第7回審議会摘録
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2007年11月8日
京都市都心部のまちなみ保全・再生に係る審議会 第7回審議会摘録
○日時:平成14年4月17日(水) 午後4時~6時半
○場所:京都ロイヤルホテル 2階「青雲の間」
○出席者
座長 青山 吉隆(京都大学大学院工学研究科教授)
淺井 國勝(京都商工会議所議員)
鵜飼 泉道(市民委員)
岡村 周一(京都大学大学院法学研究科教授)
栗山 裕子((社)京都府建築士会常任理事)
小浦 久子(大阪大学大学院工学研究科助教授)
櫻田 佳正(市民委員)
高田 光雄(京都大学大学院工学研究科助教授)
西嶋 直和(市民委員)
平田 陽子(京都光華女子大学短期大学部助教授)
宗田 好史(京都府立大学助教授)
吉村 彰彦(日本不動産研究所大阪支所長)
リム ボン(立命館大学助教授)
若林 靖永(京都大学大学院経済学研究科助教授)
以上14名(50音順,敬称略)
1 開会
(事務局から挨拶)
2 議事
(委員) 提言案説明
(委員) 資料-4(都市づくりのための条例制定の必要性と可能性)説明
○個人の権利や自由を制限したり,あるいは,個人に義務を課すためには,必ず法律または条例の根拠が必要である。したがって,例えば要綱等に基づいていろいろな義務を負わしめるとか,権利や自由を制限することはできない。
○今回の場合も,単に行政指導によるならば話は別であるが,法的に建築の自由を制限しようという場合には,法律に規定がない以上は,条例によらなければならないということになる。
○次に,条例には,自主条例制定以外に,委任条例がある。委任条例の場合には,委任の範囲を超えることができないことは当然である。これに対して,自主条例の場合には,法律の委任とは関係なく制定されるが,残念ながら条例の場合には法律とは異なる。法律の場合は憲法に反しない限りオールマイティであるが,条例の場合には一定の制限がかぶってくる。
○まず第一に,条例は地方公共団体が制定するため,条例が制定できるのは,あくまで地方公共団体の事務に関する限りである。今回の場合,問題は,財産権の規制を地方公共団体は,条例で行うことができるかどうかということである。実はこれには案外判例が少ない。
○資料には「奈良県ため池条例事件」を引用しているが,これは奈良県が条例で,奈良県に存するため池のテイトウ等の工作等を禁止する条例を制定したところ,これが憲法に違反しないかどうかということが問題になった。というのは,憲法29条2項によれば,「財産権の内容は法律でこれを規定する」ということになっており,財産権の内容自体は条例で規定することはできないので,果たしてこういうことができるかどうかということが問題になった。
○最高裁判所の昭和38年の判決では,消極的目的(公共の安全と秩序を維持すること)のためには,地方公共団体が条例で財産権の行使を規制することが可能である,という判断を下している。現在ある判例はこれだけである。
○例えばまちづくりの場合,環境保全の場合,これが消極的目的かどうかというのは問題がある点である。普通は,消極的目的とは直ちに言い得ないであろうと考えている。そう考えると,残念ながら,そういうことができるということを正面から認めた最高裁判所の判例はない,ということになる。
○しかし現実には,各種地方公共団体は財産権の行使を条例で必要がある限り規制を行っていて,今更この段階でこれがひっくり返るということはないであろうと一般的には考えている。したがって,財産権の内容を条例で規定するということはできないが,財産権の行使については,地方公共団体で必要がある限り,条例でこれに対して規制を加えるということも可能であると,このレベルでは考えている。
○ただ条例の場合には,憲法第94条,地方自治法14条1項という規定から,憲法に反することができないのは当然のことながら,さらに法律とも抵触することができないという点がある。
○旧地方自治法2条3項18号を見ると,「法律の定めるところにより,建築物の構造,設備,敷地及び周密度,空地地区,住居,商業,工業その他住民の業態に基づく地域等に関し制限を設けること。」と書いてあり,「法律の定めるところにより」という言葉が入っている。3項の各号で「法律の定めるところにより」という言葉が入っているのはごく少数で,その一つがこの18号である。その結果,一部の解釈によれば,あえて地方自治法が「法律の定めるところにより」という言葉を使っている以上,法律がない限りはできない。条例が単独でこういうことを規制することはできないということが,かなり有力に唱えられていた。
○しかし,こういうことを見ていると,地方公共団体の条例制定権の範囲を狭く解するということになるので,学者の多くは,かなり無理な解釈だと思うが,法律があれば「法律の定めるところにより」であって,法律がなければ,条例で規制を行ってもかまわないのだと考えていた。しかし,そういう条例制定権についてブレーキをかけるような役割を果たしていたところは事実である。
