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酸性雨について

ページ番号8786

2025年4月24日

1 酸性雨とは

 人類の経済活動が盛んになり、化石燃料などを燃やすことによって生じる硫黄酸化物や窒素酸化物といった大気汚染物質は、工場や自動車などから大気中に排出された後、化学変化して、再び地上に戻ってきます。従来は、これら大気汚染物質が雲などの水滴に溶けこみ、強い酸性の雨や雪などの形で沈着するもの(湿性沈着)を、いわゆる「酸性雨」と呼んでいましたが、現在は、こうした湿性沈着と、ガスや粒子の形で沈着するもの(乾性沈着)の二つを併せたものを「酸性雨(酸性沈着)」としてとらえています。また、酸性沈着の原因となるものには、大気汚染物質の他に、火山など自然由来のものがあります。

 酸性雨により、各地で様々な被害が発生しています。特にヨーロッパや北アメリカでは、文化財を溶かしたり、湖沼の酸性化により生態系を破壊したり、土壌の酸性化により森林が枯れたりと、深刻な環境問題を引き起こしています。また、酸性雨は、原因物質の発生源付近から500キロ~1,000キロも離れた地域までにも降りそそぐ性質があり、国境を越えた広域的な問題であることも特徴の一つです。このことから、世界の国々では国際条約や協定を結び、酸性雨の原因物質を減らす対策に取り組んでいます。

 日本でも、欧米並みの酸性雨が観測されていますが、気候や土壌などの違いから、現在のところ生態系への影響は明らかにはなっていません。しかし、酸性雨による影響は長い期間を経て現れると考えられているため、将来、日本においても深刻な影響が出る恐れがあります

2 国としての取組

 環境庁(当時)では、昭和58年度より日本の酸性雨の実態とその影響を明らかにするため、継続的な酸性雨のモニタリング調査を行ってきました。また、平成13年度からは、日本や中国などを含む東アジア12ヶ国が協力した「東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)」が本格稼動し、各国共通の手法で調査を実施するなど、東アジア地域全体における酸性雨対策の国際的な取組が行われています。これを踏まえ、日本国内においても平成15年度より「酸性雨モニタリング長期計画」に基づくモニタリングが実施されています。

3 京都市としての取組

 酸性雨の対策としては、国家間による国際的な取組も必要ですが、地域的な取組も必要です。京都市では、昭和58年度から市内1地点(衛生環境研究所)において、降水中のpHなどを分析し、酸性雨の常時測定を行っています。

 また、酸性雨の原因である硫黄酸化物や窒素酸化物の発生をできるだけ抑えるため、工場や事業所などに対する固定発生源対策や自動車などに対する移動発生源対策などを進めています。

衛生環境研究所と沢の池(地図)

大気中の酸性雨調査

 雨や雪の形で地面などに沈着する湿性沈着を測定しています。衛生環境研究所の屋上に設置した自動雨水採取器で雨水等を採取し、その試料中の成分を測定しています。




 上下の写真が自動雨水採取器です。
 雨が降っていないときは、フタが閉まった状態(左側の円筒部分)です。左端にある感雨センサーにより雨を感知するとフタが移動します。



 雨が降りだすとフタが右側に移動し、雨を捕集します。

調査結果の詳細はこちら    

 

                     

降水のpHの経年変化のグラフ

注) 衛生環境研究所は令和元年10月に中京区(壬生)から伏見区に移転しました。そのため、令和元年10月以降は移転後の伏見区で酸性雨の測定を実施しています。

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京都市 保健福祉局医療衛生推進室衛生環境研究所

電話:075-606-2676

ファックス:075-606-2671

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