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京都市外国籍市民施策懇話会2003(平成15)年度報告

ページ番号213033

2019年4月16日

京都市外国籍市民施策懇話会2003(平成15)年度報告書

目次

1 会議開催状況

2 調査・審議内容・提言

資料

 京都市外国籍市民施策懇話会設置要綱

 京都市外国籍市民施策懇話会委員名簿

 

1 会議開催状況

第1回会議 2003年(平成15年)6月3日(火曜日) 午前10時から正午まで 京都市国際交流会館

第2回会議 2003年(平成15年)9月2日(火曜日) 午後2時から4時半まで 京都市国際交流会館

第3回会議 2003年(平成15年)11月27日(木曜日) 午後4時から6時まで パレスサイドホテル

第4回会議 2004年(平成16年)2月6日(金曜日) 午後2時から5時まで 京都市国際交流会館

 

2 調査・審議内容・提言

(1)第1回会議

議題1 新定住外国籍児童への取組について

議題2 地域での新定住外国籍市民の暮らしについて

   

■ 議題1

 京都市立学校には日本語指導が必要な外国籍児童・生徒や中国帰国児童・生徒などが在籍しています。こうした子どもたちには,言葉の問題で他の子どもたちとコミュニケーションをうまく図ることができないといったケースも生じています。事務局から,次のような報告をいただき,引き続き委員による審議を行いました。

 平成14年9月1日現在,日本語指導が必要な外国籍児童・生徒は小中高校合わせて149人で,その内中国帰国児童・生徒が117人います。中国帰国児童・生徒が多い学校には,日本語教室が開設されています。平成14年度では,9小学校,7中学校で日本語教室が開設され,中国語を話せる講師が派遣されています。また,日本語指導の必要な外国籍児童・生徒が在籍している場合には,京都市国際交流協会等の協力を得て,ボランティアの日本語による日本語指導講師が派遣されています。平成14年度は39の小中学校の児童・生徒58人に対し,46人の講師が派遣されました。

■ 委員の主な意見

○ 児童・生徒の日本語能力のレベルは個々に違うので,それぞれにあった指導が望まれる。

○ 中国語を話せる先生は,中国帰国者の子どもにとって非常に貴重な存在であり,適当な先生を探すのは大変だと思う。先生方の安定した就労条件の実現が大事だと思う。

○ 理科の実験器具のイラストに日本語と中国語を併記したものを教室に掲示するなど,教育の現場で教材開発の工夫がされていることが分かった。日本語のできない子どもたちの教育は非常に大事。これからも充実させてほしい。

○ 外国籍の子どもが編入してくると,最初,他の生徒たちは興味を持ち仲良くしようとするが,数箇月すると,言葉が通じないので面倒くさくなって皆離れていってしまうことがある。

○ 外国人ということでいじめられることがあるが,いじめの問題は,個人的な問題として処理してしまうのではなく,他の人も同じような問題を抱えているかも知れないので,担任の先生だけでなく,校長先生にも話をし,学校全体の問題として職員全体で取り組んでもらいたい。

 

  日本語で自分の意志が伝えられず,情緒が不安定になっている子どもがいる一方で,日本語の日常会話ができるようになると,日本語に対する学習意欲の落ちてしまう子どもがいることも分かりました。

  教育の現場では,こうした子どもたちが学校で他の子どもたちと仲良くできるような雰囲気作りに取り組み,信頼関係,人間関係の構築に努められています。また,進学について不安を抱いている子どもへの対応にも,関係者間の連携を密にしたりするなどの取組がなされています。

  外国籍児童・生徒の国籍や生活状況が,今後,ますます多様化する中で,各学校で子どもの状況に応じた指導を行える体制作りが必要です。京都市はボランティアの派遣などの新たな対策に努めていますが,子どもたちと保護者の不安解消に向けたきめ細かな連携が一層望まれるところです。

  

■ 議題2

 京都市の外国人登録者数を見ますと,中国籍の人口は,平成14年12月31日現在で7,366人ですが,5年前の平成9年12月31日には,4,539人でした。フィリピン国籍の人口は同じく757人ですが,5年前には554人でした。このように新定住外国籍市民は増えており,こうした外国籍市民にとっての大きな問題は言葉の問題であり,地域社会での人との付き合いです。