○しかし,この18号19号は,今回地方自治法の改正によって削られていて,この点において一つ障害はなくなったということになっている。しかし法律の抵触はできないというのは,依然として残っているところである。
○そこで法律の抵触問題であるが,これについてはかつての考え方は,法律が何らの規制を行っていない場合,それが,法律が当該領域について規制を許さないという趣旨でない限りは,条例で必要がある限りは規制を行うことができる。
○それからもうひとつは,たとえ法律で規制を行っていても,法律と異なる目的であるならば,条例によって規制を行うことも可能であると考えられている。
○しかし問題は,法律はどんどん増える一方だから,条例で規制を行う場合,どうしてもカバーしている領域が重なり,かつ目的が重なってくる場合が出てくる。こういう場合に,地方公共団体が法律による規制よりも強い規制を加えるというのを,我々は「上乗せ規制」と呼んでいる。
○これに対して,法律が規制を行っていない領域に広げて条例的規制を行う場合,これを我々は「横出し規制」と呼んでいる。
○従来あった考え方は,「法律先占論」という考え方である。法律がある限り,法律と同一の目的で規制を行うことは許さない。法律があれば,あとからは条例は入ることはできない。さらに「先占論」というと法律が先にある場合だけのように感じられるが,そうではなくて,条例があるところにあとから法律が入ってきた場合にも,法律は排除されてしまうという考え方が取られていた。
○しかし,こういう法律先占論については,特に昭和40年代に入って,学会では非常に強い批判が出てきた。特に公害規制の分野をめぐって問題になってきた。すなわち,法律による公害規制が非常に緩い。そこで,地方公共団体は条例でもっと強い,もっと広い規制を行いたいけれども,この法律先占論によれば条例による規制ができない,ということになる。
○そこで出てきたのが,「最大限規制立法」,あるいは,「最小限規制立法」という考え方である。すなわち,今までのように法律を一様に考えるのではなくて,法律の中にいろいろな種類があるだろう,と考えるわけである。すなわち,法律の中にはこれ以上の規制は許さないという趣旨のものがある一方,全国的に最低限度これだけは守ってほしい,これ以上必要があれば,規制を行うかどうかは地方公共団体の自由だと考えられる法律も存在するだろう。
○後者の場合が「最小限規制立法」であるが,そういう場合には,条例によって,必要がある限り行ってもかまわないのだという考え方が出てきた。まさに公害規制関係法律などの場合には,最小限規制立法と考えるべきであって,地方公共団体は必要がある限り,法律よりも強度の,あるいは法律よりも広い範囲にわたって規制を加えることができるのだという,こういう考え方が学会で,たぶん主流を占めるに至ったといっていいだろう。
○そこで問題は,一体どういう場合に法律が最小限規制立法と解すことができるかということが,今のところ一番大きな問題である。この点については最高裁判所の判決がないわけで,下級審の判例も解釈の仕方が割れている。
○例えば,長崎県飯盛町がラブホテルの規制条例をつくったところ,これが適法かどうかということが問題になった事例である。最終的に福岡高等裁判所は,当該条例は合理的ではないということで,違法だという判断を下している。ただ,注目されるのは,福岡高等裁判所の判決は,問題になった法律は「旅館業法」という法律であるが,旅館業法の特に特定の明文の規定に基づくことなく,旅館業法は各地方公共団体が,必要性がある限り旅館業法よりも強度の規制を行うことを認めている,という解釈を行っている。
○したがって,もし一般的に裁判所が各種法律について,こういう解釈を取ってくれるならば,かなり地方公共団体の条例制定権の範囲は広く解釈される,ということになるだろう。しかし,その法律に手掛かりとなる明文の規定がない場合に,法律が最小限規制立法だと読むことができるかどうかというのは,現在のところ,必ずしも安心して進むことができないというところである。
○裁判所がいろいろな条例に遭遇した場合には,その条例による規制がどこまで合理的であるかということは,裁判所が見るところである。したがって,新しく条例をつくっていろいろな規制を行うという場合には,その条例による規制の合理性が充分に立証できるように,資料等を固めておく必要があると思われる。
○それからもうひとつは,住民のニーズである。いくら行政がそのほうがいいだろうと思っても,住民の意見,意向等にお構いなくやると,足をすくわれるという場合がある。これに対して,住民の強いニーズに答えて条例を制定するということだと,裁判所もそう簡単にそれを無視することはできないという点もある。こういう点でも,住民のニーズも客観的に立証しておく必要があると思う。
○そういう点で,今回提言にそって,もし自主的な立法を行う場合,確かに先にはこういうハードルがあるが,充分に足場を固めた上で踏み込む余地というのは,一応あるのではないかと思う。
○最後に,今提言された内容について思ったところを述べさせていただきたい。
