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京都市の基本構想・基本計画(資料編)/京都市基本構想等審議会/第4回 福祉・保健部会

ページ番号35842

2001年2月1日

21世紀・京都のグランドビジョン 京都市基本構想等審議会 記録/第4回 福祉・保健部会

日 時 : 平成11年3月18日(木) 午前10時~12時

 

場 所 : 京都ロイヤルホテル「翠峰の間」

 

議 事 :

(1) テーマ別討論「保健・医療」について     

(2) その他

 

出席者 : 

北川 龍彦(京都市民生児童委員連盟会長) 

北村よしえ(京都市精神障害者家族会連絡協議会会長) 

玄武 淑子(京都市老人クラブ連合会会長) 

小林 達弥(市民公募委員) 

竹下 義樹(京都市身体障害者団体連合会副会長) 

中原 俊隆(京都大学大学院医学研究科教授)

◎浜岡 政好(佛教大学社会学部教授) 

宮下れい子(市民公募委員) 

森田 久男(北区基本計画策定懇談会座長,元佛教大学教授)   

横田 耕三(京都府医師会会長)

○渡邊 能行(京都府立医科大学付属脳・血管系老化研究センター教授) 

薦田 守弘(京都市副市長)                                

 

以上12名 

◎…部会長     (50音順/敬称略) 

○…副部会長

 

 

1 開会

浜岡部会長

  第4回「福祉・保健部会」を開催させていただく。

 

 

2 議事

(1) テーマ別討論「保健・医療」について

浜岡部会長

 最初に事務局から資料を説明いただく。

 

事務局(今井保健局次長)

 ――資料「「保健・医療」の視点から新基本構想(グランドビジョン)を考える」に基づき説明。ビデオプロジェクター使用)――

 

浜岡部会長

 事務局の説明に対する質問はないか。

 

竹下委員

  2点質問したい。第1点は精神障害者の関係で,現在把握している京都市内の入院患者数と入院経験・通院者数が分かれば,推移も含めて教えてほしい。もう1点は区役所,保健所,福祉事務所を1つにした大区役所制ということだが,保健所や福祉事務所が独立して存在した時期と地域サービスがどう変わったか,具体的に例があれば教えてほしい。

 

事務局(今井保健局次長)

 精神障害者は,入院 3,500名,通院 9,200名である。最近はさまざまな心の病が増えており,増加傾向にある。医療機関での精神障害者のカウントの仕方や範囲のとり方の変化はあるが,公費で負担している数ということでは,基本的に過去からカウントのとり方は一定している。

 大区役所制によるメリットについては,保健所と福祉事務所の統合では高齢者福祉相談窓口の設置など具体的活動を行っている。保健所については平成10年度から区役所に統合されたばかりで,現在区長の指揮命令のもとに連携を密に図る体制づくりに取り組んでいる。平成12年度から介護保険制度が実施され,これを契機に保健所,福祉事務所,区役所の統一的取組を進めたい。

 

事務局(折坂保健局理事)

  最終的に個々の事業そのものは,まだ民生局,保健局の枠組みで実施しているので,統合のメリットが目に見えて表れる状態ではない。今年の4月から2局が統合されれば,事業内容についても抜本的検討が可能になる。厚生省の社会福祉の基礎構造改革の関連や国レベルでの保険制度の見直しなどとも連動しながら,統合の効果を発揮できるようにしたい。

 

北川龍彦委員

  保健所と福祉事務所と区役所が1つの庁舎に入っていれば連携もできるが,現在は区役所と保健所,福祉事務所が離れており,この実態をどう解消していくのか。

 

事務局(折坂保健局理事)

  個々の業務では同じ建物内にあるほうが望ましいので,厳しい財政状況ではあるが,庁舎についてはその方向で整備したい。東山区の庁舎が最初にそういう形にまとめることができるのではないか。現在保健所が離れているところが7箇所ある。

