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京都市の基本構想・基本計画(資料編)/京都市基本構想等審議会/第10回 文化・観光・産業部会

ページ番号35871

2001年2月1日

21世紀・京都のグランドビジョン 京都市基本構想等審議会 記録/第10回 文化・観光・産業部会

日 時 : 平成12年6月12日(月) 午後2時~4時

 

場 所 : 京都ロイヤルホテル「青雲」

 

議 事 :

(1) テーマ別討論「文化」について     

(2) その他

 

出席者 : 

内田 昌一(京都市中央卸売市場協会会長) 

竹村 寿子(市民公募委員) 

中村 弘子(千家十職塗師十二代中村宗哲)

○橋爪 紳也(伏見区基本計画策定懇談会座長,大阪市立大学文学部助教授) 

堀場  厚((株)堀場製作所代表取締役社長) 

三谷  章(市民公募委員) 

森谷 尅久(東山区基本計画策定懇談会座長,武庫川女子大学生活環境学部教授)

◎吉田 和男(京都大学大学院経済学研究科教授) 

高木 壽一(京都市副市長)                               

 

以上9名

◎…部会長     (50音順/敬称略)

○…副部会長

 

 

1 開 会

吉田部会長

  第10回「文化・観光・産業」部会を開会させていただく。

  議論に入る前に,今回初めてご出席の高木委員から自己紹介をお願いしたい。

 

高木委員

  この4月に副市長に就任した。引き続き本審議会を担当することになったので,よろしくお願いしたい。

 

 

2 議 事

(1) テーマ別討論「文化」について

吉田部会長

  本日は基本計画の素案づくりに向けたテーマ別の議論の最終回となるので,よろしくお願いしたい。

  最初に,本日のテーマについて資料説明をしていただく。

 

文化市民局(竹井文化部長)

  ――(資料「基本計画検討資料「文化」」に基づき説明)――

 

吉田部会長

  どのあたりまでを文化とするのか。資料でこれまでの取組を見ると,史跡,芸能,音楽,映画,地域文化,美術,動物園などが挙がっている。基本構想の議論でも京都は資産は多いがあまり活用されていないという意見があったが,使い方についても議論していただきたい。ここには挙がっていないが茶道や華道,香道などもある。それ以外にも産業とどの程度の接点があるか分からないが工芸関係,和歌や俳句などの文学も重要ではないか。そうしたものをどう掘り起こし,豊かで華やぎのある文化をつくっていくか,京都としての文化を観光や産業にどう生かしていくかが課題となる。

 

橋爪副部会長

  「京都文化(財)の保護とその活用」とあるが,近年は文化庁の天然記念物の扱いでも展示施設を整備するための補助事業があるなど,保護しながら活用する方向性が出てきている。従来のように保護は保護,活用は活用で別々に事業化するのでなく,京都においても保護と活用をうまく組み合わせた新しい活用のあり方を提示してほしい。政策の検討項目の例示にある「大学等諸機関との連携のあり方」や「産業・観光・文化の連携のあり方」が非常に大事で,従来の保護と活用の考え方を超えた新しい施策が,他の要素や他の機関との連携の中で生み出されてくるべきではないか。大学等諸機関との連携ということでは,企業ミュージアムや市民団体,NPOとの連携が考えられるし,文化や観光を取り入れた新しい大型商業施設があってもいい。

  今後動物園や美術館などの施設を今の時代に合うように整備し直していく際に,例えば動物園にしても従来のような社会教育や学校教育にかかわる場としてだけでなく,観光や産業振興,コンベンションなどとかかわるようなあり方を提案できるかもしれない。また,各区で整備されている地域文化会館にも,観光や産業振興の考え方を取り入れてほしい。前回京都にはコンベンション施設が少ないという話があったが,広い意味では文化施設もコンベンション施設である。ところが,京都には文化の場としても世界から多くの人を集める施設が十分あるとは言えない。

  全国的にもハードはできたがソフトの施策が追いつかないと言われているが,地域文化会館等で自由な企画ができるように人を配置したり予算をつけることを考えてはどうか。地域文化会館が右京区にできるが,今後も整備していく予定なのか。

 

文化市民局(竹井文化部長)

  地域文化会館は東西南北に地域割りをして整備しており,今回の右京区の文化会館で整備は完了する。

 

森谷委員

  岡崎から動物園を移転することが,いろいろな施設の問題を解決する糸口になるのではないか。20年くらい前にも動物園を南に移転する話があったが,動物園のある場所は歴史的な地域でもあり,跡地に歴史博物館やほかの施設を建設することも考えてはどうか。難しいかもしれないが,動物園の移転が実現できればいろいろな可能性が出てくる。岡崎地区の文化公園としてのイメージも一新される。

