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京都市外国籍市民施策懇話会2001(平成13)年度報告

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2019年4月16日

京都市外国籍市民施策懇話会2001年度(平成13年度)報告

目次

第1 会議概要

 1 開催状況

 2 調査・審議内容

第2 提言

 1 留学生の問題について

 2 外国籍市民の高齢化に伴う問題について

 3 教育問題について

 4 就職問題について

資料

 1 外国人登録原票の開示請求に係る申入書

 2 京都市外国籍市民施策懇話会設置要綱

 3 京都市外国籍市民施策懇話会委員名簿

 

第1 会議概要

1 開催状況

第1回会議 2001年(平成13年)6月7日(木曜日) 午後2時30分から4時30分まで 京都市国際交流会館

第2回会議 2001年(平成13年)9月21日(金曜日) 午後2時から5時まで 京都コリアン生活センター「エルファ」

第3回会議 2001年(平成13年)12月20日(木曜日) 午後3時から5時まで 京都市国際交流会館

第4回会議 2002年(平成14年)2月28日(木曜日) 午後2時から4時50分まで 京都市国際交流会館

2  調査・審議内容

(1) 第1回会議:留学生の問題について

ア 問題提起

 担当委員から問題提起があった。

イ 概要説明

 事務局から説明を受けた。

ウ 委員からの主な意見

○ 日本の教育制度が母国の制度と異なるため,制度に不慣れな学生が多く,これらの悩みに対応する相談制度がない。言葉,生活,学習,金銭,恋愛等によりストレスがたまり,留学生の中には精神的な病気になった人もいる。しかし,今までこれらへの対策がない。また,留学生である旨を告げると,部屋を借りることを断られる。最近のマスコミ報道により,市民の外国人に対する見方が悪くなる傾向がある。

○ 私費留学生は,国費留学生と違って日本政府当局に面倒をみてもらえない。そこで,来日から1週間程度,食事付きで市民の家にホームステイさせることができればと思う。また,緊急時に高額な金額が必要なときなど,経済的不安があるときのためのローン制度を作ることができないものか。

○ 建物の建設など,ハードの面は手厚い支援があるが,留学生のカウンセリングを誰が行うかなどのソフトの面が不十分である。カウンセリング,卒業後のキャリアデザイン,留学前後のレクチャーなど,運用面でフォローアップする必要がある。

○ 在日韓国・朝鮮人2 ,3 世の子弟は,アメリカやヨーロッパに出ることがあるが,日本を出た場合,ほとんどが帰ってこない。これからは,日本が海外から人を受け入れることがもっと大切になってくるのではないか。

○ 留学生にもアルバイトや部屋探しにおいてまだまだ差別があることが気になる。川崎市では,入居差別をした業者に罰則を与えている。京都市でもこのようなことで訴えがあったときのため,罰則規定を設けるなど,行政として防止するための施策や条例の整備を考える必要がある。

○ 国費留学生と私費留学生とでは差がある。本当に困っているところに施策のターゲットをしぼるべきである。行政が全ての施策を実施するのではなく,基本的に留学生の問題は,大学そのものが責任を持つべきである。相談制度は,大学が率先して創設し,行政や商工会議所などの経済団体が奨学金や就職といった支援を行う。また,行政は,今後,留学生を支援しているボランティアやNGO・NPOに対する間接的な支援を行った方がよい。

 

(2) 第2回会議

□ 外国籍市民の高齢化に伴う問題について

ア 現状報告

 京都コリアン生活センター「エルファ」から報告を受けた。

○ 在日の高齢者と話すと,介護という言葉自体を知らない,意味が分からないというような言葉の壁がある。ここは,日本のデイサービス施設と比べたら場所は狭いが,韓国・朝鮮の友達がいて,若い頃の話が理解できる。朝鮮の歌を歌うことができる。だからここではみんな姉妹のように過ごしている。一人ひとりの状況などを理解することで本当の共生ができるのではないか。

イ 問題提起

 担当委員から問題提起があった。

ウ 委員からの主な意見

○ 介護保険制度について,外国人への情報提供はまだまだ不十分である。外国人の中には,介護保険について聞いたことがあっても,日本人や在日韓国・朝鮮人,中国人だけが該当すると考えている。