 

横田委員

  P.11の(5)の「調査件数2,949」とあるが,これは調査対象数か項目数か。

 

事務局(土井保健局参事)

  このデータは平成8年に民生局が実施した京都市子育て実態調査による。2,949件というのは対象者数で調査項目数ではない。

 

事務局(木野村民生局社会部長)

  平成9年1月に児童育成計画を策定したが,その際に母子保健事業の利用状況の調査をした。件数としているが,調査対象の人数と考えていただきたい。

 

横田委員

  年次推移のデータはないのか。

 

事務局(木野村民生局社会部長)

  個別の調査はあるが,トータルな調査はしていないので年次推移についてはデータがない。

 

中原委員

  介護保険との関連で連携を強めていくという説明があったが,内容的にどういうことを考えているのか。

 

事務局(木野村民生局社会部長)

  保健局と民生局の統合の中で,保健・福祉行政の一体的推進を図っていく。21世紀の少子高齢化社会を健康で活力あるものとするためには,健康づくりなどの予防対策の充実が大きな課題になる。保健・福祉の行政サービスと医療介護の社会福祉サービスの連続性を確保することにより,制度の円滑な実施と定着が図れるのではないか。

  平成11年10月から要介護認定事務が開始され,平成12年4月から制度がスタートするが,相談に応じたりケアプランを作成するなど,福祉部門と保健部門の統括局がつくられることでより一体となった制度の運営が図れるのではないか。

  また,福祉施設,特別養護老人ホームや保健局所管の老人保健施設,療養型病床群などの介護サービスの供給体制との一体的整備もできるのではないか。一方で介護保険制度にかかわる施設の指導監督についてもより一体的に効果が発揮できると考えている。

 

中原委員

  厚生省が介護保険と保健サービスや地域保健との関係を議論している段階で,市にこれ以上の答えを求めるのは無理だと思うが,せっかく衛生と民生を統合するのだから,目前にあるものに積極的に取り組んでいただきたい。

  もう1つは今まであまり議論されてこなかった介護に対する費用の問題が,介護保険によってはっきり出てくる。介護の重度化に伴いどれだけの費用がかかるかの物差しができるわけで,それに対して保健サイドでは「予防福祉」や「寝たきり防止」ということでいろんな施策がやれる。寝たきりや重度化を防止する予防福祉についての取組をもう少し打ち出す必要がある。

  もう1つは介護保険で実際に具体的な対象者に制度を当てはめていくと,今までサービスを受けられた人が受けられなくなる事態が生じそうだとか,難病患者に対する介護が制度的に抜けているとか,未認定者や非認定者に対する問題点が出てくるのではないか。それも含めて保健衛生と民生の統合のメリットを生かす方向で検討していただきたい。

 

北川龍彦委員

  介護保険準備対策室と民生委員で昨年,市内23万人を対象に調査したが,そのうち介護保険の対象者は2万3,000人という結果になっている。区役所,福祉事務所,保健所はまだ満足する連携状況ではないので,これを進めていただきたい。

  韓国のソウル中央病院には国際窓口があって迅速に処置してもらえたので感心した。京都市も国際都市を言うのであれば,市民病院に国際窓口を設けるべきだ。

 

事務局(折坂保健局理事)

  京都市では国際化推進大綱に基づき外国人の暮らしやすい,訪れやすいまちづくりに努めているが,病院での外国人対応はできていない。今後の研究課題としたい。

 

北川龍彦委員

  京都市は国際都市を標榜しているが,市職員の国際経験という点からすると全国的に見ても下位に位置している。もっと市職員が国際的経験や外国で研修をつんで,現場で生かすようにできないのか。

 

薦田委員

  京都市でも現在は毎年定期的に外国研修を行っており,また,産業観光局などでは仕事で外国に行く機会も増えている。しかし,職員2万人の中での経験者はわずかにすぎないので,順次拡大していきたいと考えている。

