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京都市の基本構想・基本計画(資料編)/京都市基本構想等審議会/第9回 環境・市民生活部会

ページ番号35861

2001年2月1日

21世紀・京都のグランドビジョン 京都市基本構想等審議会 記録/第9回 環境・市民生活部会

日 時 : 平成12年4月21日(金) 午後1時~3時20分

 

場 所 : 都ホテル「比叡」

 

議 事 :

(1) 基本計画策定作業の進め方等について     

(2) テーマ別討論「消防・防災」について     

(3) テーマ別討論「青少年,スポーツ」について     

(4) その他

 

出席者 : 

浅岡 美恵(気候ネットワーク代表) 

石田 一美(京都市東山消防団団長) 

片山戈一郎(日本労働組合総連合会京都府連合会会長) 

笹谷 康之(西京区基本計画策定懇談会座長,立命館大学理工学部助教授) 

須藤 眞志(京都産業大学外国語学部教授) 

田尾 雅夫(京都大学大学院経済学研究科教授)

○高月  紘(京都大学環境保全センター教授) 

田端 泰子(山科区基本計画策定懇談会座長,京都橘女子大学文学部教授) 

土岐 憲三(京都大学大学院工学研究科教授) 

内藤 しげ(住みよい京都をつくる婦人の会会長)

◎内藤 正明(京都大学大学院工学研究科教授) 

J・A・T・D・にしゃんた(市民公募委員) 

野口 寿長(京都市体育振興会連合会副会長) 

村井 信夫(各区市政協力委員連絡協議会代表者会議幹事)                                

 

以上14名 

◎…部会長     (50音順/敬称略) 

○…副部会長

 

 

1 開 会

内藤正明部会長

  第9回環境・市民生活部会を開催させていただく。

  これまでご議論いただいた基本構想は昨年12月の市会に提出され,全会一致で議決された。本日から基本構想に示された「くらしに安らぎ,まちに華やぎ」というキーワードを市民とともに実現するため,今後10年間に取り組むべき政策についてご議論いただくことになる。

  議論に入る前に新任の委員をご紹介したい。本年1月に逝去された滝川委員の後任として西脇委員が,3月に退任された薦田副市長の後任として高木副市長が新たに委員として就任された。また,副市長の担当事務の変更により今後当部会には増田,高木両副市長に委員として加わっていただく。

  続いて事務局の総合企画局の人事異動について紹介していただきたい。

 

――(事務局自己紹介)――

 

 

2 議事 

(1) 基本計画策定作業の進め方等について

内藤正明部会長

  「基本計画策定作業の進め方」「基本計画の構成・枠組み」については事前に資料をお送りしているが,私から2点ほど説明しておきたい。

  4月から6月にかけ各部会で京都市の作成する資料を参考に計画に盛り込むべき事項をテーマ別に議論していただき,そこでのご意見を調整委員会に持ち寄り検討する。また,調整委員会では併行して特定の部会に属さないテーマ「市民のあり方,行政のあり方」や財政問題等について検討する。基本構想策定時に当部会のテーマであった「ボランティア」については調整委員会で検討し,素案の段階で改めて当部会のご意見をうかがうことになる。

  調整委員会では各部会の検討結果を持ち寄り,京都市の考え方等を聴いたうえで素案を作成し,基本構想と同様部会と調整委員会の間で何度か議論のやりとりをしながら12月の答申案の作成に向け進めていくことになる。

  第1回調整委員会では複数部会に関連するテーマの取扱いが議論されたが,まず部会としての専門的テーマ別討論の後,素案を審議する段階で関連する他部会への参加を考えたいということで,参加の具体的な方法については他の部会長とも相談のうえ,後日報告させていただく。

  2点目は,基本計画の構成についてで,大きく「前文」「政策」「推進」の3部構成とし,「政策」部分を「安らぎ」「華やぎ」「市民のあり方,行政のあり方」の3項目に分けて10年間に取り組む主要政策を掲げることとする。

  なお,京都市長から当審議会の委員に対するお願いとして「市民感覚からの議論の積み重ねによる審議会の意思形成」「行政が責任を持って実施できるものであることとの接点を見出すことによる計画の実効性の確保」「既存の枠組みを超えた大胆な発想に基づく京都ならではの政策の立案」という3つが出ていることを報告しておく。

  今の説明に対する質問やご意見があればうかがいたい。

 

