スマートフォン表示用の情報をスキップ

京都市外国籍市民施策懇話会1999(平成11)年度報告

ページ番号213030

ソーシャルサイトへのリンクは別ウィンドウで開きます

2019年4月16日

京都市外国籍市民施策懇話会1999(平成11)年度報告

                                                平成12(2000)年3月28日
京 都 市 長
桝 本 頼 兼 様  

京都市外国籍市民施策懇話会・1999年度(平成11年度)報告について

                                               京都市外国籍市民施策懇話会
                                               座長   仲尾 宏

 京都市外国籍市民施策懇話会は,京都市における外国籍市民の市政への参加を推進し,「共に生きる社会」を構築するため,外国籍市民に関する諸問題について調査・審議し,京都市が取り組むべき課題等について意見求める機関として設を置されました。

 現在,京都市には,在日韓国・朝鮮人をはじめ,およそ100か国4万3千人の外国籍市民が暮らしており,また,約2,700名の留学生が京都の大学で学んでいます。「多文化社会」への進展が進む中,外国籍市民の人権については,国際人権規約等の批准に伴う国内法の整備により,福祉面等において一定の改善が図られてきましたが,依然として解決すべき課題が残されている一方,国際化の急激な進展の中で,新たな課題も生じています。

 1999(平成11)年度の懇話会では,1999(平成11)年5月11日に第1回会議を開催し,4回の会議で審議を行ってまいりました。この度,1999年度(平成11年度)における懇話会としての意見を取りまとめましたので,その結果をここに報告します。

 今回の報告は,第1期の懇話会の最終の報告となります。約1年半の任期中に懇話会の提言により,民族学校への財政的支援の一層の充実が図られ,また卒業証書の発行年月日について外国籍児童・生徒や保護者の希望する暦年表記が認められましたことは,大きな成果であったと思います。

 最後になりましたが,地方分権や規制緩和の推進に伴い,市政の重要度がますます増し,市政運営に市民の主体的な参加が求められる今日,この懇話会が外国籍市民の市政への参加の場として,外国籍市民の声が市政に反映されるとともに,外国籍市民に関する問題が地域社会の中で同じ市民の問題として多くの方に理解されることを願っております。

目次

第1 会議概要
   
 1 開催状況
   
 2 調査・審議内容                         

第2 提言
   
 1 市立学校における外国人教育・人権教育について
    
 2 情報提供とその担い手について(共生のための国際交流等を含む
    
 3 社会福祉(医療を含む)について
    
 4 住宅入居における問題について
 
 5 市政参画について
                        

資 料
 1 卒業証書の発行年月日の年号表記にかかる申入書

   2 京都市外国籍市民施策懇話会設置要綱

   3 京都市外国籍市民施策懇話会第1期委員名簿

 

第1 会議概要

1 開催状況

第1回会議  1999(平成11)年5月11日(火)  午後2時30分から午後5時まで 京都市国際交流会館  

第2回会議 1999(平成11)年7月9日(金)  午後2時30分から午後5時まで 京都市国際交流会館  

第3回会議 1999(平成11)年10月19日(火)  午後2時30分から午後5時まで 京都市国際交流会館 

第4回会議 1999(平成11)年12月13日(月)  午後2時30分から午後5時まで 京都会館

 

2 会議・審議内容

(1) 第1回会議:市立学校における外国人教育・人権教育について 

    ア 現状報告

    教育委員会事務局から説明を受けた。

  イ 各委員からの意見

   ■ 「京都市立学校外国人教育方針-主として在日韓国・朝鮮人児童・生徒に対する民族差別をなくす教育の推進について-」の具体化がどこまで進んだか
   
○ 在日韓国・朝鮮人児童が,本名ではなく通名を使わざるを得ない社会背景等の理由の考察や本名で通う子どもたちが現実に差別発言を受けるということが起こっている。こうした問題に対する具的な対応が必要である。  

○ 「外国人教育方針」ができ7年間で,学校での取組や先生方の研修等も進んできているが,現場での取組には差がある。また,差別を見抜く目,差別がおかしいという感性を先生方にもっていただくためにも,外国人教育をはじめとする人権教育を充実させるために,具体的なカリキュラム等を先生方に提示していく必要性を感じる。

○ いわゆる「ニューカマー」の生徒の高校進学率が低いという現状,未就学の子どもの問題や言葉の問題や生活不安等で中途退学や不登校となった子ども等,新しい問題が起きている今後,京都市でも起こり得る問題であり,何らかの策をとっていく必要がある。

