西京樫原界わい景観整備地区界わい景観整備計画
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2022年9月1日
京都市告示第263号(平成13年8月27日)
京都市市街地景観整備条例(以下「条例」という。)第33条第1項の規定により,西京樫原界わい景観整備地区(以下「地区」という。)における界わい景観整備計画を次のとおり定める。
なお,この計画において用いる用語の意義は,建築基準法又は条例において使用する用語の例による。
1 地区の範囲等
かつての山陰街道の京に最も近い宿場町の歴史を持ち,その盛時の面影を継承する旧山陰(丹波)街道沿いの市街地の樫原山ノ上町から石畑町の区間で,旧街道を中心に両側の農用地を含めた,面積約18ヘクタールの地域を「街道沿い地区」「街道北地区」及び「街道南地区」に分けて指定している。指定区域は計画図に示すとおりである。
また,地区の一部は,計画図に示すとおり,景観上重要な交差点として町辻型の重要界わい景観整備地域に指定されている。さらに,地区に存する建造物のうち,次の表に示すものについては,景観形成に重要な役割を果たしている建造物として,界わい景観建造物に指定されている。
=御注意= 界わい景観建造物は,景観資源であって観光施設ではありません。
一般の民家や商業施設等が指定されています。
番号 | 建造物の名称 | 建造物の所在地 |
---|---|---|
01 | 小泉邸(主屋,付属屋) | 西京区樫原山ノ上町20番地 |
02 | 豊田邸(主屋,門,塀) | 西京区樫原上ノ町2番地 |
03 | 中原邸(主屋) | 西京区樫原下ノ町28番地の1 |
04 | 保原邸(主屋) | 西京区樫原下ノ町30番地 |
05 | 中川邸(主屋) | 西京区樫原下ノ町29番地 |
06 | 林邸(主屋) | 西京区樫原下ノ町26番地 |
07 | 中嶋邸(主屋) | 西京区樫原下ノ町25番地の2 |
08 | 山下邸(主屋,垣) | 西京区樫原下ノ町24番地 |
09 | 山口邸(主屋) | 西京区樫原下ノ町17番地の1 |
10 | 中村邸(主屋,門,塀) | 西京区樫原下ノ町12番地 |
11 | 小石邸(主屋,付属屋) | 西京区樫原下ノ町11番地 |
12 | 加納邸(主屋,門,塀) | 西京区樫原下ノ町6番地 |
13 | 中川邸(主屋) | 西京区樫原下ノ町1番地 |
14 | 革島邸(主屋,塀) | 西京区樫原宇治井西町25番地 |
15 | 永井邸(主屋) | 西京区樫原宇治井西町27番地 |
16 | 小泉邸(主屋) | 西京区樫原久保町6番地の5 |
17 | 藤岡邸(主屋) | 西京区樫原宇治井西町18番地 |
18 | 川本邸(主屋) | 西京区樫原宇治井西町17番地 |
19 | 服部邸(主屋) | 西京区樫原宇治井西町15番地 |
20 | 藤岡邸(主屋,蔵) | 西京区樫原宇治井西町13番地 |
21 | 糸谷邸(主屋,付属屋) | 西京区樫原宇治井西町12番地 |
22 | 龍淵寺(門塀,地蔵堂) | 西京区樫原宇治井西町6番地 |
23 | 出雲邸(主屋) | 西京区樫原宇治井西町4番地 |
24 | 三ノ宮神社郷倉(倉) | 西京区樫原宇治井西町 |
25 | 荒木邸(主屋,門,塀) | 西京区樫原宇治井町23番地 |
26 | 松尾邸(主屋) | 西京区樫原宇治井町17番地の1 |
27 | 福井邸(主屋,門,塀,蔵) | 西京区樫原宇治井町11番地 |
28 | 林邸(主屋) | 西京区樫原宇治井町14番地の2 |
29 | 藤岡邸(主屋) | 西京区樫原石畑町4番地の2 |
30 | 豊田邸(主屋,垣) | 西京区樫原茶ノ木本町7番地 |
31 | 斉藤邸(主屋,塀) | 西京区樫原茶ノ木本町14番地 |