笹谷委員

  基本構想の段階で議論した各テーマの意見はどうなっているのか。また個別テーマから議論を始めるのはいいが,市民のあり方や行政のあり方,財政の見通しについて調整委員会で議論した内容を逐一部会に報告していただきたい。

  市長の言われる「審議会の主体性の尊重」や「計画の実効性の確保」,「既存の枠組みを超えた大胆な発想の必要性」ということを本当にやろうとすれば抜本的な行政改革が必要になる。目標となる指標,評価の方法や進行管理まで含め,今までの行政の枠組みを根本的に変えなければならないが,その場合「青少年」などというテーマの立て方でいいのか。そのあたりは早い時点で認識を共有しておかないと,従来の縦割のままで積み上げられた基本計画になってしまう。

 

事務局(葛西政策企画室長)

  昨年の時点で基本計画に向けた基礎資料としてテーマごとに論点をまとめた「基本計画論点整理メモ」をお配りした。今後はこれを踏まえて各局で作成した検討資料を基に議論していただく。なお,この検討資料の「政策の検討項目」は例示であり,抜けている項目を含めご議論いただきたい。

 

内藤正明部会長

  念のためわれわれも「基本計画論点整理メモ」を参照するようにしたい。2点目の調整委員会での議論をなるべく部会にフィードバックしてほしいというご意見については,部会長としてそうするよう努力したい。また,横断的枠組みにというご意見については,後半で各部会が相互に参加し合って議論する機会を設けることがそれに一部応えることになると思うが,最初から横断的枠組みを立てて議論を始めるのは難しい。

 

笹谷委員

  難しいのは分かるが,そういう視点が市民の視点,生活者の視点ではないか。根本的に組織を見直す必要があるのは明らかで,かなり大胆なことをやることを前提として,そこまで踏み込む内容であるべきだ。

 

内藤正明部会長

  それについては調整委員会の場で議論したい。

 

(2) テーマ別討論「消防・防災」について

内藤正明部会長

  議論に入る前に資料の構成について説明しておく。最初に「基本構想における関連記述」として各テーマに関連する基本構想の記述を抜き出している。次に「政策の検討項目」として今後10年間の政策の方向性について議論していただくためのベースになる項目を例示しているが,審議会の自主性の尊重ということもあり,これにとらわれず自由にご議論いただきたい。最後にこれまで京都市の取り組んできた主な施策・事業を整理してあるので,必要に応じて議論の参考にしていただきたい。

 

消防局(原田局長)

  ――(資料2「基本計画検討資料「消防・防災」」に基づき説明)――

 

内藤正明部会長

  われわれ審議会としては,既成概念にとらわれない自由な政策論議を展開したいと考えるが,一方で実効性とのバランスも大事であり,行政も実効性を担保するよう,現実の制約等については遠慮なく反論していただきたい。財政状況が厳しいためスクラップ・アンド・ビルドがどうしても必要になるが,できればそれを含めた建設的なご提案をいただきたい。

 

土岐委員

  説明に「自助・共助・公助」という話があったが,大きく3つに分けた場合,行政が最もいろんなことをやっている。いちばんだめなのが自助で,災害に備えてどれだけの人がどれだけのことをやっているかを考えると心もとない。世の中全体が,税金を払っているのだから行政がやってくれると思っている。先日,東京で開催された文化財を地震火災から守る会合で,江戸時代の人は災害から自分の身を守ることにもっと意を注いでいたという話があった。われわれの子供の時代を考えても家の前に防火用水を用意するなど,自分の身は自分で守るという意識があった。行政はより一層市民一人一人に自分の身は自分で守ろうということを強く呼びかけていただきたい。

  耐震診断も京都市ではきわめて少ないと聞いている。神戸市などでは十数%の人が耐震診断をやっており,耐震補強まではできなくてもどれだけの危険性があるかを知る努力はしている。京都と神戸を比較すれば,京都のほうが今後大地震が起こる可能性は高いにもかかわらず,市民の関心は低い。防災の専門でない人も自分で自分の身を守る努力をする必要がある。

 

内藤正明部会長

  行政には市民に呼びかけるとともに,何をすべきかという情報支援をしていただきたい。

 

浅岡委員

  活断層がどこにあるかという情報提供はしているのか。

 

消防局(奥山防災対策室長)

  活断層の位置については調査のつど発表しており,詳しい情報はインターネットで公開している。京都の地震の可能性を市民に知っていただくことが実際の備えの基本と考え,講演会やシンポジウム,市民しんぶん等を通じてできるかぎり知らせる努力をしている。

