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京都市の基本構想・基本計画(資料編)/京都市基本構想等審議会/第12回 都市整備・交通部会

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2001年2月1日

21世紀・京都のグランドビジョン 京都市基本構想等審議会 記録/第12回 都市整備・交通部会

日 時 : 平成12年11月14日(火) 午後3時~5時

 

場 所 : 京都ロイヤルホテル「青雲」

 

議 事 :

(1) 京都市基本計画第2次案について     

(2) その他

 

出席者 : 

浅岡 美恵(環境・市民生活部会委員,気候ネットワーク代表)

◎飯田 恭敬(京都大学大学院工学研究科教授) 

上村多恵子(詩人,京南倉庫(株)代表取締役社長) 

川崎 清(左京区基本計画策定懇談会座長,京都大学名誉教授,立命館大学理工学部教授)

○北村 隆一(京都大学大学院工学研究科教授) 

西村 毅(京都青年会議所特別顧問) 

野間光輪子(京町家再生研究会幹事) 

三木 千種(市民公募委員) 

三村 浩史(南区基本計画策定懇談会座長,京都大学名誉教授,関西福祉大学教授) 

宗田 好史(中京区基本計画策定懇談会座長,京都府立大学人間環境学部助教授)                                

 

以上10名 

◎…部会長     (50音順/敬称略) 

○…副部会長

 

 

1 開 会

飯田部会長

  ただいまから,第12回都市整備・交通部会を開催させていただく。

  なお,本日は環境・市民生活部会の浅岡委員にも議論にご参加いただくこととした。

 

 

2 議 事

(1) 京都市基本計画第2次案について

飯田部会長

  第2次案は,10月に開催された審議会総会での議論及びその後寄せられた文書による意見を基に,調整委員会で第1次案を修正したものである。

  なお,調整委員会では先般発表された京都市の「市政改革大綱(案)」の内容も加味して検討を行った。

  それでは,第1次案からの主な変更点について,当部会の関連部分を中心に説明したい。

  第1章第1節2(1)は特に変更はない。「ちょっと注目!」として,「公共建築物のバリアフリー改修の推進」がより具体的に記載されているが,これは基本計画を読みやすく分かりやすくするため新規性や象徴性などのあるポイントとなる主要な事務事業を例示するものである。

  次に第1章第3節では,1(2)にア「豊かな自然環境との調和とふれあい」を自然との共生を表明するため追加した。2の防災に関する都市空間・都市施設の記述については特に変更はない。3(1)ウに生活安全の観点から交通安全についての記述がある。4の「基本的方向」には「自動車流入の抑制など」の記述を追加することで自動車交通への取組姿勢を積極的に表現している。また,(3)ウでは「今後の社会動向の変化等を勘案し,…総合的な体制を構築する」との文章を追加した。

  第2章では,「数字で見る2010年の市民のくらしとまち」に「電柱の見えない道路の延長」と「市民1人当たりの公園面積」を追加し,第1章から「公共交通機関分担率」を移動した。

  第2章第1節1は特に変更点はない。

  なお,木の文化が息づくまちづくりに関連する林業の振興に関しては,第2節1(4)「市民に身近で環境にやさしい都市農林業の育成」に記載している。

  第2章第3節では,1の土地利用・市街地整備に関する部分は特に変更はない。2では,「都市内交通に関する記載が「歩いて楽しいまちをつくる」の項とこの項の2カ所に分かれており,全体像が分かりにくい」とのご意見を踏まえ,「基本的方向」の表現を,公共交通優先の総合交通体系を構築するためのものであることが分かるように改めた。また,構成を都市内交通から広域交通の順に並び替えるとともに,(1)で「歩くまち・京都」の理念を踏まえた都市内交通の整備に関する記述を充実している。

  第3章では,第4節2で「誰がどのように公共事業を再評価するか市民に示してほしい」とのご意見を踏まえ記述を強化したほか,市政改革の考え方を踏まえた追加等を行っている。

  それでは,当部会の観点から第2次案全体についてご議論いただきたい。部会での議論は今回が最後となるので,表現の仕方等を含めてご意見をいただきたい。

 

北村隆一副部会長

  第2章第3節2の(1)で基本的考え方を再掲したため,第1次案よりよくなったが,この基本計画をつくるに当たって,「歩くまち」という理念と具体的な事業をつなぐ作業が欠けていたのではないか。京都市の鉄道網や道路網,自転車道路網,歩行者道等のネットワークが全体としてどういう形になり,どのような具体的な社会資本整備の事業や施設運営の施策になるのかという部分が欠けている。

