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京都市の基本構想・基本計画(資料編)/京都市基本構想等審議会/第2回 福祉・保健部会

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2001年2月1日

21世紀・京都のグランドビジョン 京都市基本構想等審議会 記録/第2回 福祉・保健部会

日 時 : 平成10年11月30日(月) 午前10時~12時

 

場 所 : 京都ロイヤルホテル「青雲の間」

 

議 事 :

(1) 審議会の進め方について

(2) 第1回起草委員会開催結果報

(3) 福祉・保健分野についての基礎資料説明

(4) テーマ別討論「高齢者福祉について

(5) その他

 

出席者 :

北川 龍彦(京都市民生児童委員連盟会長)

北村よしえ(京都市精神障害者家族会連絡協議会会長)

小林 達弥(市民公募委員)

◎浜岡 政好(佛教大学社会学部教授)

宮下れい子(市民公募委員)

森田 久男(北区基本計画策定懇談会座長,元佛教大学教授)  

横田 耕三(京都府医師会会長)

薦田 守弘(京都市副市長)

 

 

以上8名

◎…部会長     (50音順/敬称略)

 

 

1 開 会

浜岡部会長

  第2回「福祉・保健部会」を開催させていただく。

 

 

2 委員紹介(前回欠席委員)

浜岡部会長

  前回ご出席いただけなかった横田委員に自己紹介をお願いしたい。

 

横田委員

  10年前の基本構想委員会に知人が出ていたので,当時将来の京都の保健体制についてよく議論した。前回の構想の中には今日に十分通用するものが盛り込まれている。前回討論されたことをいかに補足していくか,今日的な問題を新しい切り口で討論していかなければならないと考えている。

 

浜岡部会長

  本日は北川委員もご出席の予定なので,お見えになり次第,自己紹介をお願いする。

 

 

3 議 事

(1) 審議会の進め方について

浜岡部会長

  最初に,11月4日に正副会長・部会長の間で合意された審議会の今後の進め方についてご報告申し上げたい。 ――(資料1「審議会の進め方について」に基づき報告)――

 

(2) 第1回起草委員会開催結果報告

浜岡部会長

  続いて,第1回の起草委員会で出た意見について,簡単にご報告申し上げたい。 ――(資料2「第1回起草委員会検討状況報告」に基づき報告)――

  以上の報告について,質問があれば出していただきたい。後の議論で関連してご意見があれば,そのときにお願いしたい。

  北川委員がお見えなので,簡単に自己紹介をお願いしたい。

 

北川龍彦委員

  前回所用のため出席できなかったことをお詫び申し上げたい。自分の思いを資料として提出させていただいたが,丁重に扱い,審議していただいたことに感謝している。

 

(3) 福祉・保健分野についての基礎資料説明

浜岡部会長

  それでは審議に入っていきたい。最初に,福祉や保健についての基礎資料について事務局から説明いただきたい。

 

事務局(前葉政策企画室参事)

  ――(基礎資料「市民3万人アンケート調査報告書」「市民の皆さんからの提案・意見集」「審議会委員応募小論文意見一覧」「市政の各分野の構想・計画等について」「主要指標に見る京都市の位置(大都市比較)」のうち,福祉・保健にかかわる部分及び関連冊子「京都市財政のあらまし」について説明)――

 

浜岡部会長

  膨大な資料を短時間でご説明いただいたので,内容についてじっくり目を通してということにはなりにくいが,確かめたいことや質問があれば発言をお願いしたい。とりあえずこういう資料があるということをご確認いただき,議論する中で利用させていただくことになると思う。

 

(4) テーマ別討論「高齢者福祉について」

浜岡部会長

  それでは,テーマ別の議論に入っていきたい。今日のテーマは「高齢者福祉」なので,高齢者福祉について京都市がこれまでどのような取組をしてきたか,今どのような課題を抱えているのかといったことについて,引き続き事務局から資料を説明いただき,その後自由に議論していきたい。

 

事務局(松井民生局長)

  ――(資料3「「高齢者福祉」の視点から新基本構想(グランドビジョン)を考える」に基づき,OHPを用いて説明)――  

 

浜岡部会長

  それでは意見交換に入っていきたい。資料について疑問点などがあれば適宜出していただきたい。これまでの京都市の高齢者福祉についての取組への評価や,高齢者の実態からして今後こういう課題があるのではないかといったご意見をいただきたい。

 

横田委員

  京都市は高齢者福祉施設等の整備について,ほとんどの部門で達成目標に近付いているということだが,現場でいつも感じるのは,入所施設の目標数と本当に市民が求める数に差があるということだ。例えばある老健施設の場合,100床の施設に500人待機者がおり,3ヵ月で原則退所としても2,3年分は埋まっていることになる。必ずしも要求を完全に満たす供給をする必要はないが,今の目標数を達成するのみでいいのかどうか,疑問を感じる。

