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第1回審議会摘録

ページ番号4179

2007年11月8日

京都市都心部のまちなみ保全・再生に係る審議会 第1回審議会摘録

 

○日時:平成13年1月15日(月) 午後2時~4時30分
○場所:本能寺文化会館 5階大ホール
○出席者
 座長 青山 吉隆(京都大学大学院教授)
     淺井 國勝(京都商工会議所議員)
     鵜飼 泉道(市民委員)
     栗山 裕子((社)京都府建築士会常任理事)
     小浦 久子(大阪大学大学院工学研究科助教授)
     櫻田 佳正(市民委員)
     高田 光雄(京都大学大学院工学研究科助教授)
     西嶋 直和(市民委員)
     平田 陽子(光華女子大学短期大学部助教授)
     増井 正哉(奈良女子大学助教授)
     宗田 好史(京都府立大学助教授)
     吉村 彰彦(日本不動産研究所京都支所長)
     リム ボン(立命館大学助教授)
     若林 靖永(京都大学大学院経済学研究科助教授)

 

以上14名(50音順,敬称略)


 

1 開会

2 都市計画局長挨拶

3 委員紹介
(事務局より各委員を紹介)

4 議事
(1) 座長の指名
 (委員からの推薦を受け,一同異議なしで青山委員が引き受けを了解) 

(2)座長代理と作業部会委員の指名
 (座長の指名により,座長代理に高田委員,作業部会委員に宗田委員とリム委員を指名)

(3)審議会摘録の公開についての確認

(4)審議会設置の趣旨説明
(事務局より説明)

(5)『職住共存地区整備ガイドプラン』等の概要説明
 (事務局より説明)

(6)「職住共存地区の都市計画制限の変遷について」の説明
 (事務局より説明)
 
(7)質疑

(委員)
○都市計画の変遷に関する説明をいただいたが,1973年の時点だと思うが,職住共存地区つまり田の字の内側の街区について,全面的に商業地域をかけるのではなく,内側を近隣商業地域のような少し制限の厳しい地域にしようという努力があったように聞いているが,結果的には商業地域をかけざるを得なかったのだと思うが,その当時またはそれ以前の都市計画行政内部での用途地域の策定に係る裏事情をご記憶の方がいれば,教えていただきたい。

(事務局)
○元々1973年以前から田の字の中は商業地域であった。田の字の中の職住共存地区については,近隣の住宅のための施設というよりも,例えば室町の卸売商業など,市全体やもっと広域的なエリアを対象とした都市活動の施設が広く立地しているということで,土地利用の観点から見れば,近隣商業地域ではなく商業地域が妥当であるということで,商業地域とした。

(委員)
○京都市は,美観地区でゾーニングしながら景観条例で誘導することで,景観を都市計画の中で位置づけてきたところに特徴があると理解しているが,その辺の説明がなかったので補足していただきたい。

(事務局)
○景観の部分については,次回に充分説明しようと考えている。

(委員)
○京都市の都市計画や建築規制に対する考え方は多様で,時代と共に変化もしてきた。まちづくりの考え方についてこのような審議会を作ってオープンな議論を行うのは10年ほど前に設置された前回のまちづくり審議会から始まった新しいやり方であるが,その前後の動きを含めて,考え方の多様性や変化は必ずしも市民が系統的に理解しているわけではない。居住機能を都心の中に位置づけるという考え方は,どういう議論経過で生まれたのか。その背景についてもう少し具体的な説明を聞かせて欲しい。
○同様に,都心部の容積率についてもいろいろな議論が行われてきた。容積率を高くしたい,あるいはせざるを得ないという背景と,容積率を下げたいという背景について,これまでの議論の中での主な考え方を説明していただきたい。

(事務局)
○昭和60年の京都市基本計画の中での都心についての記述によると,「人口が大幅に減少してきただけでなく,核家族化に伴う若い世代の転出による人口高齢化をきたし,地域社会における活力の低下や連帯感の希薄化をもたらしている。」という認識を持っていて,それを背景として現に都心に住んでいる所についてはそれを生かして位置づけたということが基本計画から推察される。
○容積率は昭和48年に当初指定したわけであるが,その時の考え方として,容積率と土地利用すなわち用途地域は相関関係があるということから,山麓部周辺の低層の住居専用地域については原則80%,それ以外の一般市街地は200%を原則とした。ただし,一般市街地でも幹線道路沿いは様々な用途での利用があるため300%とした。商業地域については,様々な商業や業務施設の利便を考慮し,なおかつ当時の商業地域ではメニューとして容積率の最小が400%であったため,400%を基本とした。その中で幹線道路沿道については400%ではなくて600%,より土地の高度利用を図るべき所いわゆる田の字地区は700%という考え方で,当時容積率を指定した。

