■平成17年度実践UD第6回講義の様子(前田 樹男先生)
ページ番号27606
2016年4月14日
「実践ユニバーサルデザイン」第6回講義の様子
第6回講義
5月28日(土曜日)
講師
京都光華大学教授 前田 樹男 氏
テーマ
住まいのユニバーサルデザイン
講義の概要
前田樹男さんは,松下電器工業で定年まで勤めた後,現在の職につかれています。松下時代は,20年前に,既に高齢者社会を見据え,GA(ゴールデンエイジ)プロジェクトに取組み,ホームエレベーター,電動カート,立ち上がり補助椅子等の開発に努められました。その当時は,これらの商品は高齢者用,身体障害者用と言われており,ユニバーサルデザインとは言われてなかったそうです。その後,有料老人ホームの建設に着手され,様々なハイテク装置を駆使したホームを作られたそうです。その経験で,「老人ホームは身体の介護も大切であるが,こころのケアが大切である。本当に良いものを作り出すためには,利用する人の心を捉え,共感し,やさしい心で取り組んでいく必要がある。これは,もの,住宅,まちづくりにも共通する」と感じられたそうです。さらに,ユニバーサルデザインについては「ユニバーサル=宇宙」であり,その「宇宙」の一員である人だけでなく,動物や植物も共存できることを念頭に置く必要があると説明されました。
次に,ユニバーサルデザインの見地からの和の暮らしの見直しの提案をされました。その概要を記載しますと,
(1)「洋」は機能主義デザイン。「和」は使いこなしのデザイン。
(2)洋服は人それぞれの身体に合わせて作るため,他の人は着にくいが,着物は同じ方のものを着こなしで合わせるため汎用性が高い。
(3)風呂敷は万能。様々な形や量へ対応できるし,コンパクト。
(4)畳は立ち上がりにくい難点はあるものの,40cmの高さにすれば,車椅子の方も利用できる。畳ボックスの活用も良い。また,畳は育児には最適で,はいはいもしやすく,怪我もしにくい。
(5)扉は「洋」は外敵防御の観点で内開き。「和」は引き戸。安全で,車椅子の方でも開きやすい。また襖を取り外し,部屋のレイアウトを変えるなど自由度も高い。
などで,「和」もユニバーサルデザインの要素が多くあることについて説明されました。
最後に,奈良県にある,住宅メーカーのショールームを訪れた際のスライドをもとに,和風住宅のユニバーサルデザインの工夫について説明されました。その主な特徴としては,
(1)玄関にスロープやクローゼット風の自動開閉扉を設置し広い開口部を確保している。
(2)電動で高さの変えられるテーブルを設置している。
(3)階段には連続した手すりが設置されている。
(4)お風呂と脱衣所は段差が無く,広い開口部を確保するため3枚扉を設置している。(5)浴槽の周りにベンチを設置し,入浴しやすく工夫されている。
などでした。
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