■平成20年度実践UD第1回講義の様子(栗山裕子先生)
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2016年4月14日
ユニバーサルデザインを建物に生かすには
(だれのためのユニバーサルデザイン?)
赤ちゃんはそのまま放置していたら死んでしまうように,人はだれでも不完全な状態で生まれます。そして高齢化とともに足腰が弱っていきます。すなわち人の人生は障害を持って生まれ,障害を持って死んでいく人生とも言えます。このように考えるとユニバーサルデザインは特定の人を対象としたのものではないと言えます。
(ユニバーサルデザインを形にしていくには)
ハートビル法や交通バリアフリー法などの法律は,社会の約束事を条文化したものです。そして思いやる気持ちを形にするということは,その社会の約束事である法律を守りながらものをつくっていくということであり,つくられたものをさらに使いやすくしていくことが,ユニバーサルデザインを広げることにつながるのではないでしょうか。
(まちの状況について)
地下鉄烏丸御池駅の地上出入口に設置されたエレベータのある方向を示すサイン(案内板)は,段差を乗り越えたところにあるため,車いすの利用者はそこまでたどり着くことができず,そのサインを見ることができない状態になっていました。また,インターホンも設置されていましたが非常にわかりづらい位置にありました。その他,バス停留所では,停留所名を示すサインについて車道側(バス側)からは認識できましたが,歩道側からはできない状態になっていました。このようにサインの設置位置というのは非常に大切な要素です。
(保育園の改修)
保育園は子どもだけが通うのではなく,生活発表会などの日では0歳から90歳までくらいまでの人が訪れる施設となっています。このような保育園(築40年)を改修したときの留意点ついて紹介します。
・最近は保護者が子どもを車に乗せて登園することが増えたので車寄せを設けた。
・子どもと大人が(園内で移動する際に)一緒に行動できるように,広い玄関やスロープを設けた。
・道路から玄関まではなだらかなスロープにし,さらに表面をゴム製のすべりにくい仕様とした。
・玄関にもスロープを設置し,スロープ部分には周囲との素材を変えることで色の違いを強調し,スロープの存在を目立たせた。
・保育園にはエレベータの設置義務はないが,小さい子を抱えた保護者や高齢者など様々な人がいることから,エレベータは不可欠なものと考え,エレベータを設置した。
・車いす利用者でもステージ壇上に登れるようスロープを設置した。
・サッシや引き戸の溝には車いすの車輪が落ちないようにふたをした。
・防音サッシには指詰め防止用にストッパーを取り付けた。
・階段の段差部分には,異なる色の木を埋め込んで段差を強調した。
・大人用トイレと子ども用トイレを一体化し,手洗いは子どもの高さに合わせた。一体化したことで,結果的に車いす利用者もそのトイレを使えるスペースを確保することができた。
(住宅の改修)
町家を改修した際には,玄関の段差を解消し,引き戸を取り付けました。なお,ハウスメーカーの住宅などでよく見かけられるドア式玄関には,玄関先スペースが狭いものがあり,車いす利用者にとってはドアを手前に開けた場合に,車いすの逃げ場がないものもあります。
身体に障害のある人の住宅を改修した際には,自分自身で玄関や階段の登り降りができるよう様々な場所に手すりをつけた結果,その方の体の機能が回復していきました。このように,自分の家ならばすべてをバリアフリーにする必要はないと思います。関連コンテンツ
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