○一つは「②周辺環境との調和」であり,ここでは最高限高度地区ということが問題になると思う。この場合,最高限高度地区は建築密度が過大になることによって,交通,その他の都市機能が低下することを防止したり,あるいは適正な人口密度や居住環境を保全し,あるいは歴史的な建造物の周囲とそのシンボルとなる道路沿い等で景観眺望に配慮し,建築物の高さをそろえる必要がある場合等に指定されるわけであるが,この高度地区の指定内容が建築基準関係規定になり,これにしたがって建築確認がおりるかどうかという基準になることを考えると,その内容は当然客観的なものであることが要求されるであろう。
○この点,採光の問題は,同時に日照の問題ということであり,どういう形でこれを取り入れるかは問題としても,客観化という点では,あまり問題を生じないのではないかと思う。これに対して,通風といった問題については,どこまで客観的なものにできるか,あるいは数値化できるかというのは,一工夫を要するのではないかと感じた。
○もうひとつは,特別用途地区における建築物の制限は,まず建築基準法49条による条例による制限がある。この建築基準法49条1項が,「前条第1項から12項までに定めるものを除くほか」という文言を用いているところから考えると,この建築基準法49条に基づいては,用途規制を定めることができるにとどまるのではないかと考えられる。49条に基づく条例によって容積率を定めることは困難ではないかと感じた。これに対して,建築基準法50条にある「建築物の敷地構造,又は建築設備に関する制限」,これについては条例で制定できると書いてある。この「建築物の敷地構造」という部分に関して容積率を定めるということは,特別用途地区に関するものとしては,まだそうだとは言い切れないが,一応それは可能だと解する余地があるのではないか。すなわち,特別用途地区について,こういう容積率を条例によって定めることは可能ではないかと思う。
○ただ問題は,現在特別用途地区の種類は,かつては法定されていたわけであるが,現在は法定されていないわけで,その特別用途地区の目的に合わせて,どういう種類の特別用途地区を定めることができるかということは,一つの問題であろうと思う。
○そして,こういう容積率の操作によって目的を達成するのが合理的であるというのが,どこまでうまく立証できるかという点について配慮が必要であり,こういう制限を行った場合,その制限の実効性がどこまで確保できるかということも,検討しておく必要がある。
○法律的にあることを禁止するというのは,比較的簡単であり,例えば,この部分を住居に使うなということを強制することは可能であるが,それに対して,あることを行うということを強制することは困難である。例えばある部分について,ここを商業用に使えというのは,例えばここを商業用に使おうと思ってもテナントが入りませんといわれたら終わりである。従って,制限の実効性の問題も考えておく必要があるという感じがした。
(委員)
○作業部会としての審議会の提言の案を説明していただき,さらに,それを実行に移すときに関係するであろう行政法上の問題について説明していただいた。この2つを踏まえまして,審議に入りたいと思う。
(委員)
○「町家や文化財の継承に向けた支援」のところで,高層マンションだけを対象にされた書かれ方であるが,例えば,「高層マンションなど,一定規模以上のものの開発については,地域のまちなみ資源を維持・改修するための負担を求める」としておいた方がいいのではないか。
(委員)
○当面の取組として,「高さ20m,容積率300%に設定すべき」と謳われているが,400%の容積を認めるとか,高層のマンションに対する目的税の導入といったことがあるにもかかわらず,この文章が入ってくるということが,理解できない。
(委員)
○これはかなり,提言の中でも大きな問題だ。
(委員)
○高さ20m以下,容積率300%以内については,これまで通りの手続きで建築できるということである。
(委員)
○「地域の自主的なまちづくり活動をより活性化することが重要である」とか「今日に至るまでの経過」であるとか,「最も大切なのは地域コミュニティとの調和である」といったことからいけば,我々そこに住んでいる者として,20m,300%と設定することが望ましいのかどうかという問題である。
(委員)
○これまで通り31mを上限としつつ,一定の高さを超えるような高度利用に対しては,周辺の環境に対する配慮ができるような基準を示す。つまり,開発をしてはダメだと言っているわけではなくて,ある程度の高さ以上のものは,さらにまちなみその他への配慮を求めますよ,ということではないか。
○今の議論で言うと,20m300%を超えるとどのようなスキームが発動するのかというのが少しわかりにくい提言になっている。20m300%が問題というよりも,そのときにいかなる配慮をどのように求めるかというあたりのところで,まだ議論の余地があると思う。
○さらに,地域コミュニティとの相談というのを入れるのか入れないのか,これはけっこう微妙なところである。
○20m300%を境にするというのは,これまでの議論から,一つの目安かなと私自身は受け止めた。
(委員)