 

横田委員

  この10年京都市でもそれなりにやってきているが,今短期的には介護保険をいかにスムーズに出発させるかが最大の課題だ。

  10年前の基本構想でも5年前の新基本計画でも少子化対策についてはあまり力を入れて書かれていないが,京都市は東京都と並んで全国でも最低の出生率であり,京都市百年の計を考えるとたいへんな問題だ。今回は力を入れてほしい。

  高齢化対策についてはかなり書かれているが,京都市は全国的に見て精神科の領域が遅れている。今まで法律の関係で府任せだったことや府に遠慮してできなかったこともあるが,平成8年の法律改正で拠点施設もでき,精神障害者も含めて前回より踏み込んだ提言が必要だ。

  10年先20年先ということでは,現在の三大疾患は続くので,この予防対策を健康教育を含めてどこまで進めていくか。また,専門科領域の施策がこれまであまりなかったが,各領域について病院や保健所で市民に対する具体的相談窓口をつくるなどきめ細かい施策が必要だ。

  保健衛生行政は府と共同でやらなければならない仕事が多く,政令指定都市を抱えている都道府県では市も府もやりにくい。現在大多数の府県に4年制の看護大学があるのに,京都府下にはない。府と協調して,ぜひ4年制の看護大学をつくっていただきたい。

 

浜岡部会長

  横田委員は前回早めに退席されたが,いただいた提案メモについては本日の資料として配布させていただいている。

 

北川龍彦委員

  政令指定都市に対して国はどの程度評価し,その意向を尊重するつもりなのか。政令指定都市は1市町村と見られているのではないか。

 

薦田委員

  大きな問題である。現実に京都市の平成11年度予算は1兆 5,836億円,京都府は特別会計を入れて約1兆円で,政令指定都市はそのくらい大きな仕事をしている。

  ただ,内容としては法律で縛られる部分があり,例えば精神障害者に関しては平成8年の法律改正以前はほとんど府の所管だった。本来府の業務となっていることを市が単独でやっていこうとすると,遠慮もあるし,現実には国の補助金など財政的補助がなく,そういう意味でもやりにくい。

  現在地方分権が国会で議論されているが,そこで言われている地方とは都道府県であり,ごく一部を除き,政令指定都市を対象に分権をしていくわけではない。 

 

竹下委員

  3点ほど申し上げたい。まず1点は,精神障害者の問題で,今まで法律の関係で身体障害者とはまったく別の行政所管となっていたことで,福祉という分野で精神障害者が非常に立法上遅れていた。京都市は大区役所制をとっているのだから,その実をあげるにはどうすればいいか。

  例えば地域で家族が亡くなったりして精神障害者が1人残されたとき,保健所と福祉事務所が連携できない。本日の資料の P.9に「心身機能の低下した高齢者,障害や難病のある市民等が住み慣れた家庭・地域社会において療養しつつQOLを向上できるよう,保健・医療・福祉の総合的かつ一体的な取組を推進し,・・・」とあり,この方向はすばらしいが,問題は現実にどうすればそれが可能かというところの詰めができていないところである。

  1人の精神障害者が地域で生活するとき,何が必要で,どういう連携をつくればその人の地域生活が安定するのかという計画がほしい。そのための準備作業を早急にすべきだ。

  2点目は,介護保険とも関連するが,介護支援の社会資源は本当に十分なのか。看護婦・看護士から,介護福祉士,ホームヘルパーまで,どうすれば現実に必要な数や質を確保できるのかが問題だ。数字を出す際には2つの考慮が必要だ。厚生省の基準からはじき出した数字の確保も必要だが,現実に京都市内で要介護,要支援の状態にある高齢者の人数の推定と,それに基づき必要とされる介護支援の要員が何人になるのかという数字の引き出しができているのか。必要とされる要介護者・要支援者から出発した介護者数の確保についての議論が必要だ。

