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京都市の基本構想・基本計画(資料編)/京都市基本構想等審議会/第3回 都市整備・交通部会

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2001年2月1日

21世紀・京都のグランドビジョン 京都市基本構想等審議会 記録/第3回 都市整備・交通部会

日 時 : 平成10年12月21日(月) 午後3時~5時

 

場 所 : 京都ロイヤルホテル「麗峰の間」

 

議 事 :

(1) テーマ別討論「土地利用・景観・公園」について     

(2) その他

 

出席者 :

◎飯田 恭敬(京都大学大学院工学研究科教授) 

上村多恵子(詩人,京南倉庫(株)代表取締役社長)

○北村 隆一(京都大学大学院工学研究科教授) 

木村 陸朗(京都府バス協会会長) 

清水 三雄(異業種交流コスモクラブ会長) 

高松  伸(京都大学大学院工学研究科教授) 

西村  毅(京都青年会議所理事長) 

野間光輪子(京町家再生研究会幹事) 

エルウィン・ビライ(京都工芸繊維大学工芸学部講師) 

三木 千種(市民公募委員) 

宗田 好史(中京区基本計画策定懇談会座長,京都府立大学人間環境学部助教授) 

山田 浩之(下京区基本計画策定懇談会座長,京都大学名誉教授,大阪商業大学大学院地域政策学研究科長)                               

 

以上12名 

◎…部会長     (50音順/敬称略) 

○…副部会長

 

 

1 開 会

飯田部会長  

    ただいまから,第3回都市整備・交通部会を開催させていただく。  

 

 

2 議 事

(1) テーマ別討論「土地利用・景観・公園」について

飯田部会長

  本日のテーマは「土地利用・景観・公園」で,このテーマについてのこれまでの京都市の取組の状況や今後の課題等について事務局から資料を説明していただく。

 

事務局(小森都市計画局長)

  ――(資料1「「土地利用と市街地の整備」の視点から新基本構想を考える」,資料2「「景観」の視点から新基本構想を考える」,資料3「「公園・緑地と都市緑化」の視点から新基本構想を考える」に基づき説明)――

 

事務局(中村都市住宅局長)

  ――(同上資料に基づき説明)――

 

飯田部会長

  質問がないようであれば意見交換に入りたい。これまでの取組やその評価,今後の課題とすべき事柄についてご意見をいただきたい。ご意見をお伺いする前に,本日欠席の奥田委員から文書にて意見をいただいているのでご紹介させていただく。住まう,商うなど住民の立場から興味深い観点で表現されているのでお読みいただきたい。

 

清水委員

  区画整理の未着工分はどのくらいの割合か。土地の価格が右肩下がりになっているが,今後着工されないと見ていいのか。

 

事務局(中村都市住宅局長)

  京都市としては見直しには踏み込めない。できるところは何らかの手法で整備していくべきだと考えている。全部買収する場合は権利調整が難しいので,区画整理による移転,交換を考えないと,都市の整備は不可能だ。

 

清水委員

  区画整理をすると保留地が出るので,それを処分して事業費にあてると聞いているが,これからはそういうことが非常に難しくなる。そうすると,事業費は行政のほうで予算化していくつもりか。

 

事務局(中村都市住宅局長)

  3セクに対する地方公共団体の資金援助は現在問題になっており,どのように公費を導入するかについてはこれからの検討課題になる。他の事業や税の公平性などいろんな点から検討し,公費を導入しながら事業が成り立つようにしていく必要がある。

 

北村隆一副部会長

  新しいものや高いビルが建つのがいいことだという考え方が背景にあるような気がする。グランドビジョンを考えるときにそれでいいのか疑問だ。再生の定義ができていないという話があったが,田の字の中にどんどんマンションを建てることが再生なのか。そのへんの合意は放っておいてできるものではない。

  土地を持っている人は土地からの収益を最大限上げたいという利得最大化の行動原理からマンションを建てたいわけだが,他方で個人の土地の上に建つものであっても他の人の目に触れるものは公共財として扱われ,それなりに規制されるべきだという考え方もある。意見の対立する点での合意形成について,市としてはどう考えているのか。

