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男女共同参画懇話会答申(阻害行為の禁止等)

ページ番号2409

2007年10月1日

条例 に 盛 り 込 む べ き 内 容

 

4 女性と男性の平等を阻害する行為の禁止等

 

(1)性別による権利侵害の禁止等

 性別による権利侵害の禁止等について,次のように盛り込むことを提言します。

 

  • 家庭,地域,職場,学校その他の社会のあらゆる分野において,性暴力,性別による差別的な取扱いその他の性別による権利侵害(以下「性別による権利侵害」という。)を行ってはならないこと。
  • 市は,性別による権利侵害について,その行為の防止及び被害を受けた者に対する支援のために必要な措置を講じるよう努めること。

 

【基本的考え方】
 女性と男性は,等しく個人として尊重されなければならず,いかなる場合であっても暴力や差別は許されるものではありません。しかし,社会においては,性別による固定的役割分業,経済力の格差,上下関係など女性と男性が置かれた状況を背景として,性暴力,ドメスティック・バイオレンス【※1】,セクシュアル・ハラスメントなどの女性に対する暴力や差別が生じています。こうした性別による暴力や差別が存在し,それが女性と男性の地位に基づく社会的・構造的な問題であり,かつ,禁止されるべき行為であることを明確にすることは,女性と男性の平等の推進に関する条例に求められる最も重要な使命であると考えます。
 また,市は,性別による権利侵害を防止・解決するために,国,府,民間団体等との連携・協力を図り,積極的に広報活動を展開するとともに,被害を受けた者への情報提供,相談をはじめとする支援,特にドメスティック・バイオレンスについては保護や自立支援などを行う必要があります。

 

※1 ドメスティック・バイオレンス( Domestic Violence )
 夫婦や恋人など「親密な関係」にあるとされる女性と男性のパートナー間における暴力をいい,その多くは男性から女性に対して加えられる。「殴る・蹴る」といった身体的暴力のほか,言葉などによる精神的暴力,生活費を渡さないなどの経済的暴力,被害者を社会的に孤立させる社会的暴力,子どもを巻き添えにする暴力,性的暴力など,さまざまな暴力の形態がある。

 

 

(2)公共の場において表示される広告物等に関する配慮

 公共の場において表示される広告物等に関する配慮について,次のように盛り込むことを提言します。

 

  • 公共の場において表示又は掲出される広告物等について,その広告主及び管理者は,性別による権利侵害を助長し,又は是認する表現,並びに不必要な性的表現を行わないよう配慮すること。

 

【基本的考え方】
 情報通信技術の急速な進展に伴ってメディアの社会的な影響力が拡大し,女性と男性の平等についての意識を広めていくうえで,メディアの果たす役割が重要となっています。しかし,メディアから発信される情報の一部には,女性の性的側面のみを強調した表現,固定的な性別役割分業を前提とした表現,さらには,女性に対する暴力を肯定するかのような表現などが見受けられます。こうした表現は,多くの人が日ごろから目にすることにより,性別による権利侵害が助長され,当たり前のこととして社会一般に浸透していくおそれがあります。表現の自由は憲法で保障された権利として尊重されるべきですが,その一方で,表現される側の人権(人格権)や女性と男性の平等についても,憲法上の権利として保障されています。
 そのため,条例においては,その効力の及ぶ範囲が原則として市の区域内に限られることを考慮し,少なくとも市内の公共の場に表示・掲出される広告物等について,広告主及び管理者は,性別による権利侵害を助長・是認する表現,不必要な性的表現を行わないよう配慮することを定める必要があります。とりわけ,市が作成する刊行物においては,固定的な性別役割分業にとらわれない表現を徹底し,あわせて,市民がメディアからのさまざまな情報を無批判に受け入れるのではなく,主体的に読み解き,さらには自己発信できるよう,支援を行うことが大切です。

 

 

(3)相談及び苦情等の申出

 相談及び苦情等の申出について,次のように盛り込むことを提言します。

 

  • 市は,次に掲げる市民等からの申出を適切かつ迅速に処理するために,専門員を置くこと。 
  1. 性別による権利侵害その他の女性と男性の平等を阻害する行為についての相談
  2. 市が実施する女性と男性の平等の推進に関する施策,又は女性と男性の平等の推進に影響を及ぼすと認められる施策についての苦情,提案その他の意見
  •  専門員は,上記の申出に関し,関係者又は関係する市の機関の協力を得たうえで調査を行い,必要に応じて,助言又は是正の要望等を行うこと。

 

【基本的考え方】
 条例の実効性を担保するためには,性別による権利侵害など女性と男性の平等を阻害する切実な問題を実際に解決していく仕組みづくりが不可欠です。また,市が実施する女性と男性の平等の推進に関する施策について,市民等からの苦情,提案など具体的な意見が施策の改善に反映されることも保障される必要があります。こうした相談・苦情等への市の対応のあり方は,この条例がどれくらい信頼され,活用されるのかの成否を決する重要事項といえます。
 現在,相談・苦情等を受け付ける市の窓口としては,市民相談,女性総合センターの相談室,市長への手紙などがあり,また,国においては,行政相談制度(総務省)や人権擁護機関(法務省)などが設けられています。しかし,市が女性と男性の実質的な平等の実現に向けて果たすべき役割の重要性を考慮した場合,これら既存の制度との連携・協力を図りつつも,それとは別に,第三者を委員とし,一定の権限を持って事案の公正・中立的な処理に当たる市独自のシステムが必要であると考えます。
 本提言では,市民等から女性と男性の平等に関する相談・苦情等の申出があった場合,それに応じる体制として一つのモデルを提示しています。既に条例を制定した他都市の例をみると,「相談」と「苦情等」の双方あるいはいずれか一方を取り扱う第三者的な機関を設置している都市,「相談」は既存の女性センター(男女共同参画センター)で行い,「苦情等」は審議会を活用している都市など,多種多様な手法が講じられています。
 今後,相談・苦情等の申出に対する市の体制整備に当たっては,制度の実効性や市民の利便性が確保され,この条例にふさわしいものとするとともに,相談・苦情等に関する状況や調査結果を年次報告などで公表していくことが必要です。

 

 

 

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