(委員)
○質問の趣旨がわからなかったので繰り返します。職住共存地区の容積率が400%であることについては,これまでさまざまな議論があったと認識しているが,そこで商業活動をしたり,居住している方々の容積率に対する意見にはどういうものがあったのか。また,庁内でどのような議論がなされたのかということについて教えていただきたい。

(事務局)
○昭和48年当時は先ほど説明したような考え方であったわけだが,商業地域というと容積率は最低で400%しかなかったわけであるから,当時,「用途はかなり自由にして欲しい,形態的にはそれほどでなくてもいい」という話もあったように聞いているが,聞いた話ということで,詳しいことは分からない。
○その後,まちづくり審議会答申が平成3年,4年にあって,その中で提案として,一旦高さや容積率を引き下げて,また引き上げるという誘導容積制度のような提案があった。
○その当時,都計法の改正で用途地域の細分化があって,用途地域の全体見直しをするという機会があった。その時のまちづくり審議会答申の課題については,都心部の話だけに限らず,いろいろと景観等も含めて提案されたので,それぞれのセクションで検討されていった。都心部で容積率または高さの引き下げはできないかと調査検討を行ったが,その議論の中で,単に形とか規模とかだけではなくて,産業の問題をどうするのか,職住共存とあるので都心部に住んでいる方がいる,高齢者の方が増えているという居住面での問題,住まい方,都心居住のあり方とかの問題など,多角的な観点からも見なければいけないということで,引き続き別のセクションで職住共存地区のガイドプランの検討に引き継がれている。その中で,地区計画という手法を用いることが適切であるとの考えのもと,地域協働型地区計画の策定に取り組んでいる。

(委員)
○言葉として気になるのが職住共存という考え方である。元になった言葉は職住一致ではないかと思っている。なぜ職という言葉が使われているのか。職とは何を指しているのか。商業地域,工業地域,住宅地域はあるけれども,職業地域というのはない。ここで言う職というのは,使うからにはそれなりの意味があるはずで,全ての商業対象物が職であるのかどうかを考えておかないと議論が混乱する。
○職住の住であるが,元々京都の中では,特に田の字の中では職住一致というのが一つの形だった。一つの職業,一つの住まいを一つの建物の中で行う。ここでは,共存という言葉が使われているが,住は住,職は職として混在させようという考えなのだろうか。その場合の住というのはどんなものなのか。友禅などの職の場があって別の場所に住んでいても一つの地区の中で共存していればよいのか。その辺の概念規定をもう少し明確にする必要があるのではないか。
○京都以外の日本の都市で職住共存という発想があるのかないのか。

(事務局)
○職をどう捉えているのかという話であるが,職住共存地区については,ガイドプランでは,「人々の根強い定住志向に応え,活発な交流と多様な生活文化の展開が豊かな暮らしを支える,人と生活を大切にするまちづくりを目指し,特色ある都心居住政策を推進する。また,多様な能力と高い職業意識を持った技術者・技能者などの人材の存在,産業のインキュベーターの役割が期待される豊富な伝統的ストックの存在などの条件を生かしたまちづくりを進める」という方向性を持っていて,職というのは商業だけを意識したものではなくて,様々な職業を持っている方が住まわれる,あるいは活動されるという地域を考えている。
○居住環境については,このような形態は望ましいとか望ましくないというようなことは考えていない。住み働くことが展開されるまちということしか考えていない。
○全国的にどうかについては,現在,都心居住が見直されていて,東京や大阪などの大都市でも都心居住推進ということが政策の柱になっている。ただし,京都との違いは,中高層の部分にファミリー層を呼び戻すということで,特にビルの中高層部分に住宅を設けて,下層部分に商業施設を持ってくるという利用が多くなっている。
○職住という捉え方は京都市だけではなく,全国的に職住とか住工という形で混合・混同されて使われており,そういう都市がたくさんある。

