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京都市の基本構想・基本計画(資料編)/京都市基本構想等審議会/第8回 都市整備・交通部会

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2001年2月1日

21世紀・京都のグランドビジョン 京都市基本構想等審議会 記録/第8回 都市整備・交通部会

日 時 : 平成12年4月25日(火) 午前10時~12時

 

場 所 : 京都ロイヤルホテル「青雲」

 

議 事 :

(1) 基本計画策定作業の進め方等について     

(2) テーマ別討論「都市空間のあり方」について     

(3) その他

 

出席者 :

◎飯田 恭敬(京都大学大学院工学研究科教授) 

上村多恵子(詩人,京南倉庫㈱代表取締役社長)

○北村 隆一(京都大学大学院工学研究科教授) 

木村 陸朗(京都府バス協会会長) 

高松  伸(京都大学大学院工学研究科教授) 

西村  毅(京都青年会議所特別顧問) 

野間光輪子(京町家再生研究会幹事) 

三村 浩史(南区基本計画策定懇談会座長,京都大学名誉教授,関西福祉大学教授) 

宗田 好史(中京区基本計画策定懇談会座長,京都府立大学人間環境学部助教授) 

中谷 佑一(京都市副市長)                                

 

以上10名 

◎…部会長     (50音順/敬称略) 

○…副部会長

 

 

1 開 会

飯田部会長

  ただいまから,第8回都市整備・交通部会を開催させていただく。

  当部会は昨年8月以来の開催となるが,その間,昨年12月に基本構想が市会に提出され,全会一致で議決された。本日から基本構想に示されたくらしに安らぎ,まちに華やぎのある21世紀の京都を市民とともにつくっていくため,今後10年間に取り組むべき政策についてご議論いただくことになる。

  議事に入る前に事務局である総合企画局の人事異動について紹介していただきたい。

 

 ――(事務局自己紹介)――

 

 

2 議事

(1) 基本計画策定作業の進め方等について

飯田部会長

  資料1については事前に送付させていただいているので,説明は2点だけにとどめる。

  1点目は「想定される策定作業の流れ」。4月から6月にかけ各部会で京都市の作成する資料を参考に計画に盛り込むべき事項をテーマ別に議論する。その後各部会での検討結果を持ち寄り京都市の考え方等をも踏まえ,調整委員会で素案を作成する。また,それと並行して調整委員会では特定部会に属さないテーマ「市民のあり方,行政のあり方」や財政問題等について検討するが,部会では素案の段階でご意見をお聴きしたい。

  第1回調整委員会では複数部会に関連するテーマの取扱いが議論されたが,部会ごとのテーマ別討論の後,素案を審議する段階で関連の深い部会を中心に他部会に任意でご参加いただくことを考えている。具体的な参加方法については他の部会長とも相談のうえ,報告させていただくことになる。

  2点目は基本計画の構成。大きく「前文」「政策」「推進」の3部構成とし,「政策」部分を「安らぎ」「華やぎ」「市民のあり方,行政のあり方」の3項目に分け,10年間に取り組む主要な政策を掲げることとする。

  なお,京都市長から当審議会に対して「市民感覚からの議論の積み重ねによる審議会の意思形成」「行政が責任を持って実施できるものであることとの接点を見出すことによる計画の実効性の確保」「既存の枠組みを超えた大胆な発想に基づく京都ならではの政策の立案」という3点の要請があったことを紹介しておく。

  特にご意見,ご質問がないようであれば,テーマ別討論に移りたい。

 

(2) テーマ別討論「都市空間のあり方」について

飯田部会長

  討論に入る前に,当部会におけるテーマ別討論の今後の進め方を説明しておきたい。テーマ別討論は6月までに3回予定しており,今回は「都市空間のあり方」をテーマに「土地利用と市街地の整備」「景観」「公園・緑地と都市緑化」「住宅・住環境」の視点からご議論いただき,今回検討し尽くせなかった視点については,次回に「交通」の視点を交えて引き続き議論を予定している。6月には「都市施設整備のあり方」について「交通」「河川」「水道」「下水道」の視点からご議論いただく。