 

土岐委員

  先日も京都市の活断層調査の講演会に2,000人もの人が集まったが,行政がうまく広報すれば市民も関心を持つ。日頃行政は淡々と災害に関する情報を流しているが,「皆さんの命がかかっている」というように少し誇張して言ってもいいのではないか。

 

須藤委員

  基本構想に記載のある交通事故や犯罪からの安全については今回の検討資料にはあまり記述がなく,別の審議会で検討しているということだが,この審議会の議論対象ではないのか。あるいは,災害が起こったときの防犯という意味なのか。消防局の管轄ではないように思う。

 

事務局(葛西政策企画室長)

  検討資料では構想の文面から防災に関連する記述を抜き出しているため,消防局の所管以外の部分も入っている。生活安全については個別の分野での検討を進めている最中で,最近の流れとしてここに例示している。

 

浅岡委員

  基本構想の記述は広い意味での防災になっており,そのための政策として考えられることのサジェスチョンが資料2の2ページにあり,3ページ以降はこれまでやってきたことで,消防の部分だけ拾ったということではないか。

 

石田委員

  京都市には警察力はないが,実際には災害や火災時には警察と消防は同じような仕事をすることになり,防犯対策も消防に関係したことという意味でここにあげられているのではないか。

 

事務局(星川総合企画局長)

  「消防・防災」というテーマになっているが,中身は消防・防災と交通事故や犯罪から安全であるための対策ということで,別の2つの分野としてご理解いただきたい。基本構想からは広い記述を抜き出している。文化市民局が市民の生活安全の施策を所管しており,現在条例をつくり,「京都市生活安全基本計画」を策定している最中だが,京都市としては総合的な取組が遅れている分野であり,具体的にあまり取組が進んでいないため記述が少ない。警察行政との関連もあって,京都市として生活安全でどこまで取り組むのかについてはまだ模索段階にあり,身近な交通安全や生活上の防犯活動を市民自らがどうしていくか,それを行政がどう支援していくかを議論している状況である。関連したテーマとして検討項目に例示している。

 

浅岡委員

  消防や地震災害だけを考えるのではなく,「安心な生活」をジャンルとして捉えたほうがいいのではないか。京都市では生活安全対策が遅れており,このテーマしか関連した審議場所がないということであれば,「政策の検討項目」であげられている項目についてもう少し議論しておく必要がある。

  もう1つは,従前施策とウエイトを変え,ハードだけでなく人づくりや組織づくり,まちづくり的なソフトの要素も入れていこうということだと思う。例えば,生活安全では地域で児童虐待をどう見つけるか,ストーカー対策をどうするかとか,交通安全では自転車が安全に走行でき,歩行者が安心して歩ける道のつくり方とか,いろんな項目が考えられる。そういう細かいアイデアを出し,他分野とつながり合う部分をつなげていくことによって笹谷委員のおっしゃったような横断的なテーマが実現していくのではないか。

  3点目は,全体の組織づくりや人づくりに関して,パートナーシップ推進室が参加し,庁内や市民との間をどうつないでいくかを議論していくことが参加の仕組みをまとめていくプロセスでも必要なのではないか。

 

内藤正明部会長

  構想は分野横断的な書き方がされており,くらしの安心・安全の大きな枠の中にこういうものが入ってくるし,細かく分けていくとどこにも入らないものが残ってくる。「くらしの安心・安全」というテーマでくくり直して分野横断的に議論する場を設けることを考えてもいいと思う。

  パートナーシップ推進室の参加については事務局で予定されているのか。

 

事務局(葛西政策企画室長)

  調整委員会で素案づくりをする段階ではパートナーシップ推進室の参加を予定しており,必要に応じて部会に参加することについても問題はない。

 

内藤正明部会長

  後半でそういう工夫があることを期待したい。

 

浅岡委員

  高台寺の公園をつくるとき,防災の関連で公園は避難所になるが,公衆トイレが犯罪を呼ぶかもしれないという両方の意見が出て議論し切れなかったということを聞いた。現場を理解したうえで組織づくりを議論しないと机上の空論になってしまうのではないか。

 