     ■ 外国籍児童・生徒の卒業証書の年号表記問題について

○ 外国籍市民の方々が卒業証書の年号表記の問題についてどのように考え,どういった要望を持っているのかを踏まえて,京都市としての前向きな判断をお願いしたい。

○ 子どもが,ありのままの自分でいられることは大切なことである。多様化する時代にあって,ポジティブに多様性を受けとめていく姿勢が必要であり,卒業証書の年号表記の問題についても同じことが言えるのではないか。

* 外国籍児童・生徒の卒業証書の年号表記については,2000年3月の卒業式に間に合うことを願い,1999年7月16日に懇話会座長名で申入れを行った。申入れを踏まえ,京都市教育委員会は,外国籍幼児・児童・生徒に発行する卒業証書の発行年月日については,希望があれば西暦やそれぞれの国のもつ固有の文化としての暦年表記とすることを10月7日に京都市立学校・園に通知した。

 

(2)  第2回会議:情報提供とその担い手について(共生のための国際交流等を含む。)

  ア 現状報告

     事務局から説明を受けた。

  イ 各委員からの意見

   ■ 情報提供について

○ 日常レベルで外国籍市民の声を聞く場があった方がよい。行政側から外国籍市民へと情報が一方通行になっており,その逆の流れをつくる必要がある。また,在住外国籍市民による京都の観光案内などを考えてもよいのではないか。 

○ ボランティアなりNPOの養成は重要であるが,それら団体に対して京都市としてどの程度の財政的援助ができるのかという問題がある。

○ 懇話会での議論を日本人社会にも伝えるという市民啓発の視点が必要であり,そうすることが相互理解の下地をつくることにつながる。

○ 京都のために汗を流した外国人や京都で勉強して帰国後にそれをいかした外国人がたくさんいる。それらの外国人について交流会館や市民しんぶんを通じてもっと市民に紹介してほしい。そうすることで京都の国際性が再認識してもらえる。

○ 留学生の就職問題についてもう少し目を向けてほしい。どこの大学も留学生の受入れには力を入れているが,卒業後の進路については考慮されていない。就職についての情報はもっと充実させるべきである。

○ 日本語の理解が不十分なニューカマーは,学校や行政に頼る前に友人関係等で問題を何とか解決している場合が多いようである。声があがらなくてもそういった方々への施策周知の徹底をお願いしたい。
        
○ ボランティア通訳のネットワークを図ることが必要である。また,学校での活用にあたっては,学校と家庭との連絡を行ってもらうことをはじめ,ボランティア通訳と学校との密接な連携を図っていくことも必要である。

○ 外国籍の方の言語ごとのボランティア登録が必要ではないか。

   ■ 共生のための国際交流について

○ 京都市の国際化推進関連予算の多くが交流会館において使われている。もっと多くの在住外国人が利用できるよう,交流会館の機能を充実させる方法を考えるべきである。

○ 国際交流についてはもっと外部の協力を得ていく必要がある。すべてを行政が行うことは無理であり,民間でできることは民間に任せるべきである。民間交流団体間のネットワークがまだまだ弱いが, ソフト面でのつながりを深めてほしい。

 

(3) 第3回会議:社会福祉(医療を含む)について・住宅入居における問題について

  ア 現状報告

     保健福祉局及び事務局から説明を受けた。

  イ 各委員からの意見

    ■ 社会福祉(医療を含む)について

○  在日一世で高齢の方の中には日本語能力が十分でない人もおり,日本人の老人福祉員では対応ができない。民生委員については法律上の問題があり,その改正を待たなければならないが,それを補完する意味でも外国籍の老人福祉員の拡充において一定の配慮がほしい。

○ 例えば生活館を拠点に,外国籍の老人福祉員の拡充などに努めると同時に,我々としても若い人に働きかけて自主的な活動を立ち上げていくといった双方の協力が必要である。

○ 老人福祉員については,母国語が理解できて文化や習慣もある程度わかる人を募集するというかたちでもっと積極的に人材の活用を図る必要がある。

○ 福祉事務所や区役所にパンフレット等を配置していてもそこに足を運べない人が多いことも事実であり,病院等への配置を検討するなどより多くの方に周知できるよう配慮すべきである。

