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京都市の基本構想・基本計画(資料編)/京都市基本構想等審議会//第12回 環境・市民生活部会

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2001年2月1日

21世紀・京都のグランドビジョン 京都市基本構想等審議会 記録/第12回 環境・市民生活部会

日 時 : 平成12年8月29日(火) 午後2時~4時30分

 

場 所 : 京都ロイヤルホテル「青雲」

 

議 事 :

(1) 京都市基本計画素案について     

(2) その他

 

出席者 : 

浅岡 美恵(気候ネットワーク代表) 

石田 一美(京都市東山消防団団長) 

笹谷 康之(西京区基本計画策定懇談会座長,立命館大学理工学部助教授) 

田端 泰子(山科区基本計画策定懇談会座長,京都橘女子大学文学部教授) 

土岐 憲三(京都大学大学院工学研究科教授) 

内藤 しげ(住みよい京都をつくる婦人の会会長)

◎内藤 正明(京都大学大学院工学研究科教授) 

仲尾 宏(京都造形芸術大学芸術学部教授) 

J.A.T.D.にしゃんた(市民公募委員) 

西脇 悦子(京都市地域女性連合会会長) 

高木 壽一(京都市副市長)                                

 

以上11名 

◎…部会長     (50音順/敬称略)

 

 

1 開 会

内藤正明部会長

  第12回環境・市民生活部会を開催させていただく。

 

 

2 議 事

(1) 京都市基本計画素案について

内藤正明部会長

  本日は基本計画素案についてご議論いただく。この素案は5つの部会での検討結果を持ち寄り調整委員会で作成したものであり,今後の各部会での議論やパブリックコメントでいただく市民意見を踏まえて,調整委員会で「基本計画第1次案」を作成することになる。その第1次案を10月20日の総会で審議し,年内に市長に答申することを想定している。以上のように,この素案の位置付けは第1次案を作成するためのたたき台というべきものである。

  最初に,本日の議事運営に当たってお願いしておきたい事項がある。この素案の構成は基本構想の流れに沿ってつくられているので,構成自体について最初から議論し直すことは考えないでほしい。議論の順序としては,先に当部会に関連する部分について,その後他部会に関連する部分についてのご意見をいただきたい。この素案はあくまでも第1次案をつくるための議論の出発点であることをご理解いただきたい。また,この素案は総花的に網羅する形になっているので,今後はいかに施策に優先順位をつけ,重点化していくかが課題になる。具体的に何をしていくかが明確になっていないところがあるので,それを意識してご議論いただきたい。できるだけ前向きな政策議論をお願いしたい。

  引き続き素案の概要について説明したい。全体は3章構成になっている。基本構想の流れに沿って政策を体系化しているため,従来のような行政分野別の縦割りでない,市民の視点から見た横断的な構成となっている。

  ――(資料1「京都市基本計画素案」に基づき説明)――

  ここで議論の3つの視点について改めてお願いしておく。

  1点目は「スクラップアンドビルドの考え方に基づく政策の取捨選択」という視点である。事前に送付された資料『京都市財政のあらまし』でもたいへん厳しい財政見通しが示されており,調整委員会においても「お金がないというところから議論を始めるべきではない」「予算配分にメリハリをつけるべき」といった意見が出ていた。

  2点目は「しくみや制度のあり方まで踏み込んだ,京都ならではの前例にとらわれない大胆な政策の立案」という視点である。

  3点目は「重点政策の抽出」であり,基本構想にある「信頼の構築」や「新たな市民生活の理想を世界に先駆けて見出し実現していく」という文章を具体的にどう示すべきかについてご議論いただきたい。

 

笹谷委員

  網羅的になっているが,市の各部局からの資料をもとにこうした課題設定がされているのか。市民の課題設定と行政職員の課題設定の間にはずれがあるはずだ。

 

内藤正明部会長

  基本的には5つの部会から出てきた意見を尊重しながら,行政の考え方も加えて調整委員会で整理したものであり,当部会での議論はほぼ盛り込まれているはずだ。決定的に欠けているものがあればご指摘いただきたい。

 

土岐委員

  重点化や優先度,具体化について考えてほしいということだが,これだけ多数の施策に優先順位をつけるのはたいへんだと思う。具体的にはこの中から優先度の高いものを抜き出しコンパクトなものにするというイメージで考えておられるのか。

 