○急いで何かをしておかないと,取り返しが付かなくなるのではないかというのがこの「当面」のところで,とりあえず20mと300%であれば実行可能ではないかという判断が作業部会の提案の中にあると思う。
(委員)
○地域での協議であるか,一定の基準であるかという議論だが,新たな規制が,結果として外部からの投資を拒むものであってはならない。そのためには,新たな規制の内容を透明なものにしておく必要がある。
○この議論に関して,1棟1棟の建築行為に関して地域の方に決めていただくということは避けて,一定の基準を市の方で透明かつ数値的に設けようということを申し上げている。
○ただ,「将来に向けて」という部分があるが,地域のまちづくりの状況を見て,この高さ容積率の基準についても見直すべきだし,また,それが必要だということである。
○もっと厳しい基準を設けるべきだというご意見をお持ちの委員の方もおられるとは思うが,そこまでしてしまうと,今回の答申の主旨である客観的かつ数値的に明示する透明性の高い基準づくりが,難しくなると考えた。
(委員)
○確かに住民にしてみたら,幹線道路は別にして,7階くらいが限界だろうということで,この20mに相当する高さだと思う。ただ,地域によって事情等もいろいろと違うので,一概にはそれが適切であるとは言い切れないと思う。
(委員)
○今回の提言の最大の目的は,あるべき姿を多面的に議論することはもちろんのこととして,現状を少しでも改善できる実行可能な具体的施策できる限り早く見いだすことにあった。提言における当面の取り組みは決して十分な施策ではないし,自分自身の主張とも相容れないところがあるが,何らかの妥協点を見いださなければ状況はますます悪くなるばかりである。審議会では委員の皆さんからまちづくりの本質に関わる様々な意見が出されたが,作業部会では,皆さんのご意見を勘案して,どこに妥協点を見いだせるのかということを長時間激論を交わしながらまとめたつもりである。
○理屈から言えば,各地域ごとに,それぞれの事情を考慮して,関係者が協議をしなが らルールを決めていくという方法が望ましいと考えられるが,早急に実行可能な条件がどの程度そろっているかを考えると,今後の方向としては語れても,当面の取り組みとして提言することは断念せざるを得なかった。
○一方,もっと厳しいダウンゾーニングを求める声もあったが,規制強化に反対する意見もあり,さらに,制度運用上の様々な問題も考慮すると,当面の取り組みの基準としては20m,300%がぎりぎりの妥協点であると作業部会では判断した。
○われわれの審議会の役割は,様々な考え方を総合して,一方で,早急に実行するべき当面の施策を提起するとともに,もう一方で,将来のあるべき姿を描くことだったと思う。作業部会では,現状をこれ以上悪化させないため一刻でも早く講じるべき方策を明らかにすること,多様な価値観を整理して目指すべき基本的な方向を明らかにすること,という2つ目標を立てて議論を続けてきた。
(委員)
○この提言案が通るとして,おそらくこの20とか300という数字がいろいろなところに出てくる。そうなったときに,どうしてもここにこういう「設定すべきである」という決めつけ事のような表現では,こういう方向で行きなさいよ,という捉え方をされかねないと思う。
(委員)
○我々は,この職住共存地区のすべての建物が20mの高さと300%の容積を使うべきであるとは言っていない。地域の個性,特性を活かしたということも,この答申では非常に重視していることで,それに関しては,職住共存地区の整備ガイドプランの中で,地域協働型地区計画というものを地域の方たちに充分ご協議いただいて,その地域の個性を活かすような都市計画の手段として,まずお使いいただきたい。
○地域協働型地区計画を決めるまでの暫定の間,すべての建築行為に厳しい規制をかけるということは難しく,20m以上300%以上のものに関しては,一定の基準をつくっておくということだ。
(委員)
○「20m300%に設定すべきである」と提言したとして,それが実行されるまでには,手続きにどれくらいの期間がかかるか?
(委員)
○条例によって施策を進めるべきであるという前提に立つと,当審議会としては,次の議会にかけてほしいくらいの気持ちでいることは確かである。
(委員)
○ということは,1年ないし2年くらいの範囲か?
(事務局)
○今回の場合,適用される地域の皆さんにいろいろな説明をする必要があると思う。そういった過程を踏まえた上で議会にかける必要があるので,かなりかかると思う。最短でも11月の議会以降になると考えている。
(委員)
○地元に説明というのはどういうものか? 例えば,アンケート調査を採るのか?
(事務局)
○この審議会のご提案そのものが,当面早急にしなさい,という中身になるであろうことも確かなので,その当たりの兼ね合いを考えながら,我々としても一生懸命地元に入って,ご理解を求めていく。地元からの意見も含めて,説得する場面やもう一度我々が考え直す場面も,おそらく出てくるのではないかと思う。
(委員)
○都心部のあんこの部分を,一定の基準で,すべてに網をかけることになるのか? 学区単位で個々に事情がある中で,その辺はどうなるのか?