  答申までの時間に何ができるか分からないが,ここに挙がっている具体的事業が実現することによってどうなるのかが見えない。特に(1)で謳われていることとさまざまな事業との間に整合性があるのかどうかもよく分からない。運営や料金体系等のソフトも含め,京都市の交通体系の全体像がどうなるかという絵を描く部分がほしい。理念からいきなり都市計画決定された事業が並んでいるので,実態の事業は今までと同じで理念をすげ替えただけといううがった見方もできる。具体的な絵を描く作業が必要だという記述をどこかに盛り込めないか。

 

飯田部会長

  限られた期間,予算,人間で,具体策まで踏み込んで計画をつくり上げるのは難しい。基本計画は基本的考え方とどういう事業をするかという「頭出し」であり,方向性はこれで見えているのではないか。この後に実施計画がついてこなければならないが,アフターケア的な取組体制は必要になる。「頭出し」で欠けている点はご指摘いただきたい。

 

川崎委員

  基本計画は10年ごとに見直されているが,ここには10年前に議論されて現在実施段階にあるものや今回初めて出てきたものなど,いろいろなものが入り混じっている。それを明確にしないと,これらをすべて今から始めると受け取る人もいると思う。それぞれの事業について,実施段階に入っているとか,構想段階から計画段階に入っているとか,新たな議論を踏まえて見直されるべきであるといった説明がないと,いきなり並列的にスタートするように受け取られるのではないかという危惧がある。

 

三村委員

  京都市の交通量の配分も含めて,技術的な解決手段としてTDMという方式が提案されているが,目標を的確に設定すれば非常に有効な手段となりうるのではないかと期待している。

  南区では大気汚染により慢性的に基準値をオーバーしており,環境基準を早期にクリアすることが大きな課題になっているが,京都市全体の話と同時に,南区のような局地的な環境基準をクリアするためにはこういう交通流にしてほしい,それを京都市全体にフィードバックしていけばこうなるというような,京都市全体のTDMと整合するローカルTDMがあればよいが,それは可能なのか。

 

北村隆一副部会長

  TDMの目標は端的に言えば,人の需要を変え,1人乗りの自動車を減らすことにある。振動や騒音については商業車の問題であり,別のTDMが必要になる。道路を建設することにより現存の混雑が解消して交通流がスムーズになり汚染物質排出量も減るという考え方もあれば,道路があればあるだけ交通量が増えて同じ渋滞を引き起こすという考え方もある。大阪市で2020年を対象にして公共交通に投資する交通計画案と道路網に投資する交通計画案をシミュレーションモデルをつくって比較したが,道路に投資すればそれだけ自動車量は増え,CO2排出量も増えるという結果が出ている。ケース・バイ・ケースなのでイエス・ノーの簡単なお答えはできない。

 

三村委員

  東京都で,杉並区の人が墨田区の埋立地でごみを焼却していたことが問題になり,中央線の駅前にごみ焼却場を建てるという「ごみ戦争」があった。行政区単位になれば中小都市と同じであり,各行政区が計画を立てて京都市に提案してきた場合,それらを合わせて京都市としてのTDMをつくるというような段階性を持ってやるのか,京都市全体で幹線道路に絞ってやるのか。その辺の技術的見通しを明確にする必要がある。

 

上村委員

  道路の問題は都市計画における用途地域の見直しを抜きに語れない。南区の場合,準工業地域や工業地域が存在している。準工業地域は工場と住宅が混在しており,諸条件により地域の使われ方が変わり,将来の需要予測ができない。交通は生き物であり,地域が開発されて道路ができる場合と道路ができて地域が開発される場合があり,計画できる部分と私権との関係で都市計画で制限し切れない部分がある。予測できない部分については見直しながら進めていくしかない。TDMについても需要予測はし切れないという観点に立って議論すべきだ。

  細かい点では,平仮名を多用しているのは分かりやすくていいと思うが,例えば平仮名が多過ぎて読みにくい部分がある。単語間の空間を空けるなどの工夫していただきたい。

 