内藤正明部会長

  調整委員会ではそういう方向性についての議論がなかったが,個人的には素案を前提にして優先順位をつけるというイメージではなく,素案の項目とは別に横断的に体系化することを考えていた。

 

事務局(葛西政策企画室長)

  重点化というのは,素案に挙がっている施策に優先順位をつけるという意味ではなく,この5年,10年で重点的に取り組むべきいくつかの視点を絞り込むという意味と理解している。例えば,素案の中で「歩くことが楽しくなるまち」といったレベルの項目の中からいくつかを選んで総合的に取り組むことになるかと思うが,調整委員会ではまだそこまで議論されていない。本日はこういう視点が大事ではないかということをご議論いただきたいと思う。

 

内藤正明部会長

  テーマの大きさと数についてのイメージがないと議論しにくい。京のアジェンダ21フォーラムでは「京都を変える5つの項目」を考えた。逆に重点化の方法についてもご提案いただきたい。

 

高木委員

  基本計画をどのような形でまとめるかということは調整委員会でまだ議論されていないが,できるだけメリハリをつけてまとめたいという強いご意向がある。この部会として基本計画全体の中でぜひこの点は強調すべきだといった議論をしていただきたい。環境というテーマは分野横断的であり,「産業の分野で環境の観点からこういう点を強調すべきである」というように,他部会関連の部分についても当部会の観点から強調すべきことがあればご意見をいただきたい。

 

仲尾委員

  この素案にはかなり細かい施策まで挙がっている部分がある。例えば交通の場合,新駅をどこにつくるか,高速道路をどこまで延長するかということまで書かれている。今は素案だからいいが,これが成案になった段階で,ここに書かれているからやるということになるのかどうか。例えば,京都高速道路についてはまだ市民の合意ができていないが,それが基本計画に盛り込まれることで既成事実になり,市内に高速道路ができてしまうとすれば問題ではないか。逆に,その場合ここに盛り込まれていない条項は後回しになる可能性があるので,漏れがないかどうかのチェックをしなければならない。

 

高木委員

  これは基本計画素案であり,仲尾委員がおっしゃったような取扱いになる。ここに挙がっている項目については2010年に向かって少なくとも着手はしていくという意味であり,逆にここに挙がっていない項目についてはそういう位置付けはされていないことになる。

 

笹谷委員

  細かい項目まで短い時間内に議論できない。むしろ,高速道路をつくるかどうかの合意形成を含め,何が重要で何が効果的かを計測するシステムについてきちんと書いておくべきだ。第3章に行政評価についての記述があるが,行政が何が重要でどこにお金を投資すれば効果が上がるかを決めるための戦略計画と,住民の満足度のベンチマーキング評価は全く違うので,別に考えなければならない。第1章,第2章で5本なり7本なりの柱をつくり,さらに全体を推進するうえでの第3章の位置付けを明瞭にしておくべきだ。第3章を柱にするのも一つの考え方だが,この章は他の章とは質が違うように思う。

  スポーツ施設にしても本当に必要かどうか,費用対効果や市民の支持率を明瞭にして合意形成できるシステムが必要である。厳しい財政状況の中で,都市内の高速道路を建設することは常識的に考えても採算が合わないのではないか。

 

仲尾委員

  個々の政策についてはもっと何段階も評価するシステムがなければ市民の信頼は得られない。そういう意味では,第3章は第1章,第2章より1ランク上に位置付けることを考えるべきだ。この段階で個々の施策の実施までGOサインが出たという理解をされると,われわれとしては責任がとれない。

 

内藤正明部会長

  第3章は他の章とは違う位置付けにすべきかどうか。

 

高木委員

  その点については当部会から調整委員会にご提案いただきたい。基本構想を3章立てにしたのは,これまでの基本構想は第1章,第2章に相当する記述が中心であり,「推進に当たっては市民の協力が必要である」というように付け足しのような形で書かれていた部分を,章を起こしてきちんと位置付ける意味があった。第3章は第1章,第2章をどう進めていくかというしくみの部分として書かれた章であると言える。

 

内藤正明部会長

  改めて当部会で第3章を明確に位置付けたうえで,第1章,第2章の個別の施策・事業を評価すべきということを調整委員会に提案したい。

 

笹谷委員

  この素案の第1章,第2章は基本構想の第2章に対応する。基本構想の第1章は過去を振り返り,未来に向けての決意を表明するものであり,第3章は社会のしくみを市民と行政が協力して変えようという決意表明であって,基本構想でも第2章と第3章の位置付けは異なっている。