 

事務局(松井民生局長)

  特養でも現在 3,000人以上の待機者がいることになっているが,実際の入所打診をしてみると,半分くらいの人がもう少し家にいたいとか,その施設でなく他の施設に入りたいということがあって,必ずしも 3,000人が待機しているわけではない。

  現在介護保険事業計画を策定しているが,その策定作業の中で,高齢者の実態調査を行っている。この夏には民生児童委員のご協力で, 7,000人の実態把握調査を行い, 90%近い回答を得た。介護保険事業計画の策定過程でニーズ調査等を的確に行い,その中で乖離が出てくるようであれば,高齢者保健福祉計画の見直しも考えていきたい。

  もう1つは,この計画の中に入っていないものとして,病院が療養型病床群へかなりシフトしており,そこで施設入所待ちの解消が図れるのではないか。

 

事務局(田中保健局長)

  平成10年10月現在,老健施設で開所しているものが10施設で収容定員が 929人,現在入所できるものということでは,目標達成率29.0%となっている。また,資金面で国庫補助の内示を得て現在建設途中のものが19施設 1,837床で,これを合わせると達成率は57.4%となる。これに現在建設の相談を受けているものを加えると,整備目標を上回る。そういう意味で,老健施設数はこれから急速に伸びていくと考えられる。

  介護療養型の医療施設については,先日京都府の医療審議会の答申が出て,必要数についても答申されているが,これも介護保険の策定段階で再度見直すという付帯条件がついているはずで,介護保険の施設関連については,今後見直しされるということだ。

 

浜岡部会長

  今の計画の進捗状況と市民のニーズがうまく合っているかどうかというご意見だったと思う。

 

北川龍彦委員

  健康福祉の施設等は急速に増えているが,一方で高齢者ニーズもかなり高度になっている。平成11年10月から介護保険の要介護認定が始まるが,介護の必要状況を調査する作業,訪問調査などたいへんな人手が必要になる。十分な職員体制を組んでもらいたいが,そのあたりを京都市としてはどう考えているのか。

  高齢者の社会的活動の参加状況のデータがあったが,民生委員の実感としては家にこもって世間を知らない人が多いように思う。交流を行う中で,ボランティアの人などと折衝して新しい社会情勢を認識しながらやってもらいたい。

  また,老人福祉センターといった,大人数が交流を図るための施設は山村部に整備されているが,都心部に少人数で交流できる,元気な高齢者が互いに話し合える場が必要ではないか。

 

浜岡部会長

  とりあえず質問を出していただき,一括して事務局からご説明いただくことにしたい。

 

森田委員

  体験的高齢者福祉論になるかもしれないが,高齢者問題に対して要望や関心が高いのは当然だと思う。終末期に対する不安がそういう政策要望を生んでいるのではないか。寝たきりや痴呆に対する対策が保険制度として必要だということで,介護保険制度ができた。保険制度にはタダ乗りや悪用がつきものだが,それをなくして,最もニーズの高いところに施策を集中させる必要がある。

  施策の基本となるニーズがどの程度把握されているのか。どの程度の期間要介護状態,寝たきりであったかといった終末調査は,あまりされていないように思う。 20年ほど前の東京都の老人問題研究所の突然死の調査結果によれば,長期の寝たきりは世間が考えているほど長くはない。市内で調査可能な範囲で終末状況がどうだったか,突然死は何%,1週間以内の人が何%といったデータがあるのかどうか。ないのなら調査していただきたい。体験的には突然死が多いような気がするが,そういうデータが出てくれば市民の不安がある程度解消され,行政の施策に方向性も得られるのではないか。

 

宮下委員

  高齢者を考えるとき,健康な高齢者とハンディのある高齢者に分けて考える必要がある。健康な高齢者に関しては,地域ボランティアや空教室を利用したおしゃべりや趣味を楽しむ場があってもいいのではないか。京都市内の公園で花壇つくりやキャンプができるようにするとか,池で子供に魚釣りを教えるとか,行政区ごとのプールや,多様な世代が多様な楽しみ方ができる科学館のようなものもあればいいと思う。

  ハンディのある高齢者に対しては,デイケアやヘルパーだけでなく,施設から風呂屋や映画館に行けるとか,知的障害者や高齢者にも分かるニュースがあるとか,大きな字の新聞や本があるとか,習字や歌などが楽しめるといったことを考えてほしい。