飯田部会長

  TDMに関連して,用途地域と交通との関連についてのご指摘があったが,非常に大事な点であり,長期的な視点から捉えるべき問題だと思う。交通の問題は非常に複雑で,現在の問題もあれば長期的視点で取り組まなければならない問題もあり,その都度見直すという対応の仕方がある。ブラジルのクリティバでは3年ごとに見直し,具合の悪いところは修正している。TDMは総合的対策でないと需要コントロールが思うようにできない。例えば,交通にはどこからどのくらいの量の交通が出てくるかという発生の問題があり,それと目的地や経路,どういう交通手段を選ぶか,いつ移動するかという時間の問題等を効果的に組み合わせながら手を打っていくわけで,その中で短期的,長期的いろいろな対策が採られる。

  もう一つ大切なことは物理的な施設だけでなくソフトの対応で,ここではあまり具体的なことが書かれていないが,「歩くまち」を実現するためにはそういったソフトのしくみをきちんとつくり上げることが大事になる。クリティバがうまくいっているのは,役所のコーディネートがきちんとできているからで,分担する部局がばらばらではうまくいかない。TDMの実現のためにはコーディネートする組織をきちんとつくり,そこに権限を持たせることが大事になる。

 

宗田委員

  第1章第3節4(3)ウに「歩くまち」の実現のための推進体制について書かれているが,どう推進体制をつくっていくかがこの基本計画の課題だと思う。百円バスの実験や歩くまちの事業が始まり,商店街や地元自治会,環境NGOや市の関連部局が参加して,「歩くまち」をどう実現していくかの協議が進んでいる。交通工学的には飯田部会長から説明があったようなメカニズムで交通需要が発生するわけだが,需要を決めている主体は一人一人の人間であり,道路を車で移動する場として使うか,憩いの場として使うか,集いの場として使うか等,「歩くまち」をつくる多様なモチベーションがある。そのモチベーションが交通動向の選択,意思決定に大きなインパクトを与えるということが,協議の過程で分かってきた。例えば,都心のにぎわいを取り戻すうえで,祇園祭保存会と観光や商店街セクターがちょっと協力するだけで,非常に魅力的な街路空間ができることを発見する。そうなると7~8割の住民が車を排除することを望んでいて,四六時中車が通過できるより,少なくとも一定の時間,曜日にイベントをしたほうが住みやすいということを発見し,歩いてくらせるまちの価値を見出していくといった形で推進体制づくりが進んでいる。

  広域交通網との結節機能,すなわち京都高速道路についての議論があるが,これも「歩くまち」の延長として,京都が環境にやさしい交通体系を持つためにどうすればいいかという議論を推進体制の中で進めることができるのではないか。今までこういう議論は絶対反対,推進という対立の中で行われてきたが,「歩くまち」の中では環境NGOの参加により,商店街の振興や環境にやさしいまちづくりなどいくつもの面を持つというように話題が展開してきている。いろいろなファクターを皆で協議しながら,どういう交通体系がいいかというパートナーシップ型の対話ができてきている。

  南区のことが話題になっているが,都市郊外の準工業地域,産業跡地をどう再生するか,自然を取り戻す流れをどうつくっていくかは世界的な課題となっている。そのとき注意すべきは,道路が多様化しているという点だ。西淀川や尼崎などでは環境被害をもたらす道路は違法だという地裁の判決が出され,道路が迷惑施設であり,昔の工場以上に市民の生活環境を脅かすものとされている。道路に対応した土地利用計画が必要であり,道路を整備するならその周辺に相当な手当てをしなければならない。公害を生じない道路を,いろいろな補償システムを検討しながらつくる必要がある。どうすればそれが補償と思われるか,生活環境がよくなると思ってもらえるかということを協議するためにも推進体制は重要である。都心の歩いてくらせるまちづくりのための推進体制はできつつあるが,全市的な取組として,第1章第3節4(3)ウ「新しい交通政策のあり方の検討推進」をより具体的に進める作業を続けてほしい。

 

浅岡委員

  この部会の委員ではないが,議論に参加させていただく。

  交通基盤については重要な社会的インフラであり,あらゆる問題に関連するため,環境・市民生活部会でも議論になっている。第2次案では「歩くまち」の項とかなりの部分が同文で統一されている。建設省サイドで従来型の道路行政に対する対応策として「歩くまち」という構想が出され,環境庁サイドで大気汚染対策も進められてきた。また,この10年で新たに温暖化対策が自動車との関連で出てきて,地球規模でのCO2排出削減の取組が必要となってきている。

