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■平成20年度実践UD第2回講義の様子(深田麗美先生)

ページ番号40834

2016年4月14日

誰もが暮らしやすい社会へ(聴覚に障害のある人の視点から)

(聴覚障害とは)

聴覚に障害のある人で有名なのはヘレンケラーですが,彼女は聞くことも,見ることも,話すこともできませんでした。そのようなヘレンケラーがかつて視覚障害と聴覚障害を選ぶとしたらどちらがよいですかという質問を受けて,視覚障害のほうを選ぶと答えています。このようなことからも,聴覚障害がいかに重い障害であるかをわかってもらえると思います。

聴覚障害の特徴として外見上からわかりづらいことがあげられます。肢体に障害のある人であれば車いすに乗っていたり,視覚に障害のある人であれば白杖を持っているなど,外見上からわかりやすいですが,聴覚に障害のある人の場合は,補聴器をつけていても髪の毛で隠れていたりしていることがあるためわかりづらいです。また,生まれつき聴覚に障害がある場合は,聞こえる状態を知らないため,聞こえない状態を他の人に説明することが困難です。

聴覚障害は一般的に,ろう者,難聴者,中途失聴者の3つに分類され,会話の方法については手話,口話,筆談などがあります。テレビなどの影響で,聴覚に障害のある人は手話ができると思われているようですが,実際には聴覚に障害のある人の中でも,手話を使っている人はわずかで,多くは口話を使っています。

発声については,明瞭な方もそうでない方もおられ,不明瞭な方の場合,声を自発的に出さないようにしている方もおられます。聞こえる範囲の音については,音の高低,大小など様々です。

(聴覚に障害のある人に共通するもの)

聴覚に障害のある人に共通することとして,音声によるコミュニケーションが難しいことが挙げられます。特に,初対面の人や発音が明確でない人と話す場合,その内容がわかりづらいことがあります。また,相手からは聴覚障害がないと誤解されることがある一方で,話の内容を理解しているのに理解していないのではないかと思われることもあります。このように音声によるコミュニケーションが困難なために双方に誤解が生じ,聴覚に障害のある人は約束を守れないと思われることもあります。

そして,聴覚に障害のある人の中には,自分には障害があるのだから仕方がないとあきらめてしまう人もおられ,人間関係に悪影響が生じ,その結果,コミュケーションをとることが面倒になって,わかったフリをすることで,聴覚障害のある人は頼りないと思われることもあります。

(発声訓練の様子)

それでは,私自身の幼少の頃の発声訓練の様子について録音したものがありますので聞いてください。(※「 」内が自身の幼少時の発声)

3歳10箇月:(おむすびコロリン)「おむすびコロリン」,(ねずみさんがスッテン)「ねずみさんがスッテン」,(小鳥がパタパタ)「小鳥がパタパタ」・・・

4歳4箇月:(これは何ですか?)「赤いゴム」,(何を着ている?)「赤いセーター」,(誰がつくったの?)「お母さん」・・・

6歳9箇月:「私は4月から1年生になりました。1年2組です。担任の先生の名前は・・・」

このようにだんだんと発声が上達していったことがわかってもらえると思います。

(中学時代から現在まで)

中学時代では,周囲から特別の目で見られたことが原因で登校拒否になってしまいました。私は相手の口の動きで話す内容を理解していますが,教科ごとに先生が変わって,先生の口の動きが読みづらく,また,中学から初めて出会った人たちは私とどう接すればよいかわからなかったようで,私に対して特別な意識を持ったのではないかと思います。

そのときに思ったことは,障害があろうとなかろうと皆同じ人間ではないかということです。人はひとりひとり生き方が違うからこそ,お互いを理解し尊敬し合えるのではないでしょうか。障害があることを除けば,皆と同じなので特別扱いはしないでほしいと思います。

大学では,同志社大学に通学し,障がい学生支援制度を利用していました。障がい学生支援制度とは障害のある学生もない学生も等しい条件のもとで教育を受けられるよう講義保障を中心とした支援制度です。私自身もこの制度を利用して,パソコン通訳やノートテイクを受けていました。

現在は,京都リップルで活動しています。リップルは英語で「波紋」という意味で,障がい者の支援の輪が波紋のように大学から社会へ,京都から全国へ広まってほしいとの思いから名付けました。活動内容は,障害のある人についての理解を広めてもらうための講演やバリアフリー上映の企画実施,障がい学生支援に関する企画などです。

(障がい者と健常者の付き合い方)

障害のある人が健常者に甘えるのは好ましくありません。社会へ出れば不安や不満が出てきてしまい,結局耐えることができなくなりかねません。また,障害がある人自身の向上心を高めることもできないのではないでしょうか。

(聞こえないことで困ること)

聞こえないことで困ることをいくつか紹介します。

・うしろから名前を呼ばれても聞こえない

・駅のアナウンス(電車の遅れなど)が聞こえない

・字幕がないとテレビや映画を楽しめない

・グループでの会話が困難

・電話の音が聞こえない

など

(みなさんへのお願い)

もし皆さんが聴覚障害のある人に出会ったら,

・口を見せてハッキリと話してください

・大事なことはメモやメールで伝えてください

・何度も聞き返しても,不愉快な顔をしないでください

 

※最後に,深田先生が出演され,京都リップルの活動の一つであるバリアフリー上映の活動について紹介したNHK教育番組「きらっと生きる」(平成20年4月11日放送分)の一部を受講生に見てもらいました。

講義の様子

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