○ 大阪では公立保育所へのアンケート調査を実施し,8割の保育所に日本語が理解できない保護者が子どもを通わせていることが分かっており,保育に携わる人への研修や多言語での入所案内の作成等が行われている。

○ 介護保険制度についても,病院に行かずに自分でできるところまで頑張っていこうとしている一人住まいの高齢者には情報が十分に伝わっていない。制度周知の努力不足である。

○ 国の緊急雇用対策の交付金事業で外国人への情報提供や介護保険の情報提供をNPOに委託する自治体もある。行政だけできめ細かいサービスを提供するのは難しく民間団体との連携で実施していくというのが一つの流れになってきて いる。

○ 交通局の多言語による案内表示のように,区役所や市立病院等でも配慮が必要である。また「介護保険の手引き」が置かれている場所についても多言語による案内表示を行うべきである。

○ 外国人の方が窓口に来た場合の通訳の派遣のシステムについても検討しておく必要がある。これらは,福祉が必要な人が相談や援助が受けられるためにも必要なことである。

○ 国民健康保険に加入できていないために病院に行けないといった現在進行中の深刻な問題がある。 兵庫県,群馬県や神奈川県は病院に対して(医療保険が無い等で赤字が出た場合)補てん制度を実施 している。医療制度から漏れてしまっている人たちに対して,京都府へ同様の制度の創設を働きかけるなど何らかの施策を検討していく必要がある。

   ■ 住宅入居における問題について

○ 自分の気に入った物件の家主に連絡をとってもらったところ「外国人では困る」ということで入居を断られた経験がある。日本に10年滞在し,日本語も話せることを説明したが聞き入れてもらえなかった。 条例による保護を市として設けることはできないのか。

○ 最近の静岡地裁浜松支部判決(外国人であることを理由に入店拒否した宝石店に対して,人種差別撤廃条約の国内法としての効力を認め,損害賠償金の支払いを命じた)があり,外国人であるという理由で住宅を紹介しないとすれば同様ではないか。なお,兵庫県では(入居に当たり)問題があれば相談を受けて,適宜改善の指導を行い,それでも改善されない場合には業者免許を取り上げるといった取組を行っている。

○ 内外学生センターや国際交流協会での取組は,各大学の留学生担当課と連携をとっていく必要がある。

○ (入居差別に対して)いきなり裁判となると難しい面もあり,結局泣き寝入りということになってしまう。大学の国際交流課や留学生担当課が相談を受け,家主や仲介業者と対応していくことが必要である。

○ 啓発の一環として,仲介業者に対して,また仲介業者から家主に対して,外国籍にかかるあらゆる入居差別は違法になるという旨の注意書を導入することはできないか。

○ 不動産業者の話が出たが,入居を拒否しているのは家主の方であって,業者は仲介であり罰せられない。また,大学自身が特に短期留学生等のために入居施設を整備する必要がある。アパー トやマンションの経営者を責めるだけでなく,国,自治体,企業や大学が協力体制を組んで,ここまでやっているという姿勢を示すことが肝要である。

 

(4) 第4回会議:市政参画について(地方参政権を含む。)

 ア 現状報告
      
    事務局及び座長から説明を受けた。

 イ 各委員からの意見

   ■ 外国籍市民の市政参画の現状と課題

○ 私自身,PTAの会長や副会長を務めたことがある。連合会の副会長を務めたこともあり,自分の住む地域では実績が十分あるように思う。通名の使用等行政が把握できていないだけではないか。

○ 町内会長という役は,外国籍の市民も含めて輪番制となっており,外国籍だからはじかれるという ことはないのではないか。

○ 地域で,在日韓国・朝鮮人であることを明らかにしていても,通名を使って町内会長など担っている限り,周りから見た場合,在日であることをご存じでない人は結構いる。本来であれば,目に見えるかたちで参画することで,日本社会に対して外国籍市民として参加していることをもっとアピールすべきだと思う。

○ ニューカマーの方でもPTAの役員をされているという話はよく聞く。また,マンションの管理組合の役員をされているという話も聞いたことがある。ただ,町内会となるとまだ聞いたことがない。

○ 子どものためにPTAの役員を務める外国籍の方は多い。ただ,一般的に,マンションに住んでいる市民の方は町内会費や回覧の対象になっていない場合が多く,市の関係や町内会の役員をされている例もほとんどない。