○ 地域に日本名で生活している韓国・朝鮮人がいること,国際結婚の夫婦間でも高齢に伴い言葉を忘れてコミュニケーションが成り立たなくなっていることなどの事例を民生児童委員や老人福祉員に周知することは大事である。

○ 地域で生活ガイドブックのような情報がもっと活用されないと,民生児童委員等が外国籍市民が急病のときなどに手伝いができない。だから窓口に置くというのではなくて,こういうものを含めて地域の働きかけが必要ではないか。

○ ヘルパーやケアマネージャーに,高齢外国籍市民の存在というのは今の日本社会の当たり前の存在であるという認識を持ってほしい。

○ 散在地区の問題や病院での問診の対応といった問題があるので,要介護認定時の通訳派遣はどこかで必須にしなければいけないのではないか。

○ 病院にどういう言葉が対応できるかを知らせるポスターを貼ってはどうか。病院に行っている人が目につき,知り合いの外国籍市民にも周知できる。また,ポスターを貼っておくことで,日本の患者もこういうことが必要と分かる。

○ ホームページに介護保険の簡単な説明や利用方法等を載せてはどうか。言語は,外国人登録の人口で言うと,英語,韓国・朝鮮語,中国語,それに加えてポルトガル語とスペイン語がいる。

○ 情報や状況はどんどん変わるので,印刷して終わりではなく,それをどう後からフォローしていくか。つまり,人(通訳)が動くというところでカバーしていくのが,コストもあまりかからなくてニーズに合ったものになるのではないか。

○ 基本的には福祉分野等の運動は,財政的又は人的な面でも,もう行政がすべてかぶることは難しいと思う。これからボランティア等いろんな協力者を増やしていくようなシステムを作っていくといったことをむしろ行政が積極的に行うことが必要になってくるのではないか。

□ 外国人登録原票の開示請求に係る問題について

ア 経過等説明

 文化市民局から説明を受けた。

イ 委員からの主な意見

○ 一言で言えば怒りである。外国人登録は,日本人の住民票とは違って多くの個人情報が書かれている。私たち全員に謝罪してほしい。もちろん窓口の人が事務的な処理をしているということは分かるが,人権的にどうなのかということを職員一人ひとりが反省して,今後,徹底して行ってもらわないと,私たちも信じることができない。

○ 厚生労働省は,生活保護と国民健康保険以外の社会福祉のサービスについて在留資格にかかわらず適用できると言っている。しかし,在留資格がない場合,入管に通報されるかもしれないので,外国人登録をしたくないと考える外国人がいる。

○ 外国籍市民施策の宣伝に自分は利用されるために懇話会委員を引き受けてしまったのかと思ったときに,悲しい思いがした。各区役所の対応が微妙に違っていたと聞いているが,基本的な報告がまだ不十分ではないか。今後,こういうことが二度とないように安心させてほしい。

○ 外国人登録の切替えに行くときなど,昔は本当に罪人扱いだったが,最近は変わってきたと感じている。

○ アメリカ同時多発テロ事件後,アメリカでは,外国人にIDの提示を求める時代になってきている。日本も,東京でこういう事件が起こると,安全のために外国人へのIDの提示を求められてもおかしくない。

○ 行政が信用できないという意見があるので,この問題について市民的に考える場を持った方がよいのではないか。

○ 国の委任事務であり,今後の対策の中で,国に対して要望していくということは,そのとおりだと思う。本来,国会で論議されるべきであるが現実にはできていないので,ういった地方自治体の中での対応が非常に大事になる。

* 外国人登録原票の開示請求に係る問題については,2001(平成13)年10月12日に緊急申入れを京都市長に行った。申入れを踏まえ,京都市は,10月及び11月の市民しんぶん(区版)に遺憾の意の記事を掲載し,個人情報の行政目的使用等に関する検討プロジェクト会議を設置した。

 

(3)第3回会議:教育問題について

ア 概要説明

 教育委員会事務局から説明を受けた。

イ 問題提起

 担当委員から問題提起があった。

ウ 委員からの主な意見

○ 子どもたちは言葉を通じ自分自身を見つけるので,民族語を学ぶことは大切である。自分自身に自尊心を持ち目標を持てる人間育成を推進していくためにも民族学校の重要性を痛感している。財政が苦しい中,京都市はよくやっているが,民族学校は各種学校と位置付けられるため,学校教育法の1条校である私立学校と比べて教育助成に差がある。

