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京都市基本計画/第2章2

ページ番号35910

2001年1月10日

第2節 活力あふれるまち

1 産業連関都市として独自の産業システムをもつ

基本的方向
 伝統産業から先端技術産業まで,農林業から観光産業,サービス産業まで,高品質・長寿命で付加価値の高いものづくりのわざや高度な情報技術,さらには洗練されたデザインや斬新な企画力をもつ京都独自の産業システムを構築し,さまざまな産業が互いの技術にも企業文化にも厚い信頼を置き,相互にきめ細かく支え合う「産業連関都市」をめざす。
 また,都市づくりの目標と整合した商業集積の形成を実現し,地域に密着した商業の振興を図るとともに,市民の健康と豊かな食生活を維持するため,流通体制の整備を進める。

 

(1) 京都独自の新たな産業連関都市の構築

ア 観光や文化,環境,福祉など多様な分野に着目した産業の展開

 (ア) 本市の戦略産業としての観光産業の振興

 観光産業を本市の戦略産業として位置付け,経済波及効果が大きい宿泊・滞在型,体験型観光の推進等により,観光産業を振興する。

 (イ) 芸術文化と産業の連携の推進 [「2 成熟した文化が実現する」(7)参照]

 本市がコーディネーターとしての機能を果たし,地元企業と芸術家との交流・連携を促すことにより,新進・若手芸術家のデザインを販売・流通する場を創出するなど,京都の文化を生かした産業振興に努める。

 (ウ) デジタルアーカイブの推進 [「3 高度情報通信社会に対応できる基盤づくり」(2)参照]

 京都の文化の発展,産業経済の振興をめざし,産学公の緊密な連携の下,「京都デジタルアーカイブ研究センター」において,京都の豊富な資産をデジタル化し,蓄積・発信・活用できるシステムであるデジタルアーカイブの研究開発を行い,その普及に努める。

 (エ) 21世紀産業振興ビジョンの策定・推進

 高度情報通信社会,環境調和型社会,長寿社会に対応する「21世紀産業振興ビジョン」を策定し,次世代産業を創造するための施策を推進する。

イ ベンチャー企業等への支援

 (ア) 新事業創出を図るための地域プラットフォーム事業の推進

 新事業の創出を促進するため,「(財)京都高度技術研究所」を中核的支援機関として,産学公の連携により,ベンチャー企業等に対して,技術開発,資金調達への適切な支援を行う地域プラットフォーム事業を推進する。

 (イ) ベンチャー企業等に対する発展段階に応じた支援 [「4 若者が集い能力を発揮する」(1)ア「3 高度情報通信社会に対応できる基盤づくり」(3)イ参照]

 ベンチャー企業の技術,アイデア等を評価する「ベンチャー企業目利き委員会」,低家賃で入居できる「創業支援工場(VIF)」,先端技術の研究スペースである「ベンチャー企業育成施設(VIL)」の運営など,ベンチャー企業への発展段階に応じた支援を行うほか,情報通信技術(IT)の活用による企業連携の支援や職住一体となった創業支援オフィスの創設を検討するなど,ベンチャー企業等の発掘や育成を推進する。

 (ウ) ベンチャー企業等に対する多様な資金調達システムの構築

 ベンチャー企業等の育成を図るため,発展性のあるベンチャービジネスに投資するベンチャーキャピタルとの連携等により,多様な資金調達システムの構築を支援する。

 

ちょっと注目!

ベンチャー企業等に対する発展段階に応じた支援

  • 産学公の連携により,人材育成から研究開発,事業展開に至るまでの発展段階に応じて支援
  • ベンチャー企業の資質や技術,アイデアを評価する「ベンチャー企業目利き委員会」,創業時から経営が安定するまでの一定の期間,低家賃で入居できる賃貸工場である「創業支援工場(VIF)」,創業初期の研究開発型企業が先端技術を研究するスペースである「ベンチャー企業育成施設(VIL)」などの各種の先進的な支援環境を提供し,ベンチャービジネスの誕生・育成を積極的・組織的に推進

 

(2) 活力ある産業活動への支援

ア 企業の経営革新等への支援

 (ア) 中小企業への新たな支援体制の整備

 中小企業が経営資源を確保することを支援する中小企業基本法の改正に合わせ,経営コンサルタント等の民間事業者との連携協力による中小企業への新たな支援のしくみづくりを検討する。

