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■平成17年度実践UD第8回講義の様子(栗山 裕子先生)

ページ番号27608

2016年4月14日

「実践ユニバーサルデザイン」第8回講義の様子

講義の様子

第8回講義
 6月11日(土曜日)

講師
 栗山 裕子 氏
 (WIN建築設計事務所)

テーマ
 ユニバーサルデザインを  建物に生かすには

 

講義の概要

 第8回は,建築設計事務所を営む栗山裕子さんが関わられている,保育園や住宅づくりを題材にした講義でした。


 本題の前に,御自身のお子さんのことや,先日のJR西日本の脱線事故の被害者のことを思うと,「今,元気でいることが普通のようでいて,実は普通ではない」「人はずっと恵まれた身体ではいられない」と実感すると述べられ,受講生にも「将来,身体に不都合が生じてくるときの立場を思いやり,最大限持てる力を発揮できるようにしていってほしい」と呼び掛けられました。
 続いて,完成間近の舞鶴市(京都府)での保育園の建替えの実例を説明されました。土地の条件,建築の法令,建替え予算といった制約の中で,園長先生と取り組んだ,「みんなが利用しやすい保育園づくり」のお話でした。
 栗山さんは受講生に問います。「保育園には誰が来ますか?」と。子ども(0~5歳)はもちろん,両親,おじいちゃんおばあちゃん,園長先生や職員,ボランティアもいます。妊娠中の保育士さんやお母さんもいます。子育てを支援する地域の方も来られます。いろんな人のことを考えた保育園づくりを,実際の図面を見ながら説明されました。
 子どもたちの安全を考え,登園口は大通り側ではない東側に設けました。入口自動ドアには,小さい子を感知しやすいようにセンサーを3つ付けました。
 台風時の大水(海水)の浸水を避ける舞鶴では,建物は地面から+65センチの高さのところに建てられますが,門扉から建物の入口までの道を,整備基準はもちろん,子どもを抱えながらたくさんの荷物を抱えるお母さんのことを考え,なだらかな傾斜にしています。
 保育園という用途では必要ないかもしれない「多目的トイレ」も,身重のお母さん,おじいちゃんおばあちゃん,地域の方々のことを考え設置しました。エレベータを,「京都府福祉のまちづくり条例」の整備基準や,整備予算との兼ね合いの中で,工夫して設置することもできました。保育室は,0~1歳の赤ちゃん,2歳児,3~4歳児,5歳児,一時預かりや病児といった特徴を踏まえて,それぞれに最適な環境を整えています。避難用のすべり台も,非常時に子どもがパニックにならないような工夫をしました。2階のバルコニーと保育室は,同じ床材をフラットに敷いています。コストも考え,ふしだらけの間伐材を用意しました。アルミサッシも手をはさまないような工夫をしています。
 また,別の保育園の例では,色の区別が付きにくい人のために,階段の段鼻から下の部分と踏み足部分は,ヒノキ(白)とサクラ(赤)を使い分け,明暗を付けています。目を離せない子どもと一緒に利用する親子トイレも設置しています。
 住まいづくりでは,エネルギーを過剰に求めない素材,触覚で楽しめる素材,人の健康を考えた住まいづくりの実例を説明されました。
 最後に,まちなかへの外出や旅行の際の不便さ,あるいは,便利なパソコンが,情報がある人とない人の格差を広げているといった,御自身の経験を踏まえ,「社会にある使い勝手の悪さに気付いたら,積極的に声に出してほしい。それがまちを良くする」と呼び掛けられました。

 

 

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キャンパスプラザ講義「実践ユニバーサルデザイン」について

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京都市 保健福祉局障害保健福祉推進室

電話:075-222-4161

ファックス:075-251-2940

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