■平成17年度実践UD第2回講義の様子(福富昌城先生)
ページ番号27602
2016年4月14日
「実践ユニバーサルデザイン」第2回講義の様子
第2回講義
4月23日(土曜日)
講師
福富昌城氏(花園大学・助教授)
テーマ
社会福祉とユニバーサルデザイン
講義の概要
まず,ユニバーサルデザインの概念について,豊富な実例写真を活用しながら,分かりやすい説明がありました。
次に,ユニバーサルデザインとバリアフリーの違いを定義し,ユニバーサルデザインは「あらかじめ,誰にとってもバリアのないよう配慮する」こととし,バリアフリーは「すでにあるバリアを取り除く」ことと定義されました。
次に,いよいよ本題のユニバーサルデザインの考え方と社会福祉について講義をされました。社会保障制度の歴史を踏まえ,制度のこれまでの成り立ちに触れながら,「社会福祉は,理念的には普遍主義であっても,実際は公の救済という性格から制限主義の性格を持っている。」と分析されました。また,「いわゆる昔の貧困的状況は改善に向かったが,現代の豊かな社会における様々な生活不安から生じる相対的貧困現象が新たに生じている」と指摘されました。これにともない,福祉ニーズは「貧困問題」から「心身の障害」,「社会的排除や摩擦」,「社会の孤立や孤独」へと拡大しており,ソーシャルインクルージョン(社会的に阻害・排除されやすい人々を,社会の構成員として包み込み,誰もがともに生きる社会の創造を目指す考え方)が重要となってきていると指摘されました。
次に,京都の地下鉄の開設時に展開された「誰でも乗れる地下鉄にする運動協議会」の事例が紹介され,こうした活動の中にも(当時はユニバーサルデザインという考え方はなかったけれども)ユニバーサルデザインの考え方が生かされていると指摘されました。バリアフリーには,身体に障害のある方々の当事者としての運動という側面があること,また,「自分でできる環境」が整うことが大切である反面,「バリアフリー環境づくりが,健常者の『責任逃れ』(障害者に対する無関心)になってはならず,大切なことは,障害がある人もない人も,共に生きる『共生』社会の実現である。」と指摘されました。また,ユニバーサルデザインが普及していっても,世の中のバリアがある限り,バリアフリーの実践は必要になるとの指摘もありました。
次に,社会福祉領域でのユニバーサルデザインの考え方が反映された実践として,高齢者も,さまざまな障害者の相談に応じられる「東松山総合福祉エリア」の相談センターの実例が紹介されました。さらに,京都市にある特別養護老人ホームで,ユニットケア,地域にとけ込んだ施設づくりを展開している「健光園ももやま」の実例を紹介し,ケアを受ける人の生活の中身を一般の人の生活に近づける取組や,地域の人も施設に入ってきやすく,そこで障害の有無や世代を超えた自然な交流があるような実践が紹介されました。
こうした実践例の紹介を通じて,「将来,社会のさまざまな場で活躍されるときに,ユニバーサルデザインの考え方を思い出して欲しい。そして,誰もが使いやすいものやサービスをつくって欲しい」と,受講者に対してメッセージが投げかけられた講義でした。
まず,ユニバーサルデザインの概念について,豊富な実例写真を活用しながら,分かりやすい説明がありました。
次に,ユニバーサルデザインとバリアフリーの違いを定義し,ユニバーサルデザインは「あらかじめ,誰にとってもバリアのないよう配慮する」こととし,バリアフリーは「すでにあるバリアを取り除く」ことと定義されました。
次に,いよいよ本題のユニバーサルデザインの考え方と社会福祉について講義をされました。社会保障制度の歴史を踏まえ,制度のこれまでの成り立ちに触れながら,「社会福祉は,理念的には普遍主義であっても,実際は公の救済という性格から制限主義の性格を持っている。」と分析されました。また,「いわゆる昔の貧困的状況は改善に向かったが,現代の豊かな社会における様々な生活不安から生じる相対的貧困現象が新たに生じている」と指摘されました。これにともない,福祉ニーズは「貧困問題」から「心身の障害」,「社会的排除や摩擦」,「社会の孤立や孤独」へと拡大しており,ソーシャルインクルージョン(社会的に阻害・排除されやすい人々を,社会の構成員として包み込み,誰もがともに生きる社会の創造を目指す考え方)が重要となってきていると指摘されました。
次に,京都の地下鉄の開設時に展開された「誰でも乗れる地下鉄にする運動協議会」の事例が紹介され,こうした活動の中にも(当時はユニバーサルデザインという考え方はなかったけれども)ユニバーサルデザインの考え方が生かされていると指摘されました。バリアフリーには,身体に障害のある方々の当事者としての運動という側面があること,また,「自分でできる環境」が整うことが大切である反面,「バリアフリー環境づくりが,健常者の『責任逃れ』(障害者に対する無関心)になってはならず,大切なことは,障害がある人もない人も,共に生きる『共生』社会の実現である。」と指摘されました。また,ユニバーサルデザインが普及していっても,世の中のバリアがある限り,バリアフリーの実践は必要になるとの指摘もありました。
次に,社会福祉領域でのユニバーサルデザインの考え方が反映された実践として,高齢者も,さまざまな障害者の相談に応じられる「東松山総合福祉エリア」の相談センターの実例が紹介されました。さらに,京都市にある特別養護老人ホームで,ユニットケア,地域にとけ込んだ施設づくりを展開している「健光園ももやま」の実例を紹介し,ケアを受ける人の生活の中身を一般の人の生活に近づける取組や,地域の人も施設に入ってきやすく,そこで障害の有無や世代を超えた自然な交流があるような実践が紹介されました。
こうした実践例の紹介を通じて,「将来,社会のさまざまな場で活躍されるときに,ユニバーサルデザインの考え方を思い出して欲しい。そして,誰もが使いやすいものやサービスをつくって欲しい」と,受講者に対してメッセージが投げかけられた講義でした。
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