 

事務局(小森都市計画局長)

  再生のイメージは人によってかなり異なる。職住共存地区のガイドプランを発表した後,学区単位で自治連合会役員レベルの話し合いの場を持っているが,地域によって町並みはどうでもいいという意見から,きちんと町並みを保存していくべきだという意見まで,いろいろな意見が出ている。景観・まちづくりセンターと共に地域に入って,地域の人の合意でこの地域は31mの高度地区だが,高さを例えば20mに制限しようという地区計画をつくるところまで持っていきたい。

 

野間委員

  なぜ歴史的なまちを残していくのかという基本的理念,守るべき根幹が未だ確立できていないように思う。

  京都には大景観として三山がある。京都は低層高密度な都市で,各建物の中で自然と触れ合うことは小さな庭でしかできなかったため,「通景」といって道に出たとき必ず三山が見え,三山の自然を共有し,自然を感じながら生活していく都市構造になっている。通景を大事にしたため,江戸末期に確立された軒高6mの町家群ができた。

  例えば通景を京都のまちの理念とすれば,効果的にきれいに通景を見せるためには,三山の大景観に対して,ビル街や住宅街の中景観,さらに小景観として三山の裾の個々の建物の色や形がどうあればいいかというように流れていく。そういう何か基本的な理念,皆が理解できる共通の目的を持てば,大景観から中景観,小景観がどうあるべきかというように流れていく。道だけでなく,橋から見た景色や借景についても考えていくべきだ。奈良町に「まちなみよろしゅう,ひさしなみよろしゅう」と書いた明治時代の許可証があるが,そうあるべきではないか。

  観光の最たるものは四国の巡礼で,これは時間を超えて続いていく。人間のいちばん弱いところ,死に対する恐怖をやわらげることが必要である限りなくならない。京都にもそういう土壌がある。なぜ京都の景観を残してほしいかというと,日本人としてのルーツが線として見えてくるからで,自分自身の短い寿命を超えて時間性を追っていけるものに対して人間は安心感や安らぎを覚える。そういうなぜ日本人として京都の景観を残すのかという基本の理念を確立すべきだ。

 

宗田委員

  日本の都市計画行政は「京都の理念はこうあるべきだ」と土地所有権者に対して押しつけるような強力な行政権限を持っていない。今までも景観論争がある度に各種団体が市にああしろこうしろと主張してきたが,市ができることはせいぜい景観条例によって規制の範囲を広げることで,それも膨大な時間をかけて規制の対象となる方々の合意を得なければならない。

  我々は研究者として理念を追求するだけでなく,追求した理念が出版や講演活動を通じて市民に浸透していき,その中で何か理念がつくられるということがこれからは求められる。また,市の支援によって景観に対する理念の合意を図っていくことが必要だ。

  右肩上がりの神話が終わり再開発も区画整理も制度的限界にきている。従来の手法では再開発できなくなっているのに,行政も専門家もそれに代わる手法を持たないという状況にある。制度を見直すことが先か,現在予定している対象地区を見直すことが先かという議論があるが,これからは手法開発を一生懸命やっていかなければならない。

  その切札として,景観・まちづくりセンターと市民参加がある。対話型,市民参加型に市の姿勢が変わってきたことは評価するが,現状では人手が足りない。区画整理事務所や再開発関連に出向されている職員を都市づくり推進課や景観・まちづくりセンターに配置し直し,対話や市民参加に人力を割かない限り,課題はカバーできない。

  再生に関する合意はどうしてつくるか。景観についての理念と同じで,1人ひとりの地権者の声を聴いたうえで提案しなければならない。積極的にヒアリングに行って対話を増やしていくしかない。景観・まちづくりセンターが都心部の町家調査を 500人の市民ボランティアの人にお願いして実施したが,調査に応じてもいいと回答してきた2,000軒を訪問して話を聴いてくることは,今のセンターの陣容では不可能だ。市の職員が聴きに行って対話の機会を拾ってくるというスタンスがないとだめだ。