(委員)
○職住共存と職住一致の違いはどうか。

(事務局)
○一般的な答えになるが,職住一致というのは,一つの建物の中に職場もあり住居もある。職住共存の場合は,住まいだけの方,仕事のみの方もいるということで,地域全体として職と住が共にある状態というように考えている。

(委員)
○商業振興については,今までは大店法があったので,小売商業を地域の中でどう考えるかは直接商業調整をすすめることができた。大店法が廃止され,これからは都市計画,まちづくりの視点が必要ということで,用途地域について勉強する機会もあったが,職住というコンセプトと実態をどう理解するのか。
○実際には商業地域になっていて,職住共存地域という用途地域があるわけではない。職住共存地域と用途地域が合っていないということはどういう議論になっているのか。
○合ってない場合にどうするかの一つは,今日話があった地区計画ということで,マクロとミクロの中間で一定の地域内で一定の合意を得て進めるという笹屋町の紹介があったが,地区計画がどれぐらい現実性があって,どんなプロセスで行い,どれぐらいの意味を持つ可能性があるのかを説明していただきたい。

(事務局)
○用途地域は全国で12種類に決まっているもので,それを補完するものとして特別用途地区というのが地方自治体で地域の特性に応じた形で新しく作ることが可能となった。この審議会においてもそういった点を踏まえていただければと思っている。京都市では,現在,ガイドプランに沿って,地域協働型地区計画策定に向けて取り組んでおり,地域の皆様方のご意見を伺いながら共に作っていくものであるので,住民の皆様のニーズに沿った計画ができると考えている。

(8)休憩

(9)「職住共存地区の現況」の説明
 (事務局より説明)

(10)『市政総合アンケート調査結果(抜粋)』の概要説明
 (事務局より説明)

(11)質疑

(委員)
○アンケート調査結果で,回答者の区別が書いてあるが,マンションに住んでいる方ではなく,外から見ている方がたくさんいる。職住共存地区に住んでいるたくさんの方々のアンケートが欲しいと思う。
○職住共存地区にこれから住まう人にとっては,学校が統廃合して,子供たちを育てていく上で整った環境だと思っている。少しでも多くの方が住んで,安心して子育てができるといった環境が望ましいと思う。それと町家がどう融合していくかということが,大きなまちづくりの課題と思う。この地区に入られた方々のご意見を大切にしたいと思うが,そのような調査をする予定はあるのか。

(事務局)
○このアンケートについては,住民基本台帳及び外国人登録データから無作為に抽出をして市内全域から20歳以上を市民3,000人ということで行っている。職住共存地区だけということではない。職住共存地区だけのアンケートについては,今後事務局の方で検討していきたいと考えている。

(委員)
○このアンケートの答えの中では,マンションに住んでいるのか,京町家のような戸建住宅に住んでいるのかというようなことは分からないのか。

(事務局)
○このアンケートの中では,分からない。

(委員)
○そのような調査を今後行うということはないのか。

(事務局)
○事務局の方で検討していきたいと考えている。

(委員)
○町家の住人についての調査は町家まちづくり調査が先行で行われていて,その中でアンケート調査があるので,その中で関連する項目を拾って,次回資料として提示していただければ有り難い。
○職住共存地区のガイドプランを作る時に明倫学区でかなり高い回収率で協力いただいたアンケートがあって,町家にお住まいの方,マンションにお住まいの方を分類して集計した資料があるので,それも併せて次回資料として提示いただければと思う。
○「市政総合アンケートの結果」で京都市民から無作為抽出の結果,町家,まちなみの保存が80%を超えているというのは,市民の総意に近いものが出ていると捉えて検討する必要がある。

(事務局)
○京町家再生プランを平成12年5月に発表しており,その中で京町家の居住者に対するアンケートを行っており,それも含めて次回資料として,出していきたいと思う。また,平成10年4月の職住共存地区ガイドプランの場合も明倫学区のアンケートが整理されているので,それも併せて次回資料として出していきたいと思う。

