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京都市基本計画/第2章3

ページ番号35911

2001年1月10日

第3節 市民のくらしとまちを支える基盤づくり

1 個性と魅力あるまちづくり

基本的方向
 まちづくりの方向を「保全・再生・創造」の3つの大きな概念で捉え,各種の都市計画制度を活用しながら,市民が快適に安心して生活でき,かつ,多彩で個性的な機能をもつ魅力あるまちをつくる。
 そのため,広く市民と情報を共有し,京都独自のきめ細かなまちづくりのしくみを整えながら,それぞれの地域において,市民との協働により,地域に根ざしたまちづくりを進める。永い歴史のなかで受け継いできた自然・歴史的資源に恵まれた地域においては,その個性を保全・再生し,新たな都市の活力を担う市南部においては,積極的に都市機能を充実し,都市全体の魅力と活力を高める。

 

(1) 保全・再生・創造を基調とするまちづくり

ア 自然・歴史的景観と居住環境の保全

 (ア) 周辺の山々と自然環境の保全 [「4 歩いて楽しいまちをつくる」(1)イ(ア)「1 美しいまちをつくる」(2)ア参照]

 永い歴史に支えられた自然的風土である三方の山々,文化財や史跡の点在する山麓(ろく)部,鴨川など都市における自然環境の骨格となる河川沿い等の地域においては,「歴史的風土特別保存地区」や「風致地区」等の制度を活用し,その豊かな自然や歴史的な景観を保全する。

 (イ) 居住環境の向上

 北部等の山間集落地域においては,地域住民が安心してくらし続けることができるよう,簡易水道施設の整備を進めるとともに,農林業の振興を軸としつつ,市民が自然とふれあうなかで心の豊かさを味わえる場として整備し,都心地域等との交流・連携を強め,地域の活性化を進める。

 また,市街地周囲の山麓(ろく)部から平地部にかけての自然・歴史的環境の豊かな住宅地の一帯においては,居住環境の保全・向上に努めるとともに,そこに点在する緑地,田園,耕作地について,それらが有する多面的機能を生かし,保全・活用を進める。

 なお,野外焼却等の違法行為の誘因ともなった乱雑な土地利用形態が依然存在する大岩街道周辺地域においては,違法行為を許さず,周囲の緑豊かな環境と調和した良好な土地利用へ誘導し,良好な地域環境を育(はぐく)むとともに,深草南部地区においては,健全な市街地の形成を図る土地区画整理事業を進める。

 (ウ) 文化・学術・国際交流機能の集積 [「1 環境への負担の少ない持続可能なまちをつくる」(2)カ「3 大学の集積・交流が新たな活力を生み出す」(4),(5)ア参照]

 豊かな自然環境にある大学をはじめとした文化・学術・国際交流施設は,本市の優れた都市特性を生み出している。市街化調整区域や用途地域等の都市計画の変更,大学等の教室の新増設を制限している「工場・大学等制限法」などの弾力的な運用を行い,文化・学術・国際交流機能の充実に対して支援・誘導し,魅力と活力に満ちたまちづくりを進める。

 そのため,「国立総合地球環境学研究所」や京都大学「桂キャンパス」の整備など,地域と調和した大学施設等の整備を支援する。

イ 調和を基調としたまちの再生

 (ア) 歴史的な市街地空間の継承・再生

 市街地においては,永い歴史のなかで培ってきた職・住・文・遊にかかわる都市機能が織り重なるまちの魅力を新しい時代にあったかたちで継承し,再生する。

 このため,地域と共生したマンションの建設,京町家の保全・再生,袋路における協調建替え,共同建替え等を促進し,受け継いできた地域の個性を生かした土地利用を進めるとともに,住民主体のまちづくり活動を促進し,地域コミュニティの再生を図る。

 また,市西部の周辺市街地などにみられる住宅と工場が混在する地域については,両者が共存する土地利用モデルを確立するなどにより,魅力ある居住環境と特徴ある産業環境が共存する都市空間を形成する。

 (イ) 職住共存地区の整備促進 [「4 歩いて楽しいまちをつくる」(1)オ参照]

