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■平成20年度実践UD第6回講義の様子(吉野 修先生)

ページ番号44603

2016年4月14日

宿泊施設のUD

(UD化必要性の背景)

近年は,年配の方をはじめ,目や耳の不自由な方,車いす使用者,外国人,妊婦,ケガをされた方など様々な方がホテルを利用されることから,必要とされるサービスも多様化し,これらの人を無視してサービスの向上はできなくなっています。

(京王プラザホテルの取組)

ホテルにおけるUDの取組の歴史は浅いですが,ホテルグランヴィア京都が取組を進めるに当たって参考とした京王プラザホテルでは,1988年のユニバーサルルーム15室の設置を皮切りに,レストランへのアクセス確保のためのスロープやリフトの設置,補助犬専用トイレの設置などが行われています。また,社外にもその取組を広くアピールするために社内機関「バーズアイ」が主催する「ボランティアプラザ」と題されたイベントが毎年開催されており,盲導犬の紹介や,視覚に障害のある歌手によるコンサートなどが行われています。

(ホテルグランヴィア京都のUD)

ホテルグランヴィア京都は比較的新しいホテル(平成9年開業)のため,開業当初から多目的トイレやフレンドリールーム(車いす対応客室)などが整備されていましたが、UDを意識した対応や取組については、特に行っていませんでした。

そんな状況を変えようと社内においてUD活動をさらに進めるきっかけとなったのが,障害者・高齢者対応研修を実施したことでした。この研修は,高齢者のほか,身体や聴覚,視覚等に障害のある方の特性を知り,その応対方法を学ぶ目的で実施したものでしたが,研修終了後,高齢者や障害のある方などへの応対について,気づいていない点も含めてさらに改善する必要があることを認識し,「ユニバーサルサービス推進チーム」を結成することになりました。なお,ユニバーサルサービスとは,井上滋樹氏が著書の中で,ユニバーサルデザインの考え方をコミュニケーションや人的サポートなどソフト面を担うものとして提言されたものです。

(ユニバーサルサービス推進チームの活動)

チームの活動に当たり,前述の京王プラザホテルなどの関連宿泊施設への視察を行い,担当者に意見を聞いたりしました。その結果,どのようなお客様が来られても快適に過ごしていただくためには,ハード面の整備はもちろん,それ以上にソフト面も充実していく必要があるという認識に至りました。

まず,チームのハード面における取組として,フレンドリールームの充実に着手しました。フレンドリールームは車いす対応客室として,従来からトイレには手すりを設けたり,バスルームには車いすが転回可能なスペースを確保したり,ドアの開口を広めにしたりしていましたが,これらに加え,ドアストッパーや車いすの高さへのドアスコープ設置などを行いました。その他,一般の客室でもアメニティグッズパッケージを改訂し,中身がわかりやすいよう透明パッケージを採用したり,記載文字を判読しやすいように黒字による日本語併記に変更したりしました(従来は金色で英語表記のみ)。

次に,サービス向上に関する取組として,ハートフルアドバイザーの資格(民間のサービスに関する資格)の取得を奨励し,取得者は社内研修における指導役を担うほか,各種UD関連学会やセミナーへの参加,外部講師を招いての社内セミナーなどを開催しました。

また,サービスに繋がる具体的な取組として、日々の引継ぎ簿に「ユニバーサルサービス欄」を設け,意識の向上と情報共有に役立てたり,車いすのたたみ方のような基本的な事柄から人工蘇生法のような専門的な事柄まで,様々な応対方法を記載したチェック表を作成し,定期的に自己採点を行うなど,サービスの向上に努めています。

今後は,サービス向上の一環として,疾患や宗教,文化の違いなどによる食事制限のある方に対する配慮など,その活動の幅を広げていきたいと考えています。

(宿泊施設に求められるUDとは?)

これまでの活動を通して得たもの,あるいはこれから考えていかなければならないことについて紹介します。

1.全ての人にやさしい配慮がなされた,使いやすい施設や空間を提供すること。かつ,非日常性を感じていただけるような快適空間であること。

2.全ての人に安全で快適に過ごして頂ける施設や空間であること。

3.サポートが無くとも,施設内を安全かつ,自由に行き来できる手段を確保すること。

4.様々な特性を持ったお客様への理解を深め,その対応法を知り,決して特別扱いはせず,できる限り公平に享受して頂けるようなサービスを提供する。

5.サポートは必要,適切な場面に。かつ,さりげなく。

6.必要に応じて,臨機応変な対応も心がける。

7.出来ない事ははっきりと出来ないとお答えし,その場合には出切る事や代替案を提示する。

8.必要な情報はお客様に開示,提供する。

9.お客様についての情報は「顧客情報」として登録し,皆で共有し,次の対応に生かす。

10.緊急時においての対応,危機管理に対する意識を高め,備えておく。

(ホスピタリティマインド)

ホスピタリティマインドとは,「おもてなし」をする心,すなわちお客様の視点に立った考え方をすることであり,ユニバーサルサービスマインドと通じるものがあります。どちらの言葉もお客様の気持ちをどれだけ汲み取り,実現させていくかが大事であり,その点でこのふたつの言葉はこれからのホテルにとって重要なキーワードになると思います。

 

講義の様子1
講義の様子2

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