 

吉田部会長

  岡崎文化ゾーン構想ということか。動物園も必要で,子どもが電車で行けるところにあるほうがいいと思うが,今の動物園は規模も小さく,中途半端だ。

 

中村委員

  動物園のあり方は変わってきている。

 

森谷委員

  南部地域に広い土地を確保し,新しい動物園をつくるべきだ。動物園以外に南部には大人の遊べるような施設も必要だと思う。今の動物園はどの程度の広さがあるのか。

 

文化市民局(中野局長)

  動物園については以前から山間地や南部に移転してはどうかというご意見があったが,財政的に考えても移転は難しい。面積は3万8千m2で他都市の動物園と比較すると広いとは言えないが,東山連峰や疏水など岡崎公園のロケーションを生かしながら,飼育動物についても特色を持たせて現在地で存続していきたいと考えている。

 

吉田部会長

  動物を檻に入れて見世物にするのは古い考え方で,今は檻に入れず,目線の中に入るよう設計するのが世界の方向だ。そのためにはもっと広くなければならない。現在のものは動物園としての機能も低く,あのままでいいわけではない。今回の計画の中で検討を始めるかどうかもポイントになる。

 

森谷委員

  動物園の移転が進めば歴史博物館の用地が確保できる。岡崎一帯には市立美術館や疏水資料館があり,改装中の府立図書館,それに京都会館もある。岡崎全体を充実した文化ゾーンにする突破口になる。動物園としては狭い土地でも別の施設にとっては広い土地であり,いろいろな施設ができていくのではないか。地下鉄が開通して交通も便利になり,近辺には有名な観光地も多い。そのくらいの大胆な発想をしないと歴史博物館の建設は難しい。

 

三谷委員

  現在は動物園のあり方が変わってきている。シンガポールのナイト・サファリでは,夜行性動物をトロッコに乗ったり歩いたりして見ることができる。24時間体制の動物園を考えても面白い。50年,100年先を見込んで中に何を盛り込むかを考えるべきだ。

 

橋爪副部会長

  シンガポールのナイト・サファリは夜間のフライトに乗る観光客向けのアトラクションとして考え出されたものだが,今は観光客だけでなく地元の人も楽しんでいる。観光や産業振興の考え方を取り入れることで,文化施設の中身は相当変わってくる。動物園についてももっと観光面から考えてもいいのではないか。その際,行政が施設の建設・運営管理を全て抱え込むのでなく,企業との連携やPFIの手法を取り入れるなど民間との連携を考えなければならない。美術館のリニューアルや新たな博物館の建設でも企業等との連携が大事になってくる。岡崎という地域を今後どう考えていくかも今後10年の課題ではないか。

 

吉田部会長

  宝塚の動物園は民営だ。南部地域の開発でテーマパークの建設が常に話題になるが,市が全てをやるのでなければ財政はネックにならない。

 

堀場委員

  保護するものと発信するものを分けて考えるべきだ。施策が体系立てられていないため,アクティビィティが上がっていない。チャートを作成すべきではないか。文化的な企画を持っていこうとしても,他都市と比べて京都は非常に反応が冷たいと東京の人に言われるが,京都には文化を発信し醸成する空気がないのではないか。

  岡崎にハコモノが次々できているが,どうして国立近代美術館のようなデザインのものが中途半端なサイズでできてしまうのか。エリア全体に対して市が総合的なデザイン指針を持って対応していく必要がある。

 

吉田部会長

 文化は世代継承が大事で,次の世代を刺激して新しいものをつくらせる視点を明確に出すべきだ。

 

堀場委員

 行政のすることと民間のすることをきちんと整理すべきだ。民間のビジネスセンスのある人にコーディネートさせないとできないものは多い。シンガポールなどはセンスのある人を世界から連れてきているが,京都でもアウトソーシングが必要だ。京都の人間だけでいくらディスカッションしても,閉塞感は打ち破れない。

 

中村委員

  京都から東京に行って文化的活動をしている人は多い。そういう人がまた京都に新しい文化を持ってきてくれるようにする施策は考えられないのか。これは地域的交流だが,世代的交流では,修学旅行生が全国から京都に来ているが,京都の学生は京都のことを知らない。若い人にも積極的に京都を知る機会を与えるべきだ。また,学校教育機関と連携して子どもたちが生まれ育っているところの文化に目を開くようにしてほしい。

