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行政区制度検討調査会 第3回会議要旨録

ページ番号4522

2012年3月27日

 

日時,会場,出席
日 時平成15年2月3日(月) 10:00~12:00
会 場京都市役所 市会第5会議室
出 席村松会長 (京都大学大学院法学研究科教授)
新井委員 (市民公募委員)
乾 委員 (立命館大学産業社会学部教授)
長上委員 (龍谷大学社会学部教授)
田尾委員 (京都大学大学院経済研究科教授)
新川委員 (同志社大学大学院総合政策科学研究科教授)
西脇委員 (京都市地域女性連合会会長)
藤沢委員 (市民公募委員)
村井委員 (各区市政協力委員連絡協議会代表者会議幹事)
室崎委員 (平安女学院大学生活環境学部教授)
浅野委員 (京都市南区長)
杉原委員 (京都市文化市民局長)

 

 

1 第2回会議要旨録について

  • 修正なし

 

2 行政区,区役所の機能,サービスのあり方について
(1)当面の調査会運営及び今回会議の目的

  • 事務局説明(略)

(2)行政委員意見紹介

 

<発言要旨>
【浅野委員】
 区役所の現状と課題について,現場の立場から,意見を述べる。
前回会議で一例を述べたが,区役所が市民と接するときに,いかに市民の満足を得るかが重要であり,どの様に説明責任を果たすかが課題となる。
 1つは,戸籍・住民票,税証明,生活保護,乳幼児健診など,区役所には様々なサービスを求めて市民が来庁され,適正・公平な事務事業の迅速・丁寧な執行が求められる。もう1つは,地域の団体を通じてや,基本計画推進のために受け付けた区民意見・提案をいかに市政に反映させるかが難しい。また,京都市政を積極的にPRし,市民の協力・理解を得たいと考えている。
 その実現のためには,区役所の機能や役割を拡大・充実していくことが必要であり,それが市民の評価につながると考えている。
 これらのことが現状でできない原因は様々なことが考えられる。
 市民サービスの面では,民間企業との比較で,迅速性や質の高さを求められてきているが,行政がシステム・組織・職員意識などの面で変化に追いついておらず,業務や窓口の改善に加え,一層の職員の資質向上が必要である。
 また,地域と関わりでは,NPOやボランティアなどの幅広い市民の自主的活動との関係構築が不十分で,幅広い市民ニーズの把握の不十分さにつながっている。これは,市民活動支援などの役割が十分機能していないためでもあり,今後の課題である。
 これらの背景には,区役所の機能や区長の権限が十分でなく,区民から期待される役割に,制度・仕組みが対応し切れていないことがあると思われる。
 例えば,予算面では,区づくり推進費という区独自予算があるが,そのほとんどが既存の事業で費消されている。区長会としても要望しているがこうした予算が充実されれば,例えば,南区では,保健・医療・福祉の地域ネットワークづくりの支援や区基本計画の推進に役立つと考えている。
 また,他都市のような区要望の予算反映システムが,本市でも必要と考える。
【木野村区長】
 区行政においては,区民がサービスの提供先を選べないため,全市的な均一性が求められる分野においてもサービス向上が必要となる。
 また,西京区では,自治会・町内会の加入率が低下し,地域団体も後に続く者が減少している。地域コミュニティが弱く,希薄になることを危惧している。行政から若年層に対する団体加入の働きかけも必要ではないか。
 地域懇談会等で要望を聞いているが,その要望の内容は,日常的な身近なことから,都市基盤整備に関わるものまで様々である。区民要望を区役所で取りまとめた後,関係局・機関へ伝えてはいるが,予算への反映システムがないと結果として聞きっぱなしとなってしまい,区民の信頼を失い,区行政が崩れてしまうことにつながる。予算への反映等における区の権限強化,区民の期待に応える上での本庁との関係を考えていく必要がある。
【杉原委員】
 本庁部局の立場から,補足的に意見を述べる。
 市民の利便性といった視点以外に,行財政運営の効率化の視点がある。
 例えば,市民サービスに直接関わる程度が低い業務については,区役所業務から切り離して集中化を図り,効率的な行政運営を行うことも考 えられる。市民の利便と行財政の効率化を単純に二者択一するのではなく,ITの活用などにより,どちらも達成できるような手法も検討して行く必要がある。
 また,区役所に対しては,これまでのようにサービスの提供だけを行うのではなく,地域の個性に対応したまちづくりの必要性から,各区基本計画の策定など,企画立案面の機能を求めているところである。
 また,市民活動支援事業は,基本計画推進,大区役所制推進といった観点から必要であると考えている。
 市内部でも検討を進めているが,内部的な論議だけでは総合的な視点に欠け,外部から大胆な御意見をいただきたいこと,市民意見を十分に反映させたいこと,まちづくりや行政区制度に関する専門的な御意見をいただきたいことなどを本調査会に期待している。 
(3)区役所の機能・サービスの検討の方向性及び業務・権限分担の改革モデルについて
   ○事務局説明(略)
(4)区政改革検討委員会職員参加ワーキンググループにおける検討内容
   ○事務局説明(要旨)
   市内部検討組織では,具体的な改革方策をまとめるため,検討組織の構成部署と庁内公募職員で構成するワーキンググループを設置し,検討作業を行った。
