■平成20年度実践UD第2回講義の様子(小早川玲子先生)
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2016年4月14日
PC要約筆記って何
(パソコン要約筆記について)
要約筆記とは,聴覚に障害のある方のうち,手話のできない方や手話を主に使用されない方が,文字によって情報を得る手段のひとつです。要約筆記は主に手書きとパソコンによって行われます。手書き要約筆記の場合は,約30㎝幅の透明なロールシートにペンで話の内容を記入し,OHP(オーバーヘッドプロジェクター)を使ってこれをスクリーンに投影しています。パソコン要約筆記では,パソコンとプロジェクターとをケーブルでつないで,パソコンで入力した文字をスクリーンに投影しています。
要約筆記では話の重要な部分のみを抽出して文章にしています。このような手法を採る理由は,話のスピードに入力(記入)が追いつけないことと,見ている人にとっても要約したものの方が話の内容を理解しやすいからです。
要約筆記の3原則は「速く」「正しく」「読みやすく」です。「速く」とはできる限り話のスピードに追いつき,「正しく」とは正確な文字で入力(記入)し,「読みやすく」とはわかりやすい表現を用いるということです。
パソコン要約が普及した背景としては, 1999年(平成11年)に当時の厚生省が策定した要約筆記奉仕員養成カリキュラムに,パソコン要約筆記者についてもその養成の必要性が明記されたことと,1990年代からパソコンが一般家庭にも普及し始めたことが挙げられます。
(パソコン要約筆記の方法)
パソコン要約筆記を行う際は,通常2人から3人で同時入力していますが,皆が同じ文章を入力しているのではなく,それぞれが分担しながら入力しています。
例
(話者)「他に○○○○はありますか? それでは××××します。」
(Aさん入力)「他に○○○○はありますか?」
(Bさん入力)「それでは××××します。」
このような分担をしながらの入力が可能となるのは,パソコン要約筆記用のソフトがあるからです。一台の表示用パソコンと複数の入力用パソコンがつながり,それぞれの入力用パソコンでの入力内容はきちんとした文章としてひとつにまとめられます。また,各入力用パソコンでは,他の入力用パソコンでの入力内容がモニター表示されるようになっており,(他のパソコンでの入力内容を確かめながら)各自が入力を分担しています。
(パソコン要約筆記と手書き要約筆記との違い)
パソコン要約筆記には単語登録機能があるため,これを利用すれば入力が圧倒的に速くなります。(この特性を活かして)講演会や大学での障がいのある学生に対するノートテイクなどで,パソコン要約筆記が多く用いられています。一方で,パソコン要約筆記は情報量が多い反面,次から次へと文字が映し出されるため,高齢者等には(そのスピードに追いつけず)わかりづらいことがあります。また,手書きによる文字の温かさがよいという人もおられます。従って,実際に要約筆記を行う際には,利用者の好みや話者の話すスピードなどを考慮して,パソコン要約筆記にするか手書き要約筆記にするかを選んでいます。
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