 都心再生の先導的な地区として,「職」と「住」が相互にかかわりあいながら,京都の特色ある多様な生活文化を継承してきた職住共存地区においては,地域ごとの豊かな個性に応じた地域協働型地区計画の策定を進めるとともに,文化財の周辺や京都らしい町並みなどの歴史的な景観を可能な限り保全・再生する。また,既存の町並みと新たな建築活動とが共生できる方策についての検討を進め,必要な措置を講じる。

 また,歴史的な町並み,にぎわいのある商店街,碁盤目状の歩きやすい街区形態など,この地域がもっている資源を生かし,歩くことが楽しくなるような回遊都市空間の整備を促進する。

ウ 南部の創造のまちづくり

 (ア) 21世紀の新たな活力を創造する新都市の形成

 21世紀の本市の新たな活力を担う南部地域においては,地域住民の生活の場であることを十分に認識したうえで,地域の自然・歴史・産業環境を生かしつつ,都心部の歴史・文化に裏打ちされた知識・技術・情報と結びついた創造のまちづくりを進めるために,防災や環境などに十分配慮した総合的な政策を展開する。

 このための基盤として,油小路通や京都高速道路油小路線・新十条通等の整備を促進するほか,地下鉄烏丸線の南伸を含む公共交通機関の整備についての検討を進め,南部地域の交通体系を明らかにするとともに,新しい住宅市街地の整備などを進める。また,高度情報通信社会に対応できる情報通信基盤の整備を支援する。

 こうした南部の創造のまちづくりは,市域を越えて乙訓,宇治など京都府南部地域との連携,さらには,整備が進む第二京阪道路等の広域交通網を介した国内外との広範なつながりを視野に入れて進める。

 (イ) 高度集積地区の整備促進

 民間企業の本社機能の進出などにより新しい活力が芽生えている高度集積地区は,21世紀の新しい都市活力を担う中心的な地区として,周辺地域,とくに歴史的な町並みの残る伏見旧市街地との調和を図りつつ,交通・情報分野を含む都市基盤の整備を進め,新しい都市機能の集積を促進する。

 (ウ) 水垂地区における新しいまちづくり

 本市南部地域における大規模な市有地で,南部地域の新しい拠点として期待される水垂地区については,地域の意見を十分に配慮して土地利用の基本計画を定め,新しいまちづくりに取り組む。

 (エ) 良好な市街地の創造

 伏見西部第四地区,伏見西部第五地区,久我・羽束師地区などにおいては,新たな産業立地の受け皿の整備などを目的として,土地区画整理事業による質の高い新市街地の形成を進める。

 

ちょっと注目!

京町家の保全・再生の促進

  • 約600名の市民ボランティアや市民団体の参加を得て取りまとめた調査を基礎に策定した京町家再生プランの実現
  • 京町家街区の形成や規制誘導策の検討などを市民と一体となって推進

高度集積地区における新しい都市機能の集積促進

  • 南部創造の先導的地区として,高度な都市機能が集積されるよう民間活力を誘導
  • 市民,企業との協働によるまちづくりを展開する推進協議会を中心に,良質なプロジェクト等に対する立地支援,都市計画制限の見直し等を推進

 

(2) 多彩で個性的な機能をもつ地域のまちづくり

ア 駅周辺のにぎわいと潤いを創出するまちづくり [「2 多様な都市活動を支える交通基盤づくり」(2)イ参照]

 鉄道駅周辺の交通の利便性が高い地域においては,周辺居住環境との調和に配慮した都市機能の配置と市街地環境の整備を行い,民間活力を活用しながら,にぎわいと潤いのあるまちづくりを進める。

 そのため,京都駅南口駅前広場,三条京阪駅前広場や二条駅周辺の整備を推進するとともに,地下鉄東西線の延伸に伴う天神川駅周辺については,整備計画の策定や事業化を推進する。

 また,住民・企業と一体となって取り組む西大路駅周辺地区のまちづくりを推進し,さらに,阪急西院駅周辺については,整備計画の策定や事業化を検討する。

イ 商業振興と一体となったまちづくり [「1 産業連関都市として独自の産業システムをもつ」(3)イ参照]

 地域に密着している商店街の活性化は,まちににぎわいを与えると同時に,地域コミュニティの発展にもつながるものであり,「中心市街地活性化法」に基づく国の支援制度を活用した伏見桃山・中書島地域におけるまちづくりなど,商業振興と一体となったまちづくりを進める。

 

ちょっと注目!