  例えば千本通の周辺には文化資源がたくさんあるが,観光の光が当たっていない。表示がないので歩いても通り名や町名が分からない。歴史のまち,文化のまちとして,京都らしい道しるべを完備し,京都市全体を博物館にしてほしい。

 

吉田部会長

  ウィーンではフンデルト・ヴァッサーのゴミ焼却場が美術品になっているし,フィレンツェは道路も芸術品だが,京都でも都市そのものが文化だという認識を持った計画ができればいい。

 

内田委員

  岡崎の動物園については新しい動物園に徹底的につくりかえる必要があるが,現在地でのリニューアルには無理があるので,南のほうに移転するしかないのではないか。

  文化や観光と社寺仏閣との関連は深い。古都税の話はなくなったようだが,社寺に何らかの協力をしてもらう方法はないのか。お金をどこから調達してくるかを考えなければならない。商工会議所もトータルでは大きな寄付をしているし,企業はメセナで文化に何%出すということをしている。何らかの税法上の措置があれば,個人からの寄付も出てくるはずだ。

  京都には有名な祭があるが,静かな祭ばかりで見ていて飽きてしまう。鳴り物を入れると馬が暴れるということらしいが,祭のやり方も今の時代に合ったものに変えていかないと,観光客も集まらないのではないか。

 

吉田部会長

  京都は社寺にもっと協力してもらうべきだ。財団法人をつくって金を徴収し,それを保存費用に当てればいい。癒しの文化は仏教会に主体となってもらわなければならないわけだが,今回の基本構想は京都市民が主語になっており,市民から仏教会に対してやってくださいと呼びかけてもいいのではないか。

 

高木委員

  仏教会に限定せず,京都市の文化,観光で寺院が果たす役割はこのようであってほしいということをご提言いただければありがたい。

  動物園については,南部のサイエンスタウン構想の中核施設としてはどうかという話があったが,その後中断している。市が多額の費用をかけて動物園を移転することには賛成しかねる。公設で新しく動物園をつくろうとしても受け入れてくれるところがないと思う。民間にやっていただくほうが事業としては成功するのではないか。動物愛護団体など動物園そのものに対する否定的な意見もあり,京都市に動物園が必要かどうかも含めてご議論いただきたい。

 

竹村委員

  動物に触れられるので子供たちに人気がある動物園の「ふれあい広場」は,ボランティアが運営に当たっているが,それと同じように行政が文化ボランティアなどのコーディネートをしてほしい。カルチャー教室などの発表会を市がコーディネートする,大学の先生や伝統工芸家等の専門家の話を聞く機会を設けるなど,市民の文化に対する関心や力量を高めることも大事だ。

  また,マンガは若い人の生活に溶け込んでおり,精華大学にマンガ学科ができたが,こういった新しい文化を育てていくことも大事ではないか。

 

三谷委員

  先日寂光院で火災があったが,防災も重要だ。赤外線探知機をつけていながら電源を切っていたということだが,消防の指導の仕方が十分でないとどんな装置をつけても意味がない。

  市立芸大を拡張するようだが,少子化問題との関連はどう考えているのか。

 

総務局(中野総務部長)

  市立芸大の質を高めるために後期博士課程を新設したが,一般学生の定員を増やす考えはない。日本伝統音楽研究センターも教育機関ではなく,伝統音楽に関する資料を収集し,学問的に位置付ける専門家のための研究機関であり,学生数を増やす計画はない。

 

中村委員

  市立芸大は最先端の芸術のウエイトが高く,伝統的なものが希薄な教育機関であり,伝統的工芸技術の継承はまちの工芸家が担っている。市立芸大で美術工芸についての技術的な教育をしてほしい。

 

吉田部会長

  大学と現場の役割分担を明確にすべきということだが,市立芸大も伝統技術を継承するための役割を担ってもらわなければならない。

 

中村委員

  以前は古いものをそのまま摸作・復元するような教育が美術学部でも行われていたが、今は絵画ではあるかもしれないが工芸では全くないと思う。

 

森谷委員

  東京芸大には邦楽科があるのに京都の芸大にはなく,今後つくる予定もないのは非常に残念だ。

 

吉田部会長

  鼓などそれぞれ家元があるので,そことリンクさせるセンターをつくってはどうか。

 

三谷委員

  日本伝統音楽研究センターは何をするのか。

 

総務局(中野総務部長)

  日本伝統音楽研究センターは専任教授,助教授,専任講師各2名の体制でこの4月に発足したばかりで,今後中身も含め方向性を出していきたいと考えている。

 