○ 地域や市政への参画については,我々外国籍市民の側も努力しなければ思うように進まない。 夫婦別姓については,自分の経験からも理解が得られていないと感じることがある。また,時間がかかるかもしれないが,短期滞在者や留学生も地域に溶け込んでいくことが必要である。

○ 審議会等の委員の選考時には,人口比に応じた外国籍市民を登用しなければならないという意識を行政側が持つか否かで大きな違いが出てくる。言語などの問題もあり,国籍別,民族別が必ずしも平等にいくとは思えないが,条例にかかわるような基本となる審議会等には,積極的に外国籍市民の方の登用を図っていくという姿勢が必要である。

○ 職能集団からの推薦を受けるということであるが,目先を変えることで,外国籍市民の登用を図ることもできる。専門的知識をもった職能集団にはなかなか外国籍市民がなじめないという既成概念を払拭する必要がある。

○ ブラジル人やフィリピン人の方が審議会等の委員として,日本語でまとまった施策を提案することはなかなか難しいことであり,そういった外国籍の方の意見を反映させるためには,行政とNPOやNGOとの協議の場を用意しておくことも必要である。 
  
○ 170を超える審議会等が設置されていながら,外国籍市民が委員として参画していることが確認できているものがわずか七つに過ぎないということは,市政参画の点からは非常にお粗末な話であり, もっと積極的に外国籍市民の声を聴こうとする姿勢が行政側に必要である。

   ■ 地方参政権について

○ ブラジル人や中国,ベトナム出身で定住者の在留資格で来日されている方,また日本人の配偶者の在留資格で来日されている方は,地方参政権の対象となる定住外国人に含めるべきである。

○ 地方参政権の問題については,日本社会の中でも認識の変化が起ってきてはいるが,50年間解決しなかった問題が今すぐに解決するとは考えにくい面もあり,今後も議論が続いていくのではないか。

○ 基本的にはこの地方参政権は早く認める方向にした方がよいと考えている。認める中で,いろいろな問題が出てくると思うが,むしろその問題を日本人と外国人が一緒に解決するために議論することでお互いの理解が進むことになるのではないか。

○ 地方参政権の問題は人権に関わる重要な問題である。母国を離れて外国で暮らす人たちは住んでいる地域の経済に関わりを持ち,税金も納めているわけであり,当然に参政権が与えられるべきである。 
 
○  来日して7年目になり,永住者資格を取るか帰化するかと考える時期にきている。ニューカマーの場合,どうしても日常の生活面に目が向き,参政権といった問題を深く考えてこなかったような気がする本日の議論を聞いて,個人的に非常に勉強になった。

○ 在住外国人への地方参政権の問題は,フランスや北欧諸国のそれとは異なり,明治維新以後の日本のアジアに対する歴史の清算のうえにある。日本は,アジア諸国や在日韓国・朝鮮人等に対する戦後処理をまだ終えていない。やはり戦後処理を行ったうえで,在日の韓国・朝鮮人や台湾人に,本国への復帰か日本での永住かの選択をさせ,参政権の問題についてはその時に本格的に議論すべきである。

○  一人の人間がその社会の中で発言する権利があるか否かということは,その人が一人前の人間 として認識されているか否かにも関わってくる問題であり,(地方参政権付与の問題についてはいろいろな立場の意見があるが,私自身はそういったことも踏まえたうえで,日本国籍を取得することを選んだ。同化に対する最低限の抵抗が,自分の本来の名前を名乗って活動していることであると考えている。ただ,地方参政権の問題については,日本社会の中でも認識の変化が起こってきてはいるが,50年間解決しなかった問題が今すぐに解決するとは考えにくい面もあり,今後も議論が続いていくのではないか。

○ 基本的には地方参政権は早く認める方向にした方がよいと考えている。(地方参政権を)認める中で,いろいろな問題点が出てくると思うが,むしろその問題を日本人と外国人が一緒に解決するために議論することでお互いの理解が進むことになるのではないか。地方参政権が認められれば,在住外国人の声を聴く候補者も出てくるはずであり,在住外国人に対する日本人の認識をもっと変える方向にもっていくためにも,まず地方参政権を認め具体的な政治的活動をスタートさせた方がよいのではないか。

○ 日本社会では,地方参政権の問題について新聞の論説等には取り上げられているが,一般の市民レベルではほとんど論議されていない。なぜ地方参政権が必要なのかといった点を含めてもっと議論すべきである。

