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京都市新庁舎整備懇談会報告書

ページ番号2983

2010年4月20日

  • 概要

 

 報告書は大きく分けて,「懇談会提言と付帯意見」と「付属資料」で構成されており,「懇談会提言と付帯意見」には,懇談会意見をまとめた提言や,結びとしての座長のことば,報告書(案)に対して寄せられた委員の最終意見などが,「付属資料」には懇談会の開催状況や意見交換概要が掲載されている。

 

  • 要旨


 報告書要旨は以下のとおりである。

 

 (1) 懇談会提言と付帯意見

懇談会提言1

 

付帯意見

  • 市庁舎整備は緊急の課題であるが,まちづくりについては京都市の将来構想を踏まえて論議するべきで,慎重な取り扱いが必要である。

 

懇談会提言2

 

付帯意見

  • 市役所は市の迎賓館ともなる市民の最大の財産として世界に誇れる庁舎とすべきである。
  • 財政が厳しいということで,新庁舎の本来の議論を後退させることは避けるべきであり,新庁舎の建設による波及効果も考慮し,京都市100年の大計として積極的に考えるべきである。

 


懇談会提言3

 

付帯意見

  • 地方分権や行政改革が進む中,地方分権時代の新しい市政の在り方を示す全国のモデルケースとなる市庁舎を建設すべきである。
  • 現庁舎敷地は市民のための空間,事務的執務空間は南部へといった庁舎機能の二極化やサテライト方式による市役所機能の分散化も考えられる。

 

懇談会提言4

 

付帯意見

  • 地方公共団体の事務所の位置について定めた地方自治法第4条の規定は,新庁舎計画の憲法であり,住民の利便性や他の官公署との関係を考えると自ずと場所は定まる。市庁舎は都市のシンボルとしてまちの中心に位置すべきである。
  • 市役所は防災拠点としての役割を担っており,活断層との位置関係等,地震防災の観点からも十分考慮した上で,新庁舎の立地場所を選定することが望ましい。
  • 京都の経済を活性化させるには,広がりのある南部地域を発展させる必要があり,市役所建て替えのこの機会に,市庁舎を南部に移転し,地域の活性化を図るべきである。南部移転により南北のネットワークが形成され,南北分断状況の解消にもつながる。現在地については,文化的,観光的な施設を整備することにより賑わいを創出する。
  • 現在地は最高の場所であり,望ましい土地利用という観点からは,市役所よりも複合的な文化施設を立地させ,文化力の向上を図る方が望ましい。新庁舎は,財政状況や交通の利便性を勘案し,地下鉄竹田車両基地に立地させるのが望ましい。

 


懇談会提言5

 

付帯意見

  • 市庁舎の機能や規模を考えるに当たっては,京都の将来人口やこれに基づく職員数などの計画要件が絞れる基数を示すべきである。
  • 財政が厳しいということで,新庁舎のあるべき機能や規模等が縮小,狭隘化してしまうのではないかと危惧している。
  • 現在の市や市民の経済的状況を考えれば新庁舎の規模は最小限とすべきであり,本庁舎はもとより,北庁舎も出来るだけ活用する方向で考えることが望ましい。また,華美な庁舎となることは避けるべきである。

 

懇談会提言6

 

付帯意見

  • 市会議場は伝統ある現庁舎の議場の活用を考えるべきである。
  • 議会施設の在り方については,市会での論議に委ねた方が良い。

 

懇談会提言7

 

付帯意見

  • 新庁舎の敷地は現庁舎敷地及びその北側の街区全体で考えるべきであり,妙満寺跡敷地での整備から進め,しかる後に本庁舎敷地の再利用について検討することが望ましい。
  • 懇談会の出発点は市庁舎建て替えの必要性に基づくものであり,本庁舎を保存するという方向付けでよいのか。
  • コンピュータグラフィックスで示された現在地における整備について,本庁舎の保存等の整備に要する費用は対費用効果が悪いのではないか。


 (2) 結び(座長のことば)


 市庁舎は,そのまちのシンボルとして存在し,そこに住み働く市民の生活と密着したものでなければならない。しかしながら,これまでの市庁舎は行政の中心ではあっても必ずしも市民生活が中心に据えられていたとはいいがたい。
 これからの市庁舎は,行政の中心であると同時に市民生活の中心としての構造を持つことが必要である。
 現在の庁舎は,このような新しい市民の要望に応えるには物理的に限界がある。市民サービスに支障をきたす狭隘,老朽の状況を解決するとともに防災拠点ともなる,また市民の生活の拠り所となる,いわば「市民ホール」的庁舎をつくり出すことが重要である。

 

 京都は永く日本文化の中心地として文化の牽引役を果たしてきた。京都はその有形,無形の遺産が多く残されている。この歴史性は京都のアイデンティティであり,世界有数の都市としての位置を保ち続けてきた理由である。私達はこのアイデンティティを未来に継承していくことが最も重要な課題と考える。市庁舎は,市民生活に密着した文化的求心力を高めるとともに世界に発信する場としなければならない。

 

 懇談会はまず現在地で新庁舎を建設することを提言したが,現時点での京都市の発展過程を考えるならば,市民生活に密着した市民ホール的庁舎とするにしても,京都の文化的求心力を高めるにしても,まず現在地で建設することが現実的であると考えられた。都市は常に成長,変化していくものであり,庁舎建設計画にあたっては,時間的要素を組み込んだ発想が必要である。
 京都は南北をJR線で分断されている。南北を経済的にも文化的にも一体化し発展させることは市民が等しく願うところである。懇談会では建設用地を南にするか北にするか意見が二分された。

 

