■平成19年度実践UD第1回講義の様子(深田麗美先生)
ページ番号27588
2016年4月14日
「実践ユニバーサルデザイン」第1回講義の様子
第1回講義
4月21日(土曜日)
講師
深田麗美氏(京都リップル代表)
テーマ
誰もが暮らしやすい社会へ
講義の概要
深田さんからは「誰もが暮らしやすい社会へ」と題して,自らの経験を元に,聴覚障がい者としての立場から講義をして頂きました。以下にその概要を記載します。
(聴覚障害の特徴について)
「外からは見えにくい」,「障害のある当事者から,自身の障害の状態を説明することが難しい」,「ろう者,難聴者,中途失聴者など類型は様々で,会話の手段も手話,口話,筆談などの種類がある」ことなどから,健聴者からは理解されにくい障害といわれている。
(聴覚障がい者に共通する特徴)
音声によるコミュニケーションが困難なため,精神的にコミュニケーションをとるのがおっくうになり,わかったようなフリをしたり,頼りない人に見られてしまったりする。また集団の中で孤独感を感じるようになる。
(深田さん自身の様々な体験)
生後2,3ヶ月で聞こえなくなり,小学校入学までことばの教室に通い,発音や発声の指導を受けてきた。また,個人的に元ろう学校の先生にも指導していただいた。小学校では,ほかの生徒と同じように教師や周りの人が普通に扱ってくれたので,違和感がなかったが,中学校では特別に扱われたことや特別な目で見られたことで,一時登校拒否の状態になった。障害があってもなくても皆同じ人間であり,特別扱いをしてほしくなかった。高校時代は健聴者といっしょにテニス部に入った。ボールの音が聞こえないため,よそ見をしていると,ボールが顔に当たったりしたが,特別扱いがないので気にせず楽しく活動ができた。
同志社大学入学後は,大学の障がい学生支援制度を利用し,ノートテイクやパソコン通訳を付けてもらい,学業に取り組んだ。同志社大学では,大学に在籍する障がい学生が健常学生と等しい条件の下で教育を受けられるよう,講義保障を中心とした学生生活における支援を行っており,視覚障がい者にはガイドヘルプ,テキストファイル文字校正,対面朗読などを,肢体不自由の方には代筆,車椅子介助などを実施している。
(深田さんが代表をされている「京都リップル」の活動について)
大学によって障害のある学生に対する支援体制が違う現状の改善を目標として,2003年5月に設立した組織で,学校への講演,映画のバリアフリー上映,邦画への字幕作成,各大学の障がい学生・サポート学生同士のネットワーク作り等に取り組んでいる。
中でも,映画のバリアフリー上映は,聴覚障がい者や視覚障がい者が健常者といっしょに映画を楽しめるよう,邦画に字幕・副音声を付与して上映するもので,お年よりからも「映画がわかりやすくなる」と好評である。京都シネマや市役所,区役所などが主催する上映会など様々なところで上映が広がりつつあるが,このような上映がもっともっと広まってほしいと願っている。
(障がい者と健常者の付き合い方)
「give&take」が大切。一方的に障がい者が健常者に甘えるのはいけない。なぜなら,厳しい社会生活の現実に耐えられなくなるから。また,与えてもらうばかりでは,障がい者自身の向上心を高められないし,健常者との本当のコミュニケーションが生まれない。
(聞こえないために困ること)
・後ろから名前を呼ばれても聞こえない
・補聴器を付けたら聞こえるわけではない(補聴器は眼鏡やコンタクトのように付けたらすぐ効果があるものではない。)
・自転車や車が後ろから来ても分からない
・角で人にぶつかることもある
・電車が遅れた時のアナウンス,校内放送の情報が分からない
・字幕がないとテレビや映画を楽しめない
・グループでの会話が難しい
・電話ができない
(皆さんにお願い)
◆障害のある人に出会ったら,ちょっとした思いやりで接してほしい
ex 視覚障害のある人がバスを待っていたら,来たバスの番号を教える
段差で車椅子の人が困っていたら手を貸す
◆聴覚障害のある人と出会ったら・・・
・口を見せてはっきりと話してほしい
・聴覚障がい者が,話し相手が何を話しているのか分からず,何度も聞き返しても不愉快な顔をせず最後まできちんと答えてくれると嬉しい
・聴覚障がい者と歩いている時,後ろから車・自転車が来たら腕を引っ張ったりして注意を促してほしい
・大事な事はメモもしくはメールで目に見える形で伝えてほしい
☆聴覚障害は目に見えないので,障害があることを忘れがちだができるだけ気をつけてほしい。
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