  公園に関してはちびっこ広場に関するワークショップが始まっており,これも相当ボランティアの方に協力をお願いしている。そういう対話の現場や市民参加の現場が増えてくれば,市の職員も配置が変わってくる。そういう目に見える仕組みをつくらないと,市民参加の景観整備やパートナーシップ型のまちづくりは実行できない。まずソフトの部分,人の部分から変えることが肝要だ。

 

ビライ委員

  住民と企業,行政のパートナーシップによるまちづくりというのが具体的に分からない。どうイメージしてどう実行するのか。

  外国の例では,オランダのティルブルフ市のように各部門を会社として運営しているところもある。ブラジルのクリティーバでは,住みよいまちにするために交通システムの会社をつくっている。米国のミネアポリス市では,緑や公園をつくることで安心感や安全性を獲得したが,それも会社をつくって運営している。ニューヨークの場合も,5年前までは危険な都市だったが,CBD(セントラル・ビジネス・ディストリクト)などにおいて各地域を管理し,会社として利益を出して整備したり,掃除やパトロールをしたりしている。

  パートナーシップについての市の考え方を聞きたい。

 

事務局(小森都市計画局長)

  去年の10月に景観・まちづくりセンターをつくり,現在専務理事を含む8名で運営している。各学区に入って説明やヒアリングをしたり,都心の京町家3万軒の調査を市民ボランティア 600人と共に行うなどの活動をしている。パートナーシップについては,各地域のまちづくりのための協議会に行政が参加し,一緒になってまちをつくっていくことができないかと考えている。

  職住共存地区の田の字の中は現在31mの高度地区だが,行政として一斉に20mの高度地区にし,いわゆるダウンゾーニングという考え方でやってはどうかという意見もあった。しかし,一方的な行政の手法ではなく,地域の中で自立した市民の話し合いで協定を結び,地区計画をつくってもらうのがいちばんいい。そういう意味でのパートナーシップと考えて,現在地域に入っている。

 ただ,人手が不足しているので十分に入れていない。行政に対する苦情聴き役になっているのが現状だが,将来はまちづくりの規制等について話し合いを進めていきたいと考えている。

 

ビライ委員

  作業として行き当たりばったりになるのではないかという印象を受ける。みんなの要求がそれぞれ異なってもある程度まとめていくためには,軸が必要ではないか。

  先日NHKのTV調査で京都が日本でいちばん住みたい都市だという結果が出ていた。都市として美しいとか,伝統がある,住みやすいというようなイメージが理由で一番になったのだと思う。

  パートナーシップにしても,ある程度のガイドラインとして何らかの理念を持ったほうがいい。1つのヒントになるのは京都のイメージだと思う。言葉だけでなく,例えばフィレンツェの古い赤レンガのイメージのように京都の場合は山が見えるといった,ある程度具体的理念やイメージがあったほうがいいのではないか。

 

上村委員

  京都は昭和20年代に国際文化観光都市建設法によって他都市に先がけて建築に規制の網がかかった。その後古都保存法や風致地区など,古都として封印する形で高さ制限や開発制限などいろいろな網がかけられる。戦後,他都市がモータリゼーションの波に乗り道路を拡張し高速道路や上下水道をつくり,ビルを建設し大型開発をしたとき,京都はペンシルビルが立ち並ぶ混在型の中途半端な開発しかできなかった。大阪や東京の大規模な開発はお金をかけて,景観のデザインも統一感のあるものになるが,京都はできなかった。他都市が土地担保主義の中で地価を上げたときに工場誘致やビル誘致もできず,逆に工場や大学の流出を進めてしまった。