(委員)
○田の字地区の中に住んでいる方の1世帯当たりの所有面積,居住人口も併せて調べることが大事だと思う。
○マンションに住んでいる人はどこで働いているのか。また,働いている人はどこに住んでいるのか。職住共存と言っているが,その反面,京都市の経済はどう見ても発展しているという状況ではないのに,マンションがどんどんできている,マンションに住民票を置いて,京都市民となっている方がどれくらいいるのか非常に疑問に思う。京都を別邸・別荘のようにして暮らしている人もかなりいると思う。その辺も調査していただきたい。
○田の字地区の中は,道路が全部一方通行である。これは,町の形としては不完全な形だと思う。道路は車が双方向に走れて,歩道が車道と分離されていて,ちゃんと車が通れて,人も安心して車を避けずに通れる方が良い。先ほどのスライドでも,歩道の白い線が引いてある所に車が停まっている。あれは,行政と住民の生活が噛み合ってないような状態が表れていると思う。
○職・住そして,駐車場もいっぱいになって欲しいと思う。これだけ高齢化が進んでくると街区の中に住んでいる方が御池の地下駐車場まで車に乗りに行くというようなことも大変になってくるので,街区の中に地下を掘って駐車場をつくるとか,地下開発なんかも念頭に入れていただきたいと思う。その辺は市の施策としてはどうか。

(事務局)
○最初に指摘をされた調査の件については,個人情報の関係が少し関わってくる場合があるので,どういう調査がよいかについて事務局内部で検討したいと思う。
○田の字型部分は幹線道路以外は一方通行という状況はよく理解をしているが,今回の審議会は地下のことについては,先生方の議論の中でそういう資料が必要であるということであれば,できる限りのことはしていきたいと考えている。

(委員)
○どういう話をして,何を審議するのだろうという思いがある。年間どの程度のスピードでどのような審議をして欲しいとか,全体の中でこういうことが問題になっているとか,事前の資料や全体の流れをもう少し聞かせておいていただけると有り難い。明確な問題意識を持ってこの場に望みたかったと思う。
○田の字型という街区の想定について,職住一体での都市の中心部の活性化ということで言うと,曖昧になってきているのではないかと思う。町の規模全体がずっと南下しているのと並行して,四条通りより下や四条通りの中にあった商店・会社などが郊外に出て行ったりしており,旧来の都市の中心と言われている田の字型の線引きの境界が曖昧になっていると思う。
○市役所があるから田の字型の上に防火地域が少し広がっていて,商業地域が出っ張っているという形がある。その西側,烏丸通りの西側の龍池の辺りは,商業地ではないかという気がしている。必要であれば,田の字型そしてその周辺について,まず現地を歩いて見るとか,現況を把握するとか,ビデオを見るとか,いろいろな数字的な知識も勿論必要だけれども,現況を知った上で審議に望みたかったと思うので,現状や問題点がもう少し分かるような形を取ってもらえればと思う。

(委員)
○どういう議題について,どのようなスケジュールで,この審議会を進めるのかという,質問だが,この審議会そのものの進め方というのは,審議会の中で決めてもいいと思うが,事務局としての予定案はどうなっているか。

(事務局)
○最後に今後の進め方について説明させてもらうつもりであったが,今,指摘があったので,説明させていただきたい。今回と次回で職住共存地区の現状とこれまでの京都市の施策についてと,景観,文化財,建築という部分の説明をする予定である。まちなみの問題についてはいろいろな分野の方から選んでいるので,現状や課題について統一した認識を持ってもらった上で,議論を進めたいと思う。
○13年度は,4回程度の開催を予定している。その中で,出てきた課題の抽出とどうするのがいいのかということについての十分なご審議をお願いしたい。
○町歩きについては,13年度の当初に実施することも事務局では考えているが,審議会の先生方のご意見とスケジュールをみて,進めていきたいと思う。

