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京都市上京区

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第1章 上京区の今―まちづくりの課題

ページ番号97199

2011年3月4日

1 上京区の今

2 まちづくりの基本課題

 上京区の現状や,住民円卓会議等での議論を踏まえ,ユニバーサルデザイン※に配慮した,誰もが暮らしやすいまちづくりを進めるため,区民の皆さんの主体的な活動や区民の皆さんと行政との協働による活動を通じて,以下の課題解決に取り組みます。

 ※ユニバーサルデザイン:製品や施設等を,すべてのひとにとって利用しやすいデザインにすることを目指す考え方

1 多様な地域活動の担い手によるコミュニティの再生・発展

 上京区では,学区単位での地域活動がしっかりと根づいており,充実した活動を展開しています。例えば,地蔵盆や区民運動会などは,子どもから高齢者まで一緒になって楽しむことのできる行事として,各学区,町内で今なお大切に引き継がれています。

 しかし,少子高齢化の進展による地域活動の担い手の減少や,単身者やマンション居住者が増加するものの地域活動への参加が少なく,これまでの地域活動の維持が困難になりつつあります。

 また,小学校区の再編などもあり,これまでの学区の垣根を越えた地域活動も求められています。

 一方,上京区は多くの大学生が暮らす大学のまちであり,学生の中には地域活動に参加したいという思いを持つ人も少なくありません。

 年齢・性別・国籍・障害の有無に関わらず多様なひとびとが人権を尊重され,暮らしやすいと感じることのできる上京区を次世代に引き継ぐためにも,これまでの地域活動をしっかり維持していくとともに,生活様式や価値観が異なるひとびとの参加を促し,新しい取組にも意欲的に取り入れるなど,地域活動の質の向上を図る必要があります。

今出川通に面して並ぶマンション
  今出川通に面して建ち並ぶマンション

2 地域一体となった安心・安全の推進

 上京区は,区域全体がほぼ平坦であり,自転車や徒歩での移動がしやすいまちです。しかし,堀川通や今出川通などの幹線道路から一筋中に入ると道幅が狭く,歩道が十分に整備されていないところもあります。近年では,不法駐輪や置き看板等が歩行者の安全な通行を妨げているケースも多く見られます。

 そのような中,交通事故の発生件数自体は減少傾向にあるものの,自転車が関係する事故と高齢者が関係する事故の割合が高くなっています。交通事故を少なくするためにも,誰もが安心して歩けるまちづくりと,幼児から高齢者まで,すべてのひとを対象とした交通安全の取組を推進する必要があります。

 また,上京区は活発な地域活動に支えられてきた結果,火災は少なく,凶悪な犯罪も少ない,治安の良い状態を維持しています。

 今後とも高い地域力と一体となった防災,防犯活動を維持していくためにも,地域で継続した活動ができる体制の維持と,また高齢化の現状を踏まえ,災害時に誰もが安全に避難できるための準備と地域の事業所,公共機関との連携体制の構築を図る必要があります。

歩道に不法に駐輪された自転車
  歩道に不法に駐輪された自転車

3 誰もが健康で,快適に生活できるための取組の推進

 上京区も全国的な傾向と同様に,人口が減少する一方,世帯数は増加しており,その結果,世帯当たり人員は減少し,家族規模の縮小が進んでいます。特に,65歳以上の高齢者においては,単身でお住まいのひとの割合が全世帯数の1割を占め,今後も増加することが予想されます。

 少子化や高齢化の現状を踏まえると,児童・高齢者・障害のあるひとびとを共に支え合い支援していく福祉社会の実現のためには,住民主体の活動の更なる充実や,高齢単身世帯の増加に対応した支援体制の構築を図る必要があります。また,地域全体における子どもの育成など子どもを育てやすい環境を整えることも必要です。

 一方で,上京区には既に多くの福祉関係機関がありますが,「どのような場合に,どこに相談したらよいのか分からない」との声もあります。また,「福祉や健康のことについて,身近に相談したり,学習したりできるところがないか」との声もあります。区内の福祉関係機関が連携し,分かりやすい情報提供や,相談しやすくする取組の充実が必要です。