  今ある京都をベースにこれからの土地利用を考えるべきだ。イメージの中に残っている幻の京都を取り戻さなければと思うことで,等身大の京都とかけ離れた理念が出てくるのはノスタルジーが強すぎて危険だ。今ある京都の実際 の姿を皆が確認し,どうリニューアルし,リメイクしながら美しい住みよいまち,伝統のまちをつくっていくかを考えるべきだ。

  南部開発が進められているが,現在の京都のリメイクは,大規模でなく部分的にするしかない。大黒町の取組はストリートをよみがえらせた。旧京都はそういう積み重ねでやっていくしかない。南部開発でも強制力はなくても土地利用の線引で誘導できる。対話も説得型というより,どうすればリニューアルのインセンティブになるか,誘導できるかという対話をしていくべきだ。

  条例によりまちづくりセンターに強制力を持たせることが今回の基本計画の中に盛り込めるといい。また,大黒町や桂坂など成功例の積み重ねを市民に知らせていく必要がある。

 

高松委員

  再生の定義は価値の定義だと考えられる。その価値に沿って合意をどう形成するか,ガイドラインをどうつくり上げるかに尽きる。

  ドイツでいくつかプロジェクトが進行していて,1つひとつの建築を進める過程で,否応なく都市の景観形成に参加させられる経験をしている。ドイツでは法制度や仕組みががっちりと,しかもフレキシブルにできている。ドイツ連邦建設法という基本法があり,これは景観や居住性を完璧に保全するもので,用途や建ぺい率,高さを初め,様式から空地のあり方まで,基本的あり方が示されている。これは現状維持的法制度で,個々の建設行為が要請するある程度の自由度を許容するために,別にダイナミックな制度がつくられている。

  それは自治体や州や市が 100%施行する権利のある法律で,FプランとBプランの2つがある。我々が建築をつくる際に深く関与するのはBプランで,都市秩序,社会的に公正な土地利用を推進するための法律だが,個人と公共の利益の保全を理念としている。具体的な1つひとつの建設行為を通じて都市の空間秩序,デザインを実現するための詳細な法的根拠で,往々にして国際設計競技によって特定の建築家の1案が選ばれ,その案に即してガイドラインが決定される。

  ガイドラインの決定に当たっては連携街区,1つのブロック内の現状分析が徹底して行われ,住民のほとんどが参加する大規模な市民集会で延々と討議される。そういった討議と調査の下に要綱が決められ,それによりデザインが1つだけ決定されるというプロセスをたどる。

  さらにこれを審判し,法律に持ち込み,連邦建設法の許可をとる建設局には建築家やデザイナーがたくさんいる。法制度の確立・運用,ガイドラインの形成において,多数のデザイナーが双方向的にコミュニケーションする土壌がある。なおかつ,1人の創意を徹底して守る。例えば,ベルリンのポツダム広場のガイドラインは国際コンペでレンゾ・ピアノ案が選ばれ,それに即して建築がつくられている。

  抽象的な議論,理念をめぐる多数の人の参加による協議も必要だと思うが,他方でそれをビジュアルに,徹底的にドリーミーに見せるようなもう1つのシステムが必要ではないか。それを一方的な民間デザイナーの参加だけでなく,市役所の中のデザイナーも参加して,コミュニケーションの土壌をつくってその中で形成していくというように,2つのシステムがうまく機能しないと議論が空転してしまいかねない。

  パートナーシップということだが,これはアメリカのデュープロセス(due process:適正手続)と同じことだと思う。それに即して機能している景観・まちづくりセンターでは,具体的なまちづくりを実現する手法として,PFIやアウトソーシングのような具体的手法を検討しておられるのかどうか。

 

事務局(小森都市計画局長)

  PFIについてはまだ勉強を始めた段階で,センターでそれを活用するところまでは至っていない。

 

ビライ委員

  京都の未来ということでは,夢を見ることを大事にし,夢を見ながら具体的にどう実行するかを考えなければならない。ルールに縛られるのではなく,ルールに従って自由になるということで,コミュニケーションがあるとある程度の動きが生まれる。