 (イ) 消費者ニーズに対応した新しい商品開発による需要・販路拡大の推進

 情報通信技術(IT)の活用等により,消費者の求める商品情報を迅速・的確に把握し,新たな商品開発等に生かすとともに,京都産品の国内外への積極的なPRを行い,業界と連携して需要や販路の拡大を行う。

イ 「ものづくり都市・京都」の発展に向けた支援と情報受発信機能の強化

 (ア) 企業立地に関する総合相談の実施

 企業立地のための総合相談窓口を開設し,工場等の市域外流出防止や誘致に必要な情報提供と誘致支援制度の検討を行う。

 (イ) 工場・大学等制限法等の京都の都市特性に応じた弾力的な運用 [「3 大学の集積・交流が新たな活力を生み出す」(4)参照]

 著しい人口の減少や産業の空洞化等が生じている都心部をはじめとする既成市街地の活性化や本市産業の高度化,学術研究機能の向上を図るため,「工場・大学等制限法」の抜本的な見直しに向けた働きかけを国に行うとともに,「工場・大学等制限法」に基づく工場等の新増設の許可についての京都独自の弾力的な運用を行う。

 また,地域地区制度や地区計画制度など都市計画上の手法の活用により,土地利用や市街地環境の保全を図りつつ,企業の誘致や流出防止の取組を進める。

 (ウ) 情報通信基盤等の整備 [「2 災害に強く日々のくらしの場を安全にする」(1)ア「3 高度情報通信社会に対応できる基盤づくり」(1)ア,(3)ア参照]

 光ファイバー等の収容空間となる情報BOXや電線共同溝などの情報通信基盤の整備を進めるとともに,下水管内への光ファイバーの敷設を検討するなど,民間活力による高度な情報通信ネットワークの構築を促進する。

 また,既存の情報関連企業育成施設をベンチャー企業育成施設(VIL)等として機能強化するとともに,情報関連企業の入居促進や育成支援を図り,情報通信技術(IT)を通じた産業振興に努める。

 (エ) 京都経済の国際化への支援

 海外での見本市への参加などにより,ものづくりをはじめとする京都の産業を世界に情報発信するとともに,経済のグローバル化に対応するため,海外との交流事業を行うなど,ひと・もの・情報の交流を促進し,京都経済の国際化を支援する。

 (オ) 首都圏の総合的な情報受発信拠点である京都館の充実

 首都圏における産業全般の総合的な情報受発信拠点として開設した「京都館」の機能を充実する。

ウ 伝統産業の再生と新たな展開

 (ア) 伝統工芸技術を生かした新たな京都ブランドの創造・展開

 染織意匠のデジタル・データベース化により新商品の開発等を図る「染織デジタルアーカイブ事業」を進めるなど,これまでの技術・伝統を生かし,業界,経済団体等と一体となった新たな京都ブランドの創造・展開に努める。

 (イ) 職住一体の産地の振興・宣伝と和装文化の継承

 空家となっている京町家の保全・再生により,西陣をはじめとする職住一体となった産地の観光資源としての宣伝活動を推進するなど,伝統産業の産地機能の活性化を図る。さらに,きもの着用の機会を提供する事業を実施するなど,和装文化の継承を図る。

 (ウ) 繊維産業振興センターの整備

 繊維産業の活性化と高度化を促進し,活力ある産業へと再構築を図るため,「染織試験場」を発展的に整備拡充し,繊維に関する総合的な振興拠点施設として整備する。

 (エ) 後継者の育成と伝統技術の継承 [「4 若者が集い能力を発揮する」(1)ア参照]

 空家となっている京町家を借り上げ,店舗・公開工房として改装し,新たな京ものブランド製品の創作活動を行う「京ものブランド町家工房事業」,工業試験場・染織試験場が実施する「みやこ技塾」や顕彰制度の実施などにより,次代を担う優秀な後継者を育成するとともに,技能・技術の継承と向上を図る。

 

ちょっと注目!