(委員)
○前もって資料というのは送ってもらえるのか。できれば,少し勉強してからの方がよいかと思う。

(事務局)
○13年度からは事前に資料を事務局の方で用意し,配付をして十分に見てから審議に望んでもらうということで考えている。

(委員)
○次回はまだ無理ということか。13年度からということか。

(委員)
○今日は都市計画,次回は景観と文化財という風に説明があったが,最初にどういうことが都心のまちなみ保全・再生に関わる事柄なのかを整理して前出しして欲しい。職と住,景観,商業活性化の話があったが,そういうものが複雑に絡み合っているため,例えば,これとこれとがこう関係がある,これとこれとはこうバッティングする,ここにこういう問題がある,ということを整理して欲しい。
○都市計画の制度の流れがあって,それに京都市はどう対応してどうゾーニングしていったかという話があったが,それぞれの区切りで様々な問題点が起きてきて方針がこう変わったとか,問題点があって法制度が変わったけれども問題点がずっと続いたままであるとか,京都に特化した問題点を明らかにする形で説明していただく方が良いと思う。
○次回の景観,文化財など,他の施策でもそういう形で説明できる資料を用意した方が,より問題がクリアになる。

(委員)
○例えば,住民人口を増やすということと,低層の町家を保存するということとは必ずしも両立しない場合もあり,目的の間でトレードオフがある場合も生じるわけなので,個別の問題を個々に取り上げる前に,今回の審議会のテーマに関わる問題の全体像を,一覧できるものを整理して欲しい。
○つまり事実だけではなくて,その背景にある問題も分かるようにして欲しい。

(委員)
○五条の万寿寺を少し上がった所で堀川五条ブロックと烏丸五条ブロックのちょうど中間辺りに住んでいる。マンション問題がクローズアップされてくると思うが,現状を言うと,呉服屋さんがどんどんつぶれている。その跡地にマンションが建っている。私の家の近隣だけでも,11階建てぐらいのマンションが6棟ぐらい建設中である。職住という職と住居が共にあった形態が変わって来た。要するに職が無くなって住宅街に変わって来ている。

(委員)
○市政総合アンケートの冊子で紹介されなかった部分であるが,「マンションは都市居住を促進するものだとは思わない」という否定的な回答が多いが,上京,中京,下京区に限れば,「思う」が多い。回答者の居住年数や住居形態(戸建orマンション)は分からないが。何世代京都に居るかまで見ないと居住年数だけでは京都市民の意識は語れないものがあるのではないか。このマンションのデータをどう見るかということ,調査をする時にそういう項目も考えてもらえばと思う。
○町家は昭和の初期や明治に建てられたものが多く,江戸時代に建てられたものが残っているわけではないと思うが,実際にその場所に住み始めたということでいうと,江戸の終わりから住んでいるという人もめずらしくないのでは。どうなっているのでしょうか。
○高齢化が進んでいるというのが京都市の都心の現状として強調されているが,現実には,マンションが次々と建つことによって小学生の人口が増えていて,若い人達が増えていて,それらをターゲットにしている商業の方がうまくいく。最初に思っていた現実とはかなり違うことが,マンションとの関係で進行しているということを感じている。

(事務局)
○今回のアンケートは無作為でやっているが,一般的に言えることは,都心部の中京や下京については,新しくマンションが建ってきていて,その住民の方がアンケートにお答えできているという部分があるため,都心部の方が少し比率が高くなっていると思う。データ的にどういう判断を下すかについては,まだ分析をしていないため,何とも言えない。

(委員)
○京都市基本計画の審議会で中京区の基本計画の懇談会の関係で各学区の自治会長または関係者と話をする機会があったが,ここ5,6年でマンションに入られた方が一部まちづくりに関わってくるという傾向がある。京都市は自治活動が活発であるが,その自治活動を支える構成員が足りなくなっている中で,一時のようにマンション住人と地域住人が対立するのではなく,一緒に地域活動を行うところが出てきている。
○最近の傾向では,投資目的やセカンドハウスのために京都の都心にマンションを買うのではなくて,大阪や奈良の郊外から,わざわざ中京,下京にマンションを購入して,京都の都心の住民になりに来る人達がいて,そういう人達は地域活動に参加したいと思っているという傾向がある。
○町家の居住者は意外に古くない。町家の建った年代よりも後から町家を買って住んでいる人が無視できないくらい多い。経済活動が活発であると栄枯盛衰が激しいから,店をたたむ者もいれば,大きな町家に入って商売をしたいという予備軍もいる。そのように住民の住み替えが起こってきた。中京,下京では,町家の居住者は比較的新しい。古くても戦後から程度が多い。だから,町家に住んでいる人,マンションに住んでいる人,その間の人,それぞれが,京都の町並みについてある程度対等に議論できる環境はあると思う。
○他の歴史的都市と違って,京都の都心部が比較的最近まで都市的な活動を維持していたということが特色であり,前向きに評価していきたい。