  ドイツやスイス,オランダなどではコンペで都市づくりをしているが,コンペは制度に従って行われ,いろいろなデザイナーや建築家,市民が参加して対話を行っている。それによってまちに対する愛着も強まり,メディアと市民の関係も密着している気がする。これからは制度やメディアの関係も考えなければならない。

  オランダやスイス,ドイツでは,建築が職能として健全に見える。対話が行われ,しかもその対話が狭い学問や専門領域の中でなく,市民が参加して行われる。例えば,ルツェルンのコンサートホールのコンペでジャン・ヌーヴェルの案が選ばれたが,最初の案は何度も変更を重ね,その度に市民の投票が行われた。そのようなシステムを京都でできれば,もっと動きがある,前向きのわくわくできる都市になる。

 

宗田委員

  景観・まちづくりセンターでもPFIやアウトソーシングを目指し,ワークショップをやったり袋路再生や町家型共同住宅の事業に着手している。コンペでは先日学生まちづくりコンクールを実施した。

  ドイツでは市民が集まって討論をする場が確保できるが,京都の場合できない。地域の住民と専門家の話す言葉にギャップがあるだけでなく,市民社会としての基本的リテラシーができていないからだ。自治連合会の会長や副会長が頑張っておられるが,従来の京都型の意思決定機構で住民が動いているだけで,市民社会としての議論の場はできていない。それをプランニングや専門家と議論するまでもってくるには,まず対等に議論できる土壌をつくる必要がある。そのリテラシーづくりが,パートナーシップの第一段階としての対話とかヒアリングの場をつくることで,それに市役所の職員が参加してほしい。

  今まで京都では高さが焦点になってきたが,それ以外にも建築を町なかに建てていくために議論しなければならないことがあったはずで,高さだけで議論するのはリテラシーが不足している証拠だ。京都の伝統に対する思い込みとか,等身大のレベルで京都の過去のイメージが語られていないという文化的な部分も重要だ。

  町家調査の関連で 200軒のヒアリングをやってみて,京都はこうあるべきだという理念を話すと,相手に殻を閉じられてしまうことが分かった。対話を進めていくうえでは,都心に住む人は高齢化しているから,ここに住み続けたいですね,同じ事業を続けたいですね,親の残した家を子孫に残したいですね,といったところから入り,将来どうするかという話に展開する。そういう作業から起こしていかなければならない。

  京都の市民はドイツの市民のように先が見えていない。それだけ過去50年間の変化が激しかったのだと思うが,そういう意味で対話を根本からやっていかない限り,市民参加型のまちづくりは成立しにくい。そういう努力をする気があるのかどうかを問いたい。

 

西村委員

  今までの京都市の計画を見ていると,人口は増えるほうがいい,まちは変わったほうがいい,まちは拡大することが発展であるということが言われ続けているように思う。これからの右肩下がりの時代には,どうこのまちが生きるかという都市計画をしなければならない。

  ドイツの場合,バイパスをつくればその周辺の開発は一切禁止だから,まちから人が出ていかない。まちを守るために開発をしないというコンセンサスがある。それを京都市でどうつくっていくのか。それがなければ,いくら立派な計画をつくっても同じという気がする。

  全市の目標を共有するのは 146万都市では難しい。ただ,各地域でのシナリオや目標は時間をかければ住民と共有できる。それぞれの地域で,パートナーシップをやるならとことんやるしかない。日本社会は多数決で少数を切り捨てていくが,パートナーシップを組むなら,そういった少数意見をどこまで拾い上げられるかがポイントになる。

  景観・まちづくりセンターは行政が立ち上げ,行政の人が中心に動く 1.5セクターだ。もっと中立の人が入って運営する必要がある。今のままで継続すると,行政主導にもどる可能性がある。

  まちを変えていくためには,私有財産権をどうコントロールしていくか,住民1人ひとりのそれに対する合意をどうとっていくのかがポイントだと思う。そのためには共通の目標やシナリオや夢をどう形づくっていくか,それが大都市としてOKであるとどう判断するのか。そこまで足をつっこまないとまちは変わっていかない。