伝統工芸技術を生かした新たな京都ブランドの創造

  • 京都の歴史のなかで蓄積されてきた技術,伝統を素地にオリジナルな価値を創造
  • 京都商工会議所の提唱する「京都・ビジネスモデル推進機構(仮称)」等と連携し,京都独特の新たなビジネスを創出

 

(3) 地域に密着した商業の振興

ア 魅力ある商店街づくりに向けた支援

 それぞれの地域に応じた大型店の誘導・規制などにより,地域特性を考慮した望ましい商業集積を図り,地域に密着した商業の振興と魅力あるまちづくりを進める。また,安心して買物ができ,観光客にも魅力のある商店街づくりをめざして,情報通信技術(IT)関連機器の導入やまちのにぎわい創出を図る取組などへの支援を行う。

イ 中心市街地活性化事業の推進 [「4 歩いて楽しいまちをつくる」(1)エ「1 個性と魅力あるまちづくり」(2)イ参照]

 「中心市街地活性化法」に基づく国の支援制度を活用して「まちづくり機関(TMO)」の設立を支援するなど,まちづくりと一体となった商業振興を図る。

ウ 中央卸売市場の活性化

 健康を重視する食生活指向など消費者の多様なニーズに対応して,市民に新鮮で安全な食料品を安定的に提供するため,中央卸売市場において物流の効率化を図るための施設の整備等を行い,その機能を充実する。

エ 新たな商業振興ビジョンの策定・推進

 産業連関都市の実現に向けた21世紀の商業振興のあり方を示す新たな「商業振興ビジョン」を策定し,都市活力を創造する商業振興施策を推進する。

 

ちょっと注目!

中心市街地活性化事業の推進

  • 市街地の整備改善と商業等の活性化を,国,市,民間などが連携して総合的・一体的に進める事業手法
  • 伏見桃山・中書島地域において中心市街地活性化基本計画を策定し,対象エリアの一体的な整備を推進することにより,観光客も含めた集客を強化

中央卸売市場の活性化

  • 市民に新鮮で安全な食料品を提供するとともに,流通構造の変化等に対応できる市場機能を再整備
  • 物流の効率化や小売形態の変化等に対応した施設の整備

 

(4) 市民に身近で環境にやさしい都市農林業の育成

ア 持続的な都市農林業の展開

 (ア) 京の旬野菜推奨事業の推進と京野菜の伝統の継承・発展

 新鮮な地場産野菜を旬の時期に生産・供給できるよう,「京の旬野菜推奨事業」を推進する。また,伝統的な京野菜の保存や新たな京野菜の開発等により,京野菜の伝統を継承し発展させる。

 (イ) 都市農業の推進と農業生産環境の整備

 都市農業の活性化を図るため,良質リサイクル堆肥の生産供給体制の強化により,減農薬・減化学肥料農業や有機農業を推進するなど,安全で環境にやさしい農産物生産体制を確立するとともに,周辺の自然に配慮した農業生産環境の整備に努める。

 (ウ) 林業生産基盤の充実と間伐の推進

 健全な森林を育成し,保水機能など森林のもつ多面的機能の維持・増進を図るため,林道・作業道網の整備・拡充等による森林管理体制を強化するとともに,間伐の促進と間伐材の需要拡大に取り組む。

イ 市民生活に密着した農林産物の流通体制の整備

 (ア) 花き卸売市場の整備

 花き消費の多様化や流通,情報技術の向上に対応する市場機能に地域交流機能を加えた施設として,花き卸売市場を整備する。

 (イ) 生産者の顔が見える農林産物の流通体制づくり

 生産者と消費者の交流,直売システムの整備や生産地・生産者名表示を推進するとともに,市場関係者との連携により,生産者の顔が見え消費者が安心して購入できる農林産物の流通体制づくりを進める。

ウ 農林地のもつ多面的機能の活用

 農林地を緑の空間や防災空間として保全するとともに,地域・学校での自然体験学習や生涯学習の場として,また,医療・保健機関が進める園芸療法の場として,さらには,観光客が自然体験できる新たな観光資源として,農林地を多面的に活用する。

エ 市民の「農・林」活動への参画促進

 (ア) 農林業を通じた市民交流活動の充実

 遊休農林地等を活用した市民農園の設置や市民の手による棚田や森林の整備など,農林業を通じた多様な市民交流活動を展開する。

 (イ) 農林業の新たな担い手の育成

 農業従事者を確保するため,青年層をはじめ定年退職者を含めた多様な新規就農者の受入れが可能な体制を整備する。また,森林管理の担い手を育成するとともに,森林ボランティアとの連携などにより地域の実状に応じた森林整備を推進する。

オ 北部等山間地域の活性化

 北部等山間地域における農林業の振興に取り組むとともに,豊かな自然環境や美しい農山村景観を生かした観光農山村を育成し,都市地域との交流を支援するなど,地域の活性化を推進する。

 また,こうした地域間交流を支えるとともに,災害発生時における交通経路の多重性を確保するため,幹線道路の整備を推進する。

 さらに,市民に親しまれている「山村都市交流の森」を中心に,森林ボランティアとの連携などによる森づくりを推進する。

 

ちょっと注目!