  次に,検討資料の構成について説明する。「基本構想における関連記述」は,各テーマに関連した基本構想の記述の抜粋である。「政策の検討項目の例示」は,今後10年間の京都市の政策の方向についてご議論いただく柱となる検討項目を例示してある。審議会の自主性の尊重ということで,行政の案を示すのではなく議論の素材として出されている。これまで行政が取り組んできた主要施策・事業は参考として示している。こうした構成でテーマ別に資料をまとめていただいている。

  それでは最初に資料を説明していただく。

 

都市計画局(西局長),建設局(野嶋局長)

  ――(資料2「基本計画検討資料「都市空間のあり方」」に基づき説明)――

 

飯田部会長

  特に質問がなければ意見交換に移りたい。今回の基本計画はこれまでとは異なる斬新なものを目指している。既成概念にとらわれない自由な政策論議を行うと同時に,行政の責任ある基本計画として実効性を伴なったものにしなければならない。事務局は質問に答えるとともに,われわれの意見に対して反論もしていただきたい。厳しい財政状況の中での政策の取捨選択,スクラップ・アンド・ビルドの考え方を徹底した建設的な議論をお願いしたい。

 

宗田委員

  資料を見たときは根底となる都市構造全体の議論をしておく必要はないのかと思ったが,基本構想の第2章第3節にかなり具体的に都市構造について書かれており,それを踏まえながら議論していけばいいと思う。

  基本構想にある市民の主体的な参加という観点から「保全・再生・創造」を考えたとき,今の施策は本当に市民の主体性に裏付けられたものであるかどうか。電線の地中化にしても,財政負担や土地の提供の話になるとなかなか進まないのが現状で,当事者である企業や地権者が熱心に取り組んでいるとは思えない。景観保全論者の意見だけでなく,地域の声を丁寧に聴く必要がある。この10年間で京都市民の景観に対する考え方はずいぶん変わってきており,昔からの京都の景観保全に関する条例や施策がその変化についてきているかどうかも検証しなければならない。景観施策が木や森,文化財を守ることから,市民の好む町家や場所を守るというような市民の要求を取り入れたものになり,当事者である建物の権利者や当該地域の住民とどう折り合いをつけていくかが問題になっている。市民の目でこのような規制でいいのか,市民の望むことは何かを検討していきたい。市民の目で取り組むべき景観,交通,住宅政策を考えていく時代ではないか。

 

上村委員

  京都の開発を阻んでいるものに埋蔵文化財に関する法律がある。工場移転の際に遺跡が出て,次の工事が遅れているのではないか。京都は掘れば何か出てくる所であり,京都型の埋蔵文化財調査手法は考えられないか。

 

飯田部会長

  事務局から何か答えられることはあるか。

 

都市計画局(岡本理事)

  埋蔵文化財は文化市民局の所管だが,京都にとって埋蔵文化財は難しい問題だ。特に北部の開発は多くが埋蔵文化財にかかわる。いったん壊された文化財は修復できないので,北部については原形保存に記録保存も加味しながら保存していくという基本は崩せないと思う。南部の高度集積地区周辺には遺跡の出る可能性は比較的少ないと考えられるので,地下構造物に大きく影響する高層建築物等については,できるだけ南部でやっていきたいと考えている。

 

宗田委員

  埋蔵文化財という国民共有の財産が事業者や土地所有者に負担をかけていることは事実だ。文化財行政も登録文化財制度から市民文化財へと,市民の望むものを保存する形に変わりつつあり,埋蔵文化財についても地域の状況に応じた保存の仕方を考える必要がある。開発を急ぐのであればその地域については重点的に優先して調査するといった柔軟な対応や,開発主との丁寧な協議が必要だが,埋蔵文化財に携わる専門家や行政担当者にそれが十分理解されていないということも問題だ。他方で埋蔵文化財に対する市民の関心が高まり,市民がボランティアとして調査に参加することも増えている。京都市の場合,埋蔵文化財の問題がもっと市民の目に届くようにすれば,市民の間で議論され,急いで調査が必要であれば市民がボランティアで参加して調査するようになる。もっと情報を開示する必要がある。