○ 民族学校と市立小学校との交流も広がりを見せてきており,子どもレベルでは良い交流になってきた。このような取組を通して,心から理解し合える子どもたちの育成のためにも広く市民に民族学校を理解してほしい。

○ 日本の公立学校では,管理職等教職員が外国人教育の認識を深めるための研修を強化する必要があるのではないか。

○ 在日の児童・生徒の民族的自覚の基礎を培うためには,仲間の存在が必要である。多くの学校では少数の在日の児童・生徒が存在している。こうした子どもたちにも,在日同士が出会うことができる機会を作ることができないものか。

○ 中国帰国者等新定住者の親は,子どもの日本語の上達についていくことができず,日本語によるコミュニケーションが難しくなる傾向がある。

○ 日本語指導のボランティア制度については,制度化されてよいが,通訳派遣が制度としてないのは,少し具合いが悪いのではないかと思う。

* 十分なディスカッションを行う時間がとれなかったため,次回会議でも継続することになった。

 

(4) 第4回会議

□ 教育問題について

ア 質問等に対する説明

 委員からの質問等について教育委員会事務局から説明を受けた。

イ 委員からの主な意見

○ 親が触れてほしくないプライバシーに関わることなので,外国籍,ダブル,帰化のことを触れてはならないように思っている先生方がいるのではないか。帰化をしても,自分がコリアンのルーツを持っていると分かった段階で,子ども自身が何らかの形で悩みを持つ部分もあると思う。全ての背景を知って,取り組むというようなことが必要と思う。

○ 帰化の仕方の中で,自分のルーツを明らかにする場合とそうでない場合がある。そうしたときに子どもが他の人からあなたはコリアンにルーツがあると言われたときどうなのか。家庭の願いが先にあるはず。ダブルでも本来の国籍のままの人や,日本籍をとってから外国籍を明らかにしている人は問題ないが,通名を使っている人について把握するのは難しい。先生方にそのことを申し送りをしていないと教育委員会に言うのは厳しすぎるのでは。  

○ 帰化の人,ダブルの人について,本人のプライバシー事項は先生にマル秘事項としては知っていただく必要はあると思う。本人に無断で大っぴらにするということは許されないことであるが,帰化又はダブルの子どもの中には,そのことで大きな悩みを抱えている子もいるし,もちろん親が隠したいと思われる場合が多いのは現実にあるが,先生の方で,そういう差別を容認した捉え方は間違っているんだということを教えてあげてほしい。親の意向が優先されて,子の意志や権利を見落とさないようにしてほしい。

○ それを学校の中で取り扱うことは難しい問題である。家庭の中ですら難しい。在日の子どもたちはそういう問題と常に関わって毎日生きなければならない。これは,帰化していようが,していまいが同じことである。どういう暮らし方をしていくのかは,きわめて当事者が考えるべき問題である。

○ 例えば,「通名(=日本名)で一生いく。」と思っていても,中学校,高校,大学と年が上になるにつれて,その都度考え直して,「やはり本名にする。」と変わっていく人もいる。それを学校現場で先生や保護者,教育委員会がどのように助けることができるか,そういう子どもの成長に即した指導の大切さもあるなという気がする。

○ 外国人教育の研修内容の評価あるいは手法の再検討等を行った方がよいのではないでしょうか。一方的に話を聞くだけの研修では,子どもたちや先生に伝わらないと思う。

 

□就職問題について

ア 概要説明

産業観光局及び事務局から説明を受けた。

イ 問題提起

 担当委員から問題提起があった。

ウ 委員からの主な意見

○ 人口に占める医師数がどのようなものかを探ってみたところ,全国では0.186%,京都府では0.249%であった。一方,京都府の在住外国人に占める外国人医師数は,0.263%であった。条件が悪ければ悪いなりに,その中で生活する者は努力して対応していると改めて思った。

○ 中国系住民は,来日後,4カ月間日本語,生活習慣の研修を受け,その後,就職する。研修直後,生活が不安のため生活保護のサポートを受ける人が多い。40~60代男性に閉じこもりの傾向が見られるのは,仕事がない,日本語が分からないといったことが要因と考えられる。