京の旬野菜推奨事業の推進

  • 都市農業の特性を生かした環境への負担が少ない生産体制の整備
  • 安全で栄養価の高い旬の時期に採れる市内産野菜を市民に供給

花き卸売市場の整備

  • 市場流通機能だけでなく,地域交流機能等の公益性をあわせもった花き総合流通拠点
  • 新十条通十条ランプ内敷地に整備

 

 

2 魅力ある観光を創造する

基本的方向
 観光は,経済の活性化はもとより,文化力の向上や国際交流の推進,魅力あるまちづくりなどにも大きく貢献するものである。
 このため,京都ならではの観光資源の発掘や創出,幅広い世代のそれぞれのニーズに応じたきめ細かい情報発信,国内外からの観光客やコンベンションの誘致活動の強化,観光客を温かくもてなすしくみづくりを行う。さらに,市民,事業者,社寺・文化施設・大学等を含めたネットワークづくりなどにより,21世紀の京都を牽引する観光を創造する。

 

(1) 21世紀の京都を牽引する観光の創造

ア 宿泊・滞在型,体験型観光の振興 [「4 生涯にわたってみずからを磨き高める」(3)イ参照]

 じっくりと奥深い京都の魅力を体感してもらえる宿泊・滞在型,体験型観光を振興するため,夜の観光スポットの創出,「宇多野ユースホステル」の改築や京町家の活用支援などを図る。

 また,京都の歴史,文化,宗教など伝統の粋に触れる体験を中心とした滞在型の生涯学習のためのプログラムを作成し,観光振興に活用する。

イ 新しい観光資源の創出 [「4 歩いて楽しいまちをつくる」(1)エ参照]

 京都の歴史を総合的に物語る「歴史博物館」の整備,京都を舞台とする映画・テレビロケの誘致,京の食文化の体験など若者や海外からの観光客を魅了する観光スポットの誘導,歩行者天国の実施など,1200年の歴史都市としての多様な資源を活用し,これまでにない魅力を付加した新しい観光資源となる集客施設やイベント等を創出する。

ウ 地域ごとの界わい観光の創出

 各地域に豊富に存在する魅力ある自然景観や有形無形の文化財,伝統行事,伝統産業などの観光資源を生かしながら,まちづくりとも連動して,四季折々に何回も京都を訪れたくなるような地域ごとの界わい観光を創出する。

エ 歩いて楽しむまちなか観光の振興 [「4 歩いて楽しいまちをつくる」(1)オ参照]

 都心のまちづくりと連動し,京都らしさを演出したにぎわいのある歩行者空間や京町家などの活用による個性あふれる店舗や工房などが集積する観光スポットを創出し,歩いて楽しむ「まちなか観光」を振興する。

オ 環境や自然を大切にするエコツーリズム,グリーンツーリズムの推進 [「1 環境への負担の少ない持続可能なまちをつくる」(1)オ「4 歩いて楽しいまちをつくる」(1)イ(ア),エ参照]

 環境学習の施設や自然とのふれあいを体験できる地域などをつなぐ観光コースの開発,徒歩や自転車による観光,使い捨て用品の削減など宿泊施設における環境への配慮の促進などにより,環境を大切にした旅(エコツーリズム)を推進する。

 また,三方の山々やその山すそ等において,豊かな歴史文化や美しい自然を歩いて楽しむ「京都一周トレイル事業」など,自然を大切にした旅(グリーンツーリズム)を推進する。

カ 文化と観光の連携の推進 [「2 成熟した文化が実現する」(7)参照]

 美術館や二条城,「大学のまち交流センター(キャンパスプラザ京都)」などの文化・学術関連施設の活用や社寺などとの連携により,観光客に魅力ある芸術文化事業やイベントを実施し,国内外に発信することで,観光集客力の向上を図る。

 

ちょっと注目!