野口委員

  京都市の防災訓練はたいへん手際良くされているが,万一地震や火災が起こったとき,100%訓練時の力を発揮できるかどうかは疑問だ。大災害時には道路が遮断され,火災や犯罪が起こることが想定される。いざとなると消防や警察,自衛隊等の専門の方に任せるしかないが,警察などは実際に事件が起こってからでないと動いてくれない。警察で防犯課が生活安全課になり,京都市でも生活安全条例が昨年4月に施行されたわけだが,市民にも事故や犯罪を未然に防ぐのは個人の努力であり,それが防犯だという自覚を行政を通じて持ってほしい。住民が常に心がけていなければ交通事故や犯罪から安全なまちづくりは実現できない。

 

内藤しげ委員

  京都市には立派な防災センターがある。市民がそれを知らないのはもったいないのでもっとPRをしてほしい。

  消防団には女性団員はいるのか。

 

石田委員

  現在は女性消防団員も入団しており,募集もしている。自助の部分が欠けていることは活動を通じて痛感している。広域避難場所についても,京都市の定めた避難場所まで地震の最中に行けるだろうかなどと尋ねる人がいるが,「あなたの避難場所は決まっていますか」とポスターにひとこと書いてあれば,そんな人はいなくなる。ポスターやパンフレットなどを出す際に,何かひとこと個人に伝わる言葉を書き加えてほしい。役員の順番制も問題で,1年の回り持ちでは何をしなければならないかという自覚もできない。町内会長は2年の任期にするなど工夫してほしい。

 

内藤正明部会長

  情報も含めて仕掛けを役所で工夫してほしいということだ。

 

笹谷委員

  専門家の間では自治体の職員は半分,予算は3分の2でいいと言われている。自助・共助ということを考えると,地域レベルでの活動は環境も防災も青少年育成も重なってくる。消防局はがんばって情報を伝える努力をされているようだが,行政にも専門家にも情報を市民に伝えるノウハウがない。主婦が新聞に出たら友人などからたいへんな反響があるが,私が市民しんぶんに登場しても市民は環境に良いくらしはしない。環境についても環境NGOや専門家などに頼むと押しつけがましくなって情報は生活者に伝わらない。関心を持っている市民は必ずいる。そういう関心を持ったボランタリーで確実に伝えてくれる市民に伝えることが肝要で,既存の町内会,自治会,自治連合会という固定化した組織のあり方も含め,どういう情報の伝え方をするかを根本的に問い直さなければならない。

  行政は市民しんぶんやホームページで広くあまねく伝えると同時に,関心のある市民に着実に伝えるコミュニケーションの場を設ける必要がある。その仕組みをつくり上げるためには,職員が本庁から,身近な区レベルに移り,そこで地域担当や地域交流担当をつくる必要がある。インフラ整備などハードの部分は公助でやっていただかなければならないが,自助・共助は地域コミュニティの施策であり,地域から変えていくという観点から組み替えるべきだ。

 

田端委員

  断層の上に住んでいることを知っていても簡単には引越しできない。災害が起こったときには自分の力や公の力で対処していかなければならないと多くの市民は考えていると思う。情報を的確に広く伝え,コミュニティと行政が一緒になって問題を考えていく必要がある。例えばコンセントにほこりがたまっていると発火の可能性があるといった防災知識についても知っている人は少ない状況なので,広報をもっと考えてほしい。

  共助と公助の部分をどう関係づけていくかがこれからの課題になるのではないか。実際に災害が起こったときどうするかを考えると,共助の部分が非常に遅れている。例えば地域で火事が起こったとき,初期消火を地域でするためには家庭用ホースで届くかどうかなどいろいろな問題がある。そういう共助と公助をつなぐ組織づくりや情報交換方法の確立を考えて,何らかの形で今回の計画に盛り込みたい。地域コミュニティの場合,地域にいる時間の長い女性と年配の男性の力が大事で,その部分に向けた組織づくりを考えてはどうか。

 

石田委員

  地域でも消防団が常に回覧をまわしたり,防火座談会などを催して指導しているが,最近はなかなか人が集まらない。印刷物などはまったく読まれない。アパートを訓練場所に選ぶなどの工夫をしても,そのときだけしか協力が得られない。もっと皆の協力を得られる工夫をしないと21世紀はたいへんなことになる。

 

