第4章 障害保健福祉施策を推進するための具体的事項 ‐ 3 すこやかに (保健・医療の充実)
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2021年5月25日
障害のある市民や難病を有する市民が地域で安心して暮らしていくためには,必要な医療やリハビリテーションが受けられ,気軽に医学上の相談ができる体制などを充実することが必要です。また,ストレスの多い現代社会におけるこころの健康の保持増進など,様々な保健・医療が求められています。
障害のある市民の高齢化に対応し,かつ,障害の原因疾病の発生予防から,早期発見・早期療育,それぞれの障害特性や要望に合わせた適切な保健・医療サービス,そして社会的自立のためのリハビリテーションまで,ライフステージに対応した,体系的な保健医療施策の充実を図ります。
【施策体系】
3-1 発生予防
47 周産期における予防対策
48 健康づくりの推進
49 生活習慣病等による障害の予防対策
50 こころの健康づくりの推進
51 子どもの事故防止に関する取組の推進
3-2 早期発見・早期療育
52 早期発見のための検査等の実施
53 健康診査・各種検診体制の強化
54 児童福祉センター・児童療育センターの運営
55 第2児童福祉センターの設置<新規>
56 重症心身障害児(者)通園事業の推進
57 高次脳機能障害に対する支援<充実>
58 発達障害者支援センターの拡充(再掲)
59 発達障害に関する生涯を通じて一貫した総合的な支援体制の検討<新規>
3-3 保健・医療サービス
60 各種医療等の給付・医療費支給
61 健康診査
62 身体障害者リハビリテーションセンターの機能強化
63 難病を有する市民に対する支援
64 救急医療・救急救護体制の整備
3-4 精神保健医療
65 自立支援医療(精神通院医療)等
66 適正な精神医療の確保
67 精神疾患と身体疾患の合併症対策の研究
68 精神科救急医療システムの強化
69 精神科デイ・ケア施設における支援
70 こころの健康増進センターの機能強化(再掲)
71 こころの専門相談の充実(再掲)
72 社会的入院解消のための退院促進支援
73 精神医療の調査・研究
74 うつ病予防対策<新規・推進中>
75 自殺予防対策<新規>
(1) 発生予防
【現状と課題】
「障害者生活状況調査」によると,身体障害児の「障害を受けた時期」については,出生時が約6割を占め,1歳までで8割以上を占めます。そのため,周産期における障害の発生予防のための医療体制の充実が求められており,子どもたちの事故を防ぐ取組も必要です。
また,身体障害のある市民については,高齢になってからの障害の発生が増えており,脳血管障害による障害が多く見られ,生活習慣病の予防も重要となっています。
さらに,ストレスの多い現代社会の中で,ゆとりを失ったり,不安を感じている人が年々増加しており,こころの健康を保持増進し,相談できる体制を充実することが必要です。
【施策の方向】
47 周産期における予防対策
危険な状態にある母体や新生児の命を守るため,高度医療施設や搬送手段の確保,空きベッド情報の的確な把握や医療連携を可能とするネットワークの整備に対する支援を行います。
また,周産期における障害の原因の発生予防のためには,妊産婦の心と体の健康が重要であることから,健康相談やすくすく子育てサポート事業を実施し,妊娠や子育てに関する基本的な知識の普及に努めるとともに,京都市子ども保健医療相談・事故防止センター「京(みやこ)あんしんこども館」との連携を図るなどして,女性への出産前後における支援を進めます。
48 健康づくりの推進
心臓疾患や脳血管疾患等,生活習慣病に伴う障害が多く見られることから,生活習慣病を予防する上で,健康づくりに取り組もうとする市民一人ひとりを社会全体として支援していく環境を整備し,医療機関をはじめ,企業,団体,報道機関等との連携のとれた効果的な運動を推進し主体的に生活習慣を見直し改善していけるよう,「京都市民健康づくりプラン」に基づく市民健康づくり運動を進めます。
49 生活習慣病等による障害の予防対策
生活習慣病の予防には,食生活や喫煙などの生活習慣の見直しと改善が重要です。そのため,「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)対策」や「たばこ対策」に取り組み,健康教育などを通じて,栄養,運動等に関する正しい生活習慣の普及啓発に努めます。
また,認知症の原因となる疾患を予防し,高齢期になってからの生活の質を高めるため,健康相談等の取組を進めます。
50 こころの健康づくりの推進
ストレスの多い現代社会の中で,市民のこころの健康を保持増進し,こころの不健康を予防するため,また,思春期におけるこころの諸問題や心的外傷体験を受けた人のこころのケアなどさまざまなこころの問題に対応するため,京都市こころの健康増進センタ-や保健所において,相談や支援,講演会の開催などを行います。
51 子どもの事故防止に関する取組の推進
子どもたちの不慮の事故が障害の原因となることもあるため,子どもの事故防止に有効な知識を体験型で習得できる京都市子ども保健医療相談・事故防止センター「京(みやこ)あんしんこども館」を活用し,事故防止について市民への積極的な普及啓発に努めます。
