鉾頭に三日月をつけているのでこの名で呼ばれています。装飾が細部にいたるまで素晴らしく、動く美術館と讃えられています。文化文政(江戸後期)の美術爛熟期に工芸装飾の充実に力を注ぎ、当代随一の名工の力を得た飾金具類は圧巻です。また、左甚五郎作と伝えられる彫刻、円山応挙の屋根裏絵画、天井の源氏五十四帖扇面散図などその華麗さ豪華さは山鉾の中でも屈指のものです。
月鉾の由来は、山鉾の魅力細見・山鉾由来記のページをご覧ください。

前掛は17世紀インド、ムガール王朝製の『メダリオン緞通』で、鉾の前に最適ともいえる大柄である。天水引は円山応挙の孫応震下絵の『双鸞霊獣図刺繍』。下水引は皆川月華作『花鳥図』と染織品も優品揃い
月鉾
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皆川月華作の染織繍見送『黎明図』。立葵を中心に遠山近泉の構図の作品

左甚五郎作といわれる破風の兎。その下で亀が兎を見ているのが面白い

雲の浮彫を背景に、3本足の黒い烏が丸彫で立体的に表現されている

3本足の烏は太陽の象徴といわれる。月の兎に対応させていると思われる

天井裏は緋羅紗地に小葵模様。天井周囲は『源氏五十四帖扇面散図』。屋根裏には有職柄金箔押と贅が凝らされている
月鉾
天井周囲の拡大写真(ファイル名:p04-b2.jpg サイズ:42.45 キロバイト)

江戸中期を代表する画家、円山応挙筆の屋根裏『金地彩色草木図』天明4年(1784)作。夏の草木が洒脱に描かれている

町内の富豪だった岩城九右衛門筆の『金地着彩源氏五十四帖扇面散図』。現在の豪華な鉾を作り上げた立て役者でもある人

円山応挙50代の屋根裏絵画。当時の写生画の基礎を形づくった応挙の、円熟味を増した頃の作品で、端正で深い味わいに満ちている

明治45年から稚児は3代目伊藤久重作の美少年人形『於菟麿』に変わった

皆川月華作『黎明図』見送の部分。立葵などを紡錘状にまとめ、湖で遊ぶ鳥たちの姿を繊細優美に表現した清麗な趣の作品

宵山(16日)の早朝、鉾の手摺下に花鳥図小襖(下)をはめ、見送裏に裏掛(上)をかけて、昔は茶会を催した

左側の胴掛は18世紀のインド緞通。下水引は皆川月華作『四季草花図』。半円形の現代的な図案

巧緻に表現された二枚貝や巻貝、うになど、大錺屋勘右衛門の腕の冴えが堪能できる見事な飾金具である

軒先までも花菱文金具で飾られている。金具類の下絵はすべて松村景文

梁と桁は、精巧な『貝尽し』で飾られている。四条派、松村景文の下絵

柱は天保6年作の『風車文柱飾金具』。漆塗の地に美しく映える飾金具。部分により飾金具の意匠に工夫が凝らされている