 平成20年度に京都市国民健康保険の特定健診を受診した上京区の40歳から74歳までの年代では,高血圧症,高コレステロール血症や糖尿病で服薬しているひとの割合が高くなっています。これらの病気は数十年をかけて形成されます。予防のためには,若いころからの健康づくりが必要です。若い世代が健康に関する興味や知識を持って,自分たちの健康だけでなく,ご近所や次世代の健康にも心を配っていただければ,更に健康づくりが進むでしょう。

 また,我が国における結核は,生活環境や医学の進歩にも関わらず,罹患率はアメリカの5倍と高率で,今なお国内最大の感染症であり続けています。

 結核は高齢者に多いことが特徴で,上京区は老年人口割合が東山区に次いで高く,罹患率(人口10万対)が平成18年の20.4人から平成20年には30.3人と悪化しています。更に今後高齢化が進行することも考慮に入れると,一層の結核対策の強化が求められます。

 年齢・性別・国籍・障害の有無に関わらず,多様なひとびとが健康で幸せに暮らせるまちを実現するためには,地域に根ざした心身の健康づくりを進めることが必要です。

4 地域が誇る資源の活用による地域活性化

 上京区は,平安京遷都以来1200年以上の歴史を有し,たび重なる戦乱や火災等を経ながらも,永く「京(みやこ)」の中心として栄えた文化のまちです。有形,無形の文化財が豊富に存在するとともに,北野天満宮や京都御苑には多くの観光客が訪れています。区内では,今でも茶会や薪能が開催されており,誰もが,身近に文化を楽しむことができます。

 また,明治期の番組小学校創設に代表されるように,教育に対する熱意は以前から高く,近年,充実した教育環境は上京区の魅力の一つとなっています。

 一方で,豊富に存在している文化財などの地域の財産を上手く活用できていなかったり,地域商業の停滞により.空き店舗が増加したりしています。

 人口減少が進む中で,誰もが,いつまでも,暮らし続けたいまちを実現するためには,歴史や文化を活用した取組はもちろんのこと,魅力的な教育環境の整備や,地域の暮らしを支える商店街などの活性化を図ることが必要です。

 加えて,産業が停滞する中で,誰もが,いつでも,訪れたくなるまちの実現に向けて,地域や大学,NPO等との連携による魅力の発信や,茶道,華道,和歌に代表される伝統文化,西陣織などの伝統工芸,能・狂言など,伝統芸能などの上京区が誇る地域の財産や魅力を活用し,新たな賑わいを創出することが必要です。

区内に残る歴史的な建造物と町並み
  区内に残る歴史的な建造物と町並み

5 環境に過度の負荷を与えないための取組の推進

 京都市は,平成9(1997)年の地球温暖化防止京都会議(COP3)における京都議定書の締結地として,これまでも,先進的な環境対策に取り組んできました。その成果もあり,平成21(2009)年には国から環境モデル都市※の選定を受け,更なる温室効果ガスの削減に向けて全市を挙げて取り組んでいます。

 身近な温暖化対策を進めるためには,家庭や事業所での省エネルギーの推進や自動車に過度に依存しない生活への転換を図ることが必要です。

 また,ごみそのものを発生させないまちづくりの実現に向けて,生活や仕事の仕方を変えるための情報提供や,その動機付け,区民と行政の協働によるリサイクル機会や回収拠点の拡大が必要です。

 更に,美しいまちで気持ち良い暮らしを維持,向上させるためには,「かど掃き」や「打ち水」などの良き習慣を次世代に継承したり,市営公園や街路樹を補う憩いの場の創造を図る必要があります。

 ※環境モデル都市:温室効果ガスを大幅に削減する社会(低炭素社会)の実現に向け,高い目標を掲げて先駆的な取組にチャレンジする都市のこと。

小学校での環境学習
  小学校での環境学習

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