○ 人権問題情報誌「ベーシック」は,本当に良い取組をしていただいていると思う。企業の方は,新しく日本に来た外国人と日本生まれの外国人の区別がついていないので,企業の人権担当者に対して私たちのことを知ってもらえる取組をしていただけたらと感じた。

○ 正式な採用手続のときに,「住民票を提出してください」と書くのと,「住民票又は外国人登録証を提出してください」と並立して書くのと全然違う。通名で公募されていて,採用が内定し,住民票を出さなければならないとき,外国籍の方だとショックを感じる。

○ 中国帰国者は日本語を勉強させてもらっているが,彼らは,日常生活で使う日本語しか話せないので,仕事が単純労働等に限定される。だから,彼らが中国で持っていた技術・知識を生かせるような仕事を探してあげてほしい。

○ 小規模の店の開業等,自分の能力があれば,日本で仕事をしていくことは十分できる。外国籍住民の起業を促していくことが必要ではないか。

○ 一番弱い立場の外国人労働者にある程度重点を置いたような啓発の取組が必要ではないか。

○ IT講習会,緊急雇用対策と,景気対策の予算があると思うが,その予算が外国籍住民の雇用機会に使われていないのではないか。

○ 在日学生の就職問題で,本名と通名の問題がある。つまり採用するが,本名はだめという雰囲気が強い。大学生になって初めて本名に変えたのに,就職してまた通名に戻ったという例は私の周りにある。そういうことを含めていろんな課題をベーシックに取り上げてほしい。

 

第2 提言

1 留学生の問題について

 国(文部科学省)の留学生10万人受入計画により,日本に来る留学生が増加の一途をたどる一方で,日本側の対応,措置等が十分に整備されているとは言えないため,学習上,生活上の問題及びこれに関連した心理的な問題が生じていることが報告されました。

 情報不足による誤解から留学生に生じた悩みに関する相談制度が不十分なため,あるいは,言葉の問題から日本人学生との交流がうまくいかないため,学業,生活,恋愛等で心理的な挫折感を持つ者があること,中には精神的な病気に至る者まであるとの報告がありました。京都市は,国民健康保険料の一部補助によって留学生の健康に有効・有益な支援をしており,相談制度は一義的には大学の責任という意見もありますが,こうした心のケアについてNPO,NGO,ボランティア等と連携した対策が必要です。

 また,留学生であることを告げると部屋の賃貸を断られるという実態や,アルバイト先での差別があることも報告されました。京都市は,2001(平成13)年から,京都府等関係機関とともに,留学生が民間住宅に入居する際に必要な連帯保証を機関保証する京都地域留学生住宅保証制度を創設するなど様々な取組を進めていますが,人権尊重の観点からも入居差別等を解消する啓発の一層の充実,入居に伴う不安を解消するための情報提供の充実が必要です。

 

 以上を踏まえ,次の項目について取り組まれるよう提言します。

(1) 留学生を受け入れる大学,NPO,NGO,ボランティア等と連携した心のケア対策

(2) 大学,宅地建物取引業者等と連携し,家主に対する的確な情報提供と啓発の強化

(3) 留学生と市民との交流の機会の充実

 

2 外国籍市民の高齢化に伴う問題について

 本年度第2回会議に先立ち,京都で唯一の在日コリアン向けデイサービス施設「エルファ」を実地視察・ヒアリングを行い,高齢化と共に日本語を忘れ,日本のデイサービス施設では言葉が大きな壁となって生じる問題などについて報告されました。歴史的な経緯から京都市にも3万人を超える在日韓国・朝鮮人が居住しており,更に中国帰国者も含め,外国籍市民の高齢化問題にはこうした言葉の壁が加わることを踏まえた対策をとる必要があります。

 京都市では,1,100人の老人福祉員を設置して地域で高齢者を支える仕組を作り,また,介護保険のしくみに関する4箇国語(日・英・中・ハングル)のパンフレットを用意するなど高齢者福祉の取組を進めています。しかし,介護保険制度の仕組自体が難しいため,外国籍市民に対する情報提供がなお不十分である等の問題が報告されました。デイサービスその他介護保険制度の簡易な説明など情報提供の手法等についても検討する必要があります。

 

 以上を踏まえ,次の項目について取り組まれるよう提言します。

(1) 「高齢化とともに言葉を忘れてコミュニケーションが成り立たない事例」についての民生児童委員や老人福祉員への周知,「生活ガイド」等を活用した研修など,地域のケア体制の充実