宇多野ユースホステルの改築

  • 建築後40年が経過し,施設の老朽化が著しい「宇多野ユースホステル」を改築
  • 外国からの観光客と市民との交流の推進,コンベンションの支援,観光文化情報の提供などの機能を整備

地域ごとの界わい観光の創出

  • 全国的に有名な観光地だけでなく,各地域の埋もれた観光資源を発掘
  • 区ごとに観光資源を観光客や市民に紹介するパンフレットを作成
  • 地域の観光振興のための活動と連携し,地域の魅力を高める観光基盤の整備を行い,何度も訪れたくなるような界わい観光を創出

 

(2) 観光情報の受発信と観光客誘致の強化

ア 観光情報の受発信機能の強化 [「3 高度情報通信社会に対応できる基盤づくり」(4)ア参照]

 情報通信技術(IT)の活用等,多様な手段により,「(社)京都市観光協会」をはじめ,運輸機関,旅行業界,報道機関等との連携の下,的確できめ細かい情報の受発信を行い,観光客のニーズの把握と誘致活動を展開する。

イ 京都観光リピーターの原点となる修学旅行の誘致強化

 修学旅行は,将来何度も京都を訪れたいと思う観光リピーターの原点となることから,総合的な学習の導入など多様化する修学旅行の形態に対応した体験メニューを充実するとともに,学校等に対する積極的な情報提供と各種の宣伝誘致活動を展開する。

ウ 企業が事業活動の一環として行う団体旅行の誘致促進

 経済界等と連携し,従業員の報奨・研修旅行や得意先の招待旅行など,企業が事業活動の一環として行う団体旅行(インセンティブツアー)の誘致を促進する。

エ 他都市等と連携した広域観光の推進

 京阪神三都市,関西広域連携協議会,全国の小京都と呼ばれる都市等の連携を通じて,それぞれの都市がもつ魅力を相互に活用し,相乗的な効果を生み出すため,多様な観光資源のネットワーク化を進める。

 

ちょっと注目!

インセンティブツアーの誘致促進

  • 企業が事業活動の一環として行う従業員の報奨・研修旅行や得意先の招待旅行などの誘致促進
  • 団体観光客の減少傾向に歯止めがかかることを期待

 

(3) 海外からの観光客誘致の強化

ア きめ細かい地域別マーケティングの展開

 世界的な大交流時代を迎えて,国際観光客が大幅に増加するなかで,文化的背景や自然条件の違いなどにより,地域ごとに海外からの観光客のニーズが異なるため,それらに対応したきめ細かい地域別マーケティングを展開するとともに,京都観光を宣伝する観光誘致団を海外に派遣する。

イ 海外の旅行業界等への情報発信

 海外の旅行業界や報道機関等の関係者を京都に招き,新たな観光プランの開発につながる情報提供を行うとともに,英語版ニューズレターやインターネット等の媒体を活用した情報発信を行う。

 

(4) コンベンション誘致の強化

ア コンベンション誘致活動の推進

 コンベンションは,その開催に伴う経済波及効果に加え,都市のイメージアップ効果も大きいため,「京都コンベンションビューロー」と連携し,会議主催団体,関係機関や大学等への誘致活動に努めるとともに,英語版ニューズレター等により,コンベンション都市としての京都の広報宣伝活動を強化する。

イ コンベンション開催に対する支援

 コンベンションの主催者に対し,会議開催準備資金の無利子融資や京都ならではの多彩な企画を提案するなど,京都でのコンベンション開催に向けた支援を充実する。

ウ 国立京都国際会館の施設整備の促進 [「3 国内外との多彩な交流を行う」(1)カ参照]

 国際会議や国内会議の拠点施設として,多様化する利用者のニーズに対応するため,会議場の増設など「国立京都国際会館」の施設整備の促進を図る。

 

(5) 観光客を温かくもてなすしくみづくり

ア 観光案内サービス機能の充実 [「3 高度情報通信社会に対応できる基盤づくり」(4)イ参照]

 観光客が快適に京都のまちを観光できるよう,観光地や都心,主要ターミナルにおける案内サービス機能の強化を図るとともに,海外からの観光客をはじめ来訪者に親切な観光案内図板や案内標識,歴史・由緒などを説明する名所説明立札の計画的な整備に努める。

 また,次世代の高速通信ネットワークや携帯情報端末など情報通信技術(IT)を活用した次世代型の観光案内システムの構築を図る。

イ 安全で快適な観光ができる環境づくり

 安全で快適な観光ができるよう,京都をあげての美化活動や犯罪,事故などを未然に防ぐまちづくりを推進するとともに,市バス・地下鉄を中心とした公共交通ネットワークの充実など,便利で利用しやすく高齢者や障害のあるひとにもやさしい交通機能の充実や公衆便所,歩道の整備に努める。

 

ちょっと注目!

