とその課題達成に向けた従来の延長線上にはない新しい施策アイデアを討議の素材として例示的にあげてみました。

 

15.環境倫理が根付き,環境負荷を制御できる都市戦略の確立(例示)

<新しい施策アイデアの例>

 1.CO2 排出量に応じ環境保全コスト(費用)を負担する税制の導入(またはCO2削減量に応じた公的助成の導入)

 2.「京のアジェンダ21」(地球の環境や開発についての21世紀に向けた行動計画)に基づく環境にやさしい製品の購入や調達などを内容とする行動計画の策定とこうした取組の段階的強化

 3.消費依存社会からの脱却を先導・実践し,世界に京都をアピールするための環境京都賞「エコ・プライズ」の創設

 

16.環境共生型都市づくり(例示)

<新しい施策アイデアの例>

 1.緑の総量を減らさない開発等により環境への負荷を緩和するミティゲーション原則の確立と防災機能を備えた親水空間,ビオトープ空間(野生生物の生息空間)の創出,都市施設の緑化の推進

 2.太陽光等自然エネルギーの活用,ごみ焼却に伴う廃熱・余熱等未利用エネルギーの有効利用,住宅の断熱化促進等による省エネ促進,雨水や下水処理水の有効利用

 3.廃棄物のリサイクルによるゼロ・エミッション(廃棄物ゼロ)を進めるエコシティ(環境共生都市)・プログラムの策定

 4.環境共生型住宅(団地)モデルと環境負荷の少ない新交通システム等を組み合わせた実験的都市開発の展開

 

17.環境保全関連産業の創出・育成(例示)

<新しい施策アイデアの例>

 1.ゼロ・エミッション(廃棄物ゼロ)を目指した循環型産業の創出・育成

 2.世界的な環境産業技術研究コンソーシアム(連合体)の形成

 3.環境技術に関する国際協力事業の推進(地方版ODA(Official Development Assistance))

 

 

(4) 新ストック創造都市

 有形無形の都市資源を再生・創出し新しい都市創造のために使いこなす都市

 

 神社仏閣,仏像や絵巻物など有形の文化財や,工芸技術・祭り・芸能など無形の文化財,三山の緑豊かな自然や,市内中心部に集積する町家・赤レンガ建築などの景観資源,あらゆる知識分野を網羅した38の大学,優れた技術力を蓄積する企業群,市民の中に蓄積されている鑑識力,感性,デザインセンス,独特の伝統的な暮らしぶり,生活文化など,京都が持っているあらゆる都市資源(ストック)の間の活発な交流を促し,それらを現代に再生させるとともに,後世に残る新たな都市資源(ストック)をつくり出し,特別の輝きを放つ都市。それらを有効に活用し,人々にやすらぎと癒(いや)しを提供していく都市。

 

 試案として掲げた「新ストック創造都市」の実現のために取り組むべき政策課題とその課題達成に向けた従来の延長線上にはない新しい施策アイデアを討議の素材として例示的にあげてみました。

 

18.学術・文化等の交流を図る拠点づくり(例示)

<新しい施策アイデアの例>

 1.遊び・社交等のゆとり機能を合わせ持った,京都的な新しい文化・学術交流の世界的拠点「センター・オブ・エクセレンス」(世界に卓越した拠点)の整備

 2.将来の学界をリードする世界の若手研究者の支援システムの整備

 3.高水準の文化・学術情報等を世界に戦略的に発信するための体制づくり(質の高い情報誌の発行,京都ブランドの出版社の育成など)

 

19.景観に配慮した質の高い都市空間の整備(例示)

<新しい施策アイデアの例>

 1.ビルのスカイライン(空に接する輪郭線)や形態等の調和を図る「キャップ(帽子,頂点)・ビューティフル(美化)運動」の推進

 2.高層建築物や大規模建造物を京都にふさわしい優れたデザインに誘導するデザイン・アドバイザー(助言者,顧問)制度の確立

 3.京都独自のまちづくり手法の確立,とりわけ木造街区制の導入

 

20.「癒(いや)し」の文化資源の活用(例示)

<新しい施策アイデアの例>

 1.法話,講話情報など宗教文化情報,桜だより,菖蒲(しょうぶ)だよりなど季節情報発信機能の充実

 2.宗教文化に関する博物館の設置

 