 区役所には,適正公平な執行が求められる従来からの機能と,地域まちづくりに寄与していくような新しい機能の双方があり,ワーキングでもそれぞれについて議論がされたが,現在の課題を出発点としたこともあり,窓口サービスの評価やマニュアルの整備,窓口開設時間の拡大など,前者の事務を推進上のサービス性向上が最終的な提案の中心となった。
 議論の過程で行った,様々な「現在生じている市民にとって好ましくない状況」の根本原因の分析の中でわかったことがあるが,これらについてはこの場での議論の端緒にもなるもの思うので紹介させていただく。
 まず,職員の改革・改善の努力が報われないという点である。職員自身が「好ましくない」状況を改善しようと思っても,それをバックアップしたり促進したりする仕組が十分整っておらず,職員の中に諦観のような意識があるという問題である。
 次に,区役所に期待される役割の変化に制度・仕組の変化が追いついていないという点である。すなわち,区民を顧客と位置付けたサービス性の向上,地域の身近な行政機関として地域のまちづくりの拠点としての機能を果たすといった大きな期待に見合った制度・仕組が十分整備されていないという問題である。
 最後に,行政区ごとの個性を生かすまちづくりの指針として各区基本計画が定められ全市的視点による京都市基本計画,地域の視点による各区基本計画という新しい都市経営の大枠は示されているが,これに沿った制度・仕組の整備は十分ではなく,市役所内部の多くは従来のルールに従って動いているという問題である。
 これらは,独立した別の問題というより相互に関連するものであるし,すべての課題がここに集約されるものではないが,参考にしていただければと思う。
(5)意見交換<主な内容>
【村松会長】
 それでは,順次御意見をいただいていきたい。なお,本日は意見集約を目的とするのではなく,調査会として意見の共有化を目的としたい。
【乾委員】
 資料1において,所管局のところの「局長・部長ヒアリング」は区長に対しても行っているのか。
(事務局)
 区長は対象とはなっていない。
【乾委員】
 区長からは要望を出す形になっているが,その後はどうなっているのか。
(事務局)
 要望は文書で出され,各局が文書で回答する。
【乾委員】
 本庁から区役所,さらに区民に対する説明をどのように行っているのかも図に示して欲しい。
 本庁から区役所への権限委譲がなぜ必要かというと,区民に身近なところで行政を動かしていくためと思われ,地域コミュニティやNPOなどを通した区民の要望に応えられているのかを検討する必要がある。つまり,本庁と区役所の関係と同様に,区役所と区民の関係も検討する必要がある。
 資料4について,「行政の改革の必要性・方向性」には,市民参加・パートナーシップの視点も入れるべきだと考える。
 「区役所の機能」の「地域のまちづくり,パートナーシップによる市政・区政の推進」は,①懇談会などでの区民からの提案の受付け,②区から 区民への働きかけや提案,③企画・プランニングの3点に分けるほうが良いのではないか。要望を聴くことと,その着実な実行の二つの機能を両輪として,区でのPlanとDoをしていくことと思う。
 「業務・権限分担の見直し」では,本庁でPlan→Doを行うところにも,Checkや提案という形での市民の関与が考えられる。
【新井委員】
 職員ワーキングに出席をしたので,それを踏まえた意見を述べたい。
最も重要と感じたのは,職員が改革を行っても報われないと感じていることである。何かを実行しようとした職員も何もしなかった職員も同じ扱い であるとの意見があり,職員がやる気を出して取り組める,活力を上げる状況を作る必要があると感じた。
 要望が出てから結果が出るまでの手続きが非常に複雑で,時間がかかる上に,誰がどの様に関わったかが分からなくなってしまうのではないか。手続きの複雑さが,改革を行った職員が報われないことにも繋がっていると思われる。
 資料5の中では,大きくはモデルBの方向性のほうが,結果の出るのが早くなり,職員のやる気も出るのではないか。職員一人一人が際だち市民から「この人にお願いすれば,きちんとやってくれる」という状況になれば,信頼も深まると考えられる。
【田尾委員】
 資料1を見て思うのは,区と本庁との関係が遠く,区がひとつの行政体として機能していないということである。区長の意欲が要望という形でしか表現不可能となっており,一経営者として意欲的なプレーができないのではないか。
【長上委員】
 社会福祉の視点から述べると,今後は,地域単位での福祉のあり方を進めていくことが課題となっているが,区では区民ニーズに応じた基盤整備ができないことが壁となっている。全市一律の捉え方では地域の特性が埋没してしまう。
 資料5のモデルでは,区に意志決定権の観点からは,モデルBかC,どちらかと言えばBの方向に向いていくかと思う。今後重要なのは,区と本庁との対話や区の自主的政策を区民が一緒に考えていくということではないか。
 モデルBとCのデメリットとして,区の力量による格差の発生が挙げられているが,格差と地域特性は区別すべきである。また,格差が生じないよう防止するのが本庁の役割が大切である。
 市民参加,パートナーシップのまちづくりを行うために大事なことは2点ある。ひとつは透明化で,これは市民参加と情報公開である。もうひとつ は具体的な活動への支援で,その分野に詳しい専門職の配置が必要である。
【西脇委員】