次世代型観光案内システムの構築

  • 情報通信技術(IT)の活用により,携帯情報端末等による観光地情報や観光地までの経路などを案内する次世代型のシステムを構築

 

(6) 京都をあげての観光振興の推進

ア 観光振興ネットワークづくり

 市民参加型の「おこしやす京都委員会」を中心として,市民ひとりひとりがもてなしの心に磨きをかけて来訪者と交流する「おこしやす運動」などを展開するとともに,観光案内等で活躍するボランティアをはじめとする市民,事業者,社寺・文化施設・大学等と連携した観光振興のためのネットワークづくりを進める。

イ 観光振興推進計画の策定・推進

 年間観光客数5000万人をめざして「観光振興推進計画」を策定し,京都をあげて観光振興を推進する。

 

ちょっと注目!

観光振興ネットワークづくり

  • 京都をあげての観光振興を推進するため,「おこしやす京都委員会」をはじめ,市民,事業者,社寺・文化施設・大学等と行政がそれぞれの役割を担う,一体となったネットワークを構築
  • 市民にはボランティア活動や魅力ある地域づくりの担い手を,事業者には新しい京都の魅力の開発と観光客の誘致・宣伝を,社寺・文化施設・大学等には観光資源の提供と観光に関する研究と人材育成を,行政は観光振興の基盤整備の役割等,相互に連携を図りながら京都観光を振興

 

 

 

3 大学の集積・交流が新たな活力を生み出す

基本的方向
 国公私立を合わせて37の大学・短期大学を中核とする高度で豊富な学術研究機能は京都の優れた都市特性であり,人口の約1割に相当する学生や教員,研究者等の多彩な人材,あらゆる分野の「知」の集積は,活力あるまちづくりに欠かせないものである。
 この個性豊かな大学の集積を維持・発展させるとともに,地域社会との交流や産業界との連携を深め,魅力に満ちた「大学のまち・京都」を推進する。

 

(1) 個性豊かな大学の集積を生かした交流の場づくり

ア (財)大学コンソーシアム京都への支援強化

 大学と地域社会との交流や産業界との連携を深めるとともに,大学相互の結びつきを強め,高度な教育研究機能のさらなる向上とその成果の地域社会,産業界への還元をめざし,本市を中心とする地域の49の大学・短期大学の連合体である「(財)大学コンソーシアム京都」への支援を強化する。

イ 大学のまち交流センター(キャンパスプラザ京都)を核とした交流の充実

 (ア) 開かれた大学活動の支援 [「4 生涯にわたってみずからを磨き高める」(1)ア参照]

 京都ならではの歴史や文化,癒(いや)しにかかわる講座等を社会人が学生と一緒に受講することができ,単位の修得も可能な総合的・体系的学習講座である「シティーカレッジ事業」を充実するとともに,大学間の特色や個性の相互補完により市総体としての学ぶ魅力となっている「単位互換事業」を促進するなど,職業や大学の枠を越えた開かれた大学活動を支援する。

 (イ) 内外に向けた魅力の情報発信 [「3 国内外との多彩な交流を行う」(3)ウ参照]

 「大学のまち交流センター(キャンパスプラザ京都)」は,新たな「知」の創出,ユニークな人材の輩出など「大学のまち・京都」の新たな魅力を創造する核となる施設であり,京都の玄関口という立地を生かし,京都の大学はもとより,関西,ひいては日本,世界の「知」が集まる拠点として,その魅力を内外に情報発信する。

 

ちょっと注目!