吉田部会長

  文化には将来の存続が危ぶまれるものが多い。映画でも「ちゃんばら映画」などは保存の対象になるかもしれない。茶道なども長期的にはどうなっていくか分からない。祇園のお茶屋文化も経営システムが変わるとどうなるのか。

 

三谷委員

  家元制度がしっかりしているところはいい。

 

中村委員  茶道は明治維新で壊滅的打撃を受けたが,家元が民間の力で復活させた経緯がある。

 

吉田部会長

  公的な援助で保存しようとしても成功しない。民間で保存する努力をしているところを公的にどうサポートするかに尽きるのではないか。

 

森谷委員

  自助がなくなると自立性がなくなる。これをしたらこういう援助をするというのではなく,どこかでやっていることに対して後追いで援助するほうがいい。

 

橋爪副部会長

  一般市民が文化に親しむという意味での市民向け施策と,世界に通用する人材を育成する,京都独自の文化を守っていくという意味での施策とに大きく分かれると思う。後者については文化の産業化や観光に力を入れるという観点から見直すべきだ。京都は都市全体が古いものを残しているだけでなく新しい文化も生んでいるフィールド・ミュージアムであるという考え方から,従来と違う文化施策を提示してほしい。

  文化行政にかかわる財源の確保の仕方についての新しい提案はないか。熱海などでは宿泊税を導入し観光振興に使おうとしている。世界のツーリスト・シティの中にはベッド・タックスの一定割合を観光だけでなく文化施策やコンベンション・ビューローにまわしているところがある。シンガポールは政府観光局というエージェントが数百人のスタッフで年間百億円の独自予算を持ってPRや文化施策支援をしている。ばらまきの文化施策ではなく,熱意を持った人を支援する形の文化行政に対する新しい財源の確保も検討すべきだ。

  また,期間限定で消滅しそうなものを保護する施策があっていいのではないか。例えば伏見の酒蔵は危機的状況で,表通りに面したところは景観施策等で残るが,敷地内の酒蔵がどんどんつぶれている。保存して活用する支援策がないからで,今手を打たないと壊滅するような文化に対しては期間限定で支援する施策があってもいいのではないか。

 

吉田部会長

  そういう意味では室町も心配だ。あんな状態で祇園祭を維持できるのか。保存コストをだれが払うのかも問題だ。

 

内田委員

  文化というと京都の場合過去の話になるが,まちかどの芸能を考えなくていいのか。土日の原宿に行くと若い人たちのたいへんな人出で,あの中から新しい文化が生まれてくるかもしれないと思う。京都にもああいうところがあってもいいのではないか。

 

橋爪副部会長

  京都はかつて若者文化のメッカと言われていた。60年代はフォークソングの,70年代は学生演劇のメッカだった。京都である程度成功した人は東京に行ってしまい,本来根拠地であった京都がうつろになっている。今の学生は京都がかつて若者文化が栄えたところだという認識もなく,自分たちが京都で何か生み出そうという気概もない。精華大学のマンガ学科や造形大の歌舞伎劇場などむしろ大学のほうが危機感を持って,新しい文化をつくろうとしている。戦後は数年盛り上がってもすぐ引いていく傾向があり,従来と違う文化を生むだけの場所と魅力が京都に持続的にあるのか疑問だ。

 

竹村委員

  伝統的文化や知識を若い人向けにコンピュータ・グラフィックスやマンガを使って発信してはどうか。伝統をそのまま見せるのも1つの方法だが,表現の仕方を変えて若者が入りやすくすることも大事ではないか。

 

森谷委員

  この部会で議論すべきかどうか分からないが,現在の京都の「巷(ちまた)の文化」がどうなっているのかも視野に入れておく必要があるのではないか。神戸や大阪に比べると京都には巷の文化の吸引力がなく,そのことが若者文化を弱めているという一面もあるのではないか。

 

吉田部会長

  若者に元気のないまちは最悪で,お年寄りを大切にするのは若者が元気であることが前提でなければならない。巷の文化があるかどうかさえ分からないというのでは困る。活力ある巷の文化がなければ次の時代の文化は生まれない。例えば鴨川の河原で遊んではいけないという規制があるためにそういう文化が起こらないということであれば,その規制を考え直さなければならない。

 

文化市民局(中野局長)

  芸術センターでは一般公募で選ばれた演劇や音楽,造形,舞踏など各分野の若手アーチストに最長3ヶ月間制作室を無料で貸与し,その後市民に発表してもらうという事業を始めた。専門分野の音楽や芸術だけでなく,市民の伝えてきた生活文化を含めて今後内容を充実していきたい。

