京都市指定・登録文化財-無形民俗文化財(右京区)
ページ番号189607
2020年4月6日
京都市指定・登録文化財-無形民俗文化財(右京区)
嵯峨お松明(さがおたいまつ)
3月15日夜に,嵯峨静凉寺(釈迦堂)境内で行なわれる柱松行事で,高さ約7メートルの逆三角錐の松明が3基燃やされる。旧暦の2月15日は釈迦入滅の日として,各地で涅槃会が催されるが,この行事も涅槃会と火祭行事が結びついた例のひとつであり,釈迦の荼毘を再現すると説明される。同時に,3基の松明を早稲,中稲,晩稲に擬し,その火勢の強弱によりその年の豊凶を占うともいう。
鳥居形松明送り火(とりいがたたいまつおくりび)
五山送り火のひとつ。8月16日夜,嵯峨鳥居本の曼荼羅山にて行なわれる。由来は弘法大師が石仏千躰を刻んだ際の開眼供養として点火したというが,記録類からは,江戸時代中期以降に始まったと思われる。当日夕刻,松明をあぶってジンをふかしながら燃え上がらない状態に保ち,点火合図の太鼓が鳴ると,皆一斉に松明を持って火床に走り寄り点火するという形態が特色。
太秦牛祭(うずまさうしまつり)
太秦広隆寺境内大避神社の祭礼。神面をつけた摩多羅神が牛に乗り,風流の行列を従えて,広隆寺の客殿の庭から寺の周辺を練り歩き,薬師堂前に設けられた祭壇を3周し,壇上にて摩多羅神が祭文を読み上げる。参詣者は,祭文読誦の間,野次をとばすなど,行事の進行を妨げる。読み終わると四天王とともに堂内に突入するが,昔は,厄をのがれるといって,群集が追って堂内に入りその面を取り上げたという。
木遣音頭(きやりおんど)
棟上をはじめ,地曳,清鉋,立柱などの際の労働歌。江戸時代には,「聚楽」「川東」「六条」「城下」などの大工組が,それぞれ特色ある木遣音頭を伝えていたとされるが,現在では,二条城界隈の「城下」地域の大工衆を中心にした番匠保存会が,その保存・継承に努めている。
西院春日神社の剣鉾差し(さいいんかすがじんじゃのけんほこさし)
春日神社の氏子圏である旧西院村には,現在5つの鉾仲間が存在し,春日社祭礼の神輿渡御の際に差されている。それぞれの鉾仲間には鉾差しの衣装等が持回りで保存されており,差し手は一乗寺や鹿ケ谷の方から決まった人が来るという信頼関係で維持されており,祭礼終了後には,トウヤが接待するという関係が今日まで保たれている。
嵯峨祭の剣鉾差し(さがまつりのけんほこさし)
愛宕・野々宮両神社の祭礼は嵯峨祭と呼ばれ,かつては4月中亥の日に行なわれていた。江戸時代前期の「嵯峨祭絵巻」には神輿の前に3基の剣鉾が描かれており,すでにこの頃には剣鉾差しが行なわれていた。現在剣鉾は5本あり,大門町が「龍鉾」,中院町が「麒麟鉾」,鳥居本町が「沢瀉(おもだか)鉾」,小淵・井頭・西井頭の各町で「菊鉾」,龍門・角倉・毘沙門の各町で「琵琶(牡丹)鉾」を出す。
梅ケ畑平岡八幡宮の剣鉾差し(うめがはたひらおかはちまんぐうのけんほこさし)
平岡八幡宮の還幸祭に行なわれる剣鉾差し。以前は,神輿渡御に先立ち,剣鉾差しが行なわれていたが,現在は,神社境内で差されるのみとなっている。氏子各地区から1基づつ,計4基の剣鉾が出る。また,毎年交代で勤める「鉾宿」の制度も存続しており,古くなった鉾は,留守鉾と称して,鉾宿の玄関先に立てている。
平岡八幡宮の三役相撲(ひらおかはちまんぐうのさんやくすもう)
平岡八幡宮は,梅ケ畑一帯の産土神として信仰されてきた。同社の例祭には,子供による神事相撲が「三役相撲」の名称で伝承されている。すでに江戸前期にはこの日に神事相撲があったことが,『日次紀事』の8月15日条で確認できる。現在では,当日朝の神事の後,拝殿前に設けられた土俵で相撲が取られる。8歳の子供(以前は長男のみ)が務める三役と,20歳前後の青年による力士との立ち合いで取られる。この取り組みは神の加護を受けた子供が必ず勝つことになっており,京郊村落に伝承される代表的な神事相撲。
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