京都のまちで見つけたUD事例(京都ライトハウス)
ページ番号33744
2008年2月29日
まちで見かけたユニバーサルデザイン
京都ライトハウスは21世紀のはじめに創立40周年を迎え、2004年の改築を契機に新たに「就労移行支援・就労継続支援(B型)事業所」と「身体障害者デイサービス」の1施設1事業を加え、視覚障害の乳幼児から高齢者・重複障害者を対象とした全国に例を見ない視覚障害者総合福祉施設となりました。またその改築に当たっては,視覚に障害のある方だけでなく,車椅子の利用者,高齢者など様々な方々の来館を想定し,ユニバーサルデザインの理念採り入れた建物とするため,検討委員会を設置し,その議論を踏まえつつ,設計・建築をしたものです。
正面玄関
交通機関からの動線
駐車場
身体障害者用駐車場を西出入口に最も近い位置に設けた。また,車椅子の車輪や白杖の先端が引っかからないように,細めの溝蓋とした。
総合カウンター
利用者が気軽に相談できるように車椅子対応のオープンカウンターとした。また,視野が広いため,外部からの来館者やエレベーター・階段等の状況を把握しやすくしており,安全管理がしやすい。
エレベーター
出入り口は車椅子利用者に配慮して通常より幅を広く取っている。また出入り口床面に大きく階表示を行い,認識をしやすくしている。
エレベーター内部
内部の鏡は非常に大きいサイズを利用している。
また高齢者や体調の悪い方等の利用に配慮して,かご内奥にソフトな仕様の止まり木(腰掛け椅子,手摺)を設けてある。
エレベーター内操作版
インジケーターだけでなく,音声による案内装置を設けてある。
階表示ボタンは以下のような工夫をしている。
○タッチパネル型よりもストローク型の方が凸凹や押した感触も優れ,ボタンとして認識しやすい。
○ランプ内蔵型ボタンは灰コントラストとなり,認識しやすい。
○各階のボタンを一列に並べて,上下階認識性を高めている。
○行き先ボタンを押したときに音でも確認できるようにしている。
○開閉ボタンの大きさや色彩を変えて認識しやすくしている。
階段
階段及びその踊り場には以下のような工夫をしている。
○階段への出入り口から手前側に上がり階段を設けて転落事故を防止している。
○踊り場を設けて,転落時の危険性を軽減させている。
○足音で付近にいる人の存在を認識できるよう,吸音性が低く音の出る床仕上げ材として,衝突事故を軽減させている。
○段差を認識しやすいように,踏み面・蹴り上・段鼻の仕上げにコントラストをつけている。
○廊下との違いが認識できるように床仕上げに変化を与えている。
トイレ
多目的便所を各階に1つ以上設置している。
また,車椅子利用者だけでなく,様々な利用者に対応できるように多目的ベッドを設けている。
更に,1階のトイレには汚物流しを設け,オストメイトにも対応している。
廊下
廊下には以下のような工夫をしている。
○廊下幅は車椅子同士が対面通行できるようにゆとりを持たせた。
○廊下の壁面は柱型,消火ボックス,サイン等の凸凹をなくし,壁面の出隅は面取りして衝突時の危険性を軽減させた。
○全ての廊下に手摺をつけ,その壁とのコントラストに配慮した。
○床と壁との境界が認識しやすいようにコントラストをつけて歩行しやすくした。
○視界を混乱させないようにつや消し仕上げとした。
○天井は吸音性の高い素材を選定して反響音を減少させ,話し声を聞き取りやすくした。
○照明は弱視者に配慮して,通常より照度を高めにするとともに,眩しさやグレアを抑えるために間接照明を採用した。
サイン
サイン計画は以下の点に配慮した。
○読みやすいようにゴシック文字やネガ表現を活用
○オリエンテーションの役割を果たすように室名番号を記載
○字間や行間を適度にとった。
○点字標示を設ける。
○文字サイズは通常よりも大きくした。
○浮き文字や彫りこみ文字を活用した。
○サインのデーマカラーを決定して,施設全体のサインの認識をしやすくした。(本施設は緑)
○誰でも一目で認識できるピクトサインを設けた。
建具(扉)
建物内の建具は以下のような工夫をした。
○利用者の諸室は引き戸とした。
○壁面区別できるように,扉の色は壁面とコントラストをつけたものとした。
○引き戸は指を詰めないよう壁内収納タイプを利用した。
○敷居はV型溝レールを埋め込んで段差をなくした。
○室内が使用中かどうか認識できるように小窓を設けた。
総合案内板
建物に対して同じ方向に設け,建物構成や各室の位置を認識しやすくした。各階の平面を示し,施設全体を把握しやすくした。また,複数の部門で構成された複合施設であるため,部門ごとに音声案内ボタンを設けて目的場所を把握しやすくした。
手摺音声案内装置
センサー等による一方的な自動音声案内装置では,情報の必要のない利用者まで反応してしまい,騒音となりかねないため,自発的に手元で情報が聞くことができるように,ボタン式の手摺音声案内装置を開発し採用している。シンプルなデザインで,手摺の裏面に隠れたボタンを設置している。
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