○ 地方参政権の問題は人権に関わる重要な問題である。戦後,母国を離れて外国で暮らす人が世界的に増えているという話があったが,そういった人たちは住んでいる地域の経済に関わりを持ち,税金も納めているわけであり,当然に参政権与えられるべきである。

○ 市民レベルの議論を高めていく必要性は感じるが,現実には難しい面がある。 我々の先駆者が年金や健康保険をはじめとする制度的な不平等の是正を求めてきたように, 参政権も同様に日本社会で生きていく中で当然の権利として与えられるべきものである。参政権が付与された場合,それを行使するかどうかは各個人の問題であり,まず参政権が権利として認められることが必要である。なお, 地方参政権の対象が永住者だけでなく定住者等の資格の人にも広がっていくべきであるが,まず永住者がその突破口になるといった視点も必要である。 
       
* 地方参政権の問題については,各委員の発言を記録としてとどめることとし,提言は,行なわないことを確認した。

 

第2 提言

1 市立学校における外国人教育・人権教育について

 京都市の外国人教育の取組は,1981(昭和56)年の「外国人教育の基本方針 (試案)」の策定を契機として大きく進展し,こうした取組の成果と国際化の進展という社会の変化を踏まえ,1992(平成4)年3月には,「京都市立学校外国人教育方針」を策定しました。この方針に基づき,すべての児童・生徒に,国籍や民族の違いを認め,相互の主体性を尊重し,共に生きる国際協調の精神を養うことをめざし,各校で様々な取組が進められてきましたが,実践内容においては,個々の学校又は個々の教員ごとに差異があるのも事実です。
   
 また,近年,市立小・中学校に在籍する在日韓国・朝鮮人以外の外国籍の子どもたちが増加しています。こうした子どもたちの教育保障を図るとともに,外国人保護者の不安を解消するよう,よりきめの細かい指導と保護者との円滑な連絡体制の整備を図ることが必要です。 国際的な交流がますます進み,人々の活動の舞台がより一層世界中に拡大していくことが予想される今日において,子どもたちに諸外国の歴史や文化を尊重し,その主体性と尊厳に対する認識を深めていくことがより重要となっています。このため,教育活動の全般を通して,国際理解を深め,国際協調の実践的態度を培っていくことが必要です。 

    以上を踏まえ,次の5項目について取り組まれるよう提言します。

 (1)学校教育活動や家庭訪問等を通しての外国籍の子どもや保護者の実態把握と子どもの多様性を踏まえた教育の展開
 
 (2)日本人,外国籍双方の子どもに民族の歴史・文化についての学習を深め,正し い理解と認識を図る指導の展開

 (3)関係機関と連携した日本語指導員の派遣促進のための条件整備

 (4)外国語や外国の文化・生活に堪能なボランティアの派遣するための条件整備

 (5)外国の学校や民族学校,国際学校との継続的な交流や留学生・海外在住経験者,外国人の保護者の協力を得た外国の文化にふれる指導の促進

 

2 情報提供とその担い手について(共生のための国際交流等を含む。)

 京都市では,日本語による伝達が不可能な外国籍市民に対しては,「京都市生活ガイド」をはじめ,各種の施策や施設を説明する多言語によるパンフレットにより,行政サービスも含めた生活に密接に関連する情報を提供しています。また,多言語FM放送「FM CO・CO・LO」による情報提供も行っています。

 しかしながら,行政の制度やサービスとその手続についての情報をより一層わかりやすく伝えるとともに,制度・サービスは一部の例外を除き,外国籍市民に対しても適用されていることを更に周知することが必要です。また,情報が一方通行(行政側からの情報発信が中心)であり,外国籍市民の立場から情報発信できる場を広げることも必要です。

  国際交流については,これまでの姉妹都市を中心とした交流に加え,新たな形態によるパートナー・シティ交流を促進していくことが有意義です。その際には,市民・民間団体を主体とする市民参加型の交流とすることが重要です。

 また,交流を進めるに当たっては,お互いの歴史,文化や習慣に ついての理解を促進し,共にいきる市民として市民レベルでの交流を広げ深めていくことが必要です。とりわけ,京都市は,アジア諸国と古くから密接な交流があり,外国籍市民の約9割が韓国・朝鮮籍を中心としたアジア諸国の市民であり,留学生の大半も中国籍,韓国籍であることから,アジア諸国との交流を一層促進していくことが必要です。