笹谷委員

  せっかく自治連合会などの組織があるのだから,人選も含め,学区レベルでの人と人のコミュニケーションのあり方を考えていくべきだ。人によって違うが,例えば母親であれば子供の安全など生活者として何らかのテーマに関心があるはずで,地域の課題をどのように解決できるかということで集まってもらわなければならない。防災だけではとっかかりになりにくい。いろんな課題を複合させ,地域交流を支援する担当者を区役所にはりつかせて,空き教室を交流拠点として使いながら,地域の課題を広げて本庁につなげていくのが市民の生活をサポートする行政としての本来の役割であり,機能的に分担するほうが行政の効率がいいというのは大きな間違いだ。呼びかけに対してよく動く町内会や自治連合会などは顕彰し,どんな効果があったのか例えば学区による火災の発生率などを発表し,良いところ悪いところを皆の目に見えるようにして,共助ができる仕組みを総合的につくる。そのときの1つのテーマが防災であるという枠組みをつくるべきだ。最初は自治連合会によって温度差があったり進んでいるところや遅れているところがあっても仕方がない。

 

村井信夫委員

  醍醐地区には10学区のそれぞれに自主防災会があり,これまでそれぞれの学区で自主防災の取組をしていたが,昨年から代表が相互に横の連携を取ることを始めた。各学区での防災訓練に参加すると,自主防災会の代表と自治会長を兼任されている学区は積極的だが,そうでないところはあまり積極的でないなど,地域によってリーダーや住民の取組の姿勢が違う。実際に隣家で火事が起こったら,今日は会社で用事があるので出られないなどと言っていられないし,自分の財産や生命を守ることに必死になると思う。行政は積極的に学区の自主防災会に入って啓発に取り組んでいると思うが,自主防災組織や消防団の方の熱心さや苦労を地域住民が理解できるような啓発活動も必要だ。

 

消防局(原田局長)

  情報については,昨年暮の灯油とガソリンの誤配のような身近な情報はすぐ伝わり,問い合わせも多く関心が高かった。他方で,火災や地震に関する情報を全世帯に防災マップなどの形で配布してもなかなか見てもらえない。基本的には消防職員や消防団員,自主防災会の役員等を通じて,市民一人一人にフェイス・トゥ・フェイスで,あらゆる機会を通じて情報を伝える努力をしていきたいという考え方を持っている。

  地域コミュニティについては,「あなたの住んでいる地域にはこういう危険性があります」という情報をコンピュータで出し,町内に示して地域の課題を見つけていただくという取組を今後市民防災行動計画づくりの中で進めていきたい。京都市の場合は全学区に自主防災の組織があり,町内ごとの自主防災部の活性化が大きな課題になっている。全6,000部の部長を対象にリーダーの養成をしており,市民防災行動計画と合わせてコミュニティの防災力の強化を図っていきたいと考えている。

 

笹谷委員

  フェイス・トゥ・フェイスの情報伝達も必要だが,イベント仕掛けで市民が自発的に防災マップをつくることなら簡単にできる。防災危険度のマップを出すにしても着実に伝えてくれる人ということでは,防災に関心のある人だけでなく情報システムに関心のある人もいる。現在GISの地図上にコミュニティで危ない場所等を書き込むような実験をしているが,例えば西宮市ではホームページで自分の家からいちばん近い公共施設やそこまでの距離が分かる。行政の仕事の8割は地図を使うが,GISを使えば行政業務が相当合理化できる。かなり効果を上げている自治体もある。京都市の場合,防災という枠組みの中ではかなりよくやっていると思うが,市民とのコミュニケーションにもっと利用すべきだ。インターネットにのせて相互の防災意識を高め,その途中に情報ボランティアが入るというような方法もすでに開発されている。

  村井委員のご意見にもあったように,地域で活動している団体をできるだけ横に連携させなければならない。そのためには市民の生活や区役所を軸とした市の機構改革を断行することが前提でなければならない。

 

内藤正明部会長

  ご指摘についてはできるだけ反映させたい。本日このテーマで言い足りなかったことはメモにして事務局にお出しいただきたい。

 

(3) テーマ別討論「青少年,スポーツ」について

内藤正明部会長

  次に「青少年・スポーツ」について資料説明をお願いしたい。

 

文化市民局(長谷川理事)

  ――(資料3「基本計画検討資料「青少年,スポーツ」」のうち「青少年」部分について説明)――

 

文化市民局(藤田市民スポーツ振興室長)

  ――(資料3「基本計画検討資料「青少年,スポーツ」」のうち「スポーツ」部分について説明)――

 

内藤正明部会長

  文化・観光・産業部会の内田委員からの提言をお配りしているので,参考にしていただきたい。

 