  「歩くまち」のところも同じだが,第2章第3節2(1)アの記述は「自動車交通については,自動車公害対策等を念頭に置きながら」は公害対策であり,「企業を含む市民と警察を含む行政が一体となって検討し」は交通安全,「円滑な流れが実現できるように努める」が目的であると読める。これで本当に「歩くまち」やCO2排出削減や自動車交通量の削減が不可避な温暖化対策に即応できるのか。「円滑な流れが実現できるよう」ということだが,中心市街地で円滑な流れが実現できることを目的として計画を進めるのは無理だ。大気汚染と交通安全だけでは足りない。温暖化対策,市民の生活の質を高めるという観点から「歩くまち」のために必要だという書き方をしなければならない。「円滑な流れも求めつつ」というのなら分かるが,この書き方は主客が転倒している。その後の部分で「必要に応じ,都市計画道路の計画見直しを行い,…」とあるが,このあたりはもう少しウエイトを変えた書き方をしなければ統一的な政策にならない。

  (2)の都市圏内交通網については,広域的に地下鉄とつなぐということが書かれているが,具体性がなく,これから議論するということを確認しておけばいいのではないか。ウの道路網の整備だけ非常に具体的になっている。

  「計画の推進」で「なお,この基本計画に掲げた政策の実施に当たっては…常にその必要性や事業効果等についての再確認等を行いつつ」とあるが,文尾は「…推進を図る」となっていて,計画推進の方向にあると読めてしまう。2「計画の点検・評価」に「必要に応じて政策を見直し」とあるが,一定の期間毎に見直すべきだ。10年前に計画決定されたものもあれば最近のものもあるということだが,古いものは当然推進するというのではなく,長い年月動かないものは逆に公共事業見直しの対象になる。新しいものだから手をつけないということでもない。この段階で大きく方向を転換できないのであれば,定期的見直しについて明確に記述しておくことが,将来的に柔軟に対応でき,自らを縛らないという意味でもいいのではないか。

  第3章第3節2に(4)「公営企業等の経営健全化」とあるが,公共交通機関等の整備と経営の健全化をどういう方向で実現していくのか。ヨーロッパのように改札に人を置かないようにしてコストを削減するというようなことは考えられるが,ここで何を言わんとしているのか分からない。

 

飯田部会長

  正直なところ,今の時点では答えが見つかっていない。道路については両極端な意見があり,これ以上道路は必要ないという意見もあれば高速道路は必要だという意見もある。大事なことは需要と供給のバランスであり,需要が多過ぎればコントロールしなければならないし,必要なもので供給が足りないものはつくらなければならない。必要なところに必要なものを供給することが大切であり,道路をつくることが必ずしも全体の交通量を増やすことにはつながらない。場所と時間でうまくコントロールすれば,需要と供給のバランスをとることができる。

  もう一つは道路にもいろいろな性格を持った道路があり,都市間の道路,緊急性の高い道路,物流のための道路,都市内の幹線道路,生活道路等が階層的にうまくつくられていることが重要だ。日本の道路の場合,それがうまくできていないところがある。そのあたりの整理も必要ではないか。

  高速道路は長距離の緊急性の高いトリップに対してサービスを提供する道路であり,普通の道路とは性格が違う。150万人の人口を抱える地域では経済活動も行われなければならず,高速交通体系も必要であり,高速道路をつくることが都市内の混雑に拍車をかけ,歩くまちと矛盾するということにはならない。いかにうまく使うかが大事だ。ある部分だけ見れば反対,賛成ということになるが,需要と供給,時間と場所,用途や目的の問題を総合的に考えていく必要がある。

  土地利用については,幹線道路の横に住宅地があるのはおかしいので,道路と結び付けて土地利用を長期的に整備していかなければならない。ここに書かれているものは「頭出し」の段階であり,まだ答えが明示されていないということではないか。

 

北村隆一副部会長

  高速道路については反対,賛成というような単純なものではないが,ヨーロッパでモータリゼーションが進み高速道路をどうするかの議論が起こったとき,ヨーロッパの都市はまちに高速道路を入れないという選択をすることで,まちのアイデンティティや住民の生きてきた軌跡を残した。それが今は観光資産になっている。パリでもリングロードから中には高速道路は入っていない。

  そういう決断をしなかったのが北米と日本だが,日本の場合はモータリゼーションが遅く,大都市では鉄道網によりまちの骨格ができていたことが幸いしてモータリゼーションによるまちの破壊は起こらなかった。現在,地方の中小都市で中心市街地の衰退が問題になっているが,リッチモンドのような北米諸都市でも同じことが起こっている。