 

内藤正明部会長

  第3章の位置付けについては当部会から提案したい。内容としては評価のしくみをきちんと示すということで,その中身として行政側の評価と市民側の評価が別であることを認識し,それを踏まえて合意形成の手段をきちんと確立するということだ。

 

笹谷委員

  市民側のベンチマーキングがあって,その中で重要とされた課題設定に対して,どのように効率的に行政を進めていくかという戦略計画が描ける。それにITの活用やバランスシートの公開といった方法が乗ってくる。

 

田端委員

  第3章第4節の視点は非常に大事だ。基本計画を検討している時点がいちばん真剣に取り組んでいる時期でもあるが,事後評価,事後点検を市民にすべて任せるのでなく,調整委員会が基本計画策定後も年に一度くらいは自分たちの作成した基本計画がどのように実施されているかを評価するしくみも盛り込んでおくべきだ。

 

笹谷委員

  田端委員のご意見は進行管理という意味で,むしろ「計画の推進」に含まれる。京都市にはたくさんの審議会や委員会があるが,必要のないものはどんどん廃止すべきで,その代わりにフォローアップ組織をつくり毎年進捗状況をチェックし,見直しをするというように明記すべきだ。

  また,区役所に権限も予算もないままでは区別計画は実現できない。区の位置付けをどうするのかの担保がないと,区別懇談会の座長として区民に説明できない。ぜひ区への分権化を実現していただきたい。その具体像については,基本計画に書き込んでいただきたい。

 

内藤正明部会長

  フォローアップ組織と評価のしくみがあれば,網羅的な施策をそれにかけていけばいい。

 

笹谷委員

  資料『市政の各分野における構想・計画等について』を見ても,これらの構想・計画の成果は実際に役立てられているのか疑問だ。計画立案の目的はコミュニティ・エンパワーメントと職員の能力開発にある。コミュニティ・エンパワーメントとは一人一人の市民が変革する力を持つということであり,自助でなく共助であるということだ。計画立案にかかわった市民が実施段階では担い手として育っている状況をつくるべきで,そうならない計画の担当者には責任をとってもらう。職員も市民とともに能力開発をしてもらわなければならないが,それは政策形成能力であるとともに市民の自発的活動にどこまで行政が参加し,必要な部分を支援するかという行政参加能力でもある。この2つを明瞭にしたうえに,補助金の請求や施策相互の整合性や庁内調整がある。これからの計画はすべてコミュニティ・エンパワーメントと職員の能力開発のために立案し,それにふさわしい人員になっているかどうかも見直すべきだ。例えば,青少年問題協議会には若いメンバーが入っていないそうだが,見直しが必要だ。

 

内藤正明部会長

  優先順位のつけ方についてのヒントもいただきたい。ここに挙がっている施策はすべて重要ではあるが,すべてできるかどうか考えると重点化が必要になる。

 

土岐委員

  第1章第3節1(3)ウに耐震補強など地震に強い建物をどうつくるかの施策が挙がっているが,専門家の立場として最も京都で怖いのは地震時の火災だと思う。京都は全国でも有数の出火率の低い都市だが,それは通常火災についてであって,地震時の火災は全く次元が違う。京都の古いまちは東西10kmの中に古い木造民家が建てこんでおり,遠くない将来京都に地震が起こったとき,耐震補強等の対策をしていても火災が起これば役に立たない。地震時に火災を起こさないようにしなければならない。戦後50年日本では大きな地震災害がなかったが,阪神淡路大震災の際には地震の後通電した段階で火災が起こるというような,今までなかったような形での火災を体験した。京都は神戸とは比べものにならないほど火災に対して脆弱な都市であり,従来と観点を変えた防火対策をしておかないとたいへんなことになる。「地震時の出火を防ぐための市民啓発の推進」といった項目を入れてほしい。

 

内藤正明部会長

  京都では地震が起こった場合の出火のシミュレーションはされていないのか。

 

土岐委員

  されてはいるが,出火の計算は1923年の関東大震災のデータに基づいている。先に述べたように,神戸の震災時のような今までは考えられなかったような出火も考慮しなければならない。また,現在ではどこにどのような木造家屋があり,どこから火が出るとどれだけの時間にどこまで燃え広がるかという科学的なシミュレーションが簡単にできるので,それをより精度の高いものにしていかなければならない。

