平成27年4月号 あの日あの頃
ページ番号179761
2015年4月1日


昭和56年10月入校で,冬期生と呼ばれていました。教官からは,「諸君は名誉ある第88期生で末広がりで縁起が良い。」と称賛されていました??
当時は,土曜日に帰宅が許され,日曜日の夜に再び学校へ戻る生活でした。何週間が経過した日曜日の夕方,駅で同期生3人と会い,夕食がまだとのことで,寿司屋に入りました。話が盛り上がり,気付けば全員ビールを飲み,乾杯していました。
点呼が始まり,教官から3名呼び出されて大カミナリ。寒く静まりかえった中,終わりのない廊下勤務を命じられました。(自業自得)
制服,私服間違い事件,入浴時の出動準備,大脱走ラーメン物語,トイレ内文書交換,夜間巡回幽霊事件等,いろいろ思い出が詰まった学校生活でした。


運転員になりたてで出動した際,スリッパのまま出動しそうになったり,NO赤色回転灯で走行しそうになり隊長から怒られたり,コードリールを引きずったまま帰署しそうになったりと,失敗だらけでした。
一番の驚きは,最先着の製材所火災で直近消火栓に部署し,蓋を開けたら,なぜか水道の蛇口が吐水口にくっ付いていた時です。何が何だか分かりませんでしたが,蛇口開放で圧が抜けて外すことができました。水道局が漏水防止のため,設置していたそうです。(教えてよ!)
その他,消火栓の蓋が接触するため,スピンドルが外されているとか,開けてびっくりが多々ありました。(よく見て冷静に判断しましょう)

兵庫県南部地震発生に伴い,京都市内でもエレベーター内の閉じ込め事故が発生しました。
もちろん,エレベーター業者が来ることもなく,現場到着し最上階の機械室に行くと,扉の中からうっすらと白煙が出ている状態であり,警備員に鍵の有無を尋ねると警備室にもないとの回答でした。
情報収集の結果,エレベーターは各階には停止しない構造であり,閉じ込めのカゴは,エレベーターキーの鍵穴がない階であったため,最上階の外扉を開けてそこから懸垂降下して,当該カゴ上から外扉,内扉を開けて救出する方法をとりました。
最上階の手すり部等にアンカーを設定,救助ロープ,確保ロープを使用して降下開始。しかし,周囲を見渡すと後輩が2人。「俺が行かなあかんの?」ということで座席を作成し,外扉を開放し薄暗い未知の世界へ進入していきました。
エレベーターが動き出したらどう脱出しようかなと不安の中,降下していくとエレベーターのカゴをつり合わせるおもりがレールから外れたため,機械室内のモーターがワイヤーを巻き取れず,加熱白煙したのが停止した原因であることが判明しました。
カゴ上では電源を切り,リンクを操作し外・内扉を開放し,カゴ内から無事女性1名を救出することができました。(震度5をみくびるな)
「あの日」から数十年経過し,新しい消防救助資器材が導入され,消火,救出活動も技術向上している今日です。掛け声一つも変わり,「いち,にー,の,さん」から「いちにさん」に。タイミングが違う,力が出ない,これも時代の流れであることを感じます。
消防生活もあと何年と思うか,まだ何年あると思うかにより,残された消防人生も違ってきます。今日一日を大切に,明日も仕事に来るのが楽しい職場づくりを目指し,今日も頑張ります。



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