野口委員

  元気な京都の根源は市民の健康にあり,その維持増進のために体育振興会では46年間スポーツ施設の整備やリーダー育成など多方面にわたって活動してきた。国体以後市民のスポーツ活動は特に活発になっており,一昨年体育振興会の行事に参加した市民は約140万人に上る。1行政区1体育館がほぼ達成されるなどスポーツ施設も充実してきているが,ニュースポーツの振興などに伴い市民のニーズは増大する一方で,場所の確保が難しい。今後は市民スポーツの多様化,参加人員の増大に合わせて,雨天でもスポーツが楽しめる多目的なドーム型運動場の早期実現をお願いしたい。

  また,京都市は土地が少ないので,浸水等の問題はあるが南部の河川敷の利用も検討すべきである。

 

にしゃんた委員

  苦学している留学生などは,プールなどの利用料金を下げてほしいと思っているのではないか。

 

笹谷委員

  青少年については,若い世代が自発的に計画をつくる必要があるという意味で,このメンバーで語れるのか不安だ。青少年の自発性がうまく芽生える状況をつくらなければならない。京都らしさという点では,京都市では大学生が全人口の1割を占めており,学生は貴重な戦力であるということを前提に考えるべきだ。行政が青少年の健全育成はかくあるべしと押しつけるのではなく,多世代の共生の中で青少年は青少年なりにまちづくりの戦力となる仕組みづくりが必要だ。

  スポーツについては,もっと民間に任せたほうが施設の有効利用になり,顧客満足度も高くなるのではないか。施設利用のあり方を民間に開放したり,地元で運営できるようにすることも含めて考えなければならない。また,スポーツ即健康ではないので,健康行政との連携を考えてほしい。高齢者の増大を考えると,この程度のソフト施策で通用するのか疑問だ。

 

文化市民局(長谷川理事)

  青少年問題についてはこの審議会で大きな方向性を示していただき,専門の青少年問題協議会でそれに沿った形の下部計画をつくっていきたい。

 

笹谷委員

  その協議会には青少年がメンバーとして参加し,年配者がアドバイザー的に入っているのか。

 

文化市民局(長谷川理事)

  青少年問題協議会は法律に基づく審議会であり,青少年は委員として入っていない。施策の検討そのものを子供に任せることについては問題がある。個別の事業に関して青少年自身が管理運営していくことは大切であると考えており,極力自主性に任せるようにしている。

 

笹谷委員

  人づくり委員会などでも年配者がかくあるべしということを強く言われ,現在の青少年を批判する人も多いが,もっと青少年と直接対話する機会を持ち,彼らの悩みを聴き,地域から改善していく必要がある。青少年が参加するかどうかで青少年行政がうまくいくかどうかが決まる。

 

文化市民局(長谷川理事)

  子供の目線に立ち,多様化する子供のニーズを理解するのが行政の役割と考えている。

 

笹谷委員

  子供もまちづくりの戦力であるという位置付けの中で,意思決定に参加できる機会がないようでは,子供の人権に関する国際条約違反ではないか。

 

浅岡委員

  青少年の場合も防災と同様で,学校の制度改革や家庭や地域の教育力をどう高めるかなど,子供の人づくりも大人の人づくりも大切で,どこでわれわれの力をつけていくかが課題だ。高台寺の公園づくりでも,公園の名前さえ地域では決められないということだが,地域や若い人たちの自助,自立が必要であるというのであれば,責任を持って自分たちで決めることもできる場がなければならない。地域自治的部分をどれだけ示していけるか,それに応えるような地域づくりや若い人たちの体制をどれだけつくれるかが課題で,まず行政がそういう発想に立たないとこの計画づくりはうまくいかない。

 

須藤委員

  スポーツをやっている人は健全だというのは間違った前提であり,何のためにスポーツをするのか,何のために施設を提供するのかを考えるとき,スポーツが好きでなくても健全な人もいるということを前提に考えなければならない。

 

村井信夫委員

  青少年についていろいろ意見があると思うが,事務局はもう少し肌のぬくもりを感じられるような表現をしていただきたい。

 

野口委員

  体育振興会はボランティア団体として,あくまでもスポーツは遊びであるという認識のもと,市民の楽しみの場,ふれあいの場を増やしていくという趣旨で活動していることを理解していただきたい。

 

(4) その他

内藤正明部会長

  本日のテーマに関して言い足りないことがあれば,事務局にメモで提出していただければ,後日私から調整委員会に報告したい。5月には「人権」「仕事・くらし」「国際化」,6月には「環境」をテーマに当部会の開催を予定している。日程については調整の後事務局から連絡する。

  それでは,本日はこれで閉会したい。

 

 

3 閉 会

 

 

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