地下鉄東西線天神川駅周辺のまちづくり

  • 地下鉄東西線の西のターミナルとなる天神川駅周辺について,京福電鉄嵐山線との連携など,住民とともにまちづくりを検討し,本市西部地域の活性化を推進

 

(3) まちづくりを支えるしくみづくり

ア 身近な都市空間を重視した都市計画の推進

 成熟社会に対応し,身近な都市空間を重視した都市計画をめざし,本市における都市計画に関する基本的な方針となる「都市計画マスタープラン」を策定する。

 その方針に基づき,特別用途地区制度や地区計画制度を積極的に活用していくとともに,地域特性に応じた開発許可制度の検討などを進め,地域社会の個性を生かしたきめ細かなまちづくりを進める。

イ 市民のまちづくり活動を支えるしくみづくり

 地域に根ざしたまちづくりを市民と協働して取り組むため,まちづくりに関する情報を共有するとともに,都市計画の立案や決定プロセスにおいて市民が主体的に参加できるしくみづくりを進める。

 また,市民の自主的なまちづくり活動を支えるため,情報提供や専門家の派遣,学習活動に対する支援などを行う。

 さらに,今後のまちづくりを考える際には,行政と民間企業等との役割分担を明確にしたうえで,望ましい都市空間のあり方を共有することが必要であり,民間企業等と幅広い情報や知恵を交換・共有するためのしくみをつくる。

ウ (財)京都市景観・まちづくりセンターと連携したまちづくりの促進

 住民,企業,行政のパートナーシップで取り組むまちづくりの橋渡し役として設立された「(財)京都市景観・まちづくりセンター」と連携し,まちづくりにかかわる人材の育成や情報発信・相談事業,まちづくり活動支援事業等により,地域のまちづくりを促進する。

 

ちょっと注目!

(財)京都市景観・まちづくりセンターと連携したまちづくりの促進

  • まちづくりの具体的な進め方などについて学習する地域まちづくりセミナーの開催
  • 住民主体のまちづくり活動を支援するまちづくり専門家派遣やまちづくり活動助成の実施
  • 土地所有者,専門家,企業,市民活動団体等による幅広いまちづくりに関するネットワークの構築

 

 

2 多様な都市活動を支える交通基盤づくり

基本的方向
 ひとやものの円滑な流れを支える,安全・快適で環境に負担の少ない総合的な交通体系を構築し,市民生活の向上,都市活動の活性化を促す。
 このため,公共交通の優先を基本にした,だれもが歩きたくなる「歩くまち・京都」の考え方を踏まえ,交通需要管理施策(TDM施策)をはじめとして,社会経済動向の変化に応じた新たな交通政策の検討などに取り組みながら,地下鉄や道路等の整備を進める。

 

(1) 都市内の交通網の整備

ア 歩くまちをめざした交通網の整備 [「4 歩いて楽しいまちをつくる」(4)参照]

 公共交通機関や自転車の利用しやすい条件を整備するとともに,安全・快適な歩行空間を確保し,自動車交通に過度に依存しない公共交通優先型の歩くまちをめざした交通網を整備する。

イ 歩行空間の形成と自転車利用の促進 [「4 歩いて楽しいまちをつくる」(2)参照]

 地域ごとの生活・商業・観光などの視点に立って,歩くための空間,自転車の走行空間を拡充する。また,交通結節ターミナルにおいては,自転車等駐車場の整備やバリアフリー化など公共交通が利用しやすい施設整備に努める。

ウ 公共交通輸送サービスの充実 [「4 歩いて楽しいまちをつくる」(3)参照]

 定時性が高く環境への負担が少ない鉄道輸送サービス,身近な市民の足であるバス輸送サービスなど公共交通機関については,常に路線網や乗車券制度,サービス施設等の調査研究や改善に努め,利用しやすい有機的な公共交通輸送サービス網の整備を促進する。

