新指定・登録文化財 第23回京都市文化財
ページ番号5525
2020年4月6日
京都市では京都市文化財保護条例に基づき,文化財の指定・登録を毎年行っています。平成17年2月に京都市文化財保護審議会から答申を受け,新たに3件を指定・登録しました。(平成17年4月1日告示)。これにより,京都市の指定・登録文化財は全部で408件になりました。
建造物
長江家住宅(ながえけじゅうたく) 6棟(指定)
〔京都市下京区船鉾町〕
長江家は代々呉服の卸を営んできた。屋敷地には新町通に面して2棟の主屋が建ち,この後方に離れ座敷と化粧部屋,さらに土蔵2棟が並ぶ。
当家は文政5年(1822)に,現屋敷の北寄りの部分を取得して移り住んだ。現在の主屋北棟が建てられたのは慶応4年(1868)である。明治6年(1873)にはこの背面側の敷地を買い足し,明治8年に旧蔵が購入・移建された。さらに南寄りの敷地を買い足して,主屋南棟は明治40年に完成した。このとき離れ座敷も建てられ,新蔵も購入・移建された。その後,化粧部屋や浴室が大正4年(1915)に建築された。
主屋北棟は,通り土間と居室をひとつの屋根で覆う通りにわ形式である。建物は2階建で,1階内部は改造されているが,当初は土間に沿って1列3室が並ぶ構成であった。主屋南棟は,表の店舗部と奥の居室部を玄関部でつないだ表屋造り形式である。居室部は2階建で,1・2階ともに2室が並ぶ。2棟の主屋は京町家の典型的な表構えをもち,1階には格子窓や大戸を備えて通り庇を付け,2階には土壁にむしこ窓を開く。
離れ座敷は6畳の座敷と4畳半の次の間からなる。化粧部屋は天窓の付いた6畳室で,南側に浴室と脱衣室が付く。旧蔵と新蔵はいずれも他所から移築された,土蔵造,平入の2階建である。
この住宅は,形式の異なる2棟の主屋をはじめとして,離れ座敷や土蔵などが一連でよく残っている。これらの建物は,幕末から大正期にかけて建てられたことが当家に数多く残る資料から確認できる。施主の建築日誌や図面などの資料がよく残されており,当時の住宅の普請工程を知る上でも貴重である。
〔京都市下京区船鉾町〕
長江家は代々呉服の卸を営んできた。屋敷地には新町通に面して2棟の主屋が建ち,この後方に離れ座敷と化粧部屋,さらに土蔵2棟が並ぶ。
当家は文政5年(1822)に,現屋敷の北寄りの部分を取得して移り住んだ。現在の主屋北棟が建てられたのは慶応4年(1868)である。明治6年(1873)にはこの背面側の敷地を買い足し,明治8年に旧蔵が購入・移建された。さらに南寄りの敷地を買い足して,主屋南棟は明治40年に完成した。このとき離れ座敷も建てられ,新蔵も購入・移建された。その後,化粧部屋や浴室が大正4年(1915)に建築された。
主屋北棟は,通り土間と居室をひとつの屋根で覆う通りにわ形式である。建物は2階建で,1階内部は改造されているが,当初は土間に沿って1列3室が並ぶ構成であった。主屋南棟は,表の店舗部と奥の居室部を玄関部でつないだ表屋造り形式である。居室部は2階建で,1・2階ともに2室が並ぶ。2棟の主屋は京町家の典型的な表構えをもち,1階には格子窓や大戸を備えて通り庇を付け,2階には土壁にむしこ窓を開く。
離れ座敷は6畳の座敷と4畳半の次の間からなる。化粧部屋は天窓の付いた6畳室で,南側に浴室と脱衣室が付く。旧蔵と新蔵はいずれも他所から移築された,土蔵造,平入の2階建である。
この住宅は,形式の異なる2棟の主屋をはじめとして,離れ座敷や土蔵などが一連でよく残っている。これらの建物は,幕末から大正期にかけて建てられたことが当家に数多く残る資料から確認できる。施主の建築日誌や図面などの資料がよく残されており,当時の住宅の普請工程を知る上でも貴重である。
美術工芸品
絹本著色以天宗清像雪村筆(けんぽんちゃくしょくいてんそうせいぞうせっそんひつ) 1幅(指定)
〔京都市北区紫野大徳寺町 龍泉庵〕
本図は戦国時代に活躍した禅僧画家,雪村周継(1492/1504~?)が描いた箱根・早雲寺の開創,以天宗清(1472~1554)の肖像画である。以天宗清は京都の生まれで,大徳寺第83世。大永2年(1522),北条氏綱の招きで,早雲寺の開創となった。本図には天文19年(1550)に記された以天の自賛がある。制作年が判明する作例が少ない雪村の作品中,貴重である。また,本図のように手堅い作風の著色人物画は雪村には珍しく,雪村の画技の幅を示す希少な作例でもある。
〔京都市北区紫野大徳寺町 龍泉庵〕
本図は戦国時代に活躍した禅僧画家,雪村周継(1492/1504~?)が描いた箱根・早雲寺の開創,以天宗清(1472~1554)の肖像画である。以天宗清は京都の生まれで,大徳寺第83世。大永2年(1522),北条氏綱の招きで,早雲寺の開創となった。本図には天文19年(1550)に記された以天の自賛がある。制作年が判明する作例が少ない雪村の作品中,貴重である。また,本図のように手堅い作風の著色人物画は雪村には珍しく,雪村の画技の幅を示す希少な作例でもある。
紙本著色十六羅漢図渡辺始興筆(しほんちゃくしょくじゅうろくらかんずわたなべしこうひつ)1面(指定)
〔京都市上京区一番町 立本寺〕
本図は立本寺の本堂仏壇後壁に描かれる十六羅漢図である。筆者の渡辺始興(1683~1755)は18世紀前半の京都で活躍した画家。近衛家熙(予楽院)に仕え,禁裏の画事も担当するなど,当時の京都画檀にあって高い地位を占めていた。本図は始興が64歳の時に描いたものであり,始興の基準作として重要である。また,始興が京の寺院に障壁画を描いたことは文献にも記されるが,本図は建造物とともに現存する貴重な例と言える。
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