スマートフォン表示用の情報をスキップ

京都市教育委員会

言語選択を表示する

検索を表示する

スマートフォン表示用の情報をスキップ

現在位置:

第1回「京都市道徳教育振興市民会議」概要

ページ番号6448

2008年2月12日

日  時 平成13年8月20日(月) 14:00~16:20

場  所 京都市子育て支援総合センターこどもみらい館 第2研修室

出席者 

【委 員】

牛尾 誠三   京都市立中学校道徳研究会会長・滋野中学校長
小鴨 梨辺華  能楽金剛流師範
(リベッカ・ティール)
小野山正彦   京都新聞社論説委員長
皆藤  章   京都大学大学院教育学研究科助教授
梶 寿美子   市民公募委員
河合 隼雄   京都市教育委員会専門委員・京都大学名誉教授
小寺 正一   京都教育大学副学長
高田 道弘   市民公募委員
中井 隆栄   京都青年会議所副理事長
永田  萠   イラストレーター
中野 悦子   平成12年度京都市中学校PTA連絡協議会副会長
橋本三千代   市民公募委員
藤本奈々子   平成12年度京都市小学校PTA連絡協議会副会長
正木 隆之   人づくり21世紀委員会副幹事長
            (財)京都ユースホステル協会事務局長
迫田 敏暉   京都市教育委員会教育次長

 

【専門員】
村田 喬子   京都市立永松記念教育センター研究課主任研究員

 

【教育委員会事務局】
門川大作教育長,谷口賢司教育企画監,生田義久指導部担当部長,向井宣生学校指導課長


1 門川教育長挨拶

2 委員・専門員自己紹介

3 設立趣旨・設置要綱説明

4 座長・副座長選出及び就任挨拶
 委員の互選により,座長に河合隼雄委員が選出された。また,副座長に小寺委員が河合座長から指名された。
 就任に当たり,河合座長から,「カタくないが絶対に折れない『しなやかな道徳教育』を作っていきたい。子どもだけでなく大人も考えていける道徳教育を市民の皆様とともに考えたい。」との挨拶があった。

5 会議の公開
 河合座長から,広く市民の皆様から情報発信をしていくため会議を公開することの提案があり,了承された。

6 公募委員の選定並びに京都市における道徳教育の現状についての説明(事務局)

7 意見交換

 これからは自由討議の時間とする。みんな一言ずつは話してほしい。
    
 「50年前と今の子どもは違う」とよく保護者から言われるが,子どもは昔も今も一緒である。違ってきたのは親の方だ。子どもの本心を見抜けない親が増えている。「親の教育」が大切だ。
    
 私が関係している施設には,不登校生徒ややんちゃな子どもが集まってくる。子どもへの指導が原因で,親に殴られた指導員がいた。そのことで,かえって,子どもたちが心を開き,自分達のしたことが悪いことだと,何とか指導員のためにしなければいけないと感じてくれた。理屈だけでなく,体を張ることも大切なことがよく理解できた。
    
 中学生の子どもが剣道部に入部したが,練習時にきつく指導されるので,クラブをさぼるようになってしまった。子どもは,親の前では気丈にふるまっていたので,最初は気付かなかったが,そのことは私の耳にも入り,子どもに家で居場所のない思いをさせていたことに気付いた。

 私が子どもに原因を問い質すと,気合いが足りないといって,先輩からも先生からも怒られたとのことだった。学校では,強い子だけではなく,弱い子の立場にもたった指導をお願いしたい。
    
 「電車の中で走り回らない」「地べたに座らない」など,当たり前のことができない人が多すぎるように感じる。そうした光景を子どもが目にしてしまうと,子どもに注意するのに苦慮してしまう時がある。特に,最低限しなければならないことを幼児期から学ぶことが重要なので,なんとかしなければならない。
 また,漢字の書き順を,子どもから教えられることもある。親としてまだまだ出来ていない部分が多いので,子どもと一緒に成長していきたい。
    