 以上を踏まえ,次の5項目について取り組まれるよう提言します。

 (1)国際交流協会の活動を更に充実させ,市民・民間団体との連携を強化し,よりきめの細かい効果的な情報の提供

 (2)外国籍市民の実情をよく知った上で,情報の双方向化のための外国籍市民ボランティアの登用

 (3)外国籍市民施策懇話会の活動を伝えるニュースレターやインターネットによる情報発信

 (4)市民参加型交流を促進するための市民・民間団体への情報提供と支援

   (5)留学生との交流など,市民レベル・地域レベルでの交流の充実

 

3 社会福祉(医療を含む)について

 社会福祉の分野においては,1982(昭和57)年の国際人権規約及び難民条約の批准によって,国籍条項が撤廃されました。しかし,国民年金制度における国籍制度が撤廃された時点で,20歳を超えていた障害がある方や60歳を超えていた方は現行の障害基礎年金及び老齢福祉年金が支給されない状態にあります。同じく,母子家庭や準母子家庭の状態にあった外国籍市民についても,無拠出制の母子福祉年金や準母子福祉年金が支給されていません。京都市は,独自の施策として,1994(平成6)年から障害基礎年金が支給されていない外国籍市民で重度の障害がある方に対して特別給付金を支給しています。 更に,国民年金に加入できなかった高齢の外国籍市民に対しても,1999(平成11)年1月から福祉給付金を支給しています。

    しかしながら,これらの制度は,過渡的なものであり,国による制度化を要請していくことが必要です。また,福祉・医療制度は,多岐にわたるため,在日韓国・朝鮮人をはじめとする定住外国人の歴史的経緯と生活実態に配慮する一方,来日して間もない外国籍市民に対する的確な情報の提供が必要となっています。

  以上を踏まえ,次の5項目について取り組まれるよう提言します。

 (1)外国籍の高齢者,障害のある市民,ひとり親世帯等の実態に応じたきめ細かい対応

 (2)制度上無年金状態に置かれている外国籍市民に対する措置の制度化を国へ求めるとともに京都市の給付金の充実

 (3)外国籍市民が利用できる福祉・医療制度の多言語のパンフレット作成

 (4)関係機関と連携した外国語の通じる医療機関の拡大と情報提供の充実

 (5)民間ボランティア団体と連携した医療・福祉相談の充実

 

4 住宅入居における問題について

 外国籍市民の住宅問題は,基本的には,国,京都府の所管ですが,京都市では,1991年(平成3年)に市営住宅の入居資格を撤廃しま した。また,様々なトラブルを防止し,良好な環境で居住できるよ う,入居から退去までの手続きや日常生活での諸注意を英語,中国語,ハングルと日本語で併記した「市営住宅住まいのしおり」を入居者に配布しています。また,京都市国際交流協会では,家主,物件の賃貸を検討中の市民,不動産業者等を対象に留学生の声を直接伝える「留学生と家主の交流会」を開催し,情報提供並びに相互理解,意識啓発を図るほか,留学生等の外国籍市民を対象とする賃貸物件の情報提供,賃貸借契約に関わる用語説明,注意事項等を掲載した「外国人と貸し主の不動産賃貸マニュアル」等を作成し,配布しています。

 住宅は,安全,健康,福祉,教育,本当の豊かさや人間として尊厳を守る基礎であり, 安心して生きる社会の基盤となります。しかし,外国籍市民,とりわけ,ニューカマーと呼ばれる人々の居住状況には,様々な課題があります。住宅を借りる段階で,言葉の問題,生活習慣の違いなどを理由として,入居を拒否されるケースが多く,また,入居できた場合でも,隣人関係において様々なトラブルが発生することもあります。

 このため,人権尊重の観点から入居差別を解消するための宅地建物取引業者や家主に対する啓発を一層充実するとともに,入居に伴う不安を払拭するための情報提供や相談等の充実,更に市営住宅への入居に関する情報提供の充実が課題となっています。

 以上を踏まえ,4項目について取り組まれるよう提言します。

 (1)府等の関係機関と連携し,宅地建物取引業者,とりわけ家主に対する啓発の強化

   (2)家主等の不安を解消するために宅地建物取引業者や家主に対する的確な情報提供と相談

 (3)賃貸物件と共に生活習慣や住まい方についての情報提供

 (4)市営住宅をはじめとする公営住宅の入居募集案内の外国語版の作成

 

