■平成19年度実践UD第2回講義の様子(栗山裕子先生)
ページ番号27589
2016年4月14日
「実践ユニバーサルデザイン」第2回講義の様子
第2回講義
5月12日(土曜日)
講師
栗山裕子氏(WIN建築設計事務所)
テーマ
ユニバーサルデザインを建物に生かすには
講義の概要
建築物や工作物をすべての人にとってできる限り利用しやすいデザインにするためには,「思いやる気持ちを形に…,形あるものに人の心を…」の精神が大切であると述べられた後,事例紹介を中心に説明がありました。
まず,ひとつ目の事例として階段の場合では,2段手すりの設置,すべりにくい素材の採用,弱視の人でも分かりやすい色の採用,子どもに合わせた段差とするなどが考えられます。また,上下移動に欠かせないエレベーターやリフト,スロープの設置もその位置によっては使いにくい物となってしまうため,シンプルな動線とすることや表示をし,階段と隣接して設けることが重要です。そのうえで,何らかの障害を持つ人も持たない人も,複数の利用者が別行動をしなくてもよい様,一緒に普通に行動出来る様,ハード面を整える事が大切であると指摘されました。
次に,ふたつ目の事例として保育所の場合では,今,保育所は地域住民の子育て相談や一時保育への対応など,子育て支援の拠点施設として地域の中核的な役割を担っており,利用者は様々な条件の幼児,その保護者をはじめ,高齢者の利用も多く,多様な人が利用する施設であることから,段差の解消など積極的にバリアフリーに取り組んでいくことが求められています。特に,エレベーターは保育所の規模に関わらず設置が必要であると説明がありました。
また,トイレは保育所に限らず何処の施設でも大変重要な要素です。園児用トイレについて言うと,子どもの使用水量は少量で足りるのに,その水量に見合ったトイレタンクが大変限られているのが現状です。また,便器については幼児用の小さい物があるのにタンクが無かったり,手洗い器などについても非常に限られていて選べるような状況になく,さらに身障者用の便器についても同様な状況にあります。過剰と思えるような設備や物が毎年のように発売される一方で,子ども用や身障者用のものはデザインもおざなりで,シートの高さすら選べないようなものもあります。そのような中,少量であっても必要なものを商品化していくことはメーカーの責務であるとの考えを示されました。
最後に講師からのメッセージがありました。
「物は利用されてこそその値打ちがあります。それは一つ一つの物も建物も一緒です。いかにして使われやすいものにしていくかは,人の思いがどれだけ入っているか,という事です。街の施設や様々な所に皆さんの視線を向けて,気の付いた事を声に出す事が必要です。駅など身近な施設で,何らかの障害を持った友人と一緒に歩いたり食事をしたりする時の事を思いながら歩いてみて下さい。」
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