 

内藤正明部会長

  市民啓発という意味で,そういう情報を開示して危機意識を持ってもらうことは大事だ。

 

仲尾委員

  第1章第1節1(6)の同和対策については,国や行政の取組が進められてきており,資金面,施設面での支援は進んだが,現場での人づくりが十分でない。施設は改善しても,地域の中で垣根を取り除く取組をする人が育っていない。アの(イ)や(ウ)のあたりで,人づくりに取り組むということを課題とすべきだ。

  同項(7)には外国人に対する就職差別の問題が抜けている。留学生で京都で就職したいという希望を持つ人も含めて,市職員の採用の拡大等京都に住む外国籍市民の就職差別をなくしていく取組が必要だ。それが第2章第2節3(1)の「多彩な国際交流の推進」ともかかわってくると思う。

  これは第1章第1節3(3)に入れてもいいと思うが,京都でもニューカマーと呼ばれる新しく定住した外国人とその家族が増えている。中国からの帰国者や日系人も母語は日本語ではない。そういった家庭の子どもたちは生活言語は習得できても学習言語としての日本語が身に付かないので,低学歴化の問題が今後顕在化してくると思う。そういう意味で,母語能力の保証と同時に日本語能力の保証に取り組む必要がある。保護者とのコミュニケーションについても同様で,今は英語より,ポルトガル語やスペイン語,中国語の能力を持つ市職員,教職員が必要とされている。また,日本の学校での在日韓国・朝鮮人の教育のあり方については,教育委員会から出ている指針を各学校ごとに具体的に推進する必要がある。

  もう1点は路上生活者等の問題で,家族や地域と切れ,仕事をする能力も失われ,極端な非人権状況に置かれている人たちの問題をどう解決するのか。生きるすべをどう行政が保証するのか。他方で青少年の路上生活者に対する暴行事件が起こっており,そうした問題について学校現場でどのような人権教育を行っていくかも課題となっている。

  以上のような項目が抜けているので,ぜひ盛り込んでいただきたい。

 

にしゃんた委員

  第1章第1節1(7)の表現は当たり前で,わざわざ書くのは行政として恥ずかしいことではないか。また,外国籍市民と留学生を区別しているが,留学生も市民として扱ってほしい。

  仲尾委員のご提案にあったように,外国人の就職の問題はぜひ解決してほしい。少子化の時代にあって外国人の子どもは増えているが,外国人は市職員になれないような状況に対して子どもたちの感じる屈辱感を解消するのは大人の義務だと思う。留学生が京都の企業に就職しようとしてもどこに相談に行けばいいか分からない。政令指定都市の中では最大の留学生人口を抱える京都市として,そのあたりもぜひ考慮していただきたい。

  ウに「留学生の住宅確保」が挙がっているが,わざわざ留学生のための寮をつくるのではなく,普通の民間住宅に留学生が入居できる状況をつくっていただきたい。今までの啓発活動はチェック機能がなく成果が上がっていないように思う。罰則規程はなくても条例をつくることが啓発という意味でも有効ではないか。他の地方自治体の事例を研究して,有効であればぜひ京都市でも導入していただきたい

  住みやすい京都ということを考えたとき,現在公共交通機関にはシルバーシートが設けられているが,高齢者の乗客比率に一致していないし,非効率だと思う。それよりもすべての席がシルバーシートとなるように,市民にモラルを教えるほうが重要だ。どの席もシルバーシートであるという運動を進めることは京都の売りになり,お金もかからない。

 

西脇委員

  かつてはシルバーシートなどなくても,家庭教育やしつけの中でお年寄りなどには自然に席を譲っていた。どうして今のような状況になってしまったのかと思う。この素案の中でも行政にやってもらうことばかりでなく,一人一人の責任で何ができるか,市民に自助努力を求める表現があってもいい。市民が責任ある行動をしていくとき,こうした施策が効果的に実現できていくのではないか。

 

内藤正明部会長

  「シルバーシートのないまちを京都から」というのは面白いのではないか。にしゃんた委員から第1章第1節1(7)「在住外国人をともに…」という表現に違和感を感じるというご指摘があったが,わざわざこれを書かなければならない意識の後進性がわれわれの立場では分からなかった。調整委員会では言葉遣いについても慎重に検討したい。

 