エ 歩くまちにふさわしい道路網の整備 [「4 歩いて楽しいまちをつくる」(4)参照]

 交通安全対策に加え,地球温暖化の防止にもつながる公害対策,円滑な自動車の流れの実現を目的として,生活道路,都市内の幹線道路,都市間の道路といった道路の機能分担を明確にしたうえで,土地利用の適正化や駐車場の適正な配置などを念頭に置きながら,生活道路のほか,幹線道路となる都市計画道路網,都心部への自動車の流入を低減させる環状道路等,安定性があり信頼性が高い道路機能の整備を推進する。

 また,未整備の都市計画道路の見直しなどの検討も行う。

 

(2) 都市圏内の交流を支える交通網の充実

ア 鉄道網の充実 [「4 歩いて楽しいまちをつくる」(3)ウ参照]

 (ア) 地下鉄の整備

 地下鉄は,高速で安全確実に市内を連絡する本市の交通施設の基幹であるが,その整備や維持管理には巨額の経費を要することから,常に市民生活やまちづくりにとって効果的な価値を生み出すよう努める必要がある。

 そのような認識の下,地下鉄が多くの市民にとってより利用しやすく快適・便利なものとなり,まちの活性化や京都都市圏の交通網の充実に資するため,東西線の延伸については,六地蔵~醍醐間の建設や二条~天神川間の事業化,他の鉄道駅との結節を推進する。

 また,東西線のさらなる延伸については,周辺のまちづくりの動向や新しい輸送システムの調査研究を進めながら,天神川~洛西間の事業化を検討するとともに,洛西~長岡京間の計画を検討する。

 さらに,南部地域の鉄道基盤整備は,高度集積地区や水垂地区の整備を視野に入れながら,地下鉄烏丸線南伸を含む公共交通機関の整備について検討する。

 (イ) JR線鉄道網の充実促進

 JR線は,都市間交通網としての役割とともに,市内における移動や駅を中心としたまちの活性化にも重要な役割を担っている。

 そのため,JR奈良線,山陰本線の輸送力を増強する複線化を促進するとともに,まちの分断解消,交通渋滞解消に効果がある高架化については,山陰本線(花園~嵯峨嵐山駅間等)において,地域特性に配慮しながら,市民生活や景観について十分に検討を加えたうえで,計画を促進する。

 また,JR新駅(東海道本線西大路~向日町駅間)については,周辺の土地利用と調整を図りながら計画の策定や整備を促進する。

 (ウ) 民鉄線鉄道網の充実促進

 民鉄線は,近畿圏の交流を支える重要な役割を担う鉄道網である。このため,地下鉄線と共通利用できる「スルッとKANSAI」や企画切符により鉄道網としての利用機能を向上させるなど,輸送サービスの充実を促進する。また,鉄道高架化については,京阪本線淀駅付近の事業促進を図るとともに,阪急京都線桂駅以南において計画を促進する。さらに,阪急新駅(桂~東向日駅間)の設置についても検討する。

イ 交通結節点としての駅や駅周辺施設の機能充実 [「1 個性と魅力あるまちづくり」(2)ア参照]

 ひとや公共交通のみならず,自動車交通との連携にも重要な役割を果たす交通結節点である駅については,施設のバリアフリー化,自動車・自転車等駐車場の整備など,ひとの円滑な移動を支える機能の充実を促すとともに,ひとが集まる拠点として地域の活性化にもつながる駅周辺の整備を推進する。

ウ 道路網の充実

 (ア) 広域国道網の充実

 慢性的な渋滞状況にある国道9号の立体交差や拡幅整備,国道24号八条坊門の立体交差等,国の事業を促進する。

 また,都市間交通の円滑化を図るとともに,地域と市民生活の活性化に資する,国道162号,367号,477号については,拡幅等の整備を推進する。

 (イ) 広域国道網へ通じる主要道路の整備

 広域国道網を補完する道路として,また,緊急時の代替道路として,地域間交流や地域の活性化に資するため,京都広河原美山線,幡枝葵森線,沓掛上羽線等の整備を推進する。

 (ウ) 市街地中心部を迂回する環状道路の整備

 広域幹線道路である第二京阪道路の東西の分散路として,また,外環状線などの混雑緩和,本市南部地域や乙訓・南山城地域の東西交流を促進するため,市街地中心部を迂(う)回する環状道路として六地蔵神足線の計画・整備を推進する。