  また,自動車は停まってこそ役に立つので,道路だけでなくそれに対応した駐車施設が必要だ。「円滑な流れが実現できるように努める」とあるが,浅岡委員が指摘されたように京都のまちなかにこれ以上道路はつくれないので,円滑な流れを実現するためには自動車を減らすしかない。高速道路をつくると流入が増える。ここで書かれていることはすでに矛盾している。

  他方で,誰も京都に来てくれないと経済活動が成り立たない。いかにうまく京都へのアクセスを確保するか,南区の人に迷惑をかけずにそれを実現するか。都心部に高速道路を持ってくるという発想に問題がある。道路や駐車場をどこにつくるかについても考えなければならない。

 

西村委員

  いい道路ができると,沿線に店ができ,住宅ができる。物流を目的としてつくられた道路が生活道路や商業道路として使われ,混雑を解消するため道路を広げるということが起こる。ドイツではバイパスを通すと周囲の土地には手がつけられなくなるため,バイパスが本来の機能を果たすことができる。京都でも道路の目的により周囲の開発に規制をかけることはできないのか。逆に住宅街が先にできて後から道路をつける場合には,どこを通ればどこにたどり着くか分からなくなる。周囲の整備も含めてどういう道路をつくるかを考えなければならない。企業人として車を利用しているが,CO2削減のため車に乗っている時間を10%削減できないかと思う。そのためのいろいろな人の協力があっていいのではないか。

  第3章第3節1でモデルケースとして「京のアジェンダ21フォーラム」が挙がっているが,これも今は官僚化が始まり,肩書きで参加する人が増え,名ばかりの市民参加に変貌しつつある。行政が旗振りをするとどうしてもそういう形をつくってしまいがちで,そうでない形をどこかで明記していただきたい。行政主導でコーディネーターを養成し,役割分担してもらうというのではなく,もっと自発的な専門集団に権限を渡していく形での記述をしないと,市民参加は名ばかりで育たないような気がする。

 

浅岡委員

  道路については,「自動車交通については大気汚染対策,交通安全対策,温暖化対策,かつ円滑な流れが実現できるように都市内交通量の抑制に努める」とし,それに合致した政策展開をしていただく必要がある。

  「京のアジェンダ21フォーラム」は組織化の方向に進んでおり,組織関連の人が年1,2回集まって重要な意思決定をするようになってきている。総会で形だけ民意を反映したことにならないためには,行政の事務局体制から市民の事務局体制に移さなければならない。行政の事務局体制では調整以上のことはできず,実質的な牽引役になりにくい。市民活動支援センター等をつくって市民参加を進めようとしている意欲は分かるが,それが外に伝わらなければやりがいがない。もう少し外に権限や自由な財源を渡すべき段階に来ているのではないか。

 

川崎委員

  ヨーロッパはもともと円環状に発展した都市の歴史があり,リングロードがつくりやすかったため,都市間道路を外側で迂回させてバイパスをつくり,都市内に車が入れないしくみがつくれた。京都には都市間道路はないに等しく,通過交通が問題になっている。ようやく新十条通から久世橋を通り京都縦貫道路につなぐ事業が始まったばかりだが,状況は少しずつ改善しつつある。

  道路体系を見直すとき,全体を円環構造にシフトしていく,都市間道路をそこに直結していくといった概念図的なものがないと,言葉だけでは分かりにくい。道路と都市構造は大いに関係があるので,大きな道路体系とその周辺にどういう土地利用が望ましいかという誘導方向の絵が必要ではないか。

 

北村隆一副部会長

  理念と具体的事業があって,その間が欠けていると言ったのは,そういう絵がないという意味だ。各々の事業が全体に対してどういう役割を果たすかも分からない。極端なことを言えば第2章第3節2の記述は「基本的方向」に止め,具体的な事業名を削除してはどうか。「頭出し」という解釈でいいのか。基本計画に書いてあることはやるという意味ではないのか。

 

建設局(野嶋局長)

  この先10年の計画であり,基本的方向だけでなくある程度具体的な記述がなければならないと思う。

 

飯田部会長

  この計画は内容的に具体的になっていないが,今後実施計画的なものを体制づくりも含めて考えていくのか,この中に具体的なものまで盛り込むのか。

 

事務局(葛西政策企画室長)

  基本計画であり,現在の状況の中で具体的に書けるものはできるだけ書き込んでいるが,この10年間で実現するものばかりではなく,今後検討していくべき項目も入っている。

 