5  市政参画について

 京都市では,外国籍市民の声を市政に反映するため,「市政総合アンケート」の対象に外国籍市民を加え,永住者を中心に市政協力委員をはじめとして,市政運営の一端を担う例が増加しています。しかし,民生委員等に選任される権利がないこと,京都市の審議会等への外国籍の委員の就任が極めて少ないという実情を見ると,地方参政権が認められていない現在,外国籍市民の市政参画は不十分と言わざるを得ません。

 また,外国籍市民と共に生きる社会を実現していくためには,外国籍市民が地域活動に参画しやすい環境をつくっていくことが必要ですが,永住者は自治会や地域コミュニティ組織等の地域活動に参画しがたい状況があります。このため,外国籍市民への情報提供を充実するとともに,地域住民への啓発が必要です。

 以上を踏まえ,3項目について取り組まれるよう提言します。

 (1)外国籍市民が市政に対して発言し,共に問題を考えていくことは,人権の問題として当然であるという認識の徹底

 (2)外国籍委員の登用拡大を図るとともに委員公募の際に国籍を問わない旨の周知

  (3)地域活動についての情報提供と地域に根差した交流事業への協力

 

資料

1 卒業証書の発行年月日の年号表記にかかる申入書

                                            1999年7月16日
京都市教育委員会教育長 矢作 勝美 様                  

                                            京都市外国籍市民施策懇話会

                                            座 長   仲 尾  宏  

                              申 入 れ

 

  京都市外国籍市民施策懇話会は,京都市における外国籍市民の姿勢参画を推進し,に生きる社会を築くにあたり,外国籍市民に関する諸問題について幅広い観点から議論し,京都市が取り組むべき課題等について,京都市長が意見を求める機関として設置されました。

  1999年5月11日に,平成11年度第1回会議を開催し,「市立学校における外国人教育・人権教育について」の審議を行ったところであり,審議内容については,昨年度と同様にすべての審議を行った後,報告書としてまとめ,市長に提出する予定をしておりますが,特に,外国籍児童・生徒に発行される卒業証書については,早急に対応していただく必要があると考え,下記のとおり申入れを行います。

                                  記 

 京都市立学校長が,外国籍児童・生徒に発行する卒業証書の生年月日については,西暦表記になっていますが,発行年月日については元号表記となっています。このため,京都市立学校を卒業した外国籍児童・生徒の中には,卒業証書を受け取っていない子どももおり,保護者から学校及び京都市教育委員会に発行年月日についても強い要望があると聞いております。この要因は,京都市教育委員会が,市立学校が発行する公文書には,元号を使用するよう指導していることにあると受け止めています。

 元号については,日本における年表示の慣行として広く定着しているものでありますが,世界的には,西暦を使用している国々が多い状況にあり,また,他都市の公立学校においては,外国籍児童・生徒からの希望があれば,発行年月日についても西暦表記で卒業証書が発行されている事例もあります。

 こうした状況に鑑み,「外国人と日本人が国籍や文化の違いを超えて,お互いが理解し合えるまち,すなわち『共生のまち』」の実現という「京都市国際化推進大綱」の理念をふまえ,外国籍児童・生徒から希望があれば,その卒業証書の発行年月日について,教育的配慮から,外国でも通用している西暦表記を認められるよう申し入れます。

 

2 京都市外国籍市民施策懇話会第1期委員名簿

京都市外国籍市民施策懇話第1期委員名簿
氏名   職業又は国籍
李 美葉 (イ・ミヨプ) 韓国・朝鮮
金 泰成 (キム・テソン)

韓国・朝鮮

姜 信春 (キョウ・ノブハル)韓国・朝鮮
レベッカ・ジェニスン米国
白石 厚子(シライシ・アツコ)財団法人都国際文化協会理事 
田村 太郎(タムラ・タロウ)多文化共生センター代表
陳 萍(チン・ピン)中国
仲尾 宏(ナカオ・ヒロシ)京都芸術短期大学教授
J.A.T.D.にしゃんたスリランカ
白 吉雲(ペッツ・キルウン)韓国・朝鮮
三好 克之(ミヨシ・カツユキ)京都新聞論説委員
余 昌英(ヨ・ショウエイ)医師 

* 敬称略・50音順。

  外国籍市民委員の国籍名は,外国人登録法上の国籍別表示による。

  日本人委員の職業は委員在任当時のもの。

お問い合わせ先

京都市 総合企画局国際交流・共生推進室

電話:075-222-3072

ファックス:075-222-3055

フッターナビゲーション