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制定記念の集い 報告5/7つの提言

ページ番号5450

2022年12月26日

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平成19年2月24日 子どもを共に育む「市民憲章」制定記念の集い 報告

7つの提言

 

1 元気づけるプロジェクトを
  人間は元気が出ないと笑顔も出ません。まして子育ては深刻な顔で大変と言っていたら逆効果にもなります。では誰を元気づけるか。それは親、そして教師です。京都市民憲章には教師を元気づけると書かれていませんが、今、教師は、保護者の価値観が様々で中には自己中心的な保護者から攻撃を受けやすい立場であり、疲労困ぱいで情熱を子どもに傾けられないことも起こっています。また、ボランティア活動も支援する必要があります。

 

2 個人情報に縛られすぎない
  個人情報保護法ができてから、世の中がギスギスして地域の崩壊さえ起こりかねないことがあります。個人情報は重要ですが、それに縛られすぎると、クラスの緊急連絡網や防災のための要援護者リストも作りにくくなります。
  子育てのためには、地域社会の再生、コミュニティが必要です。個人情報も使い分けて、条例等で柔軟に運用してもよいと思います。

 

3 乳幼児期にバーチャルメディアでなく絵本を、父親の子育て参加も
 小児科学会も提言しているように、乳幼児期、特に2歳以下の子にバーチャルメディアは百害あって一利なしです。そういうのはできるだけ見せないで、肉声で接する、絵本を読み聞かせるなどの心得を、乳幼児健診の場などで保健所や自治体が啓発したり、ブックスタートとして絵本をプレゼントしたりすべきです。絵本を買う予算がなくても、使わなくなった絵本の寄付を呼び掛けるとか、プレゼントした絵本を子どもが大きくなったら返してもらうとかもできます。
  それから、特に乳幼児期は、父親の子育て参加が大事です。核家族で、母親一人がストレス一杯で夜の帰りが遅い夫を待っていると、どうしても虐待に走ることも起こるのです。男女共に子育てをしていくキャンペーンが必要であり、福島のある町では、赤ちゃんが生まれたら抱き方から始まるセミナーに必ず夫婦共に参加できるようにしています。

 

4 問題を二面的に考える
  問題には二面性を持って考えてみる必要があります。法律や基本マニュアルで線引きして終わるのではなく、違うことや正反対のこともいいかも知れないと考えてみることです。子どもには可能性と個性があって、カリキュラムで詰め込むだけでは、落ちこぼれや授業に興味を失う子どもが出てきますが、本当はよい能力を持っているのについてこられない子どももいるのです。
  例えば、知的発達の遅れがある子どもが、小児科医の面接で「お父さんは男です。ではお母さんは?」という質問に対して、「女です」と答えずに「大好き」と言いました。これは知識ではなく、全身で思っているお母さんなのですね。こういうのを評価する目が大事だと思うのです。
  また、LD障害で中学校を不登校のある子どもは、自分の気持ちを書いた文章で、学校で脈絡のない知識を覚え続けたら自分の学びが壊されると感じて学校を辞める決意をしたことなどをびっしりと書いており、不登校対象のスクールでは哲学書や英語原書、河合隼雄先生や私の本も読み込んでいるようでした。この子どもが学校ではLD障害で不登校となっているのです。
  二面的に考えるとは、こういう子どもたちをどうやって拾うことができるか、通常のカリキュラムや教科書の手順ではない方法や教え方で対応できるかということです。

 

5 ノーテレビデー、ノーネットデーを
  ノーテレビデー、ノーネットデーを3箇月に一度でも一週間くらいやってみると、素晴らしい気づきが起ります。
  朝からテレビをつけっ放しにしていると、テレビに気を取られて、家族のコミュニケーションが取れず、「早くしなさい」とか怒鳴り声が起こり、子どもは勉強道具を忘れたり、トースト半分でそそくさと出て行くとかになります。
  ところが、テレビがついてないと、朝から親子や夫婦の会話がぽつりぽつりと起こり、子どもはトーストを全部食べて、お母さんは「忘れ物ないね」とか声を掛ける。お父さんも子どもとボソボソと会話しながら子どものことを色々発見するんです。
  また、ノーネットデーやノー携帯デーをやると、大学生のうち多くがインターネットや携帯電話の依存症にほとんどなっていることが分かります。

 

6 命の教育を重視
  命の教育に力を入れてほしいです。「兵庫・生と死を考える会」のレポートなどを見ると、命の教育には色々な方法があります。アンケート調査では、「人は死んでも生き返る」と思っている子どもが半分近くいるのです。バーチャルな世界にどっぷり漬かっている状態からどう切り離すかが問題です。私は新聞社の新入社員に、まず1箇月間、ノー携帯・ノーパソコンにして、現場で生身の人間と会話をすることが記者の第一歩であると力説しています。学校教育でもそういうことが重要ではないかと思います。

 

7 大人こそ絵本を
  私が14年近くキャンペーンしていることが普及してきました。家計から月2千円を絵本代にすれば年間15冊くらい買えます。毎月、いいなと思う絵本を大人が自分で選び、居間などに置いておくと、大人の心に潤いが戻り、子どもとの会話が違ってきます。読む力がないとつまらないと思いますが、慣れていくうちに語っていることが分かってきます。
  また、病気の友達を慰めるために絵本を贈ったら下手な励ましより良かったとか、夫を亡くして孤独な主婦が娘から贈られた絵本を読んで立ち直れたということもあります。
  サン=テグジュペリの「星の王子様」の冒頭には「大人は誰も昔は子どもだったのに、自分が子どもだったことを覚えている大人は少ない」という大事なメッセージがあります。

 

最後に 子育ては命がけで楽しさを忘れずに
  諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師は、「がんばらない」という著書やヒューマンな心で有名ですが、実は捨て子だったのです。青森の田舎で1歳頃に捨てられ、拾ったタクシーの運転手は、東京に出て夜を徹して働き、心臓病で医療費の掛かる奥さんを医者に通わせ、鎌田先生を学校にやりました。鎌田先生は捨て子と知らずに育ち、母親の心臓病と父親の献身的な働きを見て医者になりました。
  言いたいことは、子育ては命がけで楽しさを忘れずにということです。専門用語ではアタッチメント=愛着です。子どもが羊水の中で不安なく、温もりで守られる育てられ方。生まれてから精神的な心のへその緒が切れるには三年掛かると乳幼児保健衛生の専門家である渡辺久子小児科医はおっしゃっています。子どもを殺すのに刃物は要らず、お金で殺せるというおかしな世の中で、アタッチメントを原点から見直す必要があると思います。

 

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