(2) 介護保険制度その他の福祉制度について簡易に説明したパンフレットやホームページの多言語化の充実

(3) ボランティア等と連携した医療機関の対応言語の拡大と情報提供の充実

 

3 教育問題について

(1)民族学校

 京都市には,現在,民族学校が5校ありますが,民族学校と市立学校とは,学校単位の交流から数校が一同に会する交流へと広がりを見せている一方で,民族学校は,学校教育法上「各種学校」と位置付けられているため,同法のいわゆる「1条校」である私立学校と比べて教育助成に大きな差がある問題について報告がありました。各種学校としての民族学校が都道府県の所管ではあるものの,京都市は,財政状況が極めてひっ迫する中で独自の補助の充実・維持など,民族学校の保護者負担の軽減等を図っていますが,今後も,民族学校の処遇改善に向けて,国に対する働き掛け等の支援を行う必要があります。

(2)公立学校における外国人教育

 1992(平成4)年策定の「京都市立学校外国人教育方針」に基づき,京都市立学校において種々の取組が進められてきたことなどにより,各学校で朝鮮文化に触れる機会が多く作られるようになっています。また,在日韓国・朝鮮人生徒の高校進学率や本名使用生徒数も増加し,外国籍児童・生徒等の卒業証書の年号表記について西暦表記を可能にする等の種々の取組も行われています。

 一方,教職員,特に管理職の中で外国人教育に関する意識・認識に差異がある問題が報告されました。外国人教育を更に推進していくためには,管理職,外国人教育担当等の教員に対する研修について,その手法を含め充実していく必要があります。なお,ダブル・帰化など多様化する外国籍児童・生徒に対する学校が担う役割についての結論は出ませんでしたが,在日外国人に対する問題は様々な形で存在していることについて認識を深め,各学校で子どもの状況に応じた指導を行える体制づくりを推進していく必要があります。

 また,中国帰国者等新定住者の親子が抱える問題として,親子で日本語の上達度に差が生じるため,親と先生との間だけでなく,親子間のコミュニケーションさえ難しくなる傾向についても報告がありました。京都市は,日本語ボランティアの派遣等の新たな制度を始めるなど色々な対策に努めていますが,こうした子どもたちと保護者の不安解消に向けてきめ細かな連絡体制の充実が必要です。

 

 以上を踏まえ,次の項目について取り組まれるよう提言します。

(1) 民族学校の処遇の改善に関する国への要望と教育条件の整備を図るための支援の充実

(2) 管理職等教職員の外国人教育に関する研修の充実

(3) 外国籍児童・生徒同士,日本人児童・生徒との交流の機会の拡充

(4) 多様化する外国籍児童・生徒に対する的確な把握及び指導の充実

 

4 就職問題について

 京都市は,2001(平成13)年度実施の職員採用試験から,一般事務職,一般技術職,学校事務職についても国籍要件を緩和しました。これにより,消防職を除くすべての職種の採用において外国籍市民への門戸開放が実現しています。

 いわゆる労働行政は,国(厚生労働省)の所掌事務として一本化されているため,京都市では従前から,企業等における人権尊重の意識の啓発支援に取り組んできているところです。

 しかし,外国籍市民に対する偏見と差別意識から今なお現存する就職差別,また,新しく来日した外国籍市民の言葉の壁による問題,特に就労機会が少ない中国系住民の生活保護への依存の実態などについて報告がありました。京都市は,所掌事務が限られているところですが,外国籍市民の就労状況を踏まえ,その改善に向けて関係機関と連携した取組をする必要があります。

 

 以上を踏まえ,次の項目について取り組まれるよう提言します。

(1) 外国籍市民の就職に関する企業啓発の充実

(2) 多言語による情報提供その他関係機関と連携した相談体制の確立

 

資料

1 外国人登録原票の開示請求に係る申入書

                                      申 入 れ

 

 京都市外国籍市民施策懇話会は,京都市における外国籍市民の市政参画を推進し,共に生きる社会を築くに当たり,外国籍市民に関する諸問題について幅広い観点から議論し,京都市が取り組むべき課題等について,京都市長が意見を求める機関として設置されました。