(委員)
○この審議会では,まちなみの保全・再生に係る審議会というテーマが挙げられているけれども,そのまちなみに関する京都における問題意識が,まだもう一つ理解できない。例えば,まちなみと言った時に京都の中ではある一定のイメージが共有されているのかどうか。町家を保全するという意識はアンケートの結果でもかなり総意が得られているようだが,まちなみには,そこでの都市活動に応じて,いろいろな建物が建ち並んだ時,視覚的に確認できる一つのまちの環境である。それについて,建物利用の現状はこうでであるという説明はあったが,それに対して今までどういう評価や検討をしてきたのか,現在の問題点は何なのか,という指摘が欲しい。
○その上で,目指すべき町並みをここで議論するのか,あるいはこういう方向に持って行きたいのだけれどもどうしたらいいかを議論するのか,何を議論するのかを意識した説明が望ましい。次回は美観地区等の話ということなので,資料の説明において,景観条例の効果や現状の町並みの問題など,現在の京都における問題意識がわかるような説明にしていただきたい。
○町並みを構成する建物の「かたち」の問題と,その中での「活動」(使い方)の問題は,切り離すこともできる。大阪都心でマンションの調査をしているが,住居の居住外利用は多く,船場では4割以上が仕事場利用されている。住戸を使って,デザインをしたり,設計をしたり,卸をしたりしている。想定した機能以外の使い方を許容できる空間のかたちがある。
○町家は,併用住宅が基本で,住むだけもできるし,いろいろな商売もできるし,工
房にも使えるし,そういう空間様式だったと思う。それが集合することによって,ま
ちなみをつくってきた。このまちなみのかたちは,人が変わっても,仕事の内容が変
わっても維持されてきた。その意味では,地域の流動性が高ければ,町並みが変わる
ことが,必ずしもそこでの住まいと職の選択が変わるということと直結していると考
えなくてもよくて,むしろ不動産的なこと,資産的なこと,相続のことなどと関係し
ている。
○京都の中で,町並み環境について,どのようなコンセンサスがあるのか,どこから
議論を始めるのか,一度説明いただくと有り難い。

(委員)
○議論をする上で何が問題かということが提示されていると良かったが,まず,現状を知識として認識してからという事務局の思いがあるようだ。今回は仕方がないので,次回からは少し問題点が分かるような資料にしてもらえればと思う。

(委員)
○コンセンサスがどこまで得られているかという問いかけがあったが,アンケートの結果は市民のコンセンサスがここまで達成されているであろうということを婉曲的には示しているように思うが,行政側として市民のコンセンサスがここまでは達成されているとどういう権限で言えるのだろうか。

(委員)
○共有化できるイメージがあって,それ前提に議論するのか,それをつくる議論をす
るのか。まちなみについての評価でも,住んでいる人とそうでない人では評価が違う
わけで,その辺がこれまでどう議論されてきたのかということを教えていただきたい。

(委員)
○10年前のまちづくり審議会では,北部,南部とともに,都心部のまちづくりにつ
いてもいろいろな議論がなされた。北部や南部と比較して,都心部については,より
多様な価値観があって,議論は完全には収束せずに検討課題を残した。とはいえ,議
論の積み重ねは確実に行われ,その到達点として職住共存地区ガイドプランが示され
たということは京都市のまちづくりの歴史の中で非常に大きな意味がある。
○これまでの積み重ねられてきた議論を無視してゼロから議論をするというのでは,同じことの繰り返しで意味がない。これまでの議論経過や指摘されてきた問題点等を踏み台にして,その上に新しい課題を設定して,今後の方向性を議論していくのがこの審議会の役割だと思う。スタートラインを元に戻しすぎるのは好ましくない。しかし,一定の方向が決まっているわけでもない,という状況を正確に把握して議論を進めていくということの合意ができればと思う。