浅岡委員

  全体をどうまとめればいいのかということを考えると,枠組みを変えてはならないという条件があるので,どうメリハリをつけるかということになる。5つくらい大きな柱が考えられるのではないか。1つは「高齢者や外国人,障害を持った人が普通に暮らせる」ということが目標として掲げられると思う。次に,キーワードとして「持続可能な発展」という概念をこれからの京都のまちの可能性として考えるべきで,そういう観点から経済についても考える。また,環境面ではいろいろな項目が挙げられているが,「緑」をキーワードとしてもいいのではないか。気候変動問題と関連して森林の吸収源を増やすために,政府が都市の緑化という施策を打ち出している。大きな街路樹が火災を防ぐということもあるし,都市の品位という意味で昔あった裏庭や中庭の緑に替わるものをどうつくっていくかということもあり,いろいろな意味で緑を強調してもいいのではないか。

  もう1つは交通についてで,環境の部分でも「歩くまち」の部分でも都市基盤整備の部分にも取り上げられているが,それぞれ記述がばらばらで,政策に一貫性がない。仲尾委員のご指摘にもあったように,第2章第3節2の部分だけが他とは違う記述の仕方がされており,紛争を呼ぶ課題が含まれている。今回の基本計画が事業推進の出発点だと言われると反対意見も出てくる。第1章第3節3で「歩くまち・京都」ということが謳われており,同章第3節2(1)ア(オ)には「環境にやさしい交通体系の創出」という表現が出てくるが,具体的な中身が表題にふさわしいものになっていない。政策に一貫性を持たせて,健康面からも環境面からも自動車をどう補完的なものに変えられるか,自転車についても交通の重要な手段として位置付けた道路体系にしていくかというように,「歩くまち」を中心とした安心かつ便利な交通体系を整えていくことが見えるようにすべきだ。

  環境については全体として意欲的な表現は見られるが,第1章第3節2(1)イにしても中身が表題に見合ったものとなっていない。ここに今回の計画の問題点が象徴的に表れていると思う。「持続可能なまちをどうつくるか」というテーマでまとめられる課題が何項目かあると思う。

  人々が支え合う,社会としての健全さをとりもどすということを柱とする項目もいくつかある。これも重要だと思う。

  第3章については,この章を立て,横断的に全ての課題に共通する課題であることを強調することは大事だが,徹底していないと感じるところがある。第2節1も表題はいいが,中身が伴っていないため現実性がない。書かれていることはせいぜい市民が行政の政策形成に参加でき,意見が反映できる条件整備であり,それも機会を設けるというところに留まっている。市民参加推進懇話会でも具体化を図っているが,行政の側に現状を変える意欲がなくあまり進展は見られない。言葉だけでなくどう実態を伴わせるかが問題だ。議会との関係が制約になっていることは理解できるが,議会との関係があるから市民の意見が抑制的にならざるをえないという考え方はおかしい。中身の整理も必要だが,参加の機会を設けるのではなく,市民が納得できる新しい合意形成のためのプロセスをつくることを目標とすべきだ。

  最後に大きな柱として,これまでの議論が支えられるような人づくりや組織づくりに力を入れるということがあるのではないか。

 

内藤正明部会長

  ご指摘のように,表題に中身が伴っていない部分がある。「持続可能な発展」の中身がこれでは困る。市街地の緑についてもこれからどう考えていくのか。

 

仲尾委員

  財政的な裏付けが気になる。高速道路の問題にしても,将来京都市の人口が減り,大学も企業も減少し,税収も減ることを考えると,このような大規模な公共事業を実施するための財政的裏付けをどう考えているのか。国だけでなく地方自治体でも公共事業を見直していかなければならないが,この審議会の中には基本計画を進めていくための財源をどうするのかを論じる場がない。

 

内藤正明部会長

  前文の「策定に当たって」の部分で「厳しい財政状況の中での「スクラップ・アンド・ビルド」」ということは書かれている。

 

高木委員

  今後調整委員会でご議論いただくことになるが,財政見通しを踏まえた実現可能な基本計画でなければならないという観点から,10年間の基本計画を前期と後期に分け,前期5ヵ年の中にある程度財政的見通しのあるものを位置付けるということを考えている。当部会でも財政のことを考えたうえで,優先的に取り扱うべき施策やこれはやるべきではないという施策についてのご意見をいただきたい。

 