 2001年9月21日に開催した平成13年度第2回会議では,「外国人登録原票の開示請求に係る問題」について審議したところです。審議内容については,例年同様,今年度のすべての審議を行った後に報告書としてまとめ,市長に提出する予定ですが,本件の問題については,早急に対応していただく必要があるため,下記のとおり申し入れます。

                                         記

 

 2001年8月,新聞報道により,公安調査庁が京都市をはじめとする地方自治体に対し,破壊活動防止法に関わる調査を目的として外国人登録原票の開示請求を行い,京都市はこれに対して86名の外国人登録原票の写しの交付等の手続を行ったことが明らかになりました。

 言うまでもなく,外国人登録原票には,本人特定のための顔写真,署名のほか,家族構成,居住歴なども記載され,住民票とは比べものにならない大量の個人情報が含まれています。外国籍市民は,法の遵守と共に地方自治体が個人情報をみだりに公開しないという信頼関係を前提として,この登録に応じているものです。また,京都市は,個人情報保護条例を制定し,個人情報保護の重要性を認識するとともに,国際化推進大綱を策定し,外国籍市民施策懇話会を設置して外国籍市民の人権を守る施策を手掛けてきました。

 しかし,今回の公安調査事務所に対する京都市の対応は,上記のような外国籍市民の京都市に対する信頼感を根底から覆したと言っても過言でないほど重大な人権問題に関わる事件でありました。しかも,窓口で事務的に処理するのみであったり,入国管理局への問合せも電話で済ませるなど,あまりに軽率な対応もあったと聞きます。

 外国籍市民は,かって,ことごとに潜在的犯罪者であるかのような差別と偏見のまなざしで見られ,今もなお,職場や学校で理不尽な待遇を受けている例が少なくありません。

 このような現状に鑑み,外国籍市民施策懇話会は,京都市が人権を守る砦に立ち返るよう,次のことを要請します。

(1) 今回の公安調査事務所に対する個人情報の開示が重大な人権問題に関わる事と認識し,多くの市民に不安と衝撃を与えたことについて,外国籍市民をはじめ一般市民に対し,市民しんぶんをはじめとする市の広報手段を通じて謝罪し,二度と同様の事件を引き起こさない対策を具体的に講じること。

(2) この間の京都市の対応,事実経過,開示事項の項目などについて継続して調査し,整理したうえで,外国籍市民施策懇話会に文書で報告すること。

(3) 在留資格のない人も含めすべての外国籍市民が市民として守られていると実感できるよう,外国籍市民が安心して行政サービスを受けられるシステムを作り,全職員に対して外国籍市民の人権問題についての研修を一段と拡充すること。また,京都市民全体が個人情報保護の重要性と外国籍市民の人権問題について更に認識を深められるよう,市民レベルでこの問題を考える啓発活動に取り組むこと。

(4) 今回は国の機関が法に基づいて請求してきた事案であり,地方自治体は国の委任事務を遂行する義務を負っているものの,現行の外国人登録法が外国籍市民の管理を目的としている以上,再び同様の請求等が行われる可能性は否定できない。よって,京都市は,国に対して同様の事態が発生することのないよう市民と共に要望していくとともに,従来以上に,外国籍市民の人権擁護のための同法の抜本的改正に向けて一層の努力を果たされたい。

 

2 京都市外国籍市民施策懇話会委員名簿

京都市外国籍市民施策懇話会委員名簿

国籍

氏名

日本

白石 厚子(シライシ・アツコ)

田村 太郎(タムラ・タロウ)

仲尾  宏(ナカオ・ヒロシ) ◎

三好 克之(ミヨシ・カツユキ)

余  昌英(ヨ・ショウエイ)

朝鮮・韓国

 李 美葉(イ・ミヨプ)

康 玲子(カン・ヨンジャ)  *2

 金 明広(キム・ミョングヮン)

 許 芳江(キョ・ヨシエ)  *1

 姜 信春(キョウ・ノブハル)

中国

 孫 攀河(ソン・ハンカ)

イ ン ド

 シワニ・ナンディ

タイ

 スプラーニー・リンパヤラヤ

◎は座長

*1 2001年5月14日退任

*2 2001年5月15日就任

お問い合わせ先

京都市 総合企画局国際交流・共生推進室

電話:075-222-3072

ファックス:075-222-3055

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