スマートフォン表示用の情報をスキップ

大気汚染常時監視における測定物質について

ページ番号8835

2025年10月9日

1 浮遊粒子状物質(SPM)

 

 浮遊粒子状物質とは、その名のとおり空気中に浮遊している粒子状物質のことです。この粒子状物質が大きいと、次第に地上に落下しますが、目に見えないほどの小さい粒子状物質は絶えず空気中を漂い、長期にわたって人が吸い込むことで健康被害を起こします。人が健康で快適に暮らすための基準として、国で作られた環境基準では、粒径10μm(1mmの100分の1)以下のものを対象にしています。これはちょうどコピー機に使うトナーの黒い粉くらいの大きさです。SPMは英語のSuspended Particulate Matter(浮遊粒子状物質)の頭文字をとっています。
 この浮遊粒子状物質の発生源には、工場のばい煙や自動車の排出ガスなど人の活動に伴うもののほか、自然界由来のもの(黄砂、火山灰など)があります。
 また、発生するタイプとして、粒子状物質のまま直接発生する場合と、二酸化硫黄や二酸化窒素などのガス状のものが大気中で酸化され、粒子状物質に変わる場合の二通りが知られています。
 なお、大きさが細かいものほど肺の奥に入り込み、呼吸器系の疾患やガン、あるいは花粉症等を引き起こすと言われています。このようなことから、粒子状物質の中でもより粒径の小さな「微小粒子状物質(PM2.5)」について、新たに環境基準が定められ、本市では、2011年10月から測定を開始しています。

 

浮遊粒子状物質自動測定機

 SPMの環境基準値は
 (1) 1時間値の1日平均値が0.10mg/㎥以下
かつ
 (2) 1時間値が0.20mg/㎥以下
と定められています。

 この基準で1年間の評価をするときは、
 (1) 実測した1日平均値の年間2%除外値(1年間の1日平均値の高い順から2% [7日間] を除外した値)が0.10mg/㎥より低い
 (2) 1時間値の1日平均値が0.10mg/㎥を2日連続して超えなかった
この2つの条件に適合することで「達成」と評価(長期的評価という)しています。
 本市の汚染状況について、1日平均値の2%除外値の推移をみると、ほぼ横ばいからゆるやかな減少傾向が見られます。
 2003年度以降、一般環境大気測定局、自動車排出ガス測定局ともに全局で環境基準を達成していましたが、2011年度は、黄砂の影響により環境基準を超える日が2日間連続したため非達成となっています。 《右上の写真は浮遊粒子状物質自動測定機》

 

 

浮遊粒子状物質(SPM)1日平均値2%除外値の推移を示したグラフ

2 一酸化炭素(CO)

 

 

一酸化炭素自動測定機

 一酸化炭素は、石油や石炭など炭素を含む燃料などが燃焼する時に、酸素が不足すると不完全燃焼が起きて発生します。一般家庭では換気が不十分なまま燃焼型暖房器具を使った場合にCO中毒事故が発生しています。都市部での大きな発生源は、工場・事業場の焼却炉などの燃焼装置や自動車です。 発生量の割合では自動車が一番大きいため、京都市では自動車排出ガス測定局に測定機を設置しています。
 健康被害としては、吸引すると体内の赤血球が酸素より一酸化炭素と強く結びつくことで、血液が酸欠状態となり軽症の場合は頭痛、めまいなど、重傷になると意識障害、けいれんから死亡することもあります。

人が健康で快適に暮らすための環境基準は、
 (1) 1時間値の1日平均値が10ppm以下
及び
 (2) 8時間平均値が20ppm以下
と定められています。

 この基準で1年間の評価をするときは、
(1) 実測した1日平均値の年間2%除外値(1年間の1日平均値の高い順から2%を除外した値)が10ppmより低い
(2) 1時間値の1日平均値が10ppmを2日連続して超えなかった
の2つの条件に適合すると「達成」と評価(長期的評価という)しています。

 本市の汚染状況について、1日平均値の2%除外値をみると、毎年環境基準を達成しているだけでなく基準値よりかなり低い値で推移しています。 《右上の写真は一酸化炭素自動測定機》

 

 

一酸化炭素(CO)1日平均値2%除外値の推移を示したグラフ

3 二酸化窒素(NO2)

 

 

二酸化窒素自動測定機

 二酸化窒素は、石油などの燃料や空気中の窒素が酸素と共に燃焼する結果生成されます。この燃焼過程では、まず一酸化窒素が生成され、その後大気中で二酸化窒素になります。このため家庭のガスコンロや石油ストーブなどからも発生していますが、都市部では、工場・事業場で使うボイラーや自動車などが大きな発生源となっています。さらに、この二酸化窒素は、大気中を漂ううちに硝酸に変化し水に溶けて酸性雨の原因にもなります。二酸化窒素の排出量を削減するため、工場・事業場のボイラーなどからの排出量の規制や自動車排出ガスの規制などの対策を進めています。
 健康影響としては、二酸化窒素はぜんそくなど種々の呼吸器疾患の原因とされています。このため、人が健康で快適に暮らすための環境基準は、「1日平均値が0.04~0.06ppmの範囲内又はそれ以下であること、また、範囲内にある地域については原則として現状程度の水準を維持し又はこれを大きく上回らないこと」となっています。
 この基準で1年間の評価をするときは、実測した1日平均値の年間98%値(1年間の1日平均値の低い順から98% [358日目] の値)と0.06ppm を比較して、低ければ「達成」と評価(98%値評価という)しています。
 本市の汚染状況について1日平均値の年間98%値をみると、一般環境大気測定局、自動車排出ガス測定局ともに、緩やかな減少傾向にあります。環境基準については、2003年度以降は、一般環境大気測定局、自動車排出ガス測定局ともに全局で達成しています。《右上の写真は二酸化窒素自動測定機》