大学のまち交流センター(キャンパスプラザ京都)の機能強化

  • 「(財)大学コンソーシアム京都」が実施する大学間交流や産学公の連携事業を支援
  • 研究者データ,文献・図書,学会関連等の研究情報の提供
  • 学生生活や進路に関する情報の提供

 

(2) 産学公の連携の推進

ア 産学公の連携による起業・就業支援

 京都の地で活躍する起業家や専門家の生きた助言と大学における知的資源を活用し,21世紀に活躍する起業家を育成する「京都起業家学校」を推進するとともに,学生が在学中にみずからの専攻,将来の進路に関連した就業体験を行う「インターンシップ事業」を支援することにより,京都を基盤として活躍する人材の育成に努める。

イ 大学の枠を越えた共同研究の支援

 教員,研究者の知的資源を活用し,「京都」の学際的研究を産学公共同で進める「地域シンクタンク事業」を充実し,ここでの研究成果を市政や市民のまちづくりなどに生かす。

 また,京都ならではの豊富な研究素材について多角的視点からアプローチする学問,いわゆる「京都学」や,京都の都市特性にふさわしい「観光学」等について,共同研究が行える場を提供する。

 さらに,「(財)大学コンソーシアム京都」のもつ大学研究者のネットワーク機能を活用して,個々の大学の枠を越えた,ほかにはみられないユニークな研究プロジェクトの形成を促進し,国内外のさまざまな研究テーマについて,広く世界にも注目を集める研究成果の創造を促す。

 

ちょっと注目!

ユニークな研究プロジェクトの形成

  • 「京都学」や「都市政策」等の研究を産学公が共同で実施
  • 「(財)大学コンソーシアム京都」のもつ研究者のネットワーク機能を活用し,大学の枠を越えたユニークな研究プロジェクトの形成を促進

 

(3) 地域に開かれた大学づくりの促進

ア 地域への大学の開放促進

 大学と地域との垣根を低くするため,さまざまな大学施設を市民に可能な限り開放するなど,地域に開かれた大学づくりを働きかける。とくに,図書館については,高度な専門書等の大学間の相互有効活用を進めるとともに,市民への開放を促し,高度化・多様化する市民の学習ニーズにこたえることで,地域社会との交流を深める。

 また,市民が気軽に大学の講義が受けられる公開講座を充実するよう働きかける。

イ 地域との人的交流の促進

 大学から地域へ,また地域から大学への情報発信を促す,大学と地域の交流イベントの開催,学生の地域活動や伝統行事への参加,専門的知識を生かしたボランティア活動やまちづくりへの参画など,地域社会との交流を促進し,大学と地域の活性化につなげる。

 

ちょっと注目!

地域への大学の開放促進

  • 公立図書館にない,大学図書館の専門書等を市民が有効に活用できるしくみづくりへの働きかけ
  • 大学のグラウンド等の施設についての地域利用の促進

 

(4)大学施設整備への支援 [「1 産業連関都市として独自の産業システムをもつ」(2)イ(イ)「1 個性と魅力あるまちづくり」(1)ア(ウ)参照]

 市内からの大学の流出等を防ぐため,用途地域や高さ制限など,都市計画法等に基づく各種規制を緩和するなど,大学の施設整備に対する都市計画上の支援を行う。

 また,都心部をはじめとする既成市街地において大学等の教室の新増設を制限している「工場・大学等制限法」の抜本的な見直しに向けた働きかけを国に行うとともに,京都独自の弾力的な運用を行う。

 

ちょっと注目!

大学施設整備への都市計画上の支援

  • 大学の施設整備に当たっての各種規制に対し,「大学施設整備支援・誘導制度」に基づく規制緩和などを実施

 

(5) 大学・学術研究機関の振興

ア 大学・学術研究機関の整備支援 [「1 環境への負担の少ない持続可能なまちをつくる」(2)カ「1 個性と魅力あるまちづくり」(1)ア(ウ)参照]

 地球規模の環境問題の解決に向け,人文・社会科学から自然科学までの幅広い学問分野を総合化し,新しい視点に立って研究を行う「国立総合地球環境学研究所」,京都大学の工学系大学院が移転する「桂キャンパス」の整備に対し,道路整備や都市計画の変更などの支援を行う。

イ 芸術系大学の振興 [「2 成熟した文化が実現する」(4)ウ,エ参照]

 「(財)大学コンソーシアム京都」等を通じて,市内にある芸術系大学の連携を強めるとともに,公共の場所での作品発表機会の確保に努めるなど,将来の芸術文化の担い手となる若手芸術家の育成を支援する。