 区役所は証明書をもらうときと,会議室を借りるときくらいしか使わないが,思ったのは窓口の人によって印象が全く違うことである。
 また,各団体に公平に目配りをして,良きパートナーシップを実現してほしい。
【藤沢委員】
 職員ワーキングにも出席した。中小企業の経営を行っている視点から述べる。
 もっとドラスティックな改革を考えなければならないのではないか。産業構造と時代の変化の中で,行政がどの様に対応するかということではないか。
 資料4の「権限・機能分担の見直し」で,都市計画関連の企画についても,今後は,区から積み上げて作っていかないと,地域からすれば間尺に合わないということになる。
 利便性と効率性の間を埋めるものとしてITがある。地域に分散してもモザイクとなるのではなく,市と区が重層して対応することが必要である。
 東京都の特別区が理想形となるかといえばそうでもなく,それなりの問題を抱えていると思われる。資料5の図表とは違うものを考える必要が あると思う。
【村井委員】
 人口格差の問題もある。伏見区は人口28万人・35学区であるが,中心区では人口数万人という状況もある。
 市民との信頼関係で言うと,窓口の印象が非常に大事である。例えば,相談などで市民が来庁したときに,仮に「そんな些細なことできたのか」という雰囲気が伝わると,市民としては「何のために相談に行ったのか」となり,信頼できないことになってしまう。これは窓口から派生するものであり,相談してよかったと思えるようにしてほしい。
【室﨑委員】
 まちづくりの単位で言うと,小さな単位から,市レベルの大きなものまで,市民の参加が必要となる。特別に組織的テコ入れをしなくとも,市民参加を充実して小さいレベルで決定し,全体に反映していくという方向ではないか。市民参加が自然にできるような手法を考えなければならない。各区基本計画の策定がきっかけであり,その実現ができる仕組にしてほしい。
 資料1では,背後に必ず市民がいるはずであるため,市民参加の部分を入れるとわかりやすい。
 資料4のPlan,Doの後にはSeeがある。窓口の評価等が必要だろう。
 職員の資質についての話があったが,背景に,職員が意思決定過程に関与する機会がないということがあるのではないか。区の中で小回りして改善する仕組,やる気のあるものが聞いて変えていく仕組が必要であり,市民・区民の意欲が生かされることが原動力になる。職員が組織の一員としてだけでなく,個人の名前で仕事をしていけることが大切である。
 また,市民参加のまちづくりを進めていくには,教育改革も必要となる。地域コミュニティの再生につながる活動も求められている。
【新川委員】
 原則論が大事であり,まず4つの原則を述べる。
 1番目は,補足性の原理に立脚して区のあり方を考えることである。2番目に,区政が区民に意味を持つためには,区は総合性を持つべきである。3番目は区政としての行政責任が重要である。これまでのシステムでは責任のとりようがない。4番目は,多様なセーフティネットを用意するということである。
 遠い目標としては,市のシステム全般の改革が必要であり,これは次の4点に整理される。1点目は企画と実施を分けて検討することである。2点目は市政全体の監視・モニタリングを行い,市民,区民一人一人の権利を保証することである。3点目は区に独立性を付与することで,例えば,内部法人化が考えられる。4点目は,区の民主主義をどう実現していくかである。
 これに向けたステップとして,当面の目標としては,①分権型に変えていく,②区役所の業務の具体的な見直しを行う,③市,区のそれぞれの市民参加と区の職員参加,④各区基本計画の実行システムとしての区の具体的なアクションが必要と思う。
(事務局)
 本日は折坂委員が欠席であるが,意見を預かっているので紹介する。
 業務の統合による効率化は,現在のITの水準で可能であるが,ITの効果を過大評価してはならない。しかし内部処理の統合によって,職員人件費等のコスト削減ができる。また,相談業務も,情報提供システム整備など,ナレッジマネージメントによる戦力強化により,水準の高いサービスを提供できるようになるが,この実現には技術的にあと3年は必要である。
 区の個性を生かした行政については,予算執行権を区がどの程度持つかが重要である。本庁から配分された予算の使い方を区の裁量に任せることができれば,区の独自性は大幅に向上する。決算処理が複雑になるが,コンピュータ技術によって解決できる。ITというのはビジネスの目標を定めそれを実現するために道具として使うもので,現在の仕事をコンピュータに置き換えるのは戦略的意味でのITではない。ITの     Technologyには経営革新技術が組み込まれるべきものである。この場合に最後まで障害になるのは国補助金などの精算であり,抜本的には 財源の地方移譲が必要であるが,当面,市の独自事業部分から始めるだけでも区行政は劇的に変化する。
 区が政策機能を持つ場合に大きな障害は人材である。政策を行政施策として具体化するためには様々な制度に関する知識や実例の蓄積が 必要である。現状では京都市の重要事業の進行状況ですら,職員に十分伝わっているとは言えない状況である。しかし,ITを活用したナレッジ マネージメントシステムの構築により環境は実現可能である。また,職員の意識改革が必要であり,そのためには,給与制度の変更や国民の  意識改革も必要である。
 少なくとも「民間の平均」という物指しは止まることのない改革とはなじまないと考えられる。