(事務局)
○パズルのような,モザイクのような規制のかけ方は非常に難しいと思う。ある意味では,行政としては面的な整備をベースにするため,その当たりの妥協点をどうやって見いだすかということになると思う。
○学区学区の思いをすべて尊重できるとは思っていないが,できるだけ尊重したい。その上で,規制の網をかけていく。そういう方向性を出したいと思っている。
(委員)
○我々の修徳学区では,地区計画の方針を決定して,次の段階で整備計画をしようではないかという考え方を持っているが,この数字が出た場合,どうかなという気がする。
○仮に,整備計画を進めていった中で,この数字が出ることによって,資産価値が下がるとか,地価の低迷といった懸念が出てくるのではないか。
(委員)
○これは何回もいうように,20m300%以下に押さえようということではないので,担保価値にはそれほど影響しないような気がする。
(委員)
○31mのものを建てようとしたときに,20mから31mの部分に関して,あるいは全体に関して,どういう形の調和が図られてくるのか。ここが曖昧模糊となっていてわかりにくい。
(委員)
○20mを超え300%を超える場合についての客観的基準は書いていないというか,書き込めないのである。だから曖昧である。20m300%と出ることで,全部これ以下でないといけないというイメージになってしまうと,誤解が広まってしまうと思う。
○それは,文章の書きぶりの話であり,うまく分かるように書く必要がある。
(委員)
○新たな基準がどういうふうに開発に影響を与えるか,実際は配慮の基準次第だと思う。
○道路斜線の問題も20m以下の場合は気にしなくてもいいけど,20m以上になると道路斜線問題が入ってくるのか。このルールの割り振りの関係をもう一度はっきり分かるように書いてほしい。
(委員)
○20m300%以下であれば好きなように勝手に建てなさい,まちなみに配慮しなくてもかまわないというのでは良くない。
○この数字だけを見たら,例えば,長年地域に住んでおられる方が建てる場合に,20mを超えた建物を建ててしまえば,地域から村八分にされる。ところが,開発業者は,まだ規制がかかっていなかったら,いくらでも建てていく。
(委員)
○20m以下なら何を建ててもいいというのは絶対ない。
○今回のまちなみ審議会で議論している問題意識というのは,一つには産業的な活性化と,もう一つに,今京都が崩れかけながらもかなり維持している町家をベースとした地域特性をどう生かしていくかという問題と,大きく2つの議論があった。
○したがって,今回のまちなみ審議会の答申というのは,ひとつには,都心のまちなみとそういった地域固有のまちなみ資源というものについてこういう問題意識を持って,こういう方向を目指したいので,当面こういう事を一緒にしましょうというところがわかりやすく書ければいいと思う。
○そういったまちなみ資源に対して,建物を更新していく際に調和を図る。ここまでは,みなさん,何となく共有化できている部分だと思う。
○それをどういうふうにしていくかという時に,やはりまちなみという視点から考えれば,セットバックを大きくとって高さが高くなるというよりは,まちなみを出来るだけ揃えるような形での高さの設定の仕方を考えていくべきではないか。
○20m300%というものがここで共有化されるのであれば,そこを手がかりに,高度地区も美観地区も特別用途も一緒に考えていく。出発点としてこれを出すのがわかりやすいような書き方にして,20m300%という数字は残すべきではないか。
(委員)
○重要なことは,少なくとも既存の都市計画制度で対応可能なものとして,道路斜線を含む高度地区の変更,特別用途地区や美観地区の指定については,直ちに実施に向けた検討を行うべきである。これがまず最初にきちんと強く言いたいことである。
○最後にも書いたが,再度見直すことも視野に入れておく必要があるわけで,数字の表現がいいかどうかというのは議論の余地があるが,地域協働型地区計画に向けての暫定的な段階としてこういう数字を書かざるを得なかったということをご理解していただければと思う。
(委員)
○当面取組がのところが,(4)で示されている各方策のどれに該当するのか,もう少しロジックでまとめると今の議論というのは明快になると思う。
(委員)
○高さというのは,建物全体で言えば,高さの一番高いところを20mと言っているだけである。しかし,美観地区とか景観とかになると,どこの高さか,どこがどうか,もっと違う高さも関わってくる。
(委員)
○20m300%というのは,今のような解釈でもかまわないか。
(委員)
○はい。31mを上限としつつ一定の高さというのが20mであり,300%を超える場合においては,前段で書いてあるようなことを十分配慮して考えなさいということだ。
○せっかく今まで話し合ってきた地域の思いなり,みなさんの考えというものが,前段の部分が入らないことには反映は出来ない。
(委員)
○周辺への配慮の義務づけは,当面に入れなくてもいいのではないか。さらに,基準を15mとかもっと低くすればいいのではないか。もっと低くして,基準を超えたものはすべてオープンにして協議の対象になるという書き方でもいいのではないか。
(委員)
○ある意味ではそうだ。以前から住んでおられる方が,20m以上ではなくても,3階建,4階建を建てる場合でも町内会にはとても配慮される。
○一方,開発業者なり町内会でない人が建てる場合は,まわりが何を言おうが聞く耳持たず,付き合いもしなくていい。
○そういった中で,景観の問題,まちなみの調和というのは,単なる外面だけではなく,町内会とも調和できるようなコンセンサスをとる時間を取りたい。そういった場合での一定の基準がそこであってほしい。
<休 憩>
(委員)
○先ほど,委員から,全体の提言案の中で構造がはっきりしていないという発言があったが,作業部会が提言を考える時に作られたフレームワークみたいなものをごく簡単にご説明下さい。
(委員)