上村委員

  既に2003年に完成予定のものもあり,すべて削除するという北村副部会長のご提案は極端過ぎる。

  土地利用とリンクして強調したいのは道路の使い方で,近畿圏では兵庫県が比較的円滑な流れが確保できているように思う。トレーラー等産業用の車は43号線や2号線を通り,国道は乗用車とトラックが共存し,山手幹線から上ではトラックを見たことがない。生活道路の中に産業用の車が入ってこない都市構造ができている。

  京都の場合,北のほうにも工場があり,産業用の車が京都市内を通らざるを得ない都市構造になっている。そういうまちの使われ方と別に道路だけを取り上げておっしゃっているとすれば,極端過ぎるのではないか。これらは京都市の道路審議会での審議を経て上がってきた計画だと思うが,それとこの審議会との関係をどう考えればいいのか。

 

川崎委員

  多少問題はあるにせよ,この部分はかなりうまく書かれている。概念パターンを入れ,年次的な記載を加えればよくなると思う。全部削除するほど今までの議論は薄いものではない。

 

北村隆一副部会長

  全体のネットワーク像のような概念的なものがほしいという点については川崎委員のご意見に賛成であり,各々の事業が全体の中でどういう役割を果たすかを考えなければならない。文書での意見にも書いたが,交通を取り巻く状況,基礎となる変数は変化しており,高齢化や少子化,世帯人員数の減少,女性の社会進出,IT革命等,いろいろな変化が起きている。計画が策定された時点ではできる限りの情報を用いて最善の決定がされたとしても,10年,20年経ってみると前提が間違っていたことが明らかなものもたくさんあると思う。そういうものは見直していけばいい。川崎委員はここにはもっともな具体的なプロジェクトが挙げられているというご意見なのか。

 

川崎委員

  問題点のアイテムの摘出としてはよくできている。その中で時間的な差があり,安定していて計画として進めるべきものと不安定で議論すべきものがある。ここに書いてあるから動かせないわけではなく,当然見直すべきものもある。そういうコメントをつけて肉付けしていけば,これはこれでいいレポートになると思う。他の部分についても同様だ。文字ばかりなのでおもしろくないが,最終的には統計やイラスト等をつけたものになるのではないか。本日は文章の骨組みについて議論するのだと思う。

 

北村隆一副部会長

  この部分を削除してはどうかと言ったのは,議論を深めたいという意図での発言であり,必ずしもそうすべきということではない。ここに挙げられているか挙げられていないかということが,何を意味しているかがはっきりしないのが気になる。川崎委員の解釈によれば,ここに挙げられていても見直すことがあるということで,「計画の推進」にもそういう趣旨のことが書かれている。

  「事業化を推進する」,「事業化を検討する」,「計画を促進する」など言葉づかいが分かりにくい。川崎委員のおっしゃる時間的な差を表現しているのかもしれないが,一般の市民にとっては難解で解釈に困るものとなっている。

 

川崎委員

  交通問題についての意見の整理は,部会長,副部会長及び事務局にお任せしたい。

  第2章第1節1(2)では目に見える景観が対象となっているが,京都には祭事や風習など目に見えないものもあり,そうした目に見えないものが京都の魅力をつくっている。基本計画とはあまり関係ないのだが,年末に大文字の送り火をするのは納得できない。五山の送り火は数百年の歴史を持つ伝統文化であり,それを20世紀の送り火として使うのは単なるイベント扱いしているからとしか思えない。伝統破壊,歴史破壊ではないのか。歴史を見直し,日を変えたり先祖送り以外のイベントに使ってもいいかどうか再検討してほしい。形のないものの保存についての話題提供として申し上げた。

 

野間委員

  今まで議論してきたことがこんな結果で終わっていいのかという疑問もあるが,この10年で地下鉄ができ川端通も整備され,少しずつよくなっている。道路についてはモノと人を運ぶ目的があるが,市内を回るものと幹線道路から入ってくるものがあり,人の移動は歩くことと自動車に分かれ,自動車は公共のものと自家用車に分かれる。単純に考えると4つか5つしかないのにどうしてこんなに複雑になるのか。外から入ってくる大型トラックの問題は,幹線道路から京都に入ってくるところに物流倉庫等を設置すれば解決するのではないか。また,入ってくるのはモノなのか,観光客なのか。単純には5つぐらいの分類しかないのだから,もっと整理できないのか。

  南区の問題など京都市の行政区間に格差があることをこの会議で初めて知った。「みんなが安心してくらせる」という部分についても格差があるということだが,南区にそうした問題があるのであれば,集中的に南区をどうするかといった施策が必要ではないか。