 

野間委員

  京都はこれから先も「都市」であり続けるのか。交通アクセスの問題など長いスパンの計画を進めていくうえで,日本の都市としてイメージされるような都市機能を持ち続けるのか。新しい高速道路は京都から離れたところを通り,リニア新幹線も京都には止まらないようだ。京都は日本の大都市像から外れてきている。先の戦争で大半の日本の都市が焼失し,京都はその時点では非常に優位な位置にあったが,このようになってきたのは戦後日本の都市政策に京都が合わなかったからで,京都の向かうべき方向がその方向ではないことを示しているのではないか。都市内の基盤整備を一般の他都市と同様に考えていくのか,京都を特殊な都市として考えていくべきなのか。政策の検討項目の中の「経済・文化活動を支える都市空間づくりのあり方」以下の部分についてはそれを考えないと方向性が見出せない。

 

北村隆一副部会長

  われわれはアルバムの中の古い写真が色褪せてきたからといって捨てたりはしない。スクラップ・アンド・ビルド型の考え方は,今の時代に応じた機能を果たさなくなったものは壊して新しいものに建て替えるということで,自分の育ったまちに20年経って行ってみると何も残っていないということになる。基本構想には「安らぎ」という情緒的なキーワードがあるが,経済の動きによってどんどん変わっていくようなまちに果たして安らぎがあるのか。自分の育った家が20年経ってもずっとそこにあるということが安らぎにつながる場合もある。埋蔵文化財についても,人々は自分たちの過去を探ることに価値を見出しているのではないか。今の方法が最適なバランスであるかどうかは問題だが,どんどん開発し,機能の古くなったものを新しいものに置き換えていくだけでいいのか。もはや遅すぎるかもしれないが,戦災を受けなかったという京都のアドバンテージを生かす方法はないのか。京都は立派な分厚いアルバムを持った都市だが,古くなった写真をどんどん捨てていいのか。他都市とはちょっと違ったアプローチをしてもいいのではないかという気がする。

 

三村委員

  数十年前には埋蔵文化財がどんどん破壊されて問題になり,その後関係者がたいへんな努力をして守ってきた経緯がある。ある程度それが世の中に認められると,今度はどのような保全をするか,どのくらいの時間や金をかけ,それを誰が負担するかという問題が出てくる。京都での文化財の保存の戦略,運営の戦略がないと,絶対保全だけでは守り切れない。アジアの文化財はデリケートなもので,さらに京都ではそれが生き続け,変わり続けているので,それらの継承と展開の組み合わせを考えた保存計画を埋蔵文化財の視点に加えていく必要がある。今回の基本計画でもそういう指針や戦略をもう少し具体的な方法や制度,負担にまで踏み込んで示すことができればいい。

  部会構成を見ていると相変わらず市役所のゾーン区分になっている。担当部署に専門家がいて,技術と知識の蓄積があるからだと思うが,実践段階でどうするかが問題になる。例えば交通についても,自動車やエネルギーの問題をどうしていくのか。私が座長をしている南区ではいろんな環境基準が達成できない状態が続いているが,交通流をどう制御するか,沿道の土地利用をどうするかなど,複合的な交通対策をとらないと問題は解決しない。環境については環境・市民生活部会で,交通については当部会で議論することになっているが,交通を制御して,自動車も走りやすく環境にもいいという先導的な交通システムや自動車対策,新しい道路づくりはどうすればできるのか。当部会の担当部局が環境関係の部局と絶えず連絡をとり合い,環境関係の専門家にも当部会に参加して議論していただけるようにしてほしい。「住宅・住環境」についても,近年は福祉の問題,高齢者や子育てと住みやすい住環境は密接につながっており,複合的な専門家の組み合わせで考えていかなければならない。