  高松先生から「京都市は死に続けたほうがいいのではないか,変えない努力をしたほうがいいのではないか」という意見をうかがったことがあるが,それも地域によっては1つの方法論ではないか。

 

高松委員

  正確には「永遠に上手に死に続ける」と申し上げた。

 

野間委員

  3万軒の町家調査には私もかかわったが,市民が一緒にまちのことを考え,自分のまちを見直すという意味で,非常に進歩だったと思う。このまちでずっと心地よく住み続けるということが理念ではないか。スリランカのモルジブでは住民がいかに心地よく住み続けるか,モルジブという国がどうあるべきかということまで法律で事細かに決められている。そういう意味で,百年後,千年後に京都でいかに心地よく住めるかということを考えていくのが基本的理念ではないかと思う。

  公園についても,市街地の緑被率や公園面積が少なくてもかまわない。他都市と比べる必要はない。京都のまちには京都のまちの緑のあり方がある。京都としての心地よさがどこにあるかを考えていきたいし,まちづくりセンターの活動としてそういう活動もしていきたい。

 

北村隆一副部会長

  第1回の部会で植物の生態系では各々の種が70%ほど満足しているという話があった。今は各々が100%,120%を追求するゆえに全体として問題が起きているという社会的ジレンマがある。交通混雑やまちの景観もそうだが,1つには規制が少なすぎると思う。今は規制緩和ということが言われているが,何のための規制緩和か。逆に言うと何のための規制かが考えられていない。我々が住み幸せになるための規制であり,規制緩和でなければならない。

  都市計画,特に景観,建造物に関する規制は少なく,容積率や高さぐらいしかない。その理由の1つは他国でどんな規制をしているのかをあまり知らないからだ。具体的提案として,京都市で他都市の規制について調査してはどうか。ドイツのようにブロックごとに規制をつくるのは面白い考え方だと思う。いろんなまちでいろんな規制があるので,それを勉強して,それを市民との対話の中に取り込み,家を建て替えるときどうするかといった具体的問いかけをすることが大事だと思う。そういう問いかけの中でみんながこうすればこうなる,こういう規制がないからこうなっているということも,グランドビジョンと関係してやっていただきたい。そうでないと,個の利得を追求し始めて収拾がつかなくなる。

 

清水委員

  この委員会が目指すところは,もっと大きな25年先に向けての京都の方向付けだと思う。なぜ景観問題に取り組むのか,歴史的建物を残すのかという話では,最終目標は美しいまちだ。ビルがあるとか町家が残っているというのではなく,今ある千年続いてきた京都の現状を肯定して美しい都市をつくるのは,ハードでなくソフトの問題だ。

  ある区役所に行ったとき,内部が汚いのに驚いた。役所の中がこんなに汚いのにどうしてまちを美しくすることができるのかと思った。市民の誇りとして美しいまちをつくり,歴史と伝統を引き継いできたまちを守っていくと同時に,国内外の京都市民以外の人たちの京都に対する憧れを裏切らないようにすべきだ。山陰のあるまちで,駅前に「このまちの自慢できるものは公衆便所です」という看板が立っていた。実際にそのまちの公衆便所はどこも非常に美しく,メンテナンスがいきとどいていた。1日に何度も誰かが手入れしているのだと思う。京都が観光都市として誇りを持つなら,京都の公衆便所はどこに行っても美しいというようなところから変えていかなければならない。それはハードではなく,ソフト,心の問題ではないかと思う。

  京都の古い町並みを残そうとか,三山を残そうとしても現状では不可能だ。今あるものを美しくしていくためには,市民1人ひとりの意識を啓蒙していくことが大切ではないか。先日30人ほどが集まって話をしたとき,25年間もあれば京都から電線をなくせるのではないかという意見が出た。電線をなくすための計画はどうなっているのか。

 

事務局(奥野都市建設局道路部長)