 (エ) 都市計画道路網等の整備

 市街地の南北主要幹線道路である鴨川東岸線,葛野大路等の整備や地下鉄の西伸計画に整合した御池通西伸事業等,都市内の幹線道路整備を推進する。

 また,久世北茶屋線,西小路通等の立体交差化,桂川橋梁(久世梅津北野線),第二久世橋(向日町上鳥羽線),久我橋(伏見向日線)の整備など,まちづくりや市民の生活にとって適切な道路機能を整備する。

 

ちょっと注目!

地下鉄東西線(六地蔵~醍醐間)の建設

  • 地下鉄東西線とJR奈良線,京阪電鉄宇治線とを結節し,広域的な鉄道ネットワークを形成することにより,鉄道利用の利便性を向上
  • 2004年の開通をめざして整備を推進

地下鉄東西線(二条~天神川間)の事業化推進

  • 本市西部地域の都市基盤整備,また,京福電鉄嵐山線との連携による広域的な鉄道ネットワーク形成を目的として,2007年度開通に向けて事業化を推進

国道162号の整備の推進

  • 国道162号における市域で唯一残された未改良区間について,沿道地域の生活,林業の発展のため,道路改良(川東拡幅)を実施

六地蔵神足線の計画・整備の推進

  • 南北の広域幹線道路である第二京阪道路の分散路,東西の広域幹線道路である京滋バイパスの補助交通路,さらに地域の交通混雑緩和や本市南部地域における東西交流の幹線道路として整備を推進

 

(3) 広域交通網の充実

ア 広域高速道路網,広域高速鉄道網構想への対応

 関西国際空港,大阪国際空港や神戸港,大阪港,舞鶴港などにつながる広域鉄道や高規格幹線道路の結節点と接続する交通基盤については,市域全体のまちづくりのあり方を念頭に置きながら,構想,計画や事業を促進する。

 そのため,本市にとっての主たる国外への玄関口である関西国際空港の整備を支援するとともに,空港,港湾へのアクセスを強化する第二京阪道路の整備を促進する。

 また,市域南部から日本海方面へのアクセスを強化する京都第二外環状道路の整備を促進する。

 なお,さらなる広域交通網への結節機能の強化を図る京阪連絡道路については,整備効果等を研究する。また,「中央新幹線」や「北陸新幹線」の構想については,本市との結節機能の強化をめざし,関係機関との協議を進める。

イ 都市圏内外を結ぶ自動車専用道路網の形成

 本市を取り巻く広域幹線道路と市内各地域を円滑に連絡し,市内中心部への通過交通を減少させ,交通渋滞を緩和するとともに,都市活動の活性化に資する自動車専用道路網の整備を促進する。

 このため,京都高速道路については,新十条通,油小路線の整備を促進するとともに,堀川線,久世橋線,西大路線の計画を促進する。また,京都第二外環状道路についても整備を促進する。

 

ちょっと注目!

京都高速道路の整備・計画の促進

  • 新十条通:京都盆地と山科盆地を結ぶ幹線道路,2003年度完成予定
  • 油小路線:門真市で近畿自動車道に連絡する第二京阪道路と接続する道路,2006年度完成予定
  • 堀 川 線:五条通から久世橋通へトンネル構造で南下する道路
  • 久世橋線:新十条通とともに東西の幹線道路となる道路
  • 西大路線:久世橋通から五条通へトンネル構造で北上する道路

 

(4)新しい交通政策の確立 [「4 歩いて楽しいまちをつくる」(5)参照]

ア 交通需要管理施策(TDM施策)等の推進

 既存の道路空間を有効に活用するため,自動車交通の抑制や平準化などを図る交通需要管理施策(TDM施策)を進め,地域の住民や事業者,警察その他関係機関が一体となって,安全・快適で効率の良い,ひとや環境にやさしい交通体系の実現をめざす。