  3点目は介護保険について,従来実施されている高齢者世帯,障害者世帯に対する保健・衛生面でのサービスが現在どうなっていて,介護保険が実施された後それがどう組み合わされていくのか,介護保険が実施された後どういう実施体制がとられるのか。現行の福祉施策や保健衛生施策が,介護保険の実施により切り捨てられることがあってはならない。

 

宮下委員

  デイケアやショートステイを利用した結果,痴呆症状が改善されたのに,介護保険によって,よくなったということでサービスを受けられなくなるのではないか不安だ。痴呆症状のある家人が退院後どうすればいいのか途方にくれている知人もいる。少子化の問題と関連して,老人と小さい子供を同時に抱えている家庭はたいへんだ。障害者については,重度障害者が近くにある老人ホームの風呂を使うことができないが,そのあたりの融通はきかないのか。

  子供が精神的な原因で視力低下になったとき,保健所と病院と学校の先生のつながりがほしいと思った。病院でも毎回担当の医師が変わり不安だった。名古屋には訓練士が充実している病院があり,予約制で1人の子供に長時間かけてじっくり診てもらえた。また,障害児が脳の手術をしたときには,脳外科と小児科の連携がうまくいかなかった。

 

森田委員

  本日の説明では地域医療やプライマリー・ケア,ホームドクターの問題に触れられていない。介護保険を実施する段階で要介護の認定に医師がかかわってくる。今の医療の現状を見ると高度医療のできる大病院に患者が集中している。医療の専門化が進んでいるせいもあるが,少し前まではたいていの家庭がホームドクターを持っていた。高齢者にはホームドクター的制度が望ましい。イギリスなどはホームドクター制度を持っているが,京都市が独自のホームドクター的な考え方を打ち出していける可能性があるのかどうか,議論する価値はある。

 

北村よしえ委員

  精神障害に関しては,10年前に入院隔離から地域医療に転換し,地域の診療所に通う精神障害者が増えた。8,9千人という精神障害者が地域で生活しているわけだが,生活していると怪我もすれば病気にもなる。その場合,障害者自身が地域の総合病院や診療所にうまく行けない。

  例えば歯医者では20項目にわたり身体の具合や既往症病歴などについて記入させるが,それに苦痛を感じる精神障害者は多い。インフルエンザで発熱した場合も地域の医者に行けず,精神病院に行くことになるというような例は数多い。ケア・マネジメントしてくれる人,この人の症状はこの程度で,こういう障害を持っており,こういう心配があるという仲介をしてくれる人が必要だ。保健所の精神相談員に頼みたくても,各保健所に1人しかいないので,1人ひとりのケースに手をかけていられない。

 

浜岡部会長

  介護保険の導入に伴い保健,福祉,医療がどうなるのか,人材養成,介護保険の人的対応はどうか,現行よりサービスが悪くなることはないのかなど,いろいろな意見が出ていたが,事務局から答えられることはあるか。

 

事務局(木野村民生局社会部長)

  介護保険の対象者の実態をどうつかんでいるかということについては,昨年夏から秋にかけて施設入居者,在宅者を含めた調査を実施し,先ほど北川委員からご報告があったような全体的数値を確認している。高齢者保健福祉計画が平成11年が最終年度となり,現在介護保険の事業計画にとりかかっている。そこで介護保険の事業全体の量を見直し,明らかにしていきたい。

  現行事業については介護保険後も継続するのかというご質問については,現在検討中であり,市の財政事情も厳しく,内容によっては被保険者の保険料に跳ね返ってくる部分もあるので,総合的立場から取り組まねばならないと考えている。

  社会資源としての施設整備がどうなっているかについては,ホームヘルパーの確保などは現段階で3,000人以上確保しており,事業計画の目標は達成している。

  デイサービスやショートステイの利用で状態が良くなった高齢者が介護保険でサービスを利用できなくなるとまた元にもどるのではないかということは,審査会の中で判断することになる。重度障害者の入浴や生活訓練について老人ホームで対応できないかについては,障害のある人のデイサービスセンターが市内に3箇所あり入浴サービスをしているので,そちらに相談していただきたい。