内藤正明部会長

  環境政策と合わせて環境税をとるというようなことを,当部会から提案してもいいのではないか。デポジット税や自動販売機税などを導入すれば,環境を良くする目的で財政も潤うことになる。そうした提案をすることにより,市民の間に議論が起こればいい。

 

笹谷委員

  大きな柱を考えるということでは,先ほど土岐委員から防災意識を高めなければならないというご意見があったが,災害はいつあるか分からないので日常生活の中での市民の意識を高めるのは難しい。日常的には環境でいざとなると防災というような,複数のテーマをからめた柱を立てる必要があるのではないか。その中で持続可能な発展や緑も含めたしなやかなインフラをつくっていく。環境や防災に配慮したものを当部会として強調すべきではないか。

  産業については,京都の工業都市の伝統には捨てがたいものがあり,それをITや観光や大学・社寺とどうミックスしていくかが重要になる。江戸時代には京都は日本一の工業都市だったわけだが,従来型の工業のイメージと違う新しい工業の柱をつくり,そこに環境や防災,福祉などの観点を入れ,新しい産業を興すという視点が必要ではないか。

  人権については,青少年の部分が弱い。若い力が十分活かされていない。問題は若者の意見を聞く対話のチャンネルがないことであり,参加の場があればいろんな意見が出てくる。子どもが教育や福祉の対象とされ,矮小化されており,子どもが主体としてまちづくりに参加する機会をどうつくるかという部分が欠けている。若者については第2章第1節4に挙がっている程度の施策でいいのか。若者が活躍する場をつくり,学生が火付け役や連携役となることを期待するということを明記してほしい。社会的弱者の人権から参加が十分でないところまで含めた政策の軸が必要だ。

  浅岡委員のご指摘にもあったが,第1章第3節2(1)イについても,表題と具体的施策の間に「環境先進都市として,環境行政の総合的推進による持続型都市の構築」についての考え方を書き,全部の施策についてそれを体系化していく必要がある。進めるときに人づくりやリーダー育成,ITによる情報システムづくりといったことが見えてくればいいのではないか。

 

土岐委員

  目次を見てもこの基本計画はどこのまちの計画なのか分からない。現在京都に住んでいる自分たちの生活が安全で安心で満ち足りていればそれでいい,それしか追求していないように見える。京都のまちはそれだけのまちではないはずだ。世界歴史都市会議の提唱都市であるという自負もあり,1200年の歴史を持つまちを次の世代にどうよりよいものにして伝えていくかということが,柱としてあってもいいのではないか。いろいろなところに歴史都市や文化財といった言葉がちりばめられていて,そうした意識がないわけではないが,それを集めて見える形で出してはどうか。

  建都1200年は結果的に今住んでいるわれわれがお祭りをしたにすぎず,100年後の人に何も残さなかった。道路や河川の整備は現在住んでいる自分たちの利便性を追求しただけだ。そういう観点から,重点化や優先化というところで歴史を受け継ぎ,次代に伝えるという意識が見える項目がほしい。各項の「基本的方向」の部分ではそういうことが書かれているが,それ以下のブレークダウンした具体的中身にはない。これについては調整委員会で議論していただきたい。

 

笹谷委員

  基本構想の第1章で書かれていることが,具体的施策の組合せの中で見えるようにすべきだ。組み合わせて効果をつくるというところが見えにくいので,どのまちでも通用するようなものになってしまっている。思い切った新京都策を打ち出すべきだ。(ア),(イ),(ウ)…のレベルで書かれている施策には,既存のやり方を変えるべきものもあれば,廃止すべきものもあり,組み合わせによって相乗効果を出すべきものもあるのではないか。

 

内藤正明部会長

  1200年の伝統を売り物にして,過去のことをいろいろ言うのはそろそろやめようという意識があった。

 

浅岡委員

  交通についてボリュームが多いが,ざっと横に見ただけでも矛盾が多い。第1章第3節3(2)に「だれもが歩きたくなるような安全・快適なまちの実現」とあるが,そのためにどういう施策をするのかを見ると,「御池通シンボルロード整備事業による歩道整備」や「鴨川に架かる橋及び歩道橋の調査研究・整備」などが挙がっている。なぜこれらが「だれもが歩きたくなるまち」につながるのか分からない。2010年を目指すのであれば市街地のトランジットモール化を考えるくらいの抜本的な提案がなければならない。