 また,交通情勢調査の基礎データをはじめとする交通に関するさまざまな情報の一元化を図るとともに,交通状況のきめ細かな分析を行うため,交通情報システムを構築する。

 さらに,情報通信技術(IT)を活用した駐車場案内システムや高度道路交通システム(ITS)の検討を進めるとともに,物流の効率化を促すなど,合理的な交通行動を誘導する。

イ 新しい交通政策のあり方の検討

 必要に応じて実験的な取組を実施しながら,新しい交通政策のあり方について検討する。

 また,利便性の高い,経済性にも優れた公共輸送サービスを提供するため,軽量軌道公共交通機関(LRT)などの新しい公共交通のあり方についても検討を進める。

 さらに,今後の社会経済動向の変化等を勘案し,将来の交通政策のあり方を検討する総合的な体制を構築する。

 

ちょっと注目!

「4 歩いて楽しいまちをつくる」(5)ちょっと注目!参照]

交通需要管理施策(TDM施策)の推進

  • 増え続ける自動車交通に対して,まちのあり方や都市における空間上の制約,自動車公害などを考慮し,特定地域への流入抑制策やピーク需要の低減策,自動車以外の交通手段への誘導策など,さまざまな交通需要管理施策(TDM施策)を,市民や警察等とともに検討のうえ推進

軽量軌道公共交通機関(LRT)等の新しい公共交通のあり方の検討

  • 従来の路面電車を低床型にするなど車両や走行環境等の質を向上させ,ひとや環境にやさしく経済性にも優れた公共交通システムといわれている軽量軌道公共交通機関(LRT)等の新しい公共交通のあり方について検討

 

 

3 高度情報通信社会に対応できる基盤づくり

基本的方向
 世界的規模で急速に進展し続ける情報通信技術(IT)革命は,経済をはじめ社会の構造を根底から変革している。このような背景の下,高度情報通信社会への円滑な移行を促進するとともに,その経済的,社会的,文化的な利益を,市民,団体,企業があまねく享受できるしくみづくりに取り組む。

 

(1) 高度情報通信社会に対応するための基盤整備

ア 京都情報通信ネットワークの構築促進 [「2 災害に強く日々のくらしの場を安全にする」(1)ア「1 産業連関都市として独自の産業システムをもつ」(2)イ(ウ)参照]

 光ファイバー等の収容空間として情報BOXや電線共同溝などの情報通信基盤の整備を進めるとともに,下水管内への光ファイバーの敷設を検討するなど,民間活力による高度な情報通信ネットワークの構築を促進し,市民生活における高度情報化の進展を図る。

イ 都市型CATVの全市域への整備促進

 市内の高度な情報通信基盤のひとつとして,インターネットサービスなどを含む都市型CATVの全市域への整備を促進する。

ウ 情報格差(デジタルデバイド)の解消

 情報通信技術(IT)を使いこなせるかどうかなどの違いにより,生活の質に大きな格差が生まれる問題(デジタルデバイド)を解消するため,市民への情報通信技術に関する講習会の開催,公共情報端末の公共施設への設置など,身近で利便性の高い情報基盤の整備促進などの各種施策を展開する。

 

ちょっと注目!

京都情報通信ネットワークの構築

  • 全国に先駆けた「情報新都」をめざすため,民間活力による高速大容量で低料金の情報通信基盤の構築を促進

情報格差(デジタルデバイド)の解消

  • 高度情報通信社会にすべての市民が対応できるよう,市民対象のインターネット等の情報通信技術(IT)に関する講習会等を実施

 

(2)デジタルアーカイブの推進 [「1 産業連関都市として独自の産業システムをもつ」(1)ア(ウ)参照]

 京都の文化の発展,産業経済の振興をめざし,産学公の緊密な連携の下,「京都デジタルアーカイブ研究センター」において,京都の豊富な資産をデジタル化し,蓄積・発信・活用できるシステムであるデジタルアーカイブの研究開発を行い,その普及に努める。

 

ちょっと注目!