 各委員から,住宅探しやごみの出し方,地域住民との交流など新定住外国籍市民が直面している問題について体験談を踏まえながら,意見を交換しました。

■ 委員の主な意見

○ 不動産業者から,家主が外国人の入居を嫌がっているので不動産の紹介はできないと断られたことがある。

○ 外国人登録手続の窓口で,外国籍市民がその土地で生活を始めるに当たって必要になる資料や情報を提供してほしい。

○ 地域社会で周りの住民が自分を外国人だということだけで避けているような気がする。

○ その土地には土地のしきたりがあり,できるだけその土地に溶け込めるよう外国人は努力すべきだ。

○ 古新聞のリサイクル資源としての活用方法やごみの出し方についても,外国籍市民には情報がうまく伝わっていない場合がある。

○ 留学生として,子どもや学生あるいは外国文化に興味のある人々との交流を主に行ってきたが,高齢者や障害のある人との文化交流も行っていきたいと思う。留学生には,社会福祉や高齢化社会について研究している学生も多く,新たな文化交流ができると思う。

 

  京都市では,各部局において外国語による広報が進められていますが,外国籍市民から見ると,何がどの言語で広報されているのかわかりにくいのが現状です。また,そうした情報がどこで入手できるのかも分からず,せっかく作られたものが必要とする人の手に渡っていないことがあります。

  外国籍市民が多くの行政情報を得ることは,自らの権利を行使するだけでなく,市政に積極的に参加・協力し,貢献するためにも必要です。

  こうしたことから,次の項目について取り組まれるよう提言します。

■ 提言

(1) 新定住外国籍児童・生徒の日本語能力に応じた生活・学習面のきめ細かな指導や支援に努めること。

(2) 中国語だけでなく他の外国語や外国の文化に精通した人材の活用をさらに進めること。

 

(2)第2回会議

議題1 区役所における窓口サービスについて

議題2 京都市における行政区制度のあり方について

 

■ 議題1

 市内に在住する多くの外国籍市民が区役所を利用します。特に,新たに市内で暮らすこととなった方は,必ず訪れる行政窓口です。ここにも,言葉の問題があります。

 事務局からの報告では,区役所で配布している主な多言語パンフレットとして,「京都市生活ガイド」,「119」,「国民健康保険の手引」(いずれも英語,中国語,韓国・朝鮮語,スペイン語),「国民年金のあらまし」(社会保険庁発行 英語,中国語,韓国・朝鮮語,ポルトガル語,タガログ語),「介護保険のしくみ」(英語,中国語,韓国・朝鮮語)などがあります。行政サービスに関する効果的な情報提供の方法や職員の外国籍市民に対する対応など,生活に密着している区役所をはじめとする行政の窓口が,外国籍市民にとってより利用しやすいものになるよう,各委員が意見を出し合いました。

■ 委員の主な意見

○ 日本で生活する以上,外国人も自ら日本語を勉強すべきだと思う。しかし,来日して間もない人など,日本語の理解が困難な人のために外国語で情報を提供する配慮が必要だと思う。

○ 外国人登録窓口で,外国籍市民が受けることができるサービスとその問い合わせ先が多言語で記載されているような一覧表を提供してはどうか。常に携帯でき緊急時に素早く利用できる。

○ 行政サービスの認知度が低い原因は,情報がそれぞれ別に提供されているからで,外国人登録をするときに市政サービスに関するまとまった資料を渡してもらえれば分かりやすい。

○ 職員は,外国人が何を言おうとしているのか理解しようとする努力と態度がまず必要であり,市民サービスに徹するという意味から,外国人登録窓口の職員は最低限の英語能力の自己啓発が必要である。

○ 窓口の申請用紙には少なくとも英語が併記されていると利用しやすい。

○ 日本語で書かれた様々なパンフレットの中に多言語パンフレットが混じっているので見つけ難い。目立つような配置など工夫してほしい。また,必要に応じて,職員が直接提示してほしい。

○ ニューカマーへの対応について,京都市への転入が多い時期に,区役所の中に外国籍市民の総合相談コーナーを設置し,外国語で対応してほしい。行政サービスの基本的な情報を一括して得ることができ,サービスの提供がつつがなく行える。

■ 議題2

 京都市は,「行政区制度検討調査会」を設置し,広く市民から意見を聴き,行政区の将来像や区役所のあり方について検討,調査を行っています。この機会に区役所の機能や業務について,事務局から説明を受け,外国籍市民の目から見た意見を各委員が述べました。

■ 委員の主な意見

○ 外国籍市民が集住している地区もあり,区によってそれぞれに特色があるので,各区毎に外国籍市民による懇話会ができればよい。

○ 各区で基本計画が策定されているが,その策定委員の中に外国籍市民が加わることが必要だと思う。また,各区で外国人の人権に関する啓発事業が行われているが,事業の企画段階から外国籍市民が参加するとよい。