 長女は,学校と衝突するようなやんちゃな子どもだった。けれど,学校が最後まで面倒を見てくれる信頼感があったのでやってこれた。高校の時,クラブ等のプレッシャーから学校をやめたいと言い出してきた時に,私は無理やり,彼女をひきずって学校まで連れて行った。その時は無茶をしたと思ったが,娘はその後高校にも大学にも進学し,そのことを今では感謝してくれている。
    
 今,2つの出版社から,社の記念事業としての企画があり,挿絵作成の仕事の依頼を受けている。一つは,「偉人伝」であり,一つは,「世界の名作」である。一時,こうしたものは,下火となっていたが,なぜ,今,偉人伝であり,名作なのか。未来を生きる子ども達に,今こそ過去に学び,振り返り,伝えるべきを伝えていくことが求められているのではないか。ヘレン・ケラーは,ハンディを持っていたが優れた想像力を持っていたのだが,子ども逹には,消えている気がする。ファンタジーを「嘘」としか受け止められない。「ファンタジー」と「嘘」は,別のもの。ファンタジーを信じられる力,想像力を子ども達に持ってもらいたい。
    
 今年,私は,青年会議所が重点課題としている青少年教育の委員会に関わる問題を3つ担当している。1つ目は,環境問題。2つ目は,22年目を迎える文化少年団。3つ目は,人づくり21世紀委員会の青少年教育に関わる委員会で,これが一番苦労した。21世紀委員会の会議で,「子どもに教える前に親が背中を見せていくことが大切だ」ということで,家で自分がどういうことをやっているかを顧みると,いい仕事をする者でも必ずしもいい親ではないことも判明した。青少年教育を考える中で,一番壁に突き当たっているのが,学校教育の問題である。自分たちは,家庭人として,地域の奉仕者としては,主体的に関われたけれども,学校教育に関しては,今までは間接的にしか関われなかった。これからは,直接的に関わることが必要であろうということで,学校を訪問して自分達と一緒に取組をしていただくようにお願いに上がっているが,なかなかうまくいっていない。来年度も,青年会議所として,青少年問題を重要課題として取り上げ,学校にもさらなる理解を求めていく。
    
 私は交通指導員をやっている。毎朝遅れてくる子どもがいるのだが,できるだけ声をかけるようにしている。小学生ならちょっとした言葉のきっかけで変われるのではないかと思い,声をかけている。声をかける時も,「おはよう」だけでなく「髪型が変わったな。」などと一日喜んでもらえそうな内容で声をかけるように心掛けている。いい子を演じるのではなく,「柔らかい気持ち」で,素直な子になってもらいたい。
    
 この前,ステッキを持って歩いていると,回りを子どもたちに黙って囲まれた。すると,一人の子どもが私の手を引いてホームまで案内してくれた。嬉しくて,後日,この件を学校に報告すると,校長先生は他の生徒の前で,その子をすごく褒めた。ところが,後で聞くと,いじめっ子だったらしい。いじめっ子にもこんな親切心があったのだ。子どもは,教育で変わると思う。当たり前のことだけど,褒めないと子どもはうまく育たない。褒め過ぎても駄目ですが。

 今回,私は市民公募で選ばれたが,選ばれなかった方の意見を反映したり,話し合える機会も是非,作ってもらいたい。
    
 3年くらい,大学で道徳教育研究の講座を担当した。その時,考えたことが2つあった。一つ目は,大学生に中学時代の道徳教育がどうだったかのアンケートを取った。すると,中学時代に道徳の授業で「生き方」を考える経験している生徒が2割にも満たないことがわかり,驚いた。それからは,道徳の授業で生徒と一緒に考える授業を進めた。学生たちから,「自分」「他人」「生きる」ということをこんなに考えたことはなかったという感想をもらった。「考える道徳」の必要性を感じた。自分がどうやって道徳性を学んだのかと考えると,父親のしつけに思い当たる。父は海軍兵学校を卒業していて,厳しい人だった。座る時は必ず正座にするなど「型にはめられた教育」をさせられて,子どもの頃の自分はとても嫌だった。ただ,今になって,このしつけの経験がありがたく思えてきた。「型にはめられた教育」は「考える道徳」の逆だけれど,このバランスが非常に難しいと最近よく考えさせられる。この会議を通してこの問題を考えていきたい。もう一つは,子どもだけでなく,想像力を豊かにする「大人のための道徳教育」もあってもいいのではないかと考えている。この問題も考えたい。
    
