京都市指定・登録文化財-名勝(左京区)
ページ番号189626
2020年4月6日
京都市指定・登録文化財-名勝(左京区)
光雲寺庭園(こううんじていえん)
三千院有清園庭園及び聚碧園庭園(さんぜんいんゆうせいえんていえんおよびじゅへきえんていえん)
白河院庭園(しらかわいんていえん)
鴨脚家庭園 (いちょうけていえん)
鴨脚家庭園は賀茂川に架かる葵橋東詰の北部に位置する。近隣は,応仁年間からの記録が残る賀茂御祖神社の社家町であったが,下鴨本通の開通に伴い数多くの社家が退去したため,鴨脚家は唯一現存する賀茂御祖神社の祝(はふり)(神官)の屋敷である。庭園は東西に並列する和館2棟に南面し,形態は全体として歪な方形の擦り鉢といった形態をしており,周囲より一際窪んだ中心部に泉がある。塀際には築山が配され,高さの異なる石積が築山と和館の際を取り囲むようにして高低差を埋めている。水の供給を湧水という自然の力に頼り,賀茂御祖神社の祝の現存する唯一の屋敷に設けられた庭園として貴重である。
西翁院露地(さいおういんろじ)
西翁院露地は,黒谷浄土宗の本山金戒光明寺の塔頭西翁院境内にある。
寛政十一年(1799)刊行の『都林泉名勝図会』に,露地の様相が描かれている。茶室 澱 ( よど ) 看席 ( みのせき ) は,寛文十一年(1671)の建築であると考えられ,江戸前期の茶人藤村庸軒作と伝えられる。
露地は鍵形の敷地をもち,内露地と外露地からなる。中門を潜り,露地へ導かれると,すぐに石段を下り腰掛に至る。腰掛の北方には連続して飛石が打たれ,西側は高生垣で遮蔽されている。高低差のある東側には混垣が巡り,中央の石段で内露地と連絡している。本堂から南西を眺めると,眼下に京都市街を広く見渡すことができる。内露地は茶室に西面し,外露地とは南北に木戸口を備えた四ツ目垣で仕切られ,中央付近に蹲踞が設けられている。『都林泉名勝図会』に描かれ,市街への広い眺望と市中の山居といった風趣を併せ持つ,藤村庸軒ゆかりの茶室に伴う露地として貴重である。白沙村荘庭園(はくさそんそうていえん)
日本画の巨匠橋本関雪が大正5年以降営んだ邸宅の庭園である。東側部分の園池は,かつて疎水から流水を引き入れており,2棟の茶室を備えている。西側部分は,竹林に羅漢石仏が点在するなど,画伯の豊かな感性に裏打ちされた趣向が感じられる。アトリエとして用いられていた建物,「存古楼」の二階からは,大文字の送り火を望むことができる。また庭園の随所には,優れた石造美術品が配されるなど,橋本画伯の豊かな感性が感じられる貴重な庭園である。
對龍山荘庭園(たいりゅうさんそうていえん)
南禅寺の周辺は,明治時代に数多くの別荘が営まれたが,この庭園もそうした庭園の一つである。この地には,当初,薩摩出身の伊集院兼常が屋敷を開いた。その後,市田弥一郎の所有となった明治35~39年(1902-06)にかけ,小川治兵衛の手によって,現在のような姿に改修された。庭園の構成は,主屋の東側に広がり,池を中心とする北側の豪壮な趣の部分と,南側の優美な雰囲気の部分とに分けられる。園路と築山は幾つもに分かれ,東山を借景として複雑な場の構成をとり,構成要素も実に豊かである。明治期における京都の別荘庭園を代表する貴重な庭園である。なお,昭和63年に,国指定名勝とされたため,京都市による指定は解除になった。
中井家の庭(なかいけのにわ)
怡園(いえん)
怡園は,もともと細川藤孝(幽斎)を始祖とする細川家の十六代細川護立(1883-1970)が造営した京都別邸であり,昭和御大典のあった昭和3年(1928)に着工し,同7年に庭と建物共に竣工したとみられる。庭は,主屋を中核として玄関庭,東庭,西庭,北庭,中庭といった5箇所に大別できる。東庭を主とした庭を手掛けた人物は7代目小川治兵衛(植治)である。建物は,玄関棟,茶室を伴う2階建主屋,洋室棟,土蔵,離れに大別され,それらは中庭を中心としてロの字状の渡り廊下で接続している。旧観を留める主屋等の建築年代,大工は不明である。東山近傍を背景に築山と流れ,園路そして植栽樹木を巧みに配する洗練された形態を良好に持続してきた怡園は,岡崎・南禅寺界隈の庭園群を代表するものの一つである。それを特徴付けるのは,近代を席巻した数寄者とは異なるかたちで文化芸術への貢献を果たした細川護立が築造した庭であること,そして大正末期以降の景気の後退により,結果として優れた庭を有する大規模な邸宅の新設が怡園をもって終焉したことであり,岡崎・南禅寺界隈の庭園群の歴史,植治の最晩年の作風を知るうえで重要である。
関連コンテンツ
京都市内の文化財件数と京都市指定・登録文化財
- 京都市内の文化財件数
- 新指定・登録文化財 第19回京都市文化財
- 新指定・登録文化財 第20回京都市文化財
- 新指定・登録文化財 第21回京都市文化財
- 新指定・登録文化財 第22回京都市文化財
- 新指定・登録文化財 第23回京都市文化財
- 新指定・登録文化財 第24回京都市文化財
- 新指定・登録文化財 第25回京都市文化財