  市としても電線の地中化に取り組んでいるが,道幅が 3.5m以上ないと維持管理ができないなど物理的な条件もあり,まだ全長で27kmにしかならない。NTTや関電などの一定以上の需要密度がないと対象区域にならないという制限があって,それがない場合には高台寺界隈のように道路管理者である京都市が全部負担することになり,財政事情もありなかなか進んでいない。

 

山田委員

  まず土地利用について,現行基本計画の「保全・再生・創造」という考え方は基本的にはいいと思うが,「21世紀の京都の発展に向け,南北軸,東西軸,環状軸の三つの骨格的な都市機能軸の強化を図る云々」の部分については,昨年の都市構造・交通体系調査研究会でも批判が出ていたように,こういった都市機能軸の考え方は,京都は人口増加すべき,拡大すべきという考え方が前提となっており,何らかの形で修正していかなければならないのではないか。

  前述の研究会では,心地よく住む,心地よく歩くということを基本理念にすべきではないかということで,具体的には地域の個性に沿った美しいまちづくりをするということになったが,心地よく住むためには,ある程度暮らしが良くなければならない。経済の立場から言えば,人口増加は無理でも1人当たり所得が増加しなければならないということで,何らかの形で産業発展を考えなければならない。

  その場合,1つは新しい時代に沿った情報化の観点から,もう1つは京都の伝統的文化に根ざした産業を考えて,そういうものと調和したまちづくりをしなければならない。たいへん難しい問題だが,そういう視点も入れて従来の基本計画を考え直す必要がある。新しい産業の発展を考慮しておかないと,住民もついてこない。

  再生の問題について,いちばん難しいのはマンションの問題だ。土地を持っている人がそれをいちばん利益の出るように使おうと考えると,マンションになる。単に反対するだけですまない問題で,下京区では祇園祭に参加することを条件にマンションを認めているところがあるが,そのようにある程度条件をつけるということが1つの方法ではないか。場合によっては規制の強化も必要になる。

  景観の問題について,京都は寺に緑が残っているので,それを含めて現実に残っている緑を守り,さらに良くしていくという視点を盛り込んでいただきたい。「通景」に関連して,外国の観光案内では必ず眺望が強調されている。観光は京都の産業にとって今後も重要と思われるが,その中で眺望の視点を入れたまちづくりや借景が重要になる。それが私権の制限になる場合もあるが,観光事業を興す場合,十分調査しながらすばらしい眺望を生かしていく必要がある。

 

木村委員

  理念や構想の方向がまちがってはいけないが,もう少し具体的なことも議論して,即実行に移すことも入れていかないと何も進まない。商工会議所や景観・まちづくりセンターでもいろいろ研究されているし,学校跡地についても議論されている。そういう情報を事務局から出していただき,具体的なことを議論する場をつくり,それで方針を変更すべきところは変更すべきだ。もう少し具体性がほしい。

 

三木委員

  都市軸など全体の流れをつくっていく整備も必要かもしれないが,京都の魅力は地域ごとの特性があったり,人の流れが混沌としていて,その中で自分の興味のあることを探して生活できるところにあると思う。「南部の開発」などは言葉としては魅力的だが,実際にそこに住む人にとっていいのかどうか。実際に人が気持ちよく住むための都市を考えれば,いいまちづくりになるのではないか。

 

上村委員

  土地利用と市街地の整備を考える際に忘れてはならないのは,産業構造からすれば京都は完全に工業都市で,京都の産業の基盤は工業にあるということだ。観光産業の占める割合はGDPの中でも数%にすぎない。それを忘れると,イメージとしてのまちづくりと実際にやらなければならない都市整備の間に乖離が起きてしまう。

  工場が流出しているが,他都市のほうが便利で,京都の整備がいかに遅れているかを示していると思う。旧市街地の歴史的景観や調和を保つためにも,市街地の土地利用を思い切って変えていかなければ,さらに産業が流出していく可能性がある。住民にとって住みよいまちであることは当然だが,それだけで都市が成り立つものではないということを踏まえて基本方向を決めていただきたい。