(委員)
○まちなみ・町家は文化財としての価値という意見が主であったが,地区の振興に役立つという経済的な価値を見いだして保存すべきという意見が出てきた。商工会議所でも町家を重視したまちづくりが重要だという意見が増え,歩いて暮らせる町京都をつくって,車を制限して,LRTを通すということを考えていたりする現状がある。そういういろいろな立場からの提言の積層を必ずしも行政を通してではなくて,我々自身が話を聞くなりして,どうコンセンサスが形成されてきているかを検討することが大事である。
○この審議会の目的として,今度はこの審議会を通じて都市計画的な手法まで持ち込みたい,制度的な根幹に係る部分にまで踏み込みたいという考えがあると思う。

(委員)
○審議会として実行可能な計画づくりに取り組む。

(委員)
○この審議会はまちなみ保全・再生に係る審議会というテーマであるが,まちなみ・町家を単に博物館的に残すというのでは意味がない。それがうまく活性化される,市民にとってどうすれば町がより良くなるか,都心再生という視点を忘れてはいけないと思う。人々の生活がうまく成り立っていく,活性化するようなことを念頭に置きながら,計画を考えていくことが大事だと思う。

(委員)
○容積率をどうするかは今後の審議の中でも重要な論点になってくると思う。
○容積率に関する世の中の状況は大きく変わったことを認識すべきである。バブルの時までは,容積率=含み資産であった。容積を下げると資産が減るから,商業地域を近隣商業地域に変更できなかったと思っている。バブル崩壊以降は,特に京都では,過剰な容積は資産にはなり得ない。容積率は資産ではなく,融資の極度額のようなものである。例えば,10億の極度額でも10億借りると大変なことになり,1億程度がその人のビジネスにとってちょうど良いという場合がある。京都の容積率はそういう状況にある。
○そういう環境の中で,容積率を含み資産として有効に使えるのが唯一マンション開発である。このマンション開発によって使われる容積率の意味とそこの住民・地場産業を営む人にとっての容積率はかなり意味が違う。
○それをどう制度的にコントロールまたは誘導していけるのかということが重要なポイントになると思う。

(委員)
○10年前にまちづくり審議会で一応の結論が出たということであるが,その時はバブルの真っ最中というか崩壊しつつあったが,その時に京都のまちなみが大変だということで設けられた審議会だったと記憶している。まさしく地価は容積率に規定されていたと思う。マンションがどんどん立ち上がってきて,室町通り,新町通の業務地区の中にマンションが建って,従来の景観とは異質なものになってきているというのが現実である。まさしく,資産として金融機関は見ているし,当事者の方もそういう形で思っているというのが現状である。
○先ほど容積率の使用状況で,一番高い烏丸四条ブロックで200%程度という状況のデータを示していただいたが,だからと言って,いきなり400%の容積率を半分にするとか,落としていくとか,容積移転をするとかいうことは,足早にやるには問題が大きいと思う。しかし,現状をどうしたらいいかということについて名案を持っているわけではない状況である。
○都心部における住まい方などに関連して今後どういう問題が起こってくるのか私なりに考えて議論に参加していきたいと思う。

(委員)
○まちなみ保全とか,町家の保全とかということで,いくつかの話が出たが,職住一致にこだわるわけではないが,職の話があまり出ていない。建物とかまちの構造というハード的なものは,そこで何が営まれているかという職で決まる。職が建物をつくるという当たり前のことがある。その辺りまで踏み込むのかどうか。そこまで踏み込むとすれば,大変なことになると思う。しかし,それを無視した形で議論はできない。
○お寺や先斗町は典型的な職住一致を続けてきたものである。先斗町のあのまちなみというのは,花街のまちなみである。それがベースにないと考えられない。その建物に何が影響しているのか,それに関わりながらその町に住んでいる方の住み方をトータルに考えることが必要である。
○滋賀県に古い町を再生したという所を見てきたが,どうも太秦映画村のオープンロケのような感じがして,扉を開けて一歩入ると皆同じ事をやっている。こういうのは少し違うなと感じた。

(委員)
○いろいろな意見が出たが,これは京都だけの問題でもないし,また簡単な問題でもない。資料説明の方法についても,できるだけ議論ができるような題材を用意していただくようお願いしたい。

5 次回の日程調整
 (事務局を通じて後日調整させてもらう

 

6 閉会

お問い合わせ先

京都市 都市計画局まち再生・創造推進室

電話:075-222-3503

ファックス:075-222-3478

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