32 | 岡本邸(主屋) | 西京区樫原茶ノ木本町1番地の2 |
33 | 田中邸(主屋) | 西京区樫原茶ノ木本町5番地 |
34 | 石野邸(主屋) | 西京区樫原茶ノ木本町8番地の1 |
35 | 弁天(祠) | 西京区樫原池ノ上町1番地 |
36 | 行者の祠(祠) | 西京区樫原久保町36番地 |
2 景観の特性
西山の山麓地域に位置し,平安京造営の前から集落が営まれ,天皇の杜など古墳群,古社寺遺跡などが認められ,水と樹林に恵まれた豊かな農村集落が営まれていた。近世に入り,天下泰平の時代となり,人や物質の流通は全国に広がり,交通網が整備されていった。
当地は,山陽や山陰地方から京の都に向かう交通の拠点の地で,京に最も近い宿駅に指定され,繁栄を極めた。当地区は,特に丹波や山陰地方から京都(旧山陰街道)や大阪(嵯峨街道)に向かう分岐点の宿駅の機能を持ち,人や物資の往来は,明治時代に入り鉄道が開通し,普及するまで続いた。
当地区には大名の宿舎となる本陣が置かれ,旅人の利用の便を図る旅館や店舗などのサービス施設のみでなく物資の仲買を行う問屋も軒を並べ,その繁栄ぶりは現在の町並みからも読みとれる。街道筋の家屋の屋号の復元調査からも,かつては,大半の家屋で都市的な事業が営まれていたことが判かる。
鉄道(山陰線)の開通や国道9号線の整備により,人と物資は車輌輸送に切り替わり,それらの往来は影をひそめた。流通の町としての機能を閉じ,自然風趣と町並みが調和する静かな郊外集落として生きている。
3 景観整備の目標
この地区においては,次に掲げることを目標にして,景観整備を行う。
(1) 2に示した特色ある景観を維持又は増進すること。
(2) 西山丘陵の山並みを背景に,銀鼠の桟瓦葺き大屋根が街道筋に沿って一条に続く集落の景観を保全・整備すること。
(3) 商いを主とする宿場町であると同時に,農産物の宝庫としての地でもあり,商・農共存の町づくりが展開された。深い軒先と広い土間の家づくりや,前庭とその植栽が形成する町並み景観が当地区の特色である。この街道町の空間づくりの風習や作法を評価し,景観づくりに生かすこと。
4 建築物その他の工作物(以下「建築物等」という。)の位置,規模,形態,意匠及び修景に関する事項
この地区においては,次に掲げることを条例第36条第1項第1号に規定する承認の基準とする。
(1) 地区内に存する建築物等にあっては,平成13年8月27日京都市告示第260号により定める「街道沿い地区」「街道北地区」「街道南地区」ごとに次に掲げる基準に適合しているものであること。
ア 地区に共通する基準
(ア) 2に掲げる景観の特性に留意してものであること。
(イ) 界わい景観建造物と調和し,協調する意匠及び形態であること。
(ウ) 建築物の外観の形態及び意匠は,長大な壁ができないよう配慮され,和風を基調としたものであること。
(エ) a建築物以外の工作物(以下「工作物」という。)のうち,土地に定着するものの高さは,15メートル以下であること。ただし,公益上必要と認められる第2類工作物並びに形態及び意匠が特に優れていると認められる第2類工作物については,この限りでない。
b建築物に定着する工作物の最上部が当該建築物の最上部を超えないこと。ただし,公益上必要と認められる第2類工作物並びに形態及び意匠が特に優れていると認められる第2類工作物については,この限りでない。
イ 街道沿い地区の基準
(ア) 道路に面した壁面は,両隣の家屋の壁面と連続するよう配慮され,1階壁面が道路境界からおおむね2間(3.6メートル)以上離れていないこと。ただし,垣,柵,門,塀等を設ける場合は,この限りでない。
(イ) 旧山陰街道に面する敷地においては,当該街道側に主玄関口が設けられていること。