○提言は,大まかに言うと,審議会設置までの状況を明確にした上で,審議会での議論を論点別に整理して,それらを受ける形で都心部のまちなみのあり方について目標設定を行い,望ましいまちなみに向けての方策を述べるという流れとなっている。われわれの審議会の提言は,この流れ全体にあるわけで,当然のことながら,当面の取り組みだけが結論であるということではない。
○当面の取り組みは,現行の建築指導行政や都市計画行政の枠組みの中で出来ることが描かれている。しかし,私を含めて委員の皆さんの意見は,現行の枠組みの中ではできない内容が少なからず含まれていた。これらは現行の枠組みを変革する意見とも理解できる。よって,次のステップとして,現行の枠組みの変革を含めたシナリオを描くことが重要となる。提言では,当面の取り組みだけではなくて,こうした視点に立って,将来のまちなみのあり方について述べている。
○審議会における本質的な議論をふまえ,全体としては大きな流れを示しておきながら,今すぐやるべき事についてもきちんと言うべきであるという考え方から当面の取り組みについて述べているのである。
(委員)
○20m300%を容認しているわけではないが,初めて京都で,20m300%という一つの基準が出されたということは,非常に大きな前進ではないだろうか。
○その時,少し問題になるのは,基準を超えるような高度利用に対しては,採光や通風といった周辺の環境への配慮だけではないと思う。当然,それが含まれて,まちなみそのものの保全というものに対して,どう配慮していくのかということが,実は,20m超えるためには必要である。
○それから,まちなみの景観を崩しているのは,3階,4階建ての建物であり,そういう意味でも今回の数字に対する抵抗感はある。単なる住宅環境として採光通風だけに配慮したらいいという感覚をもたれてしまうことは,逆に残念である。その点について配慮があればいいと思う。
(委員)
○20m300%というのはあまりにも微妙的な数字すぎて誤解を招きやすいと思う。
○現行の職住共存地区の容積率の実質的な消化率というのは,せいぜい150~180%である。尚かつ,職住共存地区のガイドプランでは,中低層のまちなみを尊重するといっているわけで,中層というのは5階約15mである。そこをベースにして,京都市としては15mかつ容積率200%を超える開発行為に関しては,町内会なり,地元連合自治会なり,住民組織からの意見をいただく。こういう考え方ではだめなのか。
(委員)
○住民と開発業者が同じテーブルにつけるようにすることが必要だと思う。一定の基準を下げることによって,地域とコンセンサスを取らないとだめだという気持ちを今まで以上に持ってもらうことが必要である。
(委員)
○今の意見では,15m200%で一定の建築行為にするような仕組みにして,その代わり周辺の環境に対する明確な基準といたルールははずすべき,というように聞こえた。つまりこれは,2つの異なるスキームを1つにしようとしている。
(委員)
○地域の意見を聞くというのは,ガイドプランに沿って15m200%を基準にしてはどうかということと,具体的な建築の基準というのは,地域協働型地区計画や建築協定でやればいいのではないか。
(委員)
○一定の建築行為というのは,さらに厳しいレベルを対象とすべきであり,例えば15m200%という案も出ている,というふうに書かないと一定の建築行為というのは,どのレベルの建築行為なのか分からないので,提言として,具体性が弱いかなと思った。ここに反映させたらいいと思う。
(委員)
○都市計画の31m400%はベースとしてあるとして,15m200%を超えるものについては,協議の対象とするということは,共有化出来るのではないかと思った。その次に,協議をどのレベルでするかという議論があって,1つは話し合い,地元と協議しますということと,もう1つは20m300%の代わりに15m200%を超えるものについては,一定の条件を付けるということも考え方としては可能である。そういう意味で15m200%の可能性をおっしゃったのか,単にそこはしんどいという話なのか。
(委員)
○個人的な意見だが,高さの問題ではなく,まちなみに調和しているかどうかの問題である。通り景観を考えれば,1階2階部分はまちなみに調和したような木造建築らしく見えるようなものにする。3階以上はセットバックする。そういったものが出来るとしたら,やはり,都心部,我々の地域に配慮した建築物であると理解できると思う。
○一定の基準を作って,それ以上のものについては,そういった協議が出来るということがなければ,いくら我々地域のものが話をしたいと言っても話にのってきてくれない。
(委員)
○協議にのせる基準の考え方として,20m300%の代わりに15m200%とするのか,都市計画的な基準は20m300%にしておいて,15m200%を超えるものについては,まちと協議しなさいというものを別に作るのか,そのへんはどんな解釈か。
(委員)
○即答は難しい。
(委員)
○では,15m200%というのは,まちにとっての1つの基準だと,目安として,それを超えるものについては協議しなさい,ということをどこかに書くことは受け入れられるか。
(委員)
○あえて言えば,10m以上でもいい。
(委員)
○要は,協議しなさいというレベルと法的に仕組みとして決めるというのと2段階で書くか,一緒にするかが議論として残る話だと思う。
(委員)
○今,出ている議論はすでにやっている。こういう事は,理念としては間違っていないと今でも思っているが,その後いろいろな作業部会の議論の中で,あくまでも当面の取り組みの中で早急に行政が対応できる仕組みとしては,非常に難しいということが分かってきた。
○仕組みを変えるということは,そう簡単な話ではなくて,今の行政の仕組みは,先程ご説明いただいたように法律によって決まっている仕組みであるから,非常にいろいろな整合性の中で出来ている事柄であり,今の仕組みの中で出来る事というのを先ず,緊急対策としては考えないといけない。