 

宗田委員

  町家調査には京都市の職員にボランティアで参加していただいている。総務局の行政改革課の市民参加推進プロジェクトの場合は,公務で参加でき研修も受けられるが,景観・まちづくりセンターの活動に市職員が参加する場合も,公務扱いできないか検討していただきたい。

  緑の話だが,姉小路界隈では15年前までは町家の裏側に庭があるため市街地面積の30%弱が緑地だった。統計では都心4区の緑被率が低くなっているが,街区単位で5m2以下の緑地までカウントしていくと,今でも都心町家街区の中に20数%平均で緑がある。それがここ15年で急速に減って,姉小路界隈の場合10%台まで落ち込んだ。京都の緑被率を大都市と比べることより,都心街区の小さな緑に配慮することが緑の計画には必要だ。

  電線の地中化を行政の負担だけで進めていくことは賛成できない。同じような埋設物を持つ大阪ガスなどの場合,埋設管に関してコストを下げる技術的な開発が進んでいる。行政に埋設を進めろと言うより,関電やNTTの負担を増やすように,市民の力で声を上げていかないと電線地中化は進まないと思う。

 

野間委員

  南の話が出なかったが,1つのまちで歴史的な景観と工業都市の二面性を持つ都市は世界でも他に類を見ない。一方で非常にハイテクな工業都市があり,一方に歴史のまちがあるというようなまちづくりは京都だからこそできる。南と北はそういう形で,他に類を見ない最初の都市づくりを京都で試みるべきだ。

 

飯田部会長

  議論はまだまだ続くと思うが,時間の制約もあり今日はひとまずこれで終わりたい。

  日本人は西洋とかなり違い,公共スペースに対する意識が低い。みんなで議論して都市の景観をつくり,まちづくりをしていくことは日本人は苦手ではないかと思う。景観・まちづくりセンターなどをベースにしながら,みんなで考えたりという積み重ねがこれからは大事だ。都市には住むだけではなく,それを支える経済がなければならない。昔から残されてきた景観や京都の良さを保存するにはたいへんなお金とエネルギーがいるので,両面を考えていく必要がある。

  大事なのは最終的に合意形成,意思決定をどういうメカニズムでするかということだ。これは我々は苦手で,ドイツのシステムは1つの参考になるが,文化的背景が異なるので,そのまま持ってこれるかどうか分からない。そういうものを参考にしながら,市民自身が勉強しながらやっていかないといいまちづくりはできない。二世代,三世代といった時間がかかると思う。地道だがそういう努力をしていくことが大事だ。

  これまでの議論を踏まえ,事務局から何かコメントはないか。

 

事務局(小森都市計画局長)

  まちづくりセンターは 1.5セクターだという話があったが,それでいいと思っているわけではなく,何とか官の関与が少なくなるよう努力したいと考えている。

  もう1点は,都市計画法にしろ建築基準法にしろ,国で一律に決められたものが多く,京都市独自でやるには制約があることをご理解いただきたい。

 

(2) その他

飯田部会長

  前回部会でご提案のあった3点について説明させていただきたい。まず会議時間については事務局の説明時間を短縮し,2時間で議論の時間を増やす工夫をした。原則2時間としているが,議論の状況によっては部会長判断で時間延長をお願いするかもしれない。

  2点目は,非公式意見交換の場をという提案だが,この場で議論を尽くしていただくのが本来ではないかと思う。賛同される委員の皆様で非公式の意見交換の場ができるようであれば部会長にもご連絡いただきたい。

  3点目のヘリコプター視察のご提案については,事務局に検討をお願いしている。すでに体験されている委員もあると思うので,ヘリ視察に関心のある委員のみ閉会後残っていただき,ご意見をうかがいたい。

  次回の部会は1月19日に予定している。テーマは「住宅・住環境」で,起草委員会において基本的考え方の案が固まれば,併せて部会の議題にさせていただく予定にしている。

 

 

3 閉 会

 

 

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