○ 外国籍市民はそれぞれにアイデンティティが違い,考え方や意見もそれぞれ違う。地域でまちづくりを進めていくうえで,少数であっても外国籍市民の意見も尊重されるようにしてほしい。

○ 外国籍市民にとっては,どの区役所でも同じサービスを受けられるようにすべき。窓口で不便を感じている外国籍市民がいるのだから,少なくとも,まずそれをゼロに近づける努力が必要。その上で地域の独自性の追求を図るべき。

 

 京都市に転入して間もない外国籍市民は,行政機関や病院等公的な施設の場所も分かりません。京都市では,外国籍市民のためのいろいろな情報や資料が多言語で提供されていますが,外国籍市民にとってどこで情報が得られるのか,また,置いてあるパンフレットなどの資料は持ち帰ってよいのかどうかすら分からないことがあります。必要とされる情報は人によって多種多様です。こうしたことから,次の項目について取り組まれるよう提言します。

■ 提言

(1) 市に転入して間もない外国籍市民が公共サービスや必要な手続等の情報を多言語で総合的に得られるような工夫を行うこと。

(2) 転入者の多い時期等には,区役所内に外国籍市民のための総合的な相談窓口を設けること。

 

(3)第3回会議

議題 高齢者・障害者の問題について

 

 外国籍の高齢者や障害のある人には,制度上の問題からサービスを受けられない行政施策があります。

 1961年(昭和36年)に拠出制による国民皆年金制度が発足しましたが,加入条件に国籍要件がありました。その後,数度にわたり制度が改正され,在日外国人も国民年金に加入できるようになり,また,加入できなかった期間を合算対象期間として被保険者期間に算入する措置もとられました。

 しかし,基礎年金が発足した1986年(昭和61年)4月1日時点で60歳を超えていた在日外国人には,老齢基礎年金又は無拠出制の老齢福祉年金が支給されておらず,また,1982年(昭和57年)1月1日時点で20歳を超えていた障害のある在日外国人には,障害基礎年金が支給されていません。

 このような外国籍市民が抱えている年金の問題について意見を交換したほか,留学生と高齢者・障害者との交流活動について審議しました。

■ 委員の主な意見

○ 京都市が,老齢年金を受給できない外国籍市民や障害基礎年金を受けられない重度の障害を有する外国籍市民に対し,独自に給付金を支給していることは大変素晴らしいが,給付金と年金の支給額に大きな差がある。

○ 市は国に対して,制度上の問題から障害基礎年金を受給できない外国人障害者及び老齢年金を受給できない外国人に対して救済措置を講じるよう引き続き要請を続けてほしい。

○ 中国系帰国者は,50~60代の中高年者が多い。国民年金に加入しても期間が短いために支給金額が少なくなるので,将来に不安を持っている者が多い。

○ 市の給付金事業について,受給できることを知らない人が多くいる。制度の周知徹底に努めるべきである。

○ 外国籍市民重度障害者特別給付金の支給対象者は,障害基礎年金の支給対象者より範囲が狭いので広げてほしい。また,無年金者の介護保険料が,最低額になっていないので,改善策を検討してほしい。

○ 外国籍市民が,老人ホームや障害者の施設で民族文化を披露したり,英語を教えたりするなど,高齢者や障害者との国際交流が行われている。高齢者や障害者にとっては外国の文化に触れることができ,精神面でよい刺激になっている。

 こういった交流活動に関心をもつ留学生や外国籍市民が,積極的に活動できるような支援が必要。

 

 京都市では,国籍要件があったこと等により,現在,年金を受給できない外国籍市民の福祉の向上を図るため,高齢外国籍市民福祉給付金や外国籍市民重度障害者特別給付金制度を設けていますが,年金額との格差があるのが現状です。また,在日期間が少ない外国籍市民は,将来の年金受給額に大きな不安をもっています。このように,様々な生活状況にある外国籍市民が,十分な社会保障を受けることができるよう,京都市は柔軟に対応していくことが望まれます。

 こうしたことから,次の項目について取り組まれるように提言します。

■ 提言

(1) 制度上無年金状態におかれている外国籍市民に対する救済措置を講じるよう引き続き国に要望するとともに,給付金の充実に努めること。

(2) 外国籍市民重度障害者給付金の支給対象者の範囲を障害基礎年金の給付対象範囲に拡大するなど,制度の充実に努めること。

 