 

事務局(今井保健局次長)

  精神障害者対策について,京都市においては精神保健福祉計画を策定中で,基本的には心のバリアを取りのぞくことを目的としている。計画策定に当たっては平成9年度にニーズ調査を実施した。それに基づいた数値をもとに精神障害者の社会復帰プロセスを明らかにする施設の建設もしていきたい。

  地域交流としては心のふれあいネットワークの構築,支援パートナーの養成,平成11年度からはふれあい交流サロンに取り組みたい。今後は精神障害者の社会復帰を促進するため,復帰モデル事業として復帰プロセスが一般市民に理解していただける複合施設を整備したい。

  地域でのケア・マネージメントについても,保健所の福祉相談員を増やしている。今後心の支援パートナーの養成も含め,人材育成に努めたい。福祉計画の中で数値目標を明らかにし,各施策を計画的に実践していきたい。

 

渡邊副部会長

  2つ意見を述べたい。1つは禁煙対策で,喫煙者の経済的損失は学問的に立証されている。基本計画の中に禁煙を掲げていただきたい。そのために庁舎内の分煙を進め,庁舎内の会議は禁煙にし,喫煙場所以外には灰皿をおかない。金もかからず,健康被害も少なくなるので医療保健にもプラスになる。グランドビジョンにそれをきちんと位置づけて書けば,京都市が健康のことを考えていると市民にアピールすることにもなる。

  すべて保健対策は仕組みの問題で,すべて医療で解決がつく問題であれば保健対策はいらない。症状が出て医療機関に行き,正しい治療がしてもらえ,すべて治って何の障害も残らないのであれば医療だけでいい。難病対策,精神保健対策,癌対策がなぜ必要かというと,早期発見,早期予防・一次予防してその発生を防ぐという普通の医療の中ではやり切れない部分があるわけで,精神医療についても診断と治療だけではできない,地域ケアをしなければならない。介護についても同じだ。どういう仕組みをつくっていくのかである。

  京都市ではいろいろ施策を実施しているが,かなりの部分は医療でもやっている。例えば癌検診を受けなくても,医療機関で検査をしている。医療と保健の連携がうまくいっていない。検診の情報がどのように医療の中で生かされているのか,逆に医療の情報が保健の中で生かされているのか。例えば脳卒中で倒れて半身不随になってケアが必要になっても,地域の保健婦などに情報が伝わっていない。府医師会では脳卒中登録をしているが,そういういろんな連携や仕組みを今後いかにつくっていくのか。その際現場が大事で,ときに問題は起こるが大部分はうまくいっている現場をどう組み合わせるか。保健所と福祉事務所の統合についても,1人の事例についてヘルパーと保健婦と栄養士がどういう論議をしているのか,その論議を恒常的にしていく仕組みはどうか。それがまさしく京都市の機構改革であるべきだ。

  お金をかけずどう市民の納得できる仕組みをつくっていくか。その知恵を絞るのがグランドビジョンの役割であり,そのためにも現場の声をすくいあげてほしい。

 

小林委員

  市レベルの問題ではないと思うが,健康保険料が高く困っている。国民健康保険と国民年金と合わせると5~6万円かかる。失業中の人は払えないのではないか。

  健康であまり病院に行かないので,健康な人が損をしているように感じる。民間の自動車の損保の場合,1年間無事故だと保険料が下がる。健康保険も健康であれば保険料に差がつくようにすれば,逆に健康管理ができて,保険財政も楽になるのではないか。市レベルで健康な人は表彰するとか,市民が自助努力で財政を助ける施策を考え,健康都市京都のイメージをつくっていってはどうか。

 

