京都市指定・登録文化財-建造物(左京区)
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2022年12月14日
京都市指定・登録文化財-建造物(左京区)
志古淵神社本殿(しこぶちじんじゃ)
安曇川一帯に分布をみる志古淵神を祭神とする。現在の本殿は寛文12年(1672)の建築で,屋根が杉皮葺(当初はこけら葺)の三間社流造である。近世の造営だが,蟇股などの様式に古い形態を残している。境内は京都市文化財環境保全地区に指定されている。
檀王法林寺(だんのうほうりんじ)
当寺は浄土宗の寺院で,「だんのう」の名で親しまれている。本堂は18世紀中期の造営で,彫刻や彩色等の装飾が多い。西門は寛延4年(1751)建築の朱塗の薬医門である。2棟の霊屋はいずれも江戸時代前期の建築で,それぞれ開山と第二世の卵塔を収めている。
涌泉寺本堂(ゆうせんじほんどう)
涌泉寺は大正7年(1918)に本涌寺と妙泉寺が合併してできた日連宗の寺院で,旧本涌寺の寺地にある。本涌寺は天正2年(1574)に開創された檀林で,その講堂が現在の本堂である。6室からなる桟瓦葺の建物で,建築年代は承応3年(1654)頃とみられる。
霊鑑寺(れいかんじ)
臨済宗南禅寺派の尼門跡寺院。書院の南寄りの4室と畳廊下は,延宝3年(1675)造営の後西院御所の御休息所・御番所を貞享年間(1684-88)に移建したものである。また玄関も後西院御所旧殿の移建であり,本堂は徳川家斉の寄進により享和3年(1803)に再建されたと伝える。
天授庵(てんじゅあん)
天授庵は南禅寺開山の塔所として創建された。客殿は慶長7年(1602)に細川幽斎の援助で再興された六間取り方丈形式の建物である。平面や細部に中世の伝統的な様式がみられる。室中などの襖障子は長谷川等伯の筆になる。表門も客殿と同時期の建物である。
勝林院 (しょうりんいん)
勝林院は延暦寺の別院であった。現本堂は安永6年(1777)の造営で桁行7間・梁行6間の大規模な建物である。平面は密教寺院本堂の通例に従うが,正面の外陣を吹放ちとし,建ちを高くするなど近世的な特色がみられる。鐘楼は寛永年間(1624-1644)の建築。
満願寺(まんがんじ)
満願寺本堂は宝永元年(1704)までに造営されたもので,市内に残る日蓮宗の一般寺院本堂としては古い。桁行3間・梁行1間の身舎の周囲に1間幅の裳階をまわして背面に内陣部を突出し,その後方に土蔵造の奥陣を付設した複合建築である。境内には鐘楼,手水舎・表門・文子天満宮本殿・同拝殿などが残っており,江戸時代中期における日蓮宗の一般寺院の寺観をよく伝えている。
光雲寺(こううんじ)
臨済宗南禅寺の境外塔頭である。もとは摂津国難波にあったが,明暦3年(1657)に再興され,寛文4年(1664) に徳川秀忠の娘で後水尾天皇の中宮となった東福門院の援助で現在地に移された。仏殿は近世京都を代表する本格的な禅宗様仏殿の一つで,寛文5年に造営された。入母屋造・本瓦葺で,桁行3間・梁行3間の身舎の四周に裳階を配す。内部には禅宗様の須弥壇を中央に,脇仏壇を背面両脇に据える。鐘楼は寛文11年の建築で,柱には少し内転びをつける。現在は仏殿の北西にあるが,当初は仏殿の南西にあった。
駒井家住宅(こまいけじゅうたく)
当住宅は京都帝国大学教授であった駒井卓博士の住宅として昭和2年(1927)に建てられた。主屋は木造2階建てで,外観はスパニッシュ様式を用いており,北側に付属棟,東側にテラスを配す。内部は1階に玄関ホール・居間・食堂・和室を配し,2階に寝室・書斎等を設けており,洋風住宅プランの一角に和室を加えた折衷的な間取りとなっている。米国人建築家ヴォーリズが円熟期にさしかかった時代の住宅建築で,市内に残る昭和初期の中規模な住宅としては,質の高い洋風住宅である。
藤井斉成会有鄰館第一館(ふじいさいせいかいゆうりんかんだいいちかん)
藤井善助が収集した中国美術工芸品の展示と保存のため,武田五一の設計で大正15年(1926)に建てられた。屋上に中国風の八角堂がのる特異な形態で,内部は展示品に合わせた中国風意匠。近代の民間美術館では東京の大倉集古館に次いで古く,建築としては現存最古。
石座神社 (いわくらじんじゃ)
八所明神本殿(東)と十二所明神本殿(西)は,ともに明和3年(1766)に造営された一間社流造である。装飾が少なく,古式な姿を残す。敷地の高低差を利用して軸線を強調した境内配置はみごとで,京都市文化財環境保全地区にも指定されている。
涌泉寺生師廟(ゆうせんじしょうしびょう)
涌泉寺は大正7年(1918),本涌寺と妙泉寺が合併してできた日蓮宗の寺院で,現在の寺地はかつての本涌寺のものにあたる。本涌寺は日蓮宗教団の宗内僧侶養成のための檀林(だんりん)であり,松ヶ崎檀林とも称し,数ある洛陽日蓮諸檀林のなかでも最古のものである。江戸時代前期建立の本堂は,昭和60年6月1日に京都市有形文化財(建造物)として指定されているが,その後の調査によって生師廟の履歴が明らかになったので,今回追加指定するものである。生師廟は,本涌寺の開基である日生(にっしょう)の廟堂として建てられたもので,寺蔵文書等によると,享保13年(1728)の建立であることが判明する。建物の規模は方2間で,切石積基壇上に南面して建つ。柱はすべて面取角柱として礎石上にたち,柱上には舟肘木(ふなひじき)を置く。内部は床を四半目地切土間として棹縁(さおぶち)天井を張り,中央後ろ寄りに「學室開基日生聖人」の陰刻銘のある碑をおく。柱間は正面中央に藁座付桟唐戸(わらざつきさんからと)を構えて,他の三方は壁で閉ざすが,背面柱間上部に小さな丸窓を穿つ。屋根は宝形造(ほうぎょうづくり)・本瓦葺とし頂部には宝珠露盤(ほうじゅろばん)をのせる。建物は小規模かつ簡素であるが,均衡がよくとれている。保存状態も良好であり,日蓮檀林の廟建築として注目すべき遺構である。
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