  今までの議論は「基本的方向」という抽象的部分と(1),(2)…という表題の部分に多少反映されているが,その下位に位置付けられる政策はこれまでの行政内の計画が割り付けられているに過ぎない。基本計画としてア,イ,ウ…や(ア),(イ),(ウ)…の具体的政策の部分まで議論されたというプロセスになるとすれば,結局議論はしたが具体的施策は変わらなかった,あるいは固定化させただけということりなり,これまで何のために議論してきたのか分からない。広範な内容のものをわれわれが何時間かで議論できるわけはないのだから,ア,イ,ウ…以下の部分は計画として位置付けず,さらにこれから議論するということを明確にしておかないと,今回のプロセスが誤解を招くことになりかねない。ア,イ,ウ…以下の部分については行政内部でも審議会の中でも議論されていない。一つ一つの課題が大きなテーマであり,それぞれの課題ごとに議論の場がつくられて決められるべきで,それが第3章で謳われていることではないか。

 

内藤正明部会長

  他部会でも同様の意見が出ているようだが,今のご意見は真剣に受け止める必要がある。

 

石田委員

  現在四条花見小路~安井東大路の間に一方通行の規制が敷かれ,市民の賛否を問うているところだが,3分の2は賛成で3分の1は反対ということで,市民の意思が統一できない。京都は碁盤目の道路構造になっており,四半世紀中にはすべての道路を一方通行にするという計画があってもいいのではないか。今は一人の反対者があっても行政は動かないが,前もって条例をつくることを基本計画に盛り込んではどうか。

 

土岐委員

  歴史的なまちに住む人とそうでない都市の人とは違う。日常の生活で不便なところがあっても,歴史的な都市に住んでいるという誇りと引き換えにがまんするところが市民の側にあってしかるべきだ。

 

高木委員

  基本構想の第1章にまちの理想が掲げられており,信頼の再構築ということ,京都市民の得意とするところを総括して活かしていかなければならないということ,21世紀の社会に求められる新たな市民生活の理想を世界に先駆けて見出し実現していきたいということの3つが市民の総意として盛り込まれている。この3つに対応するものがこの素案にはなく,そのためメリハリのないものになっている。素案には大都市共通の問題が挙がっているが,基本構想の第1章に掲げられた3点に結びつく具体的施策として,盛り込むべき施策,強調すべき施策についてご意見をいただきたい。

 

内藤正明部会長

  古いものを価値あるものとして後世に伝え世界に発信するためには,場合によると我慢も必要だという視点はこの素案の中には欠けている。そうでない方向を今回は志向していたところがあるので,その点については再度調整委員会で議論したい。

 

浅岡委員

  第2章第2節1(1)に「世界一美しいまち・京都」をめざすという項目があるが,具体的な施策として挙がっているのは単なる美化の推進であって,他国の美しいまちで景観の調和を保つためにとられているような制度措置は考えられていない。これでは世界一美しいまちは実現不可能だ。

 

内藤正明部会長

  この標語は「ごみの少ないまち」という意味で言われているという説もある。本気で世界一美しいまちをめざすというのはおこがましいという意見もある。

 

仲尾委員

  歴史都市に住む者はある程度辛抱しなければならないということは共通認識になっており,重要なことだ。

  第2章第3節は具体的になり過ぎている。これらの施策の必要性について議論した覚えはないし,他部会でもされていないのではないか。今までの京都市の構想・計画にある事業・施策が並べられているにすぎず,代替案を出す審議のプロセスもない。これらを全て承認することになると各地域から反論があると思う。ここまで基本計画に盛り込むことには問題があるので,そのへんの取扱いも含めて,調整委員会で検討していただきたい。

 

笹谷委員

  区別計画で挙がっている施策が基本計画に盛り込めないとすると,西京区の座長としては困る。区別計画の調整をする場もほしい。例えば,西京区では早く地下鉄を西進してほしいという意見があるが,それをこの中に盛り込めないとなると大問題で,区別計画の中で出てきた施策をどう取り扱うかについては調整委員会でご議論いただきたい。

 

内藤正明部会長

  区別計画の取扱いについてはどうなっているのか。

 

事務局(葛西政策企画室長)

  10月20日の総会の際に区別計画案が報告され,その場で参照していただける。

 

笹谷委員

  素案の項目はどういう手順で選んだのか。

 

事務局(葛西政策企画室長)