  もう一つは,地域別計画とのすり合わせということだ。現在行政区別の基本計画を立てているが,各部会においても各区別基本計画の原案を十分に検討していただきたい。

  以上,環境の継承的な保存戦略と,複合的な領域における多元的な解決方法の探索,地域別基本計画への対応という3点について申し上げた。

 

飯田部会長

  いろいろ基本的なご指摘をいただいた。野間委員から京都は都市機能を持ち続けることができるのかというご指摘があったが,この問題については基本構想の際にもずいぶん議論した。京都はかつて日本の都であったが,今では取り残された状況になっており,大阪や神戸に比べても集客力や雇用力,経済活動や観光面で追い上げられたり,遅れをとってきている。都市には政治,経済,文化,教育等いろいろな複合的機能があり,それが核として都市の活動を支えるという性格を持つ。最近いろいろな制度が急激に変化しており,今後京都が都市として生き残るために何をしなければならないかが問題だ。ソフト・ハード両面があるが,阪神大震災の際にも基本的インフラが整備されていなければ対応が難しいという指摘がされたし,ハード面も重要だ。

  これから京都が「保全・再生・創造」を念頭に新しい方向を見出すためには何を考えるべきかという観点から,具体的提案をいただきたい。

 

高松委員

  基本構想が「安らぎ」や「華やぎ」という情緒的な言葉を掲げていることは自慢していい。具体的にそれをどう創造していくかが課題だ。建築の仕事をしていると常に空間がどのような素材によってつくられているのかが気になるが,京都ならではの空間を構成する素材は木造ではないか。政策の検討項目に「森と木の文化が息づく都市づくりのあり方」という項目があるが,林業の振興や循環型生産システムという観点からも木造はたいへん可能性を持っている。木材は構造材であると同時に仕上材や断熱材の性能も持ち,耐震性も見直されている。今までは木造の構造を計算する基準がなかったが,新しい木造の工法,構造計算法を開発する動きもあり,学会を含めて木造に対してさまざまな分野で注目度が高まっている。子供が将来つきたい職業についてのアンケート調査で,男の子の第1位が「大工さん」という結果を見て驚いたが,子供たちの目にも木造の仕事の可能性が見え始めているのではないか。木造の歴史を千年にわたりつくり上げてきた京都が木造に目を向けないわけにはいかない。資料を見るとこれまでの主な施策・事業として「京都国際木造建築カレッジへの補助」があがっているが,これはどういうものか説明していただきたい。

  計画を進めるに当たっては,突出したシンボリックな計画によってその他の運動が引き起こされていくことになると思うが,「大胆な発想を」という市長からの要望もあれば構想の中に「こころみ」といった表現もあるので,ここで京都市の公共建築は木造でつくるという提案をしたい。町家の保全も大切だが,シンボルとしての建築が京都では木造であることが,観光面や心の問題も含め,たいへんな波及効果をもたらすのではないか。棟梁や大工さんを育てるシステムもまだ確立されていないと思う。「棟梁大学」をつくるなど,将来に向けて木造を守り新しい文化として育てるためのシステムづくりをしてはどうか。もう一つは「木造区」という地区をつくり,そこの建築物や空間構成素材には可能な限り木を使う試みをしてはどうか。また,建築物や都市空間は触れられ見えるものであり,デザインもおろそかにできない。「京都市公共建築デザイン指針」の考え方についてもお聞きしたい。

 

飯田部会長

  高松委員から2点ほどご質問があったが,事務局からお答えいただきたい。

 

都市計画局(岡本理事)

  京都国際木造建築カレッジは京都府建築協同組合が設置している大学で,文化財の修復も含め,現代社会に対応した伝統的建築技術者の養成を目指している。平成12年度は京都市として約300万円の補助をしている。訓練生の卒業後の就職が困難など,現状では運営が難しい。

  公共建築デザイン指針は,京都市のつくる公共建築物についてのデザイン指針であり,専門家のご意見をうかがいながら今年3月に策定した。デザインそのものとマネジメントの二本立てで,ハード面とソフト面をミックスしたものになっている。京都らしいデザインについては,京都が今まで蓄積してきた建築物についての具体的なデータを示すことによって見えてくるのでは,と考えている。京都市の公共建築物以外でも参考にしていただきたいということで,各方面にお配りしているので,必要であれば次回に詳しい資料をお配りしたい。