  もう一つは,この審議会での検討内容をどう市民に伝え,市民の意識を高めていくのか。「市民しんぶん」に掲載するだけでは伝達できない。これだけ多数の委員が集まって時間をかけて議論してきたことを,市民にどう伝えるのか。市や生活にかかわることについて,教育の場で子どもの頃から考える場をつくっていく必要があるのではないか。

  年末の五山の送り火については,なぜ京都市が許可したのか。20世紀の戦争で亡くなった方々の慰霊のためと聞くが,京都市が伝統行事をイベント化したことに対しては批判が多いことを知っておいてほしい。

 

三村委員

  先ほど交通について理念だけにして具体的施策の部分は削るというラジカルなご意見があったが,一つ一つ関係者が検討し積み上げてきたものであり,事業化しているものもあればそうでないものもある。どういうものをつくろうとしているかという部分がなければ市民に見えないので,これは現時点での計画として記述しておけばいいのではないか。「歩くまち」との間に矛盾が生じるとしても,それは今後検討していくべきだ。交通の問題は複雑であり,これを現在の到達点として次を考えるしかない。

  「基本的方向」に新しい京都の魅力的な交通や環境への負担の軽減とか,歩くことが楽しいとか,硬直した事業ではなく継続して見直すといったことを書き込んでおけばいいのではないか。例えば,「環境に配慮した」は「環境に負担を与えない」というように記述を強化し,「交通政策に取り組む」も「交通政策のあり方を検討する」として,第1章第3節4(3)ウにあるように事業のあり方を見直していくと書いておけば,これらの事業がどう現実のものになり変更されるのかの方向付けになる。

  われわれの都市交通についての現時点での到達点はここであり,都市交通を抜本的に考え直す段階には理論的にも状況的にも達していない。評価や見直しの観点を「基本的方向」で強調しておけば,後の事業の紹介はこれでいいのではないか。

 

浅岡委員

  先ほど川崎委員から早く進めるものやそうでないものがあるというご意見があったが,具体的にはどこを早く進めるべきとお考えなのか。

 

川崎委員

  一般的には空間計画と時間計画があって初めて計画になる。「歩くまち」のように歩道を整備するなど比較的手近で市民生活に反映しやすいものにはすぐにでも着手できるかもしれないが,歩道を広げるために車道を狭くするとなると,両方のトレードオフの問題を考えなければならないし,地域のコンセンサスを得なければならない。すぐ手を着けられても結論は遅くなる可能性がある。また,都市間の高速道路のように10年前に都市計画決定し,5年前に事業化しているものもある。これをやめるとなると京都だけでなく大阪,滋賀,京都府北部を含めて全体で協議し直さなければならなくなる。

  今までの期待や要望,全体の需要と供給バランスを見直すだけでも相当の時間がかかると思われる。よほどだめだという結論がなければ,中止の方向は出てこない。事業化を進めているものについてはなるべく早くある段階にまで達してしまい,そこで再度延伸等を考えるというように,段階的に考えていくべき問題もある。その辺の時間計画的なものをこの中にもう少し織り込んでいただきたいということを,一般論的に申し上げた。

 

三木委員

  文書で意見を提出したが,「歩くまち」と道路整備の間の部分が見えない。「歩くまち」と言えば都心部での観光や買物など遊び空間のことを考えて仕事のことはイメージしない。歩くために都心に行くには公共交通機関よりも自家用車で行くほうが便利だが,自家用車を停める場所をどう確保するのかがこれでは見えてこない。

  文書に対して,調整委員会では今以上にまちなかに交通が流入することはないと考えるということだが,どういう手法で問題を解決するのかが示されていない。すでに考えられているので見えていなくてもいいと言われているように感じる。第2次案でも古くから決まっているものと新しく出てきたものの間にワンクッションあれば理解できるものが,中間がないために矛盾と感じられ,直感的に不安を感じてしまう部分が,特に交通基盤整備のところにはある。全体をつなげるイラストマップを入れるだけでも違ってくるかもしれない。中間のつながる部分が見えるようにし,その部分については「市民とともに考えます」という一言があるだけでもずいぶん印象は変わる。

 

飯田部会長

  今までの議論を踏まえて,京都市から何か発言はあるか。

 

建設局(野嶋局長)

  京都は内陸都市であり,物流はほぼ100%を車に頼っている。現在,都市計画道路の64%ほどができている。市内の真ん中に都市計画道路が通っており,高速道路も都市計画決定している。それらがすべて出来上がると市内の渋滞は一掃されると考える。

