京都市指定・登録文化財-美術工芸(伏見区)
ページ番号189582
2020年4月6日
京都市指定・登録文化財-美術工芸(伏見区)
新居間障壁画 呉春筆(しんいましょうへきが ごしゅんひつ)
画面は襖4面からなり,冬の早朝,靄の中に無人の舟が沖の方へ静かに漂う様子が描かれる。すべり落款と称される落款書体等から,呉春(1752~1811)の晩年期,文化年間に入ってからの制作と判断される。
木造薬師如来坐像(もくぞうやくしにょらいざぞう)
ヒノキ材を用いた一木造で,漆箔,彫眼の技法によって制作されている。頭部と体部とのバランスがよく整っており,量感もほどよい。力強く,肩幅の広い上半身や,膝張りの大きい造り,衣の全体をめぐる条線的衣文等,全体から判断して平安時代中期の制作と考えられる。
木造薬師如来坐像(もくぞうやくしにょらいざぞう)
衣文の表現,胸前,裳先の旋転文等神秘感を持つ薬師堂の本尊。衣に朱,肉身に漆箔を施す。頭部は低い肉髻,広い面幅,穏やかな目鼻立ち等,物静かであるのに対し,体部は胸,腹部に厚みがあり,膝張も十分で堂々とした造形である。制作は平安時代前期と考えられる。
木造不動明王立像(もくぞうふどうみょうおうりゅうぞう)
薬師堂に安置されている像。巻髪は大きく渦巻く華やかな形で,弁髪を左肩に垂らす。目は天地眼とし,牙は上下に出す面相であり,天台系の安然様不動の系列に属する。怒りの表現は誇張に走らず穏やかにまとめられ,気品に満ちた不動明王の美作。制作は平安時代後期。
木造薬師如来坐像(もくぞうやくしにょらいざぞう)
源平の争乱を避けて赤間関から移したものと伝える。螺髪を小粒に整然と刻み顔立ちも穏やか。肩から胸の肉付きが豊かで,腹部には厚みがあり背中をやや屈める体勢は自然である。頭体の比例は調和がとれ,量感は程よい。定朝様の特色を示す平安時代後期の美作。
紙本墨書伏見稲荷大社絵図(しほんぼくしょふしみいなりたいしゃえず)
境内を西方から見て描いたもので,図中の年紀から天正17年(1589)に,当時伏見稲荷大社中社の神主であった大西継長(1530~1614)により描かれたものとわかる。その年は豊臣秀吉による同社社殿修造の始まった年にあたることから,本図はその完成予想図と考えられる。当社の近世初期の様子や秀吉の社殿修造のありさまを伝える貴重な資料。
木造地蔵菩薩立像(もくぞじぞうぼさつりゅうぞう)
旧下鳥羽村の人々によって守り継がれてきた像。壬生寺の地蔵菩薩半跏像(焼失)と同じく,腹前に裳の結び目を表す。温和な相,撫で肩の体型,彫りの浅い衣文線,そして極めて浅い全体の奥行き等,平安末期の様風を示すものの,型にはまった固い表現を考慮すると鎌倉時代初期の作と考えられる。
若山家文書(わかやまけもんじょ)
東塩小路村の村役を歴任した若山家に伝わった文書。若山家が東塩小路村周辺の開発者であったことを示す文書等が含まれている。
板絵著色繋馬図 長澤蘆雪筆(いたえちゃくしょくつなぎうまず ながさわろせつひつ )
繊細で大人しい表現の繋馬を描く本扁額は,御幸町通安土町が伏見稲荷大社に奉納したもの。画面に記された七言絶句の年記から寛政8年(1796)に制作されたものとわかる。画の筆者は円山応挙に学び応門十哲に数えられた蘆雪(1754~99),漢詩の作者は皆川淇園門下の松本愚山(1755~1834)。蘆雪の交友範囲を示す最晩年の基準作。
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