 

 

二酸化窒素(NO2)1日平均値98%値の推移を示したグラフ

4 二酸化硫黄(SO2)

 

 二酸化硫黄による大気汚染は、自然からのものとしては火山の噴火や温泉の噴出ガス、人為的なものとしては石炭や石油など化石燃料の燃焼が主な発生源となっています。昭和40年代までは濃度も高く、ぜんそくなどの健康被害を生じた時期がありましたが、その後、燃料である石油中にある硫黄分の除去技術や工場などから出る排ガスの除去技術の進展によって急激に改善されました。自然界からの影響をうけた例をあげると、2000年の三宅島火山の噴火が挙げられます。その噴煙が京都にまで届き、一時的ですが二酸化硫黄の濃度を著しく上昇させました。
 二酸化硫黄は皮膚、粘膜刺激作用があるため、人に対する健康被害としては呼吸器疾患が主で、過去濃度が高い時期には各地でぜんそく被害などを引き起しています。

 

二酸化硫黄自動測定機

 また、大気中では水分に溶け込んで硫酸となり酸性雨の原因物質になっています。
 人が健康で快適に暮らすための基準である環境基準は、
 (1) 1時間値の1日平均値が0.04ppm以下
であり、かつ、
 (2) 1時間値が0.1ppm以下であること
となっています。
 この基準で1年間の評価をするときは、実測した1日平均値の年間2%除外値(1年間の1日平均値の高い順から2%〔7日間〕を除外した値)と0.04ppm を比較して、低ければ「達成」と評価(長期的評価という)しています。
 本市の汚染状況について1日平均値の年間2%除外値をみると、2000~2002年度に三宅島火山の噴火による影響がありますが、継続して全局で環境基準を達成しています。《右上の写真は二酸化硫黄自動測定機 》

 

 

二酸化硫黄(SO2)1日平均値2%除外値の推移を示したグラフ

5 光化学オキシダント(Ox)

光化学オキシダントは、工場や自動車から排出される窒素酸化物や揮発性有機化合物(VOC)を主体とする一次汚染物質が、太陽光線の照射を受けて光化学反応を起こすことにより発生する二次的な汚染物質(オゾン等)の総称です。強い酸化力を持ち、高濃度では眼やのどへの刺激や呼吸器に影響を及ぼします。いわゆる光化学物質の原因となっている物質です。

 日差しが強く、気温が高く、風が弱い日等に高濃度になりやすく、注意が必要です。

オキシダント自動測定機

人が健康で快適に暮らすための基準である環境基準は、1時間値が
0.06ppm以下であることとなっています。
 
この基準で1年間を評価するときは、測定を行った日についての各1時間値と0.06ppmを比較して低ければ「達成」と評価しています。
 
本市の汚染状況について、年平均値は、近年、横ばいで推移しており、環境基準は全局で非達成となっています。《右上の写真はオキシダント自動測定機》

光化学オキシダント年平均値の推移を示したグラフ

6 微小粒子状物質(PM2.5)

微小粒子状物質とは、大気中に浮遊する粒子状の物質のうち粒子の直径(粒径)が2.5μm以下のものをいいます。
 PM2.5については、肺の奥深くまで入り込みやすいことなどから、喘息発作、肺炎などの呼吸器系疾患の増加、肺がんのリスクの上昇など人への健康影響が懸念されています。
 PM2.5の発生源は、人為起源のものと自然起源のものがあり、人為起源のものとしてはボイラー等のばい煙を発生する施設、自動車、船舶等の移動発生源、塗装や印刷等の揮発性有機化合物を発生させるもの、自然起源としては火山や黄砂などがあります。近年では中国の大気汚染の深刻な状況が報道され、中国の大気汚染物質が黄砂とともに日本に飛来し、特に西日本でPM2.5濃度が上昇すること(越境汚染)が話題になっています。 また、PM2.5は排出されたとき既に粒子のものと、揮発性有機化合物や二酸化硫黄、窒素酸化物等のガスが大気中で化学反応して二次的に粒子化するものがあります。

微小粒子状物質自動測定機

人が健康で快適に暮らすための基準である環境基準は、
(1)1日平均値の1年平均値が15μg/m3  以下であり、かつ
(2)1時間値の1日平均値が35μg/m3  以下であること
となっています。
 また、日平均値が70μg/m3 を超えると予想される場合には注意報が発令されます。
 
  1年間の評価をするときは、
(1)年間における1日平均値の年間98%値(1年間の1日平均値の低い順から98% [358日目] の値)が35μg/m3 以下である
(2) 測定値の1年平均値が15μg/m3 以下である
の2つの条件に適合して「達成」と評価しています。《右上の写真はPM2.5自動測定機》

本市は、2011年10月から6箇所の測定局で微小粒子状物質の測定を開始していますが、年間有効測定日数(年間250日以上)を満たした2012年度のデータから環境基準と比較して評価しています。 


                


           

関連コンテンツ

京都市衛生環境研究所:組織一覧

お問い合わせ先

京都市 保健福祉局医療衛生推進室衛生環境研究所

電話:075-606-2676

ファックス:075-606-2671

フッターナビゲーション