(2) 早期発見・早期療育
【現状と課題】
障害の原因疾病等を早期に発見し,必要な医療を提供するとともに早期に療育を行うことが,障害に伴う機能の低下を軽減し,社会適応能力を高めることとなるため,本人及び家族に対する相談支援体制の充実を含め,適切な時期に適切な療育を提供できる体制の充実が必要です。
本市では,障害を早期に発見し,適切な治療をするために,乳幼児に対する健康診査や,先天性代謝異常等の検査を実施するとともに,健康診査の結果,精密健康診査が必要な場合は,市立病院をはじめとする医療機関を紹介するとともに,児童相談所等で健診・相談・指導を行っています。
また,障害のある児童の療育については,京都市児童福祉センターをはじめ,京都市児童療育センター等各種施設で実施していますが,今後も障害のある児童に関する相談や療育体制,重度・重複障害のある児童への支援体制の充実が必要です。
さらに,自閉症等の発達障害の特性を踏まえた支援の在り方について検討を行う必要があります。
【施策の方向】
52 早期発見のための検査等の実施
障害の早期発見,早期治療・療育へとつなげるだけでなく,児童虐待の早期発見の観点から親子関係の状況の把握に努めるなど,乳幼児を対象とした健康診査等を実施します。保健所においては,あらゆる機会を通じて,親の心身の健康状態や育児支援状況の把握に努め,育児の不安や負担の軽減を図るとともに,相談体制の充実や関係機関との連携の強化を図ります。
53 健康診査・各種検診体制の強化
市民の高齢化や疾病構造の変化等に伴い,より適切な健康管理が行えるよう,保健所の健康診査の充実や関係機関との連携を強化するとともに,健康診査や健康教育等の事業を通じて,市民一人一人の「健康はつくるもの」という意識の高揚を図ります。
54 児童福祉センター・児童療育センターの運営
障害のある児童の早期発見,早期療育並びに相談・指導を行う京都市児童福祉センター及び京都市児童療育センターにおいては,関係機関との連携をより一層強化し,障害のある児童の療育体制の充実を図ります。
55 第2児童福祉センターの設置<新規>
障害のある児童の相談に迅速かつ的確に応じるため,市南部地域の児童福祉の拠点として第2児童福祉センターを設置します。
56 重症心身障害児(者)通園事業の推進
在宅の重症心身障害児(者)に対して,通園の方法により日常生活動作,運動機能等に係る訓練,指導等必要な療育を行い,運動機能の低下を防止するとともに,その発達を促し,併せて保護者の家庭における療育技術の習得を促す重症心身障害児(者)通園事業の充実を図ります。
57 高次脳機能障害に対する支援<充実>
交通事故や脳血管障害等により脳に損傷を受けた場合,その後遺症等により,記憶障害,注意障害,社会的行動障害などの高次脳機能障害を呈することがあります。これらの障害は,日常生活において,大きな支障をもたらすものの,外見上分かりにくく周囲の理解を得にくいため,本人や家族の負担は大きいものとなっています。今後は,相談支援,関係機関への研修,地域での支援体制の整備等を行うための支援拠点を設置する京都府との連携の下,自立支援や啓発などの取組を行っていきます。
58 発達障害者支援センターの拡充(再掲)
59 発達障害に関する生涯を通じて一貫した総合的な支援体制の検討<新規>
発達障害に関して生涯を通じて一貫した支援を行うため,京都市発達障害者支援連携協議会により,保健,医療,福祉,教育及び労働関係機関等のネットワークを強化するとともに,総合的で一貫した個別支援の体制について検討します。
また,できるだけ早期の療育につなげるため,発達障害の早期発見のための体制の整備を図ります。
(3) 保健・医療サービス
【現状と課題】
保健・医療サービスは,障害による機能低下の軽減,二次障害の予防,健康の増進,社会復帰のためのリハビリテーション等,障害のある市民の自立を支援するための重要な意義を持っています。そのため,必要かつ適切なサービスが受けられるよう,今後とも体制の整備を図るとともに,必要に応じて医療費等の公費負担制度による支援を行う必要があります。
また,リハビリテーション医療については,生活習慣病による障害が増加しており,その重要性が増しています。今後とも,専門的な,また地域におけるリハビリテーションの体制を整備する必要があります。
難病を有する市民については,医療費の公費負担をはじめ,在宅療養を支援する訪問相談や介護サービス等の福祉サービスを提供する難病患者等居宅生活支援事業等を実施していますが,今後も難病を有する市民の自立と社会参加を促進し,地域において安心して生活できるような支援を行っていく必要があります。
【施策の方向】
60 各種医療等の給付・医療費支給
医療が必要な障害のある市民等が安心して適切な治療を受けることができるよう,未熟児養育医療,自立支援医療(更生医療,育成医療)等各種の公費負担医療制度による支援を行います。
61 健康診査
各医療保険者における特定健康診査及び特定保健指導の実施率の向上を目指すとともに,がん検診,歯の健康診査及び骨粗しょう症予防健康診査の実施及び受診機会の充実に取り組みます。