 本懇談会では時代の変化や都市の成長発展過程に合わせ,市庁舎の在り方や場所については柔軟に対応していくのがよいと考えた。提言は現時点での最良策を選択したが,都市の成長と発展を見極めながら,将来的には,現在地は市民ホール的機能や市長の迎賓機能などを残し,伝統・文化を中心とした賑わいのある都心再生の核とするとともに,市南部地域には他の庁舎機能を計画的に移転させ,経済・文化が集積した南部地域発展の核を創造することが必要である。
 今後は21世紀・京都グランドビジョンの中で市庁舎のあり方などの検討を行うとともに,都市の成長に合わせ時々の見直しを行うことが必要であろう。

 

 本懇談会は市庁舎のみにとどまらず京都市のまちづくりにまで踏み込んで検討を加えた。そして過去の事例にこだわらず,自由な発想を展開していただいた。また当初より懇談会の公開化をめざし,報道関係者や一般市民の方々に傍聴いただき,インターネットホームページに議事録を掲載するなど広く内容を公開してきた。これは市民の意見を広く求め,市民の合意を形成していくことが必要だからである。

 

 市長におかれましては,本提言と報告書に述べられた各委員の意見を尊重していただき,21世紀の市民の拠り所としての庁舎の実現に向け一層の御尽力を賜りたいと願うものである。

 

 最後に,ご多忙にもかかわらず,7回に及ぶ懇談会に御出席賜り,真剣な議論を尽くされた委員の皆様をはじめ,御熱心に傍聴された市民の皆様,それに報道関係の皆様,すみずみまで気を配っていただいた事務局,担当部署の皆様方に対し,深甚な敬意と謝意を表したい。

 

京都市新庁舎整備懇談会
座   長   内井 昭蔵

 


(3) 懇談会委員最終意見


 第7回懇談会で論議した懇談会報告書(案)に対して寄せられた委員の最終意見は以下のとおりであった。


 

懇談会委員最終意見
 委員名 意見の内容
 坂口委員

山中委員

 1.【新庁舎建設の理念,機能について】

 財政的に無理をしないことを前提として,執務室の狭隘なこと,会議室が少ないこと

などを改善することが中心となる。

 移転先の「地域活性化の起爆剤論」や「豪華」庁舎には反対です。

 災害対策本部の機能は,隣接する消防指令センターを活用,連携することが可能

です。

 

2.【建設場所について】

 現庁舎を活用します。増床分は妙満寺跡地で。

 

3.【議会について】

 本会議場には機能上問題はなく,伝統ある議場として活用すべきです。

 議員控え室や,委員会室などは,現在の本庁舎二階で広げることが可能です。

 議会施設は,市民にも行政にも近くて気軽に行き来できる場所が良く,現在は適地

にあります。別に議会棟をつくることは,費用の点からも反対です。

 

4.【規模と事業費について】

 着工時期も含めて,財政的に,市民のくらしの施策が圧迫されないようにすること

が大切です。増床は,妙満寺跡で確保できるはずです。

 

5.【整備について】

 必要な耐震補強は行います。情報化に対応すること,収納方法の改善は必要でし

ょう。

 

6.【本庁舎の保存と活用について】

 現庁舎は,使えます。外観の風格もあり,市民になじまれております。壊す必要は

ありません。

 

7.【市民交流施設について】

 大区役所制の指向もあり,市民の日常業務は区役所につながります。

 市庁舎では,市民が待ち合わせや合議などする会議室などを増やす必要がありま

すが,人を集めるための施設は,市役所とは別の問題です。

 

 なお,「南部新都市構想」そのものについて,判断のための基礎的資料の整備と,

市民的な議論が必要です。

 現在,グランドビジョン(基本構想)の検討中であり,庁舎問題とは切り離して考え

るべきだと思います。

 平林委員

 1.「提言4」は,南部推進派の意見が後退したかの印象を受ける。次のように訂正

していただきたい。

 新庁舎の整備は,現在地或いは南部移転で意見の別れるところであるが,緊急性

を要する機能のみを現在地で対応し,同時に京都市の北部と南部を一体化する構

想のもとに,市南部の整備を進め,均衡ある京都市の発展を促すため市庁舎の南

部移転を実施する。

 

2.「提言7」について,現在の本庁舎は,技術的・財政的側面から果たして再生利

用が可能か,或いは再生利用する価値があるのかどうかは再検討の余地があると

思う。

 南部移転推進論では,本庁舎再生利用の是非は別として,現在地は博物館など

文化観光施設として活用し,集客による都心部再生を狙う。

 

3.「結び」について,「懇談会はまず現在地で新庁舎を建設することを提言したが~

~時間的要素を組み込んだ発想が必要と思われる。」の原文では南部移転の意見

が反映されていない。少なくとも「懇談会では立地場所について,現在地或いは南部

移転で意見が別れたが~~時間的要素を組み込んだ上で,南部移転の発想が必

要と思われる。」とするべき。

 谷口委員

〈表現変更〉【2 計画の理念】

(原 案)京都市の未来像を体現したものでなければならないが,同時に‥‥。

(変更案)京都市の未来像を体現したものとすると同時に現在私達が‥‥。

 

〈表現変更〉【4 新庁舎の立地】

(原 案)新庁舎の整備はまず,現在地で進めることを基本とする。‥‥。

(変更案)新庁舎の整備は,現在地で進めることを基本とするが,同時に市庁舎の

南部移転が南部地域の活性化に及ぼす可能性も考慮に入れ,京都市の北部と南

部を一体化する構想のもとにすみやかに取り組む。

 

〈変更表現〉【6 市民に開かれた議会】

(原 案)透明性

(変更案)公開性

お問い合わせ先

京都市 行財政局総務部庁舎管理課

電話:075-222-3046

ファックス:075-213-4587

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