 また,「日本伝統音楽研究センター」等を生かして,芸術文化の最先端の研究を行うなど,国内だけでなく国際的な芸術文化の発信基地となるよう,「京都市立芸術大学」の振興を図る。

 

 

4 若者が集い能力を発揮する

基本的方向
 京都が培ってきた「たくみ」,「こころみ」,「きわめ」などの奥深い文化の魅力をさらに高めることにより,全国,世界から若者が集い,いきいきと学び,働き,くらすことができるまちづくりを進める。

 

(1) 産業や文化など若者の活躍の場づくり

ア 若者がいきいきと働ける場の創出促進 [「1 産業連関都市として独自の産業システムをもつ」(1)イ(イ)(2)ウ(エ)参照]

 ベンチャー企業等の発掘や育成により,京都で学んだ学生をはじめとする若者が創造性を発揮し,いきいきと働ける場の創出を促す。

 また,「京ものブランド町家工房事業」,工業試験場・染織試験場が実施する「みやこ技塾」や顕彰制度の実施などにより,次代を担う優秀な後継者を育成するとともに,技能・技術の継承と向上を図る。

イ 若手芸術家等の支援 [「2 成熟した文化が実現する」(4)ア,イ参照]

 「京都芸術センター」において,若手芸術家等の活動の場を提供し,制作・発表を支援するとともに,公募した将来有望な若手芸術家等に審査のうえ奨励金を支給する「芸術文化特別奨励制度」により,京都の芸術文化の新たな担い手を育成する。

ウ 新たな若者文化の創造に向けた取組の推進

 21世紀の主役である若者が活躍できる新たな京都の舞台づくりのために,「学生フェスティバル」や「KYOTO 青年元気まつり」など,学生をはじめとする若者がみずから企画・運営できる取組を支援し,新たな若者文化の創造を促進する。

 

(2) 若者の活動拠点の整備と社会参加・自主的活動の支援

ア 若者の意見を市政やまちづくりに生かす場づくり

 京都に学ぶ学生をはじめとする青少年が気軽に意見や提案を言えるしくみ・場づくりを行い,それらを市政やまちづくりに生かすことで,青少年の自覚や意欲を高め,市政やまちづくりへの参加を促進する。

イ 若者の関心の深さに応じた魅力ある多彩な事業の展開

 「遊び」や「発見」の要素を基本として,青少年の関心の深さに応じた魅力ある多彩な事業を展開し,環境や国際交流等のさまざまな分野における,青少年の社会参加・自主的活動を促進する。

ウ 若者の自主的活動を支援する情報の提供

 青少年の自主的な活動を促進するとともに,今まで活動していなかった青少年の活動を促すため,利用できる事業や施設,参加できる団体等に関する情報を積極的に提供する。

エ 青少年施設の再編とネットワーク化の推進

 青少年の自己成長への援助(ユース・サービス)を充実し,新たな若者文化の創造を促進するため,青少年施設の再編を行い活動基盤を整備するとともに,それぞれの施設が独自の個性的な機能を発展させ,相互に連携することによりネットワーク化を図る。

オ 青少年団体等の自主的活動を担うリーダーの養成

 青少年団体やグループ・サークル等における自主的な活動を担い,支えるリーダーの養成を進める。

カ 地域コミュニティにおける青少年の「心の居場所」づくり

 青少年の非行や問題行動が深刻化するなかで,青少年が主体的に地域活動に参加でき,青少年を温かく,また時には厳しく見守り,青少年に安らぎをもたらすような青少年の「心の居場所」となる地域コミュニティづくりを進める。

キ 青少年の活動を支える新たな計画の策定・推進

 青少年問題の社会的な関心の高まりなど,青少年を取り巻く状況が大きく変化するなかで,今後の青少年施策を総合的,計画的に実施していくため,京都の将来を担う貴重な財産ともいえる学生をはじめとする青少年の意見を生かした新たな計画を策定し,青少年の活動を支援する取組を進める。

 

ちょっと注目!

青少年の意見を市政やまちづくりに生かすしくみ・場づくり

  • 青少年の自覚や意欲を高め,市政やまちづくりへの参加を促進するための意見や提案を気軽に言えるしくみ・場づくり

 

お問い合わせ先

京都市 総合企画局都市経営戦略室

電話:075-222-3030

ファックス:075-213-1066

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