○ただし,当面の取り組みだけをやっておしまいということになるのが我々としては一番まずい。あくまでも全体の流れをきちんと示して,これは,こういう方向にもっていくべきですよという議論の流れをきちんと提言の中で言った上で,当面の緊急避難的対応が,今までのやり方でできることで今やって効果があることですよということを言わなければならない。
(委員)
○議論が戻ってしまうとまた堂々巡りになるような気がするので,20m300%のところは,あくまでこれ以上のものについては,別途検討するという主旨に書き直す。それと,私の個人的感触であるが,20m300%という数字を,我々が都市計画局長に提言をしたとすれば,これよりきついことはあり得ても,これよりも緩いことは市役所としては出来ないと思う。そういう拘束力は生まれてくるかなと思う。そういう意味で,少なくとも合意できるような数字は書いておくことが必要かと思う。ただ,これはあくまで当面であるということだ。
(委員)
○冒頭で,都市づくりのための条例制定の必要性と可能性についてご説明いただいたわけであるが,当面の取り組みとして我々が考えているのは,まさに条例制定の必要性と可能性ということだ。
○まちなみに配慮した美観地区の指定,特別用途地区,道路斜線の緩和の見直しということを言った上で,さらに踏み込んだ形で,一定の基準を超えるものに関しては,早急に基準を超えるための条件を客観的且つ数値的に明示するということをうたった上で,作業を詰めてほしいと言っているのである。
○このほかに当然審議会以前から元学区として地域協働型地区計画に取り組んでいただきたい。さらに,建築協定のような手法もあるわけだし,段階的な制度を運用しながらやっていく。ただ,今まであった地区計画と建築協定で防げなかったところをこの提言を条例化することによって,早急な取り組みが行政から着手されるべきであると考えている。
(委員)
○地域との協議について,高度地区の中で条件を決めるのは都市計画的には非常に難しいと思う。しかし,美観地区の条例の中でやるとか,少しそういった余地を残したような書き方を工夫していただければ,制度的には20m300%があるけれども,地域の方々の思いである10m・15m・200%が何か協議の形を残していけるような部分をいれていただければどうかというふうに思う。
(委員)
○確認であるが,中心的な商業地域であることとの調和ということで,低層部分に商業施設を設けることについては,20m300%は対象外という理解でいいのか。あるいは,低層階に,その場合細かな話になってくるが,どれくらいの床面積であれば該当するとか,そういうことはあえて提言の中に盛り込む必要はないのか。
○マンションばかりの用途の建物であれば,20m300%がかかってくるのに対し,1階の一部分が店舗であるかのような建物を建てれば,今まで通りでいいですよ,というように書いてあったように読んでいたがそれでいいのか。
(委員)
○一階の隅っこの方に小さな店舗があればそうだという事に関しては,私はそうは思わない。だから,あくまでも賑わいに貢献すると書いてあるが,そういう配慮があるということが重要であって,今おっしゃったような意味ではない。
(委員)
○いわゆる下駄履きのマンションについては特に今まで通り31m400%で特に問題はないですよという理解で間違いないか。
(委員)
○私の理解は違う。建築物がどういう用途であるかに関係なく美観の問題や斜線の問題や一定の高さ以上の場合の周辺環境の問題は全部あてはまる。したがって,あくまで特別用途地区で初めて用途問題が出で来るというふうに読むべきではないか。
(委員)
○共用廊下の容積率不算入などで近年住居専用マンションが肥大化しているということに対する対応である。
(委員)
○これは苦肉の策で,ど真ん中の中心商業地において商業施設との調和ということで加わっているのではないかと思うが,この辺の表現は,誤解を招かないような形にしていただいたほうがいいと思う。
(委員)
○「特別用途地区」についての記述を読む限りマンション対象である。どちらであるかを明らかにしておかないと,混乱を将来生じさせてしまう。
(委員)
○一定の基準という部分について,一定の基準が20mであるのであれば,20mであっていいと思う。ただ,一定の基準を超える場合においての協議事項というものについて,前段に書いてある望ましいまちなみに向けての方策という部分が,やはり地域の方にも理解をしてもらって,建てられる方との協議が出来ればこれは可能だと思う。その辺りが入っていればいいと思う。そうしないと数字だけが先行してしまう。
(委員)
○当面の取り組みの中に協議というもの入れてほしいと言うことか。
(委員)
○当面の取り組みの中で,まちなみの実現に向けた建物を建ててもらうということが条件である。
(委員)
○今日,たくさんの意見をいただいたが,それに基づいて20m300%の文章についてはかなり手を入れないといけないとは思うが,一応内容については大筋で同意いただいたということで,修正については私と作業部会の方に任せていただいてよろしいか。
<全委員承認>
(委員)
○1年3ヶ月やってきたが,審議会では京都市の側からの発言がなかったので,京都市に向かって注文があれば,是非どうぞ。
(委員)
○今の議論の中にもあったが,どうしてもマンションを建てる時には,地域と協議していただきたいと言ってきた。ある一定の協議はするが,やはり,聞いてもらえないのが現状にある。できれば提言の中にもそういうことをきつく書いていただきたかったというのが,私の思いであるが,特にそういう部分で地域と,建築主,施主,それからこれからお住まいになられようとするマンション住民の方々のことを思っていただけるなら,是非そのようなところを前向きに進んで,何か言い方策を作っていただきたい。節にお願いしたい。
(委員)