 

(6)パブリックコメントに向けた確認事項等について
   ○事務局説明(略)

 

<意見交換の主な内容>
【村松会長】
 中間報告,パブリックコメント資料の作成に向けて確認しておくべきと思われる事項やご意見等を伺いたい。
 私は,市民参加と議会との関係の整理が必要であると考えている。議員は行政区別に選出されるが,市会審議は市全体として捉えて実施するものであり,区ごとの市民参加との関わりの整理が必要である。
【乾委員】
 大きくはモデルBの方向かと思うが,何のためにモデルBを目指すのかの整理が必要である。また,事例をもっとみないといけない。例えば意見に出ていたような,専門職の配置を横浜市や川崎市では行っているのか。資料3には現れてこない土木部門などと区行政との係わりなどの資料化をお願いしたい。
【長上委員】
  区役所レベルでの政策決定はどの様な現状なのか。
(事務局)
  政策決定は市長にあるのが原則で区基本計画も区での検討をしたが最終決定は市長である。
【新川委員】
  詳細まで煮詰め切れなかった場合,両論併記型や多論併記型とするのか。それとも調査会として意見を整理するのか。後者の場合,より議論 が必要だろう。
(事務局)
  両論併記もあり得ると考えている。
【村松会長】 多論併記ではなく,ある程度,意見を集約すべきであるが,パブリックコメントにより,市民の意見を聞き,それを元に絞っていくというやり方かと思う。

 

 

3 次回会議の日程について
  次回会議を平成15年3月25日(火)午後1時30分から開催することを確認

 

 

4 その他
  ○事務局からの連絡事項
 委員の任意の学習会として区役所の視察を検討しており,具体的な日時や視察先は事務局で調整を行い,後日,連絡を行うのでご参加願いたい。

 

お問い合わせ先

京都市 文化市民局地域自治推進室区政推進担当

電話:075-222-3048

ファックス:075-222-3042

メールアドレス:[email protected]

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