  もう1つは,高齢者を看ている家族のことを考えてほしい。家族はとても疲れている。例えば風呂屋に連れて行けば誰かが高齢者を看てくれて,その間家族が休めるとか,ショートステイをもっと利用できるようにするといったことを考えてほしい。

 

小林委員

  今まで福祉や高齢社会についてあまり関心がなかったが,そういう一般的市民の目から見て考えていることを話したい。

  1つは数値目標についてだが,介護福祉士を目指している友人が,ヘルパーの人数はまだまだ足りないと言っていた。また民間のヘルパーと行政のヘルパーでサービスの内容やコストが異なるということも聞いた。金がないが本当にケアが必要な人が少ないサービスしか受けられないといった状況を,どうしていけばいいのか。

  2つめは,介護保険については,介護される人,介護する人,それを支援する家族という三者が見えるが,介護される人の人権はどこでケアされるのか。

  3つめは,高齢者やシルバーという言葉の中には,社会の厄介者というような意味が少し感じられる。高齢者は若者にはない,いいものを持っていると思うので,そういう高齢者の持つ知恵を活用していくべきである。

 

横田委員

  緊急通報システムの利用者数のデータが分かれば教えてほしい。

 

浜岡部会長

  質問に答えられる部分があれば,事務局からご説明いただきたい。

 

事務局(松井民生局長)

  北川委員からご質問のあった介護保険の準備体制については,この4月に介護保険準備室を発足させ,来年度からの認定作業に備えて各区に介護保険を担当する組織を立ち上げるため,財政当局等と体制整備について協議を重ねている。市民に不安を与えない執行体制をつくり上げたい。

  施設だけでなく,まちなかで小さい単位のグループ活動のできる場をというご意見については,現在老人クラブの活動が各区,学区単位で展開されており,小さい家を借りた老人クラブハウスがすでに1,360ある。これらの活性化のため,老人クラブ連合会や民生児童委員連盟,社会福祉協議会などと相談しながら,地域で支えてもらえる組織のあり方を検討していきたいと考えている。

  森田委員からご質問のあった突然死等の終末不安については,京都市の独自制度として,ひとり暮らし老人のための老人福祉員制度があり,現在 1,100人の方に声をかけたり訪問したりという活動をしていただいている。

  緊急通報システムは,緊急時にボタンを押せば近所の協力員が走ってきてくれるという制度で,データとしては,平成9年度の救急要請が1,057件,誤発報の1,239件を含めると約 2,300件の発報があった。

  宮下委員から,元気老人と介護を必要とする老人に分けて考えてほしいというご提言があったが,将来のビジョンの中でご意見を生かしていきたい。元気な人に対してはいろいろな生きがい対策事業等を行ってきており,花や野菜を育てる園芸広場もある。こういうことも今後拡充していきたい。

  「触ること,聴くこと,ほめること」がお年寄介護の基本と言われるが,その中でも聴くことはたいへんである。家族の疲れを癒すためのショートステイやデイサービスを今後とも充実させていきたい。

  小林委員の数値目標についてのご意見については,予算ベースなので,整備が遅れているところがあるが,今後遅れを取り戻していきたい。ヘルパーについては,介護保険制度になれば公民間の単価やサービスの差はなくなるのではないか。被介護者の人権に対する配慮は必要だが,あくまでも強制ではなく本人の選択が基本なので,そこで工夫すればいいと考えている。長寿者の知恵を広めていく工夫については,今後このビジョンの中で議論していただきたい。

 

事務局(田中保健局長)

  森田委員からご質問のあった終末期の調査について説明させていただきたい。人口動態統計の死亡調査の中に,高齢者の死亡について調査したものがある。これは亡くなられた時点からさかのぼって調査するもので,亡くなられるまでどれくらいの期間寝たきりだったか,その間の介護は主に誰がしていたかなどの調査である。時間をいただけるようであれば,調べてご報告させていただきたい。

 

浜岡部会長

  現在,京都市では高齢者調査が進行中だが,他市で出ている調査などを見ると多少気になる結果が出ている。平成7年の京都市の調査では,在宅の健康な高齢者の比率が平成2年時より高くなっていたので,最初は健康な高齢者が増えていると単純な理解をして喜んでいたが,内容を深く検討してみると,家庭の介護力が落ちてその分が施設などに移動していることが分かった。この間に施設介護が進んできており,実態としては施設へかなり移っている。他市のデータでも在宅での寝たきり期間や介護期間が短くなる傾向が出ているが,やはり家庭で支えきれない状況が施設への待機者が多いところにも表れている。