 

三村委員

  「京都らしい」の「らしい」という言葉にはいかがわしい点がある。伝統木造建築にしても,京都だけでなく日本全体が木造建築の伝統を持つとも言える。ただ,京都には非常に高密な都市の中で木造を使ってきた伝統がある。住み方の様式や空間の使い方,演出の仕方も含めて京都の都市木造文化であり,それは形だけでなく「型」としても継承されていく。新しい建築も大切だ。木造と新素材のハイブリッドな構造もある。京都にはしっかりした素地があると思う。都市のデザインは役所より企業や市民がつくっていくものだ。景観・まちづくりセンターでくらしの景観やまちの景観を検証し,情報化していく作業に取り組んでいるが,そういう新しい動きを含めて京都の都市づくり,建築づくりの運動のような形で論議しながら進めていけばいい。

  北部は保全,南部は開発と言われているが,南にもたいへんな歴史がある。南部は近代化し,高速道路を入れてハイテクビルを建て大阪の亜流のようなまちをつくるのではなく,南部としての京都らしさ,南の京都の都市景観やデザインの構想が必要ではないか。誰かがデザインをつくり,それを互いに認め合いながら情報化し,さらに次のデザインを創造していくような市民的仕組みをつくれば,京都らしさは深まっていく。ハイブリッドの木造建築など新しい木造の可能性を試みて,それを賛え合うようにすれば,さすが京都の木造建築ということになるのではないか。

 

野間委員

  木造の話が出たが,今の建築基準法では京都市内では木造建築は建てられない。建築基準法は,昭和25年に焼け跡の東京中心に全国一律で制定された法律で,京都にとっては住環境が破壊される非常に苦しい法律だった。京町家再生研究会で昭和25年以前に建てられた建物の改造を行っているが,法的には合わせにくい。京都の景観も木造建築も現在の全国一律の法律では守れない。この機会に香港のように一国二制度にするくらいの気構えがないと,京都の景観も木造建築も中途半端なものになる。

  そういう意味では高速道路からはずれても新しい新幹線が止まらなくてもいい,京都には京都独自の歩み方がある,という観点に立って考えてはどうか。埋蔵文化財にしても,京都としてどう考えるかが基本ではないか。

 

西村委員

  景観や都市整備を誰の顔をにらんでやるのか,誰の顔を見てこの計画を立てるのか。住んでいる人,観光で来る人,産業に携わっている人などいろんな顔が交錯し,片方を立てれば片方が立たない話が多い。例えば,観光地のシーズン中は人と車でいっぱいになり,近くに住む者は日曜になると車で家から出られない。だから,観光客誘致のために道路拡張するということになると地元住民は反対する。住民のコンセンサスが得られなければ都市計画の意味がない。町家を持っている人は改修ができないなら売るしかない。住む人のために計画を立てるのか,観光でそこを訪れる人のために計画を立てるのかをはっきりさせないと,10年先にも同じ議論をしていることになりかねない。南にも守りたいものがある。地域ごとに何を主眼とした景観やまちづくりをするのかをはっきりさせるべきだ。住んでいる人に住みよさの一部を放棄して協力してもらうのであれば,理解してもらう努力がないとまちは変わらない。具体化するときには,ここはどういうエリアだというコンセンサスを持ちながら進めたい。

 

飯田部会長

  都市は多様な面を持っており,どれか一つだけということでは計画は進まない。ご指摘のように誰のための計画かということは非常に大事な視点だ。三村委員や宗田委員から住民の目で計画を考えなければならないというご意見があったが,他方で全体として調和がとれているかどうかという問題もある。いろんな考え方があるわけだが,最終的にそれをどうコーディネートしていくかの仕組みが大事ではないか。調整委員会で議論されることになると思うが,当部会からも積極的なご意見をいただきたい。