玄武委員

  老人クラブでは「寝たきりゼロ運動」を展開してきた。高齢期の健康の維持増進と老人医療制度の健全発展のために,高齢者が医療の役割や薬の使用に対する正しい知識を身につけ,適切な医療の受診と薬の使用を進める,医療と薬の学習に取り組んでいる。保健婦や薬剤師,医師にもボランティアとして協力していただいている。

  自主的調査として医療と薬に対するアンケートを実施した。4月に報告書が出来上がった時点で報告したいと思うが,そのなかでも半分くらいの人はホームドクターを持っていない。また,漢方薬や鍼灸,マッサージの利用について尋ねたところ,ほとんどの人がそれらを利用しているが,保険がきかないので高額になっている。漢方も保険医療にしてもらえるとありがたいが,そうすると本来の漢方医療ができないということを聞く。保険医療になると医療費が軽減できるのではないか。

  高齢者は長寿を喜べる,生き生きとした生き方を望んでいるが,そうすると介護保険にかからない人が約70%程度になるのではないか。年金生活者がほとんどであり,保険料がどの程度か,医療費との関係はどうなっていくのか不安だ。介護保険は要介護の30%の人には必要だが,残り70%の人にとって果たして必要なものなのか。高齢者に対する負担の大きさを考えると忸怩(じくじ)たるものを感じる。

 

竹下委員

  行政の本来の仕組みで階層別に施策ができている。身体障害者,精神障害者,さらにそれを分化し,障害別に分けるという形で,一定のニーズを持った集団を施策の対象としていく面がある。それも重要だが,同時に逆の視点,1人の市民から必要な施策は何かという組み立て方が大事だ。ライフ・スタイルとかライフ・サイクルという言葉や,ケア・マネジメント,介護プランという言葉があるが,対象となる市民1人ひとりの立場に視点をおき,施策をどう組み合わせていくか。2つの視点がなければならない。

  医療,保健,福祉が1つの行政施策として動く体制になりつつあるが,1人ひとりの市民のニーズを満たすために今ある施策の組合せや足りない施策をどう補うかを考えるべきだ。

 

中原委員

  タバコについては「禁煙・分煙・節煙」というのが厚生省の出した方針だが,少なくとも分煙を推進して非喫煙者が喫煙者の煙に曝されることのないような社会をつくるべきだ。それが世界的な流れでもある。

  ケア・コーディネーションということでは,民生は基本的に申請主義で情報がないと分からないが,それに対して保健衛生には問題を発掘し,いかに解決を導きケアを提供していくかという能動的な面がある。大区役所制で保健と福祉を統合したということだが,まだ実効はあがっていないようだ。

  保健と民生を統合した実績のある都市もあるが,そこでは保健婦の役割が大きい。衛生の第一線で働き,地域の問題を発見し解決していくことが保健婦の本来の使命だ。近年では事務手続きが多くなり,保健婦本来の仕事ができなくなっている。保健婦の活動を強化することで解決する部分がかなりあるように思うが介護保険などで手をとられてしまう。保健婦機能の現状と,保健・福祉の連携の中でそれをどう活用していくか。保健婦機能の重要性を指摘しておきたい。

 

浜岡部会長

  地域や在宅での対応が重要になるという指摘が出ているが,「かかりつけ医」の問題を含めていくつかの取組が資料の中で触れられていなかったという質問に対して,事務局から何か答えることはあるか。

 

事務局(田中保健局長)

  地域医療の業務は都道府県と市町村に割り振られており,医療法により病院の開設や病院の施策は府の業務となっている。そういう意味で「かかりつけ医」の制度が普及していくためには医師に対する支援が必要であるが,高度の医療機器を病院で利用できる制度とか,オープン病床の病院に開業医を通じていつでも入れ,病院の医師とかかりつけ医が責任をもって診察する制度とか,病院と診療所の連携事業など,すべて府がやっている。介護保険の施行の中では,かかりつけ医の意見が重要になるので,これからの課題という認識をしたい。