デジタルアーカイブの推進

  • 文化・学術・産業などにおいて「財」としての価値をもつ京都の豊富な資産をデジタル化して蓄積
  • 市民文化の保存・継承や発展,産業経済の振興を図るため,デジタル化した情報を発信・活用

 

(3) 情報基盤を活用した企業活動の支援

ア 情報関連産業の振興 [「1 産業連関都市として独自の産業システムをもつ」(2)イ(ウ)参照]

 既存の情報関連企業育成施設をベンチャー企業育成施設(VIL)等として機能強化するとともに,情報関連企業の入居促進や育成支援を図り,情報通信技術(IT)を通じた産業振興に努める。

イ ベンチャー企業等に対する支援 [「1 産業連関都市として独自の産業システムをもつ」(1)イ(イ)参照]

 情報通信技術(IT)の活用による企業連携の支援や職住一体となった創業支援オフィスの創設を検討するなど,ベンチャー企業等の発掘や育成を推進する。

 

(4) 観光における高度情報化の推進

ア 観光情報の受発信機能の強化 [「2 魅力ある観光を創造する」(2)ア参照]

 情報通信技術(IT)の活用により,「(社)京都市観光協会」をはじめ,運輸機関,旅行業界,報道機関等との連携の下,的確できめ細かい情報の受発信を行い,観光客のニーズの把握と誘致活動を展開する。

イ 次世代型観光案内システムの構築 [「2 魅力ある観光を創造する」(5)ア参照]

 次世代の高速通信ネットワークや携帯情報端末など情報通信技術(IT)を活用した次世代型の観光案内システムの構築を図る。

 

(5) 高齢者や障害のあるひとへの高度情報化による支援

ア 高齢者や障害のあるひとへの新しい社会参加への支援 [「2 すべてのひとがいきいきと活動する」(2)カ参照]

 高齢者や障害のあるひとが,外出しなくても多くのひとと交流でき,情報の受け手であるだけでなく発信者にもなれる,インターネットなどの情報通信技術(IT)を生かした新しい社会参加について,情報機器の基礎技術の習得をはじめとした支援を行う。

イ 高齢者や障害のあるひとへの就労支援 [「2 すべてのひとがいきいきと活動する」(3)ウ参照]

 インターネットなどの情報通信技術(IT)を生かし,高齢者や障害のあるひとが自宅等で仕事に従事できるよう,情報機器の基礎技術の習得や実践的な技能の向上等を支援する事業を実施する。

 

(6)情報教育の充実 [「3 子どもたちが心豊かで社会性を身につけみずからの生き方を学ぶ」(2)ウ(ウ)参照]

 子どもたちが,コンピュータを扱うことができ,ネットワーク上での必要な情報を選択・収集し,さらにはみずからのものとして読み解くことができる情報活用能力を養う教育を進める。

 

(7) 行政の高度情報化の推進

ア 電子自治体の確立

 さまざまな行政活動,行政サービスにおいて高度情報化を推進し,市民が知りたい情報をより早く,より簡単に入手でき,市民の意見・提案等が市政の各部門に確実に伝わるしくみ,各種の申請・届出が窓口に行かなくても行えるしくみを構築するなど,より利便性の高い行政サービスが展開できる「電子自治体」の確立をめざす。その一環として,電子商取引等の経済活動におけるIT化などに対して迅速な対応を図る。

イ 情報セキュリティの確保

 市民が高度情報通信ネットワークを安心して利用することができるよう,個人情報の保護をはじめとした情報セキュリティに関する指針を策定するなど,情報セキュリティの確保を図る。

ウ 3次元の地理情報システム(GIS)の整備促進

 今後のさまざまな活動の基盤となり得る3次元の地理情報システム(GIS)の整備を促進するとともに,効率的な利活用を図るため,データベースの共有化や統合化を推進する。

 

ちょっと注目!

電子自治体の確立

  • 情報通信技術(IT)の活用により,行政業務や行政サービスの高度情報化を推進
  • 市民が必要とするさまざまな行政情報をいつでも・どこでも入手できるしくみを構築

 

 

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京都市 総合企画局都市経営戦略室

電話:075-222-3030

ファックス:075-213-1066

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