21.イベント等によるにぎわいのある都市づくり(例示)

<新しい施策アイデアの例>

 1.イベント等の担い手を市民はもとより,京都をよくしたいと考える内外の京都ファンから公募する制度の創設

 2.御池通などでの遊びの要素を取り入れた「アミューズメント・コリドール(楽遊回廊)」づくり(ライトアップ(夜間照明による演出)やフラワーポットによる演出,フリーマーケット(のみの市)や大道芸の催しなど)

 

 

(5) 文化創造都市

 世界の文化が集い影響を与えあう,世界に固有の意味を持った文化都市

 

 世界中の人々に開かれ,相互の交流を促進する都市。世界の文化の多様性を認め,異文化を受け入れる都市。多様な文化が共存・交流し,切磋琢磨(せっさたくま)する中で新しい文化を創造する都市。国際的なイベントやコンベンション(会議),顕彰事業などを通じ,世界に文化を発信する都市。

 

 試案として掲げた「文化創造都市」の実現のために取り組むべき政策課題とその課題達成に向けた従来の延長線上にはない新しい施策アイデアを討議の素材として例示的にあげてみました。

 

22.市民レベルの文化振興(例示

<新しい施策アイデアの例>

 1.文化活動を行っている市民が一堂に会する「市民文化祭」の開催

 2.芸術文化活性化のため,行政を仲介役として若手芸術家,支援企業双方が互いの「顔が見える」関係を築く芸術パトロネージュ(後援)協議会の設置

 

23.トップクラスの芸術家の育つ環境づくり(例示)

<新しい施策アイデアの例>

 1.単なる宿泊施設の提供ではなく,京都の若手芸術家との交流や発表機会の提供などの機能を合わせ持つアーティスト・イン・レジデンス制度の整備

 2.芸術系大学の機能強化や連続ワークショップ(参加者の自主的活動方式の講習会)の開催を通じた舞台芸術,映像芸術など新しい芸術分野における人材育成システムの整備。京都に内外から芸術家を集め,国際的なひのき舞台に送り出すための支援

 3.「目利き都市」にふさわしく,世界的芸術コンクール入賞者を集めて再審査・再評価するコンテストなどで構成される国際的な芸術文化フェスティバルの開催

 

24.日本文化の発信基地・京都の創造(例示)

<新しい施策アイデアの例>

 1.世界遺産登録文化財とその周辺景観・環境を維持・管理していくシステムの構築

 2.京都の歴史的記憶や文化遺産情報のデジタル化による国際的発信

 

25.京都独自の国際政策の樹立,展開(例示)

<新しい施策アイデアの例>

 1.国連関係機関などの国際機関の誘致

 

京都像を支える条件

 21世紀の京都像「五つの創造都市」(試案)を実現するためには,できる限り市民の皆さんに近いところで物事が発想・決定され,市民の皆さんが創造的な活力を発揮し,生き生きと伸びやかに活動できる仕組みやまちの構造が必要だと考えました。
 それは,第一に,都市に住む人々が市民としての自覚を持って市民参加を行い,これを受けとめる主体としての自治体が真の意味の市民共同体として機能すること(市民参加による市民自治),第二に,都市が階層的な一極集中型の構造ではなく,相互のネットワークにより比較的小さな単位での自立性を高めつつ,分散型に配置された構造を持つこと(コンパクトなネットワーク型都市づくり)であり,この2つを推進することが21世紀の京都像を支える条件だと考えました。

  • 市民参加による市民自治の推進
  • コンパクトなネットワーク型都市づくりの推進

 