  禁煙・分煙の推進ということでは,現在庁舎内では時間分煙を実施しているが,空間分煙についても検討したい。

  介護保険については,保健医療の立場から言うと,これから介護保険から漏れた人,自立と判定された人や元気老人も含めての予防福祉,介護予防の分野での参画がまだまだあるのではないかと考えている。

 

浜岡部会長

  民生分野と保健分野のアプローチが違っていて,待っているタイプか出かけていくタイプかという話があった。今回の報告でも知的障害者を含め権利擁護について書きこまれているが,介護保険の中で申請を支援する仕組みがないとうまく利用できないのではないかということも含めて,権利擁護対策が保健福祉施策を実際利用する際に重要になってくるのではないか。このあたりについての準備は進んでいるのか。

 

事務局(木野村民生局社会部長)

  制度をどう確保し保障していくかということと,1人ひとりの高齢者や障害者の権利をどう守っていくかということが課題になっているのはご指摘のとおりだ。京都市としては平成11年度の予算を確保し,どう制度化していくかという準備のための検討を始める。

 

北川龍彦委員

  医療については,医療機器に予算がかかるのか,医師にかかるのか,薬にかかるのか。保険料がそこに含まれていて,分野的にどう解決されているのか患者から見るとはっきり分からない。医療の中で医療機器に対する国や府市の援助はどうなっているのか。手当てというような人間味のある医療が近年なくなっている。機械の検査結果を見て診断されているようで不安だ。また,検査は患者にとっては精神的に苦痛だ。検査をしなければ医療費が保険料に加算されないらしいが,そのあたりは何とかならないのか。

 

中原委員

  今は検査しないと正確な診断がつけられない。迅速に結果が分からないのでその間患者が不安を感じるのは理解できるが仕方がない。国の医療保険制度によって医療の内容が変わるのはおかしいが,実際は医療機関も霞を食って生きていくことはできない。

  生活衛生については社会の縁の下の力持ちのようになっている。ほとんど問題は起こらないが,O157などマニュアルを超えた問題が起こった際には衛生研究所などの後方支援が重要になる。こういうところの強化が重要だ。

  保健所は専門行政機関で,いろんな専門家がいるが,専門家は絶えず勉強しなければならない。それを保障していく仕組みが行政の中になく,研修の重要性などが理解されていない。新しい知識をどんどん吸収する機会をつくってほしい。また,今日ではインターネットで世界の情報が瞬時に手に入るツールがある。導入されているかどうか分からないが,保健所をはじめとする専門的な行政機関に対して,後方支援の目に見えないところに新しい技術や研修も含めたツールの導入をお願いしたい。

 

(2) その他

浜岡部会長

  この部会のテーマ別討議は本日でひと区切りとしたい。部会で出た意見については起草委員会で全体の政策に反映できるものは反映していきたい。テーマ別の討論では基本計画にかかわる具体的なご意見も出たが,それらについても論点を整理し議論する機会を設け,その後基本計画の策定に移りたい。

  次回は起草委員会から基本構想の素案が示される6月頃に,各部会とも一斉に審議を再開することになっている。

 

事務局(木野村民生局社会部長)

  国保制度について説明しておきたい。京都市の国民健康保険は国の委任事務としてやっており,これを支えるのは国の国庫支出金と被保険者の保険料である。被保険者が増え,保険料が膨らんでいくとたいへん大きな負担になるので,平成11年度には100億円を超える単費を出してバランスを図っている。京都市の場合平成9年の料金改定以降は額を据え置いており,1人当たり6万9,108円で政令指定都市の中では9番目と低いほうだ。これについては一定の減免措置制度もあるのでそのあたりでフォローしていきたい。

 

浜岡部会長

  それでは本日はこれで閉会としたい。

 

 

3 閉 会

 

 

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