 

中村委員

  「芸術祭典・京」をもっと開放的にして,若い人が思い切り参加できるようにしてはどうか。京都駅前にシアター1200の入場待ちの仮装行列のような姿の若者が集まっていたが,あのような若者が集まる機会がもっとあれば面白い。

 

三谷委員

  大学が市外に出ていったことも若者文化の衰退に影響している。

 

橋爪副部会長

  従来の学生街が消滅しつつあるが,代わりに学生たちは伏見や山科など別の拠点を持ち始めている。まだ新しい文化を生み出すには至っていないが,従来の大学近辺の学生街ではなく,別の場所に若者の集まる場所を考えていくことも大事ではないか。

  京都まつりや芸術祭典などが若者の力を引き出す機会として催されているが,何かの分野において日本や世界で注目されるようになっていない。60年代のフォークソング,70年代のグループサウンズのように,ある分野において京都が憧れの場所であった時代があるが,この20年間京都は新しい文化芸能のメッカになり得ていない。だからこそ,才能がある人ほど京都で芽が出れば東京に活動の場所を求めるようになっている。芸術センターが何かの分野のメッカになるのであればいいが,ただいろんな分野の人がいろいろやっているだけでは注目はされない。

 

堀場委員

  私の会社は「クラブ・フェイム」という若者雑誌にスポンサーとなって学生の環境関連のマンガを掲載している。COP3のときにそのマンガで環境関連の展示をする企画があり,今はそれが国連本部のロビーで展示されている。京都には企画力や発信力がある若者が集まっている。ちょっとした支援で国際的に注目されるということは,カルチャーを育てていくうえで大事だ。産業も同じで,大学をもっと大切にすべきだ。シーズを大切にするという基本をはずしてはいけない。

 

吉田部会長

  これからはインターネット時代だが,インターネットで文化発信をしている人のスポンサー料はたいした金額ではない。何か面白いことをしている人のスポンサーになる必要がある。

 

高木委員

  基本構想は主語が「わたしたち京都市民は」となっている。基本構想を受けての基本計画であり,市民が保存したいと願う京都文化は何か,市民が味わいたい文化は何か,市民が活動する機会,発表する機会をどう確保していくかというように,文化を議論する場合も市民の視点からいくつかの見方がある。それぞれ市民がこうあってほしいと願う文化とは何かを掘り下げて議論して計画に反映してほしい。例えば,祭りにしても土日に開催すれば市民ももっと参加できるのではないかというように,市民の観点からどうあればいいかを議論していただき,提案していただきたい。

 

吉田部会長

  常に使っていないと,保存されているだけでは文化ではなくなってしまう。使うことを前提にして保護しなければならない。東京では雅楽や狂言の分野でスターが出ているが,京都でも家元などにもっと頑張ってもらいたい。

 

中村委員

  上京区の区民茶会には一般の人が参加しているが,二条城の市民茶会は茶人ばかりで一般市民はほとんど行かない。二条城での茶会は家元のお膝元の茶会なので新しい試みはしにくいところがある。非常にいい会場なので,市の主催で市民茶会を開催してはどうか。また,二条城で京響のコンサートなどをしてはどうか。

 

吉田部会長

  そのためには管理が大変なので,ボランティア団体を組織したり,パートナーシップで市民との協力体制をつくっていかなければならない。

 

森谷委員

  明治期に椅子席のお手前が考え出されたが,破天荒なことを専門家がうまくアレンジすればいい。

 

三谷委員

  今年は年末にも五山の送り火をするそうだが,費用もかかり,作業もたいへんだと思う。嵯峨には嵯峨祭という無形文化財があるが,鉾や神輿の担ぎ手がなく,神輿などは城陽市から専門の担ぎ手に来てもらっている。祭りの場合は外から人に来てもらって維持することもできるが,送り火は準備に時間がかかるので,短期で外からボランティアで来た人に頼って維持していくことはできないのではないか。伝統的な行事の中には手軽にできないものもある。

 

 

(2) その他

吉田部会長

  本日のご意見は基本計画の素案づくりの中で生かしたい。

  本日は伝統文化をどう継承するか,新しい文化をどう創造するかについていろいろな意見をいただいた。これまでの3回の部会でのご意見をまとめて調整委員会に提出し,素案づくりに反映したい。8月下旬に素案ができた段階で再度ご議論いただくことになる。これまでの部会で発言漏れがあれば,6月19日までに事務局にメモを提出していただきたい。

  それでは,本日はこれで閉会したい。

 

 

3 閉 会

 

 

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