  しかし,高齢者自身は在宅で暮らしたいという願いが強い。このあたりのギャップもこれからの大きな課題ではないか。高齢者が在宅で,住み慣れた地域で暮らしたいという願いをどう支えられるかということだが,介護を担っている家族をどうサポートするかというあたりの施策を強化していかないと,高齢者の願いとは違う方向で問題が解決されることになりかねない。

 

北川龍彦委員

  これからいろいろ相談室ができると思うが,相談に行った人がちゃんと相談に応じてもらえるかどうか心配だ。

  また,アンケート調査は実現に結びつくものでないと意味がない。資料集めのためのアンケートでは困る。いろいろな現場の人の意見をもっと尊重すべきだ。

 

浜岡部会長

  ちゃんと市民の相談にのれる体制をどうつくるかということと,市民の意見を聴く手法としてのアンケートが聞くだけでおしまいになっていないか,意見を現実の政策に生かしていく努力をしてほしいというご意見だと思う。

 

北川龍彦委員

  民生委員は地域住民の立場に立って,ということをよく言われるが,実際に住民の側に立ってみると,高齢者についても施設がついていかないため,住民の要望にこたえられないのが現状だ。介護保険は市民が保険をかけていくのだから,行政は今までの援護する立場ではなくなる。市も思い切った施設をつくっていかなければ,窓口の相談に対応できないで困るのではないか。

 

北村よしえ委員

  これからいろいろ施設が増えるようだが,介護される本人が施設を選べるのか。どの施設に入りたいという希望はかなえられるのか。

 

浜岡部会長

  介護保険の制度から言えば,選択を保障することになっているが,現実に選べるかどうかは基盤整備次第だと思う。市民の要望にこたえられるだけのいろいろなサービスが用意できれば選択の自由が広がるが,現実にそうなるかどうかは難しい。

 

北川龍彦委員

  介護保険は2000年スタートだが,それに対応しうる施設は間に合うのか。

 

事務局(松井民生局長)

  相談にのってもらえる体制ができるのかという北川委員のご質問については,区役所の福祉部で平成9年6月に高齢者保健福祉相談窓口を設置し,今まで二元的だった窓口を一元化して対応している。平成9年6月1日から平成10年の3月までの実績で延べ 9,500余人の来所及び電話での相談を受けた。在宅介護支援センターでも同様の相談を受けており,平成9年度の延件数は185,000件となっている。今後数が増えていくので,在宅介護支援センターや区役所の相談窓口はより充実していくと思う。

  公的なところに相談に行く市民はいいが,せっかく制度があっても知らない市民が多いのではないか。そういう意味で,今後とも民生委員に,そういうところをつないでいく役割を果たしていただきたい。

  アンケートについては,現在介護保険のための要援護高齢者の実態調査をしているが,それ以外にも, 3,000人を対象にした在宅サービスの受給者調査や,在宅サービスを受けていない人を対象とした調査など,いくつか介護保険事業計画を策定するための調査が進行中で,これについては事業計画の中にきちんと反映できるようにしたい。また,市民3万人アンケート調査の結果で,施策で何を優先すべきかという市民の意見を,ビジョンづくりの中に生かしていただきたい。

  北村委員の施設を選択できるかというご質問については,選択制ではあるけれども,その時点でのニーズと施設その他の整備状況によって,希望どおりにいかないことも出てくるかもしれない。法の趣旨が最大限生かせるように,行政としては努力していかなければならないと考えている。

  最後に,平成12年4月からすべて大丈夫という状態でスタートが切れるのかということについては,予算ベースで目標を達成しても建設に時間がかかるので,少しずれ込むのではないかという危惧の念を持っているが,努力したい。

 

浜岡部会長

  状況をつかむのに時間がかかり,こういう高齢者福祉の内容にしてほしいという中身についてまで議論が進まなかったが,予定の時間になったので,本日の討議はこのあたりにしておきたい。

  次回以降は,引き続き「障害者福祉・地域福祉」「保健・医療」をテーマに進めさせていただきたい。本日のテーマは地域福祉などとも非常に重なってくるので,今日触れにくかった問題はそのときに出してもらえばいいと思う。さらに論じ切れない場合は部会開催回数を増やすことも含め,なるべく基本構想にふさわしい福祉・保健のあり方がまとめられるよう進めていきたいと思っているので,よろしくお願いしたい。

  また,全体の問題についても適宜この部会で取り上げさせていただきたい。起草委員会では今年度中に素案をまとめることになっており,次回それを紹介させていただき,ご意見を求めることになろうかと思う。

  次回は1月中ということで調整を進めているので,よろしくお願いしたい。

  本日は高齢者福祉施策についての質問,こういう点で施策強化する必要があるのではないかといった意見が出たが,このあたりの問題については,引き続き次回以降でも取り上げていきたい。

 

 

4 閉会

 

 

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