- 新指定・登録文化財 第26回京都市文化財
- 新指定・登録文化財 第27回京都市文化財
- 新指定・登録文化財 第28回京都市文化財
- 新指定・登録文化財 第29回京都市文化財
- 新指定・登録文化財 第30回京都市文化財
- 新指定・登録文化財 第31回京都市文化財
- 新指定・登録文化財 第32回京都市文化財
- 新指定・登録文化財 第33回京都市文化財
- 新指定・登録文化財 第34回京都市文化財
- 新指定・登録文化財 第35回京都市文化財
- 京都市指定・登録文化財-建造物-北区
- 京都市指定・登録文化財-建造物-上京区
- 京都市指定・登録文化財-建造物-左京区
- 京都市指定・登録文化財-建造物-中京区
- 京都市指定・登録文化財-建造物-東山区
- 京都市指定・登録文化財-建造物-山科区
- 京都市指定・登録文化財-建造物-下京区
- 京都市指定・登録文化財-建造物-南区
- 京都市指定・登録文化財-建造物-右京区
- 京都市指定・登録文化財-建造物-西京区
- 京都市指定・登録文化財-建造物-伏見区
- 京都市指定・登録文化財-文化財環境保全地区-北区
- 京都市指定・登録文化財-文化財環境保全地区-左京区
- 京都市指定・登録文化財-文化財環境保全地区-山科区
- 京都市指定・登録文化財-文化財環境保全地区-南区
- 京都市指定・登録文化財-文化財環境保全地区-西京区
- 京都市指定・登録文化財-文化財環境保全地区-伏見区
- 京都市指定・登録文化財-美術工芸品-北区
- 京都市指定・登録文化財-美術工芸品-上京区
- 京都市指定・登録文化財-美術工芸品-左京区
- 京都市指定・登録文化財-美術工芸品-中京区
- 京都市指定・登録文化財-美術工芸品-東山区
- 京都市指定・登録文化財-美術工芸品-山科区
- 京都市指定・登録文化財-美術工芸品-下京区
- 京都市指定・登録文化財-美術工芸品-南区
- 京都市指定・登録文化財-美術工芸品-右京区
- 京都市指定・登録文化財-美術工芸品-西京区
- 京都市指定・登録文化財-美術工芸品-伏見区
- 京都市指定・登録文化財-美術工芸品-その他
- 京都市指定・登録文化財-有形民俗文化財-左京区
- 京都市指定・登録文化財-有形民俗文化財-東山区
- 京都市指定・登録文化財-有形民俗文化財-中京区
- 京都市指定・登録文化財-有形民俗文化財-下京区
- 京都市指定・登録文化財-有形民俗文化財-伏見区
- 京都市指定・登録文化財-無形民俗文化財-北区
- 京都市指定・登録文化財-無形民俗文化財-上京区
- 京都市指定・登録文化財-無形民俗文化財-左京区
- 京都市指定・登録文化財-無形民俗文化財-中京区
- 京都市指定・登録文化財-無形民俗文化財-東山区
- 京都市指定・登録文化財-無形民俗文化財-山科区
- 京都市指定・登録文化財-無形民俗文化財-下京区
- 京都市指定・登録文化財-無形民俗文化財-右京区
- 京都市指定・登録文化財-無形民俗文化財-西京区
- 京都市指定・登録文化財-無形民俗文化財-伏見区
- 京都市指定・登録文化財-史跡-北区
- 京都市指定・登録文化財-史跡-上京区
- 京都市指定・登録文化財-史跡-左京区
- 京都市指定・登録文化財-史跡-中京区
- 京都市指定・登録文化財-史跡-東山区
- 京都市指定・登録文化財-史跡-山科区
- 京都市指定・登録文化財-名勝-下京区
- 京都市指定・登録文化財-史跡-右京区
- 京都市指定・登録文化財-史跡-西京区
- 京都市指定・登録文化財-史跡-伏見区
- 京都市指定・登録文化財-名勝-北区
- 京都市指定・登録文化財-名勝-上京区
- 京都市指定・登録文化財-名勝-左京区
- 京都市指定・登録文化財-名勝(左京区)
- 京都市指定・登録文化財-名勝-中京区
- 京都市指定・登録文化財-名勝-東山区
- 京都市指定・登録文化財-名勝-山科区
- 京都市指定・登録文化財-名勝-右京区
- 京都市指定・登録文化財-名勝-西京区
- 京都市指定・登録文化財-名勝-伏見区
- 京都市指定・登録文化財-天然記念物-北区
- 京都市指定・登録文化財-天然記念物-上京区
- 京都市指定・登録文化財-天然記念物-左京区
- 京都市指定・登録文化財-天然記念物-中京区
- 京都市指定・登録文化財-天然記念物-東山区
- 京都市指定・登録文化財-天然記念物-右京区
- 京都市指定・登録文化財-天然記念物-下京区
- 京都市指定・登録文化財-天然記念物-西京区
- 京都市指定・登録文化財-天然記念物-伏見区
- 京都市指定・登録文化財-天然記念物-その他
- 新指定・登録文化財 第36回京都市文化財
- 新指定・登録文化財 第37回京都市文化財
- 新指定・登録文化財 第38回京都市文化財
- 新指定・登録文化財 第39回京都市文化財
お問い合わせ先
京都市 文化市民局文化芸術都市推進室文化財保護課
電話:075-222-3130
ファックス:075-213-3366