■平成19年度実践UD第3回講義の様子(三浦 研先生)
ページ番号27591
2016年4月14日
「実践ユニバーサルデザイン」第4回講義の様子
第3回講義
5月26日(土曜日)
講師
大阪市立大学大学院教授 三浦 研 氏
テーマ
視覚障害者の視点から考えるユニバーサルデザイン
講義の概要
まず,点字ブロックの歴史についての説明がありました。点字ブロックは1964年に試作され,2001年にようやく「形状」がJIS化されました。しかし,色や材質,敷設方法についてはJIS化されなかったため,現状では多様な点字ブロックが多く存在し,2008年を目途にこれらのJIS化が
検討されているとの説明がありました。
次に,視覚障害者の歩行と音環境との関係を示す実験結果が紹介されました。この実験では,歩行する廊下の床の材質(ビニールクロス,プラスチックタイルなど)や形状(四方が壁で囲まれている,一方が吹き抜けに面するなど),被験者の状態(両耳を耳栓で塞ぐなど)を変えて行われました。その結果,耳栓をした状態や,大きな吹き抜けに面した廊下など,聴覚が十分に機能しない状況下では,歩行経路に大きな揺れが見られることが紹介されました。
また,実際に講義の中でも受講生が視覚のみを失った状態(目隠しをした状態)と視覚と聴覚を失った状態(目隠しをしながら両耳に音楽を流す状態)とで歩行にどのような違いが出るかの実験が行われました。その結果,視覚と聴覚を失った状態では,視覚のみを失った状態に比べ,明らかに歩行に乱れが生じることが確認されました。以上のことから,視覚障害者が歩行する際には,杖や足裏の感覚だけでなく,周囲の音環境にも注意を払いながら(聴覚にも頼りながら)歩行していることが確認されました。そして,今後は点字ブロックのみではなく,音にも配慮した環境をつくっていくことが求められるとの指摘がありました。
次に,京都ライトハウスでの事例をもとに,視覚障害者の歩行と床の素材との関係を示す実験結果が紹介されました。その結果,床の素材が変わると杖をついた際の音や足裏の触感が変化することで,視覚障害者はそこに「情報」があると認識し,杖のつき方や足の動かし方を変化させ,周囲の状況を察知し,歩行の軌跡が改善されることが確認されました。
以上のことから,視覚障害者は視覚に障害があっても環境の変化に適応可能であり,繰り返し使用する場所にあっては,床の素材は誘導ブロックを補完できるものとの説明がありました。
最後に,以上の2つの実験結果から,豊かな音や素材が視覚障害者の歩行にとって有効な手段になりうるというまとめがありました。
目隠しをして、ヘッドフォンの音を聞きながら歩いた場合と、静寂の中で歩いた場合の感じ方の違いを実験しました。ヘッドフォンの場合はやはりまっすぐに歩くのは難しいようです。
関連コンテンツ
キャンパスプラザ講義「実践ユニバーサルデザイン」について
- ■平成20年度実践UD第1回講義の様子(京都市保健福祉局)
- ■平成20年度実践UD第1回講義の様子(京都市都市計画局)
- ■平成20年度実践UD第1回講義の様子(栗山裕子先生)
- ■平成20年度実践UD第2回講義の様子(館林千賀子先生)
- ■平成20年度実践UD第2回講義の様子(深田麗美先生)
- ■平成20年度実践UD第2回講義の様子(小早川玲子先生)
- ■平成20年度実践UD第2回講義の様子(村田京子先生)
- ■平成20年度実践UD第3回講義の様子(三浦 研先生)
- ■平成20年度実践UD第3回講義の様子(山下純一先生 / 田尻 彰先生)
- ■平成20年度実践UD第4回講義の様子(福富昌城先生)
- ■平成20年度実践UD第4回講義の様子(曽和治好先生)
- ■平成20年度実践UD第4回講義の様子(森本一成先生)
- ■平成20年度実践UD第5回講義の様子(中野仁貴先生)
- ■平成20年度実践UD第5回講義の様子(正田一貴先生)
- ■平成20年度実践UD第6回講義の様子(熊沢宏夫先生)
- ■平成20年度実践UD第6回講義の様子(木島英登先生)
- ■平成20年度実践UD第6回講義の様子(吉野 修先生)
- ■平成20年度実践UD第7回講義の様子(小池 禎先生)
- ■平成20年度実践UD第7回講義の様子(久保雅義先生)
- ■平成20年度実践UD第8回講義の様子(演習「デザインチャレンジ」-1-)
- ■平成20年度実践UD第8回講義の様子(演習「デザインチャレンジ」-2-)
- ■平成20年度実践UD第8回講義の様子(演習「デザインチャレンジ」-3-)
- ■平成20年度実践UD第8回講義の様子(演習「デザインチャレンジ」-4-)
- ■受講生感想
- ■平成19年度キャンパスプラザ講義「実践ユニバーサルデザイン」について
- ■平成19年度実践UD第1回講義の様子(福富昌城先生)
- ■平成19年度実践UD第1回講義の様子(深田麗美先生)
- ■平成19年度実践UD第2回講義の様子(栗山裕子先生)
- ■平成19年度実践UD第2回講義の様子(宇津崎光代先生)
- ■平成19年度実践UD第3回講義の様子(三浦 研先生)
- ■平成19年度実践UD第3回講義の様子(山下純一先生)
- ■平成19年度実践UD第4回講義の様子(坪野えり子、エニー先生)
- ■平成19年度実践UD第4回講義の様子(森本一成先生)
- ■平成19年度実践UD第5回講義の様子(曽和治好先生)
- ■平成19年度実践UD第5回講義の様子(水野哲雄先生)
- ■平成19年度実践UD第5回講義の様子(岸本栄嗣先生)
- ■平成19年度実践UD第5回講義の様子(河合健先生)
- ■平成19年度実践UD第6回講義の様子(久保先生)
- ■平成19年度実践UD第7回講義の様子(小池禎先生,村田京子先生)
- 平成19年度実践ユニバーサルデザイン受講者レポート
- ■平成18年度キャンパスプラザ講義「実践ユニバーサルデザイン」について
- ■平成17年度キャンパスプラザ講義「実践ユニバーサルデザイン」について
- ■平成17年度実践UD第1回講義の様子(京都市保健福祉局)
- ■平成17年度実践UD第2回講義の様子(福富昌城先生)
- ■平成17年度実践UD第3回講義の様子(坪野えり子&ENI SRI BUDILESTARI先生)
- ■平成17年度実践UD第4回講義の様子(小林 整先生)
- ■平成17年度実践UD第5回講義の様子(宇津﨑 光代先生)
- ■平成17年度実践UD第6回講義の様子(前田 樹男先生)
- ■平成17年度実践UD第7回講義の様子(三橋 哲夫先生)
- ■平成17年度実践UD第8回講義の様子(栗山 裕子先生)
- ■平成17年度実践UD第9回講義の様子(三浦 研先生)
- ■平成17年度実践UD第11回講義の様子(久保 雅義先生)
- ■平成17年度実践UD第12回講義の様子(河原林 桂一郎先生)
お問い合わせ先
京都市 保健福祉局障害保健福祉推進室
電話:075-222-4161
ファックス:075-251-2940