62 身体障害者リハビリテーションセンターの機能強化
京都市身体障害者リハビリテーションセンターにおいては,身体障害のある市民の相談・判定や肢体に障害のある市民の治療・機能回復訓練・生活訓練などを行うとともに,地域リハビリテーション機能の向上を目的に,専門研修や相談会の実施,障害のある市民の集いや障害者支援を行う各事業所等への助言・指導を実施し,より一層,在宅・在学の障害のある市民のニーズに対応するため,センター事業の充実に努めます。また,肢体不自由者更生施設の障害者自立支援法の施行に伴う新しいサービス体系への移行をはじめ,センターの在り方について検討を行います。
63 難病を有する市民に対する支援
難病を有する市民が地域において安心して生活できるよう,医療相談や介護サービス等を実施するとともに,訪問相談の体制を整備するなど,保健所が中心となって,在宅の難病患者等に対するきめ細かな療養支援を行います。
64 救急医療・救急救護体制の整備
障害のある市民が生命に危険がある等の緊急時において,適切な対応ができるよう,気管挿管や薬剤投与のできる救急救命士の養成,救急隊員の知識・技能の向上を図るための再教育及び救急活動に対する医師による事後検証を実施して救急業務の高度化を図るとともに,広く市民に対し,救急車が来るまでの自動体外式除細動器(AED)の使い方を含む応急手当を普及啓発していきます。また,救急医療体制の整備を図ります。
(4) 精神保健医療
【現状と課題】
精神障害については,疾患と障害が密接に関係しています。
「障害者生活状況調査」においては,夜間・休日に緊急に診察を受けたくなったことがあると答えた人が3割以上を占め,多くの医療機関が診療を行っていない夜間・休日に利用できる精神科救急医療が求められていることがうかがわれます。本市においても,平成14年度から精神科救急医療システムを運営していますが,更なる充実が求められています。
また,こころの病の中でも,複雑化した現代社会において,過剰なストレス状態が続くことで起こる「うつ病」が大きな問題となっており,また,「うつ病」を中心とした精神疾患が自殺と深い関連があると考えられていることから,自殺予防や「うつ病」予防に向けた取組が重要となっています。
【施策の方向】
65 自立支援医療(精神通院医療)等
精神障害のある市民が,経済的事情により通院を中断することにより症状が悪化することを防ぐため,通院による精神科医療に要する費用の公費負担を行います。また,措置入院した精神障害のある市民の入院費用を公費で負担します。
66 適正な精神医療の確保
精神科病院において,関係法令等が遵守され,入院患者の人権に配慮した適正な精神医療が提供されるよう,精神科病院実地指導を実施するとともに,精神医療審査会を運営します。
67 精神疾患と身体疾患の合併症対策の研究
精神疾患と身体疾患の合併症などに対応するため,総合病院における合併症対策の在り方について研究します。
68 精神科救急医療システムの強化
精神障害のある市民が地域で安心して生活できるよう,精神疾患の急激な症状の悪化等に対応し,また,身近な地域において早期に適切な医療を受けられるよう,救急情報センターの強化や初期救急医療システムの整備を検討するなど,精神科救急医療システムの更なる充実を図ります。
69 精神科デイ・ケア施設における支援
精神障害のある市民が医学的側面からの生活指導・支援等を受けて社会復帰できるよう,精神科デイ・ケア施設における支援の充実に努めます。
70 こころの健康増進センターの機能強化(再掲)
71 こころの専門相談の充実(再掲)
72 社会的入院解消のための退院促進支援
京都府の行う精神障害者退院促進支援事業と連携を図り,精神障害のある市民の精神科病院からの退院を促進します。また,保健所,障害者地域生活支援センター,精神科病院が連携を図り,精神障害のある市民の地域生活移行を支援します。
73 精神医療の調査・研究
精神障害は,疾患と障害が密接に関連しており,医療の進歩によって障害を軽くし,回復させることが可能となるため,精神疾患を治療し,症状を軽くできるよう,精神医療の調査・研究を進めます。
74 うつ病予防対策<新規・推進中>
「うつ病」は早期に適切な治療を受ければ,治る可能性が高い疾患であり,市民や医療関係者が症状や治療について正しい知識を持ち,早期発見・早期治療に結び付けることが重要です。そのため,市民に対するこころの健康相談,広報誌等による正しい知識の普及,市民向け講座の開催を行うとともに,地域精神保健における取組が重要と考えられることから,保健所職員等を対象とした研修を実施していきます。
75 自殺予防対策<新規>
「うつ病」などの精神疾患が自殺と深い関係があると考えられていることを踏まえ,自殺予防に向けて,「うつ病」などの精神疾患に関する正しい理解の普及・啓発を行うとともに,保健所やこころの健康増進センターにおける相談の充実を図ります。また,平成19年11月に設置した京都市自殺予防対策連絡協議会を中心に,自殺予防対策推進プランの策定,自殺未遂者や自死遺族等に対する支援など,総合的な自殺予防対策に取り組んでいきます。
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