 この会議の委員就任依頼を受けた時,なぜこの会議を開く必要があるのか,よく理解できなかった。考えて見ると,つくづく嫌な世の中になったものだ。犯罪の増加などにより安全神話が崩壊し,日本の繁栄を信じていたのに,今は崩れている。将来の安心もない。そんな閉塞感があり,不安感が積み重なっている。各国の若者の意識調査結果を見ても,日本の子どもが一番期待感はないし,悲観的で刹那的な生き方をしているという結果を見ると,道徳教育の低下ということを原因と考えている。それでこの会議が必要だと考えたのではないか。

 道徳は年代や経歴や今の家庭環境など非常に個人差が大きい。例えば僕でも他の委員でも生まれた時や学校に入った時の世相が違い,道徳はバラバラだろう。それぞれがこの会議にかける思いもバラバラだろう。これをどう積み上げまとめていくのかは,この会議の難しいところだ。

 この問題には,私の若い時のことが当てはまるものでもないように,時代や個人差がある。古今東西普遍的なものもあるが,変わるものもある。過去への回帰ではなく,あくまで未来思考が必要ではないか。そういった意味では,委員の中に,もっと若い力が必要だと思う。

 たくさんの方の実践と共感がないと意味がない。最終的には,「どんな社会を目指すのか」という理念をそれぞれが持ち,将来的な姿を想像していくことが必要だし,高い志や姿勢が必要だろう。会議の中で,この問題を考えていきたい。

 私が,能の道に入ったのには,親の影響が大きい。比較文学者だった父親に,寝る前に,父の趣味であるアジアの物語や文化に関する本を読み聞かせられ育ってきた。小さい時は,ミッキーマウスの本を読んでほしかった思いもあったが,今は貴重なものを分けてくれたと感謝している。親の影響とは非常に大事なことだと思う。

 学校現場の代表の一人として参加させていただいているが,道徳教育を教える学校現場においても,先程の京都市の道徳教育の現状の説明にもあった通り,大きな課題を抱えている。何故そうなのかを研究会でも現場は現場なりに何十年と考えているが,これを実践に移していかなければならない。
 小・中合同の道徳教育の研究大会で,小学校の先生が,6年生に道徳を教えると子どもの反応が冷たいので,中学生に教えていると思ってすると,うまくいった話を聞いた。しかし,私は学校では全く逆のことを話している。今の子どものありようでは「2歳下」と考えて教えようと。そうすると,スムーズに運んでいるようだ。

 学生に道徳について教えていると,学生自身の道徳性を身に付ける良い機会になったという意見をたくさんもらった。

 モラルとは,きちんと伝えなければならないことが1つ,自由に自分で考えねばならないことが1つ,この2つのバランスが,後者に重きを置き過ぎて崩れてきているのではないか。この会では,この問題についても議論していきたい。

 2回目以降,もう少し考えていかなければならないことが,今日の討議を通じて幾つか出てきた。最終的にはまとめが必要であるし,この会議の委員以外の方からの意見も聞きたいので,アンケートを実施することも一つだろうし,小・中の学校現場の道徳教育を見に行くこともしたい。

 発足した経過の中からも,何をまとめたらいいかとか,どういう段取りでやるかとかについて,委員の皆様に考えていただきたい。

 子どもの生の声を聞ける機会が是非ともほしい。

 先生方と話す機会がほしい。

 いつも全員では難しいので,グループに別れて取組をするのも一つである。先程,委員の年齢が若くないという意見もあったが,私が出ている会議でこれほど若い委員の会議はない。


8 その他事務連絡等
 事務局から,会議の内容・持ち方等を事前に考え,整理していただくため,小寺委員,皆藤委員,牛尾委員の3名からなるワーキンググループを設けることを提案し,了承された。また,次回会議を10月9日(火)に開催することとした。

                                                        以上

 

 

<戻る

お問い合わせ先

京都市 教育委員会事務局指導部学校指導課

電話:075-222-3808

ファックス:075-231-3117