(ウ) 塔屋及び屋上に設ける建築設備は,できるだけ公共用空地から(目線の高さから見た場合。以下同じ。)見えにくい位置に配置されていること。
(エ)建築物にあっては,公共用空地から見える部分の階数は3以下で,当該部分の最高部の高さが12メートル以下であること。ただし,周辺の景観に支障を及ぼさないと認められるときは,この限りでない。
(オ)
a 屋根は,できる限り平入り切妻屋根で,道路側に深い軒が出ているものであること。ただし,道路交差部に位置する建築物は,この限りでない。
b 屋根を勾配屋根にできない場合は,深い軒庇が設けられていること。
(カ) 屋根の勾配は,3.0/10から4.5/10の範囲内にあること。
(キ) 屋根は,日本瓦又は銅板その他の金属板でふかれていること。
(ク) 道路に面した壁面には,半間(0.9メートル)程度の出がある通り庇(1階上部の軒庇。以下同じ。)が設けられていること。ただし,1階壁面が道路から見えない場合は,この限りでない。
(ケ) 道路に面した3階以上の階の壁面が2階壁面より半間(0.9メートル)程度以上後退し,道路境界からおおむね2間(3.6メートル)以上離れていること。
(コ) 道路に面した壁面には,できる限り外付けバルコニー,物干し台,屋外階段等が設けられていないこと。やむを得ずこれらのものを設ける場合は,建築物と一体性のある形態及び意匠であること。
(サ) 建築物の外観の意匠は,真壁造り等の和風を基調としたものであること。
(シ) 公共用空地から見える側壁面(特に,3階以上の側壁面)には,和風を基調とした意匠が施されていること。
(ス) 門,塀等の工作物は,できる限り木竹,石などの自然素材で造られ,その形態及び意匠は,和風を基調としていること。
(セ) 門灯,外灯等の照明設備の形態及び意匠は,和風を基調としていること。
(ソ) 道路に面して車庫,駐車場,駐輪場等を設ける場合は,垣,柵,門,塀等により,町並みの連続性が確保されていること。
(タ) 建築物等の色彩は,周辺の景観と調和する,落ち着いたものであること。
ウ 街道北地区及び街道南地区の基準
(ア) 建築物の高さは,10メートル以下であること。
(イ) 屋根は,できる限り勾配を有し,道路側に深い軒が設けられているものであること。
やむを得ず勾配屋根にできない場合は,深い軒庇が設けられていること。
(ウ) 屋根は,日本瓦又は銅板その他の金属板でふかれていること。
(エ) 道路に面した1階壁面が道路境界から半間(0.9メートル)程度以上離れており,そこにできる限り通り庇が設けられていること。
(オ) 道路に面した3階以上の階の壁面が2階壁面より半間(0.9メートル)程度以上後退していること。
(2) 町辻型重要界わい景観整備地域内(条例第34条第1項第2号に掲げる地域をいう。)にある建築物等は,(1)の基準に適合していることに加え,地区の町並み景観を象徴し,周辺の景観形成の指標となる形態及び意匠であること。
5 新築等及び模様替え等で,市長の承認を要することとするものに関する事項
この地区内において,次の行為をしようとするときは,市長の承認を受けなければならない。
(1) 建築物の新築等又は模様替え等
(2) 第2類工作物の新築等又は模様替え等
6 界わい景観整備計画の運用に関する事項
次に掲げる行為をしようとするときは,あらかじめ,京都市美観風致審議会の意見を聴かなければならない。
ア 4(1)ア(エ)aのただし書の規定を適用して行う条例第35条第1項の規定による承認
イ 4(1)ア(エ)bのただし書の規定を適用して行う条例第35条第1項の規定による承認
ウ 4(1)イ(エ)のただし書の規定を適用して行う条例第35条第1項の規定による承認
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