■平成20年度実践UD第4回講義の様子(森本一成先生)
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2016年4月14日
ヒューマンインタフェース設計の考え方
(ヒューマンインタフェースの考え方)
コミュニケーションには,「人と人」,「人とモノ」,「モノを媒介とした人と人」の3種類の形態がありますが,ヒューマンインタフェースとはこれらのコミュニケーションが円滑に行われるようにする技術のことです。そして,利用者が一見して動作が判断できるよう,利用者の考え方に合わせたデザインにすることが,ヒューマンインタフェースの考え方の基本になっています。
それでは,ヒューマンインタフェースを考える上でのポイントを紹介します。
・ 安全性…階段に物が落下しないよう,階段周囲にモノが置ける平面部分をつくらない等
・ 負担の軽減…体への負担を少なくする(椎間板の内圧を軽減する)ために,椅子の背もたれ部分を後方へ傾斜させる等
・ 誘目性と視認性…エレベーター内の操作板ボタンにコントラストを付け,目立つようにする等
・ 一貫性…場所によって異なるトイレマークの色や形を統一する等
(ユニバーサル社会の実現)
年齢や性別,障害の有無にかかわらず,すべての人が暮らしやすい社会を実現するためには,人の「機能」,「能力」,「社会的不利」の3つを改善していく必要があり,みやこユニバーサルデザインは「社会的不利」を重点的に改善していこうとする取組です。
身の回りのユニバーサルデザイン製品としては,低い位置にボタンがついた自動販売機や,容器側面にきざみが付けられたシャンプーボトルなどがあります。その他では,コップの内壁に角度をつけることで首を少し傾けただけで飲むことができるようにしたコップ(「ほのぼの湯飲み」)などもあります。また,認識に当たって,視覚,聴覚,触覚のひとつだけを利用するのではなく,複数利用するもの(マルチモーダルインタフェース)として,振動に加えて発光するタイマーなどもあります。
(手話アニメーションの研究)
人間が手話を行う場合と異なりアニメーションであれば何時間でも手話を行うことができるため,現在,聴覚障害者のための手話アニメーションの研究に取り組んでいます。具体的には,胃のレントゲン検査における手話アニメーションです。普段の生活で手話を使っている人にとっては,文字だけの情報提供よりも,こちらの方が安心してもらえます。
※ここで実際の手話アニメーションを受講生に見てもらいました。
手話アニメーション:「胃を膨らませるために薬を飲んでください。」,「台が傾きます。」など
アニメーション上の人物の表情や単語の区切りなどを改善することで,会話の認識の正答率が3割から6割(実際の手話通訳者の正答率は7割)に向上しました。
(評価について)
ヒューマンインタフェースについて考える場合,デザイナの考えていることとユーザーの考えていることとを整合させることが大切であり,整合させるためにはユーザーについて知っておく必要があります。そのうえで,「ユーザーを知る(身体的,生理的,心理的,認知的に)」→「ユーザーを測る(簡単に,正確に,多くのサンプルで)」→「ユーザーに合わせる(人が機械に合わせるのではない)」→「ユーザーに評価させる」という手順を踏むことが大切です。
また,評価を行う際には,「何のための評価か(目的の明確化)」,「だれを被験者とするのか」,「どの段階で評価するのか」,「評価方法は適切か」,「評価後に問題解決法を明らかにできるか」ということに注意しておく必要があります。特に,障害者擬似体験グッズを装着して評価する際には,(実際のユーザーから得られたデータに基づいていないため)そこで得られるデータの危険性について知っておくことが大切です。
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