○この1年3ヶ月,私にとって勉強の1年3ヶ月だったが,とにかく,美観地区とか歩いた目線でまちなみが大事だというところまでは素人考えでも一住民としても理解できたが,今回今日の中身でもあったが,空地の連担,そこに緑があるということを京都独自のまちなみ資源として大事にしようということが掲げられている。
○ところが,今日の提言のところでも,地区計画等によりということで,どうやったら空地の連担というのが今後も維持発展していくのかが,実はよく分からない。空地の連担をまちなみの価値として大事にするというのであれば,何らか工夫した新しいアプローチを考えないと,おそらく難しいだろうと思うので,是非こういったことの検討をいっそう進めていただければと思う。
(事務局)
○お礼と今のご意見へのお答えをしたい。
○前段の流れについては,提言に書いていただいている通りであり,直ちにやれということについて特にご指摘をいただき,長期的にやるべきことも忘れないようにという形で案が出来ているということで,行政にとっては,一つのパワーをいただくと同時に,すごい責任を感じてやる必要があると思っている。
○とりあえず,座長一任というところまでであるが,皆様方全員の中でお会いするのはこれで最後になるかと思うので,ここで厚く御礼を申し上げます。
○それから,地域の思いをどのように伝えていくかについてであるが,これは,我々自治体行政を預かるものにとっては,永遠の課題である。そのような思いだからこそ,職住共存地区のガイドプランの中で,あくまで地域協働型地区計画制度でいこうという決断をしたのだろうと思う。
○現行制度の中で,地域住民の声を計画に活かす一番の方法は何かというと,これは,間違いなく地区計画であり建築協定である。まさに住民の方々が自らのまちの行き先を決めるわけである。それを行政の方で,都市計画決定なり,強制力を及ぶような形にするということが,今ある現行制度の中では一番強い方法であると思う。ただ,現実的には,そのような形になるのは非常に大変だし難しいということもあるので,もう少し簡便な方法がないかということで,行政としては苦労している。
○その中で,今の現行法令上で出来る手段として,今日お話しがあった自主条例を作るという方法がある。ここで行っている方法は何かというと,まちづくりの関係では2つの条例があり,1つは中高層の関係の条例,もう一つが,まちづくり条例ということで,大店立地法の関係で新聞にもいろいろ取り上げていただいたものがある。
○中高層の条例の手続きは何かというと,意見があれば調整をしてください,と住民の方が言う。業者が,いいですよと応じればそこで話し合いをしていただいて,話がつけばいいが,つかなければそれまでである。こういう状況だ。
○もう少し,いい方法がないかということで考えたのが,まちづくり条例である。これは,住民説明会を開きなさい,開いた後,住民から意見を伺いなさい。それに対して業者が住民の意見に対して何をするか返事もしなさい,出来るだけ京都のまちづくりの方向に沿ったものにしてくださいというふうにするわけである。しかし,これも強制力がないので,やはりいやだと,当初の計画をするというと,行政が残された唯一の方法は,業者はこのような経過があったが,やらないと言ってますよということを公表する。ここまでである。
○今,地域の思いを通す方法にどのような方法があるか考えた時に,今できるそういう方向までしかできないのかどうかということだ。仮に自主条例で,住民の同意が得られない限り建築確認申請はおろしませんという条例を作ったとしたら,これは,建築基準法違反で無効となり,建築主から損害賠償金を請求される。残念ながらそれが実情である。我々としては,今日の意見も踏まえて,再度自主条例について,どういう工夫が出来るかもっと検討してみるが,今の現状を踏まえて考えて行く必要がある。
○まちづくり条例でやっているくらいの手続きが出来たら,とりあえず我々が今持っている手段としては,最高限度くらいかなと思う。今のところでは,地区計画なり,建築協定が,住民の方々が最も強制力を持てるまちづくりを示す方法だと思う。
○それから,空地の連担の話については,いろいろな先生方からお話をいただいた。正直なところ,20mを超える場合の周辺の環境との調和の一項目として,背割り側に空地を設けられないかということは,一つの方法としてあると思っている。ただ,20m未満については,どのように確保するのかということについては,正直,我々のサイドだけでは持ち合わせていない。ただ,ここで,空地の連担の重要性というのは,非常に真に議論されたので,それについてはまた考えていきたいと思う。
○それから,町家が現実的には京都のアイデンティティーの一つだと思うし,提言にも書いていただいたように既存不適格建築物であるのは事実であり,これについて,難しいが,一歩一歩進んでいく努力をしたい。
(事務局)
○これだけの提言をいただいたということで,非常に行政としては重く受け止めている。条例化等に伴っては,我々行政当局,いろいろな形で裁判をされたり,様々なプレッシャーがかかることがあるが,そういったことも踏まえながら,本当にいいまちができるようにこれから手続き等の内容を詰めさせていただきたい。この審議会が終わってもご支援をいただかないと,我々は前に進めないので,今後ともよろしくお願いいたしたい。
(委員)
○それでは,京都市都心部のまちなみ保全再生に係る審議会を終わらせていただきます。頼りない座長で,最後までもめにもめて,このまますると一年くらいかかる気がしますが,非常に実りある議論が続きまして,私も非常に勉強になりました。ひとえに,京都市都心部のこの地区の重要性,京都市だけではなくて日本にとっても非常に重要な地域をどうするかという重いテーマの1年3ヶ月だったと思います。この提言を元にして,京都市の保全と再生がうまくいきますように祈っております。つたない座長でご迷惑をおかけしましたが,ありがとうございました。
<閉会>
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