(4)第4回会議

議題 共存・共生へ向けての展望と課題

   

 京都市では,外国籍市民を含む全ての住民がお互いを認め合い,共に生きる社会の実現を目指した取組を進められていますが,そのためには,日本国籍市民も外国籍市民も共に同じ市民としての権利を持ち,社会に参画していくことが求められます。しかし,現在,外国籍市民には地方参政権は認められておらず,民生・児童委員等,国籍要件がある委員には外国籍市民は就任することができません。

 地方参政権問題を中心に,共存・共生社会を実現するために京都市が取り組んでいくべきことを,様々な角度から審議しました。

 

■ 委員の主な意見

○ 外国籍市民の当然の権利として地方参政権を与えてほしい。参政権がないことにより,外国籍市民は社会に対して疎外感を感じ,無関心,無気力になるなど,マイナス効果を生んでいる。

○ 帰化条件緩和により,日本国籍を得て参政権を獲得できるようになるが,帰化条件の緩和と外国人への参政権付与とは別の問題として考えていくべきである。

○ 在留資格のあるなしに関わらず,外国人を共生のパートナーとして考えていかなければならない。不法滞在者イコール犯罪者とイメージされることが最近強まっているが,不法滞在者は,むしろ被害者であることが多いことを知ってほしい。

○ 最近,外国人が参加できる住民投票が増えているが,非常に画期的なことである。今後は,常設型の住民投票制度が大規模な都市にも増加することが望まれる。

○ 地域社会で外国籍市民が様々な役割を担うことが増えているが,民生・児童委員等,国籍要件があることで外国人が就任できない役職がある。外国籍市民をその補助委員として配置するなど,自治体が独自にできることがあるのではないか。

○ 共生社会の実現のためには,次世代を担う子どもたちに日本の中にある外国について教育する機会を増やし,正しい知識を与えていく必要がある。

○ 外国人による犯罪の報道が増えている。一部の外国人によるものであっても,外国人すべてが犯罪者として見られがちである。

○ 外国人の権利保障を条例化する都市があるが,自治体として,地域社会に向けた,外国人に関する基本的な考え方が示された条例が必要。

○ これまでの懇話会の歴代の委員を市政の推進や地域での活動などに活用できるようにすべき。

 

 同じ市民として暮らす外国籍市民の当然の権利と義務として,地方参政権を持つべきだという意見が多くの委員から出ました。地域社会において共生を考えるうえで,地方参政権問題は重要な意味を持っていると言えます。

 また,外国人に関する犯罪が大きく報道されることにより,外国籍市民全体に対する不信や不安が社会に生じていますが,共に生きる市民としての外国籍市民のおかれている様々な状況を理解し,互いに認め合おうとする姿勢が必要です。

 こうしたことから,次の項目について取り組まれるように提言します。

■ 提言

(1) 外国籍市民が市政や地域社会の活動に参加し,市民としての責任と義務を果たすことができるよう独自の工夫を凝らすこと。

(2) 歴代の懇話会委員を積極的に活用できる体制を整えること。

(3) 共生社会の実現を目指す条例の策定に向けた取組に務めること。

 

京都市外国籍市民施策懇話会委員名簿

京都市外国籍市民施策懇話会委員名簿

氏名

職名又は国籍(出身地)

日本人委員

田村太郎(タムラ・タロウ)

多文化共生センター代表

仲尾宏(ナカオ・ヒロシ)    ◎

京都造形芸術大学客員教授

林透(ハヤシ・トオル)  ※1

国際学友会京都留学生寮館長

三好克之(ミヨシ・カツユキ)

京都新聞社論説委員

余昌英(ヨ・ショウエイ)

医師

外国籍市民委員

呉沂煥(オ・キハン)   ※2

[韓国・朝鮮]

呉鳴夢 (オ・ミョンモン)

河崎美姫(カワサキ・ミキ)※3 *

康玲子(カン・ヨンジャ)     *

裵梨花(ペ・イファ)        *

劉建中(リュウ・ケンチュウ)

[中国]

エルノフィアンティ・ニネ      *

[インドネシア]

ペーター・カシヤン

[ドイツ]

◎は座長,*は女性委員

○任期は平成14年4月1日から平成16年3月31日までの2年間

※1 平成15年4月4日退任

※2 平成15年8月7日就任

※3 平成15年8月7日退任

お問い合わせ先

京都市 総合企画局国際交流・共生推進室

電話:075-222-3072

ファックス:075-222-3055

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