  高速道路については,市内の渋滞解消のため目的別の道路をつくることで通過交通は速やかに通過し,生活道路では生活してもらうことが大事だ。京都は碁盤目状の都市であり,パリのような放射状の都市とは異なる。渋滞解消のためにも高速道路整備は不可欠と考える。排気ガスについても20kmで走行する場合には60kmで走行する場合と比較して,NOX,CO2,SPMがそれぞれ50%少ないという調査結果もある。

  建設費は通行料で賄うことになっているため京都市の負担は6.25%であり,安く建設できる。経済効果については走行時間の短縮やガソリン等の走行経費を換算すると,十条通だけでも年間150億円の経済効果がある。油小路線等すべてが整備されると全体ではたいへんな経済効果が期待できる。渋滞解消,環境改善,経済活性化という観点からも,ぜひ高速道路整備に対する理解をいただきたい。

 

北村隆一副部会長

  今の説明では,今までここで議論してきたことが行政には全く伝わっていないのではないかと思える。

 

上村委員

  マイナスイメージで高速道路を捉えるのではなく,ITS等最新の技術を使って今までにない夢のあるものをつくろうというように,もう少し前向きに捉えるべきだ。

 

北村隆一副部会長

  自動車中心に都市交通を考えること自体が20世紀的発想であり,それが破綻していることは明らかだ。「歩くまち」ということを1年くらいかけて議論してきて,この最後の部会で高速道路への理解を求めるという発言があるようでは,この1年間何をしてきたのかと思う。具体的な事業名を挙げることにより,結局今までの都市計画決定されてきた事業の追認になるのではないか。それでは一体今まで何をしてきたのかという印象を持って終わることになる。

 

浅岡委員

  都心内の交通量を抑制するという発想が今の説明には全くない。

 

上村委員

  どのエリアを都心と想定してそう言われているのか分からない。

 

宗田委員

  この部会では2年間議論してきたが,その前には「京都市グランドビジョン都市構造・交通体系研究会」があり,「歩くまち・京都」ということをずっと言い続けてきた。都市内交通網から広域交通網に至る整理がついていないので,今のようにどこが都心かという質問が出る。都心は「歩くまち」であり,都心ににぎわいをつくるためには一定の広域交通網も都市間交通網も必要だが,そういう多様な都市活動を支え,環境にやさしく経済活性化にも貢献するというビジョンになっていない状況で,これを答申案として出すことがつらいという趣旨のことを北村委員はおっしゃっているのだと思う。

  上村委員のおっしゃるように,新しい課題にこたえる技術革新をし,今決まっている高速道路を建設するだけでない,よりよい解決方法を探すことはできないのかということもある。その整理を積み残したまま終わるのは残念だ。そうした積み残し課題や技術的課題や各方面の意見の調整を含め,今後努力を続けていかなければならない。

  いずれにせよ高速道路については市民的議論になっていくと思うが,それにこたえるような体制づくりや情報提供がないのが問題だ。前向きに議論を継続するという趣旨の約束を得られないと調整がつかない。

 

飯田部会長

  建設局長は高速道路についてだけ説明されたので,言葉が足りない部分があったのかもしれない。都市整備・交通部会は生活,産業等いろいろな分野とかかわり,さまざまな意見が出ている。市内だけでなく周辺も含めて考えなければならない。これは最大公約数的にまとめられていると思う。川崎委員,三村委員からご指摘のあったように,この計画はまだ出発点という位置付けであり,交通問題に対する答えは1つではない。その時々で問題も取り巻く条件も変ってくるので見直しが必要だ。ベクトルの方向性は打ち出されており,具体的な詰めはこれからという理解をしたい。それぞれの立場で不満があるかと思うが,新たにここに書かれている問題について体制づくりをし,議論を進めていくことを事務局には考えていただきたい。

 

(2) その他

飯田部会長

  本日いただいたご意見については調整委員会でできるだけ答申案に反映する努力をしたい。言い足りなかったご意見については,文書で11月17日までに事務局に提出していただきたい。答申案は12月15日の総会時にご審議いただく。

  なお,本日をもって当部会としてのすべての審議日程を終えるが,今後皆さんには答申までの間,審議会委員として,また都市整備・交通部会のメンバーとしてご活躍いただくことになる。皆さんのおかげで無事部会の日程を終えることができたことに感謝したい。

 

 

3 閉 会

 

 

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