市民参加による市民自治の推進

 まちづくりの主役は市民であり,市民は市長や議員の選挙を行うだけでなく,自ら自治体の動きに関心を持ち,様々な活動や意思決定に参画することによって,京都のまちづくりについての自己決定権を持つ。
 一方行政はこうした主権者たる市民により選出された市長と議員の議論を経て決定された事項についてその執行を負託されており,市民のために政策を立案し,都市づくりを先導する担い手としての役割を持っている。
 こうした両者の基本的な関係の中で,市民が主体となったまちづくりを実現するためには,市民がお互いの価値観の違いを認め合いながら,なお協働によらなくては自分たちの生活が成り立たないことを認識することが必要である。その上で市民は,地域づくりに積極的に参画し責任を持つという意味で自らの役割を自覚する一方,行政には,その市民との協働を基礎に,市民の生活を豊かにし,地域を魅力あるものとするために,市民共同体を総合的に運営する仕組みと能力を備えることが必要となる。
 そして両者の良好な協力関係を築くため,市民は市政に対する要望主体にとどまることなく,また市政に対する受身の姿勢を脱し,自ら責任を持って地域づくりに参画する,主体性の発現が求められる。
 一方,行政には,地域を愛し地域のために仕事をする職員の意識改革を強力に推進するとともに,住民に身近な問題はできる限り身近な自治体が担っていく必要があるとの視点から,市から区への権限移譲を含めた地方分権の実現に努めたうえ,市民参画のシステムの整備,行政情報の公開,行政手続の透明性の確保により,多くの市民に信頼され,一層「開かれた」市政の実現に努力していくことが求められる。
 グランドビジョンには,こうした市民参加による市民自治の推進を明確に位置づけていくことが必要であり,このグランドビジョン策定過程そのものを,そうした市民と行政の関係を築く大きな契機とすることで,グランドビジョンも初めて市民の「共同作品」となるのである。
 なお,市民には,広い意味では個人のほかに団体や企業が含まれる。都市を構成しているこれらの多くの異なる主体と行政が,それぞれの特性を生かしながら,対等な立場に立つパートナー(仲間,相棒)としてけじめをつけつつ協働することが求められる。


 

コンパクトなネットワーク型都市づくりの推進

 京都の都心部一極集中型の都市構造をこのまま放置することは,土地利用の偏在,交通渋滞などのアンバランス(不均衡)をさらに拡大させる可能性が高く,五つの創造都市の実現につなげていくうえで相当大きな制約になるものと考えられる。
 そこで,核となる拠点的商業施設や公共施設の分散的配置が進み,情報化の進展と交通ネットワーク整備,特に地下鉄東西線の開通による拠点地域における再開発とセットになった環状型の都市づくりが動きだしているという成果の上に, 例えば人口10~30万人程度の都市が多数存在し,それぞれが日常生活圏としての自立性が高く,京都を代表する多彩で個性的な機能を持つ,コンパクト(小型で高密度)な分都市型の都市づくりを行っていく必要がある。これによって都市内の多くの個所に特色ある機能を持つ中心ができ,分都市が相互に交通・情報手段で結ばれた,水平ネットワーク型の都市構造を目指すものである。
 このような都市のあり方こそ,市民にとっては身近に自らのまち・地域のことを自由に生き生きと考える市民参加の気運を醸成することとなる一方,行政にとっては日々の市民の姿が見え,より市民の目線に立った市政運営を促進することとなる。また,災害に対する脆弱性を克服し,ヒューマンスケール(人間的尺度,大きさ)の各種機能がバランスよく配置され,自動車交通に過度に依存しない公共交通優先の交通体系を実現して,自然環境との共存が可能で,環境負荷が小さい,トータル(総合的)な意味での環境づくりが進み,人々の人間性豊かな暮らしを保障する基盤となるのである。
 さらに,京都近郊の諸都市の自立化が進む中で,京都と近郊都市との関係も,これまでの階層的な結合関係から,相互交流型の水平ネットワークによる都市圏構造に変わりつつある。こうした動向の中で,リーディング(先導)都市としての京都市の都市特性を明確にしつつ,新しいタイプの京都都市圏を構築することが必要となる。
 それに加え,五つの創造都市を実現していくためには,この水平ネットワーク型の都市構造が,新たな都市活力の創造を促し,都市ストックの健全な更新,蓄積に生かされるとともに,更新,蓄積された都市ストックがさらに次の新たな都市活力を創出するという,活力循環とも言うべき仕組みを内在し,その動きを顕在化できる仕組みを備えていることが必要である。このような視点から,現在の「新京都市基本計画」に示される「自然・歴史的景観保全地域」「都心再生地域」「新しい都市機能集積地域」の位置づけを再検討し,21世紀のグランドビジョンにふさわしい新たな意味づけを行っていくべきである。

 

 

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