  各部会から出された意見もあれば,市の意見が補完されている部分もある。

 

笹谷委員

  両者が区別できるようにしていただきたい。課題設定は市民がするものであって行政がするものではない。行政が課題設定を必要と考えるならば,審議会の場に出して議論すべきだ。区レベルの懇談会での課題設定についても,この場に持ってきて議論すべきだ。課題設定の部分はあくまでも市民が自主的にすべきもので,それを受けて市民と行政が政策形成を行い,それからどこにどれだけの予算や人材を配置するかという行政戦略がある。そのあたりを整理してほしい。 

 

内藤正明部会長

  個別の項目についてはあくまでも参考までに提示しているものであり,重点項目を挙げたりメリハリをつけるためのヒントと考えていいのか。

 

高木委員

  各部会で各局からこれまでの取組や現在の計画に盛り込まれている事業・施策について説明し,それに対してご意見をいただいてきたが,その内容が盛り込まれている。その際にご意見がなかったものについて,さらにご意見があればいただきたいという意味でここに挙げている。

 

内藤正明部会長

  他部会で議論されたものもすべて出ているため,目新しいものも入っている。個別に審議したわけではないが,一応は審議の場に出たものであるということだ。

  個別の項目が基本計画の中に全て入るわけではなく,落とすべきものがあれば落としていただきたいということであり,さらに言えば,どこの道路を整備するかということについては都市整備・交通部会が主体となって判断することになるが,環境・市民生活部会の視点ではこうなるという意見を述べることはできる。

 

にしゃんた委員

  いくつか気付いたことを申し上げたい。市民との信頼関係ということでは,市民が困ったときに相談に応じられるしくみがあればいい。第1章第1節1(7)エに「外国籍市民の多様なニーズに対応した情報提供」とあるが,現状ではいくつもの団体が同じようなことをやっている。正確な情報を把握することを考えていただきたい。例えば京都市は不登校の外国籍の子どもはいないと言っているが,京都市が把握していないだけではないか。リサーチとともに深みのある相談体制をつくることも必要で,NPOとの連携なども重要になる。また,観光のところで多言語表記についての施策が出ているが,生活レベルでの外国語表記の充実も必要だ。

  第2章第2節3(1)エで地域住民と留学生の交流を充実させるとあるが,留学生だけでなく,忘れられた外国人である在日外国人も巻き込む形で国際交流活動を進めていただきたい。

  もう1つは,この素案には青少年に関する記述が少なく,第2章第1節4も青少年同士の交流の記述が中心になっている。高齢社会に対して青少年がいかにかかわっていけるかというように,もっと青少年と社会とのかかわりを具体的に記述すべきだ。青少年の活躍の場を提供するということだが,青少年の側に活躍できる準備ができているのかどうか。そういう意味で青少年の育成も考慮すべき点ではないか。

  子供のことについては教育の充実という視点も大事だが,家庭や学校の場を離れたところでの子どもの空間や時間を考えるべきではないか。伏見の青年の家には不登校の子どもが集まってきて,そこを居場所にしている。子どもに学校以外の安全な場所を提供し,教育の場として活かしていくことを考えるべきだ。

 

内藤しげ委員

  五条坂の陶器祭のとき,子どもたちが陶器を包む新聞紙を回収に来たが,子どもが自発的に陶器祭の手伝いをしているのを見てたのもしく感じた。地域の特色を生かして,教育の場でも子どもたちが伝統産業について理解を深められるようにしてほしい。

 

浅岡委員

  先ほどどういう経緯で素案ができてきたかについての説明があったが,部会に対して担当部局から出された資料は,現在行政が何をしているかというものであり,これからこうしたいということではなかったと認識している。それに対して意見がなかったから基本計画に入れるというのであれば,こういう会議の場を設ける意味はない。

 

内藤正明部会長

  個別施策の扱い方のスタンスについては調整委員会で議論し,第1次案をつくるときに齟齬のないよう努めたい。笹谷委員から,行政側から出された施策とそうでないものが分かるように印をつけてほしいというご意見があったが,この素案の位置付けを考えればそこまでする必要はないように思う。

 

(2) その他

内藤正明部会長

  今後の予定としては,冒頭に申し上げたように10月20日の総会で第1次案を審議する予定である。また,その場で行政区別計画の案もご参照いただくことになる。

  それでは,本日はこれで閉会したい。

 

 

3 閉 会

 

 

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