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2009年2月12日
ふしみ昔紀行(29)
伏見区老人クラブ連合会

利剣山恋塚寺と称し、『源平盛衰記』にある袈裟御前の物語で名高く、門は茅葺きでいかにも由緒ある寺に思われる。
平安末期、鳥羽上皇に仕える北面の武士遠藤盛遠が、同僚の渡辺渡の妻袈裟に密かに想いを寄せ、袈裟の母を脅して仲立を頼み、想いを遂げようとした。袈裟は渡のことを想えば胸が張り裂ける気持ちだったが、母の命には代えられず盛遠の申し出を承諾する。
袈裟は盛遠に「本当に私を想うのなら、渡に髪を洗わせ、酒に酔わせて寝かせておくので、ぬれた髪を探って殺してほしい」と話す。盛遠は喜んで夜討の支度をし、日暮れを待った。

家に帰った袈裟は渡を酔いつぶして休ませ、自分の髪をぬらし、側に烏帽子を置くと「露深き浅茅が原に迷う身の いとど暗路に入るぞ悲しき」と辞世の句を詠み、燭台の火を消した。
盛遠は闇夜にまぎれ、ぬれた髪を探り、一刀のもとに首をはね、袖に包んで持ち去った。しかし、月明りに照らし出された首は愛しい袈裟のものであった。盛遠は自分の罪業深い身と世の無常をつくづくと感じ、出家して文覚と改めた。後に源頼朝に挙兵をうながしたという文覚はこの盛遠の後の姿である。
境内の文覚堂には、文覚上人、袈裟御前、渡の像が安置されている。
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