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■平成20年度実践UD第2回講義の様子(館林千賀子先生)

ページ番号40832

2016年4月14日

車椅子の生活と介助犬

(リハビリ生活について)

私は,車の追突事故により現在のような障害のある状態になりましたが,リハビリ,介助犬との生活,大学への入学を経た後,昨年の春からは新聞記者として新たな日々を送っています。

車いすの生活が始まったときは,せっかく助かった命だけれども車いすの生活を考えると,自転車に乗ることもできず,電車にどのように乗ればよいかもわからず,学校での移動の方法など,頭の中では出来ないことばかりが浮かび助からなければよかったと思うこともありました。

そのようなとき,友達からの「(私の)帰りを待っているから」との言葉や,リハビリ施設で私と同じように障害のある人が家族のために懸命にリハビリに励んでいる姿を見て,私自身がふてくされていないで,頑張ろうという気持ちになりました。

(大学での支援について)

日本では障害のある学生は5,000人ほどいますが,全学生に対する割合は0.2%ほどです。私が大学を選ぶ際には,何を学びたいのかの他に,学内の設備がどの程度バリアフリー化されているのかについても考慮しました。

私自身は同志社大学に入学しましたが,入学前のオープンキャンパス時に最寄り駅から大学までの移動について大学に問い合わせたところ,担当者は最も移動しやすいルートを即座に返答してくれました。これは,日常から障害のある人の視点を持っているからこそできたのではないかと思っています。現在は学内に,障害のある学生と,彼らをサポートしたい学生の双方が登録して,これをコーディネートする部署があり,障害のある学生に対しノートテイクや学内の移動の手助けなどが行われています。

(家庭での支援について)

ひとりで何事もこなすことは難しいため,ヘルパーに来てもらい入浴や洗濯などを手伝ってもらっています。毎日,朝と夜に来てもらっていますが,ひとつの事業所ではカバーしきれないので,現在は5つの事業所と契約しています。これまでは(私自身が)各事業者と個別に連絡調整を行っていましたが,現在はコーディネーターが配置され,そこに連絡すれば事業者間の連絡調整を行ってくれ,緊急時にもすぐに対応してくれるので大変便利になりました。

(会社での支援について)

ヘルパーが公共交通機関で帰ることができるようにするため,会社には早めに帰宅できるよう勤務時間を調整してもらっています。また,市内の移動では主にタクシーを利用していますが,会社が介護タクシー会社と契約し移動のサポートをしてくれています。その他,会社の建物についてもバリアフリー化してもらったところがいくつかあります。1つ目は,従来から設置されていたスロープが急だったため,緩やかにしてもらったことです。2つ目は,エレベータ内に車いすが回転しやすいよう鏡を設置してもらったり,ドアセンサーをつけてもらったり,低い位置に操作盤を設置してもらったことです。3つ目は,介助犬アトムのトイレを設置してもらったことです。

(介助犬アトムの活躍)

現在,人のサポートをする犬は,盲導犬が965頭,介助犬が39頭,聴導犬が13頭います。私自身の握力が弱く,腰をかがめても再び起き上がる力も弱いため,アトムにとって最も多い仕事はペンや紙など落としたものを拾い上げる仕事です。また,急なスロープや長いスロープでは,アトムは車いすの前方に付いたロープをくわえて引っ張ったりしてくれます。特にこのスロープの件では,私にとって,周囲の人が単にスロープ(もの)を設置すればよいというわけではないことに気づいてくれたことがうれしかったです。

(みなさんへのお願い)

ユニバーサルデザインではすべての人が利用しやすいようにということを理念として掲げていますが,利用者には様々な考え方の人がいるため,現実にはすべてのひとが利用しやすいものをつくることは難しいと思っています。そこで大きな力となるのが人の手助けではないでしょうか。

困っている人から声を掛けられたときは,手助けするようにしてくれると非常にありがたいです。

 

※講座終了後のインタビューにて,館林先生は以下のようにも述べておられました。

みなさんは,ユニバーサルデザインを考える講座を受講されていて,今後,実際にデザインに挑戦なさるそうですが,ものを使う人の対象,身体状況の幅を広げれば広げるほど,デザインのハードルが高くなるとは思いますが,みなさんが生み出すデザインを楽しみにしています。

講義の様子1
館林先生と受講生の集合写真

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