  木造を取り入れるというご提案は都市の個性化につながるが,京都のような大都市でそれが可能かどうか。京都には古い良さの残っている場所はあるが,全体としてそれを残していかなければならないのかどうか。生活や産業との関係もあり難しい問題だ。これからの都市づくりには個性化も一つの方向であり,そのための仕組みをどうするかの議論が必要になる。

 

木村委員

  交通の仕事をしているので,排気ガスと環境問題について取り上げたい。以前にも話したが,郊外のバスターミナルや鉄道駅の近くに駐車場をつくり,まちなかには自動車をできるだけ入れないというパーク・アンド・ライドという手法がある。大津ではこれまで何回か実験されているが,おおむね成功したのではないかと思う。昨年の10月から今年の3月まで大阪で同様の実験がされたが,こちらは不成功に終わったようだ。しかしくじけないでやることが必要だ。難しいだろうが,京都でもパーク・アンド・ライドの検討をしていただきたい。

 

北村隆一副部会長

  パーク・アンド・ライドについては観光と関連して,南インターのあたりに大規模駐車場をつくり,バスで市内に入るシステムができないかとか,大阪のように休日利用を見込んだ駐車場を平日のパーク・アンド・ライドに使ってはどうかという話はあるが,なかなか実施は難しい。大津でも有料にすると利用客が急減した。

  市長は観光客を5千万人に増やすと言っているが,適正な受け入れ容量もあるのではないか。パーク・アンド・ライドの駐車容量やどれだけの人がどれだけの密度で歩くかということとも絡んでくる。とにかく人を呼び入れるというやり方では,思ったほど地域には金が落ちない。車で来る人が駐車もできない,渋滞で車が動かないというのでは車から降りない。車から降りて初めて人は金を使うので,これではお金を使わないで排気ガスだけ増やすことになる。観光客を4千万人から5千万人に増やすより,3千万人に減らして質の良いサービスを提供し,それにみあった適当な対価をもらうほうが戦略としてはいいのではないか。観光戦略にも発想の転換が必要ではないか。

 

三村委員

  舩橋市長時代に「マイカー観光拒否宣言」で一連の施策があったが,効果があったのかなかったのか。

 

北村隆一副部会長

  当時と今とでは時代が違う。当時は高度成長期で,自動車を保有することが進歩や富の象徴だったため,マイカー拒否に対する反発もあったようだ。今は自動車交通の問題は広く一般に認識されており,自動車規制を打ち出すと当時とは違った受け入れ方をされるのではないか。

 

宗田委員

  当時は市民や観光客の不評を買ったのかもしれないが,今は「歩くまち京都」への要望が各方面から上がっている。観光についても都心から自動車を排除して歩くまちにすれば,都心にもっと多くの人を収容でき,近郊から人が来て,結果的に都市商業が潤うことになる。これが京都市観光振興基本計画で言う,まず市民が楽しみ,市民がホストとなってゲストを迎えるという都市型観光であって,都心で遊ぶ京都市民まで数えれば5千万人は達成できない目標ではない。環境団体からも都心の交通問題を何とかしてほしいという要望が出ており,例えば河原町通トランジットモール化の議論や百円バスの運行など具体的取組も始まっている。周辺商店街でもコミュニティ道路をつくるなど歩行者優先は着実に進んでいる。京都市も相当頑張って取り組んでいると思う。もっと宣伝すればよい。

  今までの京都市の基本計画では観光に対する配慮が少なかったように感じる。今までは開発型の観光計画だったが,西村委員のご指摘のように,限られた都市空間,特に道路をどうシェアリングするかは重要な問題だ。休日や観光シーズンの土地利用や交通計画に制御という視点が必要ではないか。フィレンツェやローマなどイタリアの観光都市でもシェアリングの視点に立って,マイカーだけでなく観光バスがどこまで入っていいかを制御し,それに合わせて駐車場をつくっている。

