京都市名誉市民　志村ふくみ氏

＜業績＞

　氏は、山紫水明の地である京都において、長年にわたり草木染めによる色糸の美しさを追求し、「色が奏でる抒情詩」と評される鮮やかな着物を織り上げてこられた。繊細な濃淡のぼかしを取り入れるなどの独自の作風は高く評価され、古くから普段着の着物とされてきた紬織を工芸から芸術の域にまで飛躍的に高め、京都はもとより我が国の伝統工芸及び芸術文化の発展に大いに寄与された。
　「植物の命をいただいて色にする」との信念の下、自然への尊敬と感謝の想いを大切にしながら創作活動を重ねられるとともに、岡崎に染織の世界を学ぶ場「Ars Shimura（アルスシムラ）」を設立し、「自然と共生する心、自然への畏敬の念」を若い世代に伝えるなど後進の育成にも力を注がれ、平成27年11月には文化勲章を受章されている。
　また、文筆にも才能を発揮され、随筆家として数々の名誉ある文学賞を受賞されている。