  基本構想には「歩くことが楽しくなるようなまちづくり」ということが書かれているが,「楽しくなるような」という部分での工夫がもっと必要だ。古いアルバムを大切にするというところに21世紀の京都の存在意義を求めることについてはかなり合意形成されており,構想にも書かれている。ただ,アルバムの中の写真の質にこだわりたい。卒業式や七五三の写真の中の自分自身より,若い頃の母親の顔や卒業写真の自分の周りに映っている人物に感動を覚えるように,一人一人の市民の感じる京都らしさや京都の歴史,京都の思い出は多様であるはずだ。「これが京都市の文化遺産だ」というものを守って良しとするのではなく,安らぎや華やぎという情緒的視点に立って市民の思いを大切にしていこうというこのグランドビジョンにおいては,まちなかの町家や路地など,古いだけでなく市民の思い出があって市民が楽しく暮らしている,だからこそ観光客も来るという細やかな感覚のある空間を大切にしなければならない。それが「歩くことが楽しくなる」という部分を現実的にしてくれる。従来型の計画でない市民一人一人の思い,アルバムの中の写真をうまく選んでコラージュするという発想の転換が必要だと思う。

 

飯田部会長

  交通については次回ご議論いただく予定なので,それ以外のテーマについてのご意見をうかがいたい。

 

野間委員

  基本構想に「安らぎ」というキーワードがあるが,京都というまちは日本人の精神安定装置だと思う。観光にしても,お伊勢まいりも四国の八十八ヶ所もすばらしいが,その中で京都の観光がどういう位置にあるかを考えなければならない。観光に基本的視点を定めて計画を考えれば,それが市民の生活を経済的にも安定させていくことにもなるのではないか。質の高い集金力の高い観光のあり方を考えるべきだ。計画していくうえで一つポイントを決めると非常に計画しやすい。それを受けて安らぎや華やぎを具現化していく施策がとれればいいのではないか。

 

西村委員

  以前も話したが,家は30年で建替わる。室町の問屋のほとんどは外見は鉄筋でも中に入ると靴を脱いで商談する昔ながらのスタイルを残している。何十軒かが次に建て替えるときに表構えだけでも京都らしい店構えにすれば,30年後には町並みが変わり,その通りは人の集まるスポットになる。行政から少し補助があるとか,一緒にやろうという人がいればまちは変わっていく。産業エリアだからできることだが,ピンポイントでいいからそういうスポットを見つけてこの10年の間に何らかの実例を残さないと,アイデアのコンクールだけで終わってしまって何も残らない。高松委員から木造というご提案があったが,門構えから玄関先までは木造にするとか,そこに行政の応援があれば,働く人にも訪れる人にも近隣にも受け入れられる。誰かが我慢するような計画でなく,誰もが賛成できるような具体的な計画にまで踏み込んでいいのではないか。

 

上村委員

  連担設計制度は京都の袋地再生や町家を面として建て替えるためにつくられたような画期的な法律だったが,この制度をもっと広く知らせ,町家再生や職住近接などと複合させてまちなかの再生ができるといい。実際に連担設計制度を使った事例はあるのか。

 

都市計画局(岡本理事)

  連担設計制度は京都のために建築基準法が改正されたようなもので,試験的に実施したものが1例と,制度が発足して後に実施した3例があり,現在計画中のものもある。実例を示すことで,事業者にも反響を呼び,広く行き渡ればいいと考えている。課題としては,路地の居住者が高齢化しており,資金計画の関係などで難しいということがある。

  京都市内で木造が建てにくいことについては,京都市としても悩んでいる。今の法律では木造に対立する価値として防災がある。建物の防災能力だけ考えるのでなく,建物自体の防災力にプラスするソフト面での防災能力,つまり地域の防災力や消火器などの建物以外の防災力を加味した形で,何か防災的価値に負けない工夫ができないかを検討しているところだ。

 

宗田委員

  問題提起をさせていただきたい。今都心商業が急速に変わろうとしている。デパートが危機的状況にあり,一方で零細な商店街も危機的状況にある。大店立地審議会が始まるが,京都でも商業地の産業構造が急速に変わろうとしている。久御山にシネマコンプレックスを備えた大型店ができたが,欧米のハイパーマートのようなレジャー機能を備えた大規模小売店舗が郊外にどんどん立地する可能性があり,京都市内でも準工業地域の工場等の空地に大規模店舗が立地すると,都心の商業地図が変わってくる。このことは都市構造と交通に大きくかかわるが,京都の商業ビジョンはそこまで詳しく説明していない。

  中京区の基本計画では,にぎわいをどう呼び戻すかを重点的に検討しており,室町通や新町通など問屋町の小売業態化を促進し,できれば御池通をファッションタウン化して,四条通と御池通という性格の異なる2つの通りに都市型の未来型商業施設を誘致する計画をつくっている。鉾の通る新町通は電線地中化を要望するなど周辺景観整備を,室町通はアートセンターやイタリア文化会館などが立地しつつあり文化性を重視した整備を検討している。21世紀に向けて都心は商業という観点から見ると難しい転換期に来ている。

 

高松委員

  基本計画の構成イメージがあるが,基本計画の戦略的イメージがどういうものかこれでは分からない。当初はガイドラインの作成かと思っていたが,そうではなくガイドネットのようなものの作成だと思う。資料の近畿圏基本整備計画における「多核格子構造」という言葉を借用すれば,全体をくくるようなネットレベルと,網の目の結節点である核の部分と二通りの視点が必要ではないか。ネットの話では,ユニバーサルデザインや歩くまちをどう考えるか,合意形成の手法をどうするか,パーク・アンド・ライドのシステムをどうするかというようなことがある。結節点の話では,どのようなスポットをどのようにして残していくのか,法規特区のようなものをどうつくっていくか,ファッションタウンをどこにつくるかという具体的に踏み込んだレベルになる。両方をきちんと議論しておかないと,従来のガイドライン作成の範囲で終わってしまう。

 

飯田部会長

  非常に大事な点をご指摘いただいた。都市はその都市だけで自立できるわけではない。京都の中だけで考えるのでなく,大阪や神戸といった隣接都市との関係,日本や世界各地とのつながりという視点も必要だ。

 

三村委員

  高松委員のご発言に共感を覚える。京都には都市としても市民にも中華思想のようなものがあるが,最近は都市間競争が激しく,どう都市の魅力を演出していくかという戦略がなければならない。観光にしても,今までのように社寺中心に周辺を回る観光では観光客が減って当たり前だ。木造都市にしても,日本の地方都市にも伝統的木造建築が残っており,京都における木造都市とはどういうものかということを他都市との比較,競争関係の中で位置付けていかなければならない。都心のファッション化にしても,ずらっとブティックが並ぶのが京都らしいとは思えない。新町や室町が本来の流通業務に加えて和装や服飾のミュージアムとして魅力アップし,東京の小さなミュージアム運動のようなまちを歩けば面白くなる方法を考えてはどうか。京都には20くらいの面白いまちがあるが,それが郊外も含めて競い合うようなところが必要だ。観光にしても,他の面白くて物価が安いアジアの都市と比べて,国際的に京都の魅力が伝わらなくなってきている。京都中心主義もいいが,絶えず競争相手を見ながら自らの位置付けを考えなければならない。環境や交通,商店街等を考える場合も,個性あるものを追及していく姿勢を貫かなければ競争に勝てない。

 

飯田部会長

  観光については,中国では現地の生活体験をすることが外国人にたいへん人気があるということだが,京都の文化に触れるために個人の家に滞在して生活体験してもらい,京都の文化の良さに直接触れてもらうようなやり方もある。

  本日は第1回目ということで十分ご議論いただけなかったが,次回以降に具体的な話に入っていただければと思う。

 

(3) その他

飯田部会長

  本日のテーマについて残った検討項目については,引き続き次回ご議論いただく。本日のご意見については調整委員会に報告し,素案づくりに生かしたい。次回の日程については事務局で調整の後連絡させていただく。